豪ヴィクトリア州メルボルン郊外にあるムーニーヴァレー競馬場にて行われているムーニーヴァレーカーニバル(コックスプレートカーニバル)。本稿では日本調教馬・リスグラシュー、クルーガーが出走した本日行われたG1-コックスプレートと昨日行われたG1-マニカトSのレース結果と動画をまとめてお届けする。
Ladbrokes Cox Plate(G1・2040m・3歳以上)
・1922年創設。競走名はムーニーヴァレー競馬場の創設者・William Samuel Coxより。過去の主な勝ち馬にはWinx(2015~2018年)、So You Think(2009,2010年)、Makybe Diva(2005年)、Northerly(2001年)、Sunline(1999,2000年)、Octagonal(1995年)、Better Loosen Up(1990年)などの名馬が並ぶレース。
・尚、今年より宝塚記念優勝馬は経費補助(競走馬輸送費、関係者渡航費)、登録料支払い免除がつき、さらにコックスプレート優勝時には200万豪ドルのボーナスが支給されることとなっている。
1着:リスグラシュー
牝5、父・ハーツクライ、母・リリサイド、母父・American Post
調教師:矢作芳人(栗東)、騎手:Damian Lane
・後方待機のリスグラシューが3角過ぎのストレートで外を通って上昇開始。短い直線の入口では3番手まで押し上げると、直線で豪脚が炸裂。先に抜け出したCastelvecchioを並ぶ間もなく交わし去り、リスグラシューが見事に海外G1制覇達成。クルーガーは13着。
※ムーニーヴァレー競馬場の直線が極端に短い特殊なコース図については以下のJRAの「競馬場・コース紹介ページ」の下部に図が出ているのでご参照下さい。
http://www.jra.go.jp/keiba/overseas/country/australia/racecourse.html
・今回の勝利で通算21戦6勝、G1は3勝目、重賞5勝目。2018年のJRA最優秀4歳以上牝馬。今年は3月の金鯱賞から始動し2着→香港のクイーンエリザベス2世Cで3着→宝塚記念で1着とし、ここへ臨んでいた。今回の勝利で今年からついた特典として、宝塚記念とコックスプレートを同年に連勝したことにより、200万豪ドル(約1億4826万円)のボーナスを獲得した上で、1着賞金の300万豪ドル(約2億2240万円)を得ることとなっている。この賞金とボーナス(に輸送費などの経費補助もつく)は非常に魅力的で、今後は宝塚記念勝ち馬の次走の選択肢としてコックスプレートはかなり有力な選択肢になっていくのではなかろうか。
1着:[2019/10/26]コックスプレート(豪G1・2040m・ムーニーヴァレー)
1着:[2019/06/23]宝塚記念(G1・2200m・阪神)
1着:[2018/11/11]エリザベス女王杯(G1・2200m・京都)
1着:[2018/02/04]東京新聞杯(G3・1600m・東京)
1着:[2016/10/29]アルテミスS(G3・1600m・東京)
・従妹のLily’s Candleは昨年の仏2歳G1-マルセルブサック賞の勝ち馬。従姉のMing Zhi Cosmosは伊G3-セルジオクマニ賞の勝ち馬。
・血統背景については宝塚記念優勝時の以下の過去記事をご参照下さい。
・日本調教馬のコックスプレート制覇は初。2005年に森秀行厩舎のトーセンダンディが出走しMakybe Divaの11着だったのがこれまでの唯一の出走歴。
・レース後のリスグラシュー
・矢作調教師のインタビューの内容について。
Q:最後800mの位置取りを見てどう思いました?
A:届かないと思った、かなり厳しいと思っていました
Q:レーン騎手について
A:日本に来た時にいい関係を築けたのが今日に繋がったと思います
Q:先生にとってコックスプレートを優勝するというのはどういう意味がありますか?
A:1982年にKingston Townが勝ったのを見て以来、37年かかってホームタウンに帰ってきた気持ちです。
※矢作師は開成高校卒業後、オーストラリアに渡り、修業経験があり、インタビュー中に出てくる「天国のバーツさん」はその時の師匠と思われる。
2着:Castelvecchio(1馬身半差)
牡3、父・Dundeel、母・St Therese、母父・Dehere
調教師:Richard Litt、騎手:Craig A Williams
3着:Te Akau Shark(2馬身差)
せん5、父・Rip Van Winkle、母・Bak Da Chief、母父・Chief Bearhart
調教師:Jamie Richards、騎手:Opie Bosson
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/299/moonee-valley/2019-10-26/743582
Ladbrokes Manikato Stakes(G1・1200m・2歳以上)
・1968年にフリーウェイSとして創設。1984年にオーストラリアの歴史的スプリンター・Manikatoが死亡したことにより、現在のレース名に改称。Manikatoは47戦29勝、ムーニーヴァレー競馬場で行われるG1-ウィリアムレイドSを5連覇するなどし、1979年の豪年度代表馬にも選ばれた名馬。昨年は日本から移籍したBrave Smash(ブレイブスマッシュ)が優勝しているレース。
1着:Loving Gaby
牝3、父・I Am Invincible、母・Maastricht、母父・Mastercraftsman
調教師:Ciaron Maher & David Eustace、騎手:Craig A Williams
・好位インの3番手を追走していたLoving Gabyがそのまま直線を3番手で迎えると、173mの短い直線で末脚炸裂。残り50mまでに先団を捕らえ、差し切り勝ち。
・今回の勝利で通算8戦3勝、重賞3勝目(デビュー戦が重賞)。2歳時(春)にシドニー2歳3冠レースに全て出走しており、3/23のG1-ゴールデンスリッパーS(1200m)は4着、4/6のG1-サイアーズプロデュースS(1400m)は2着、4/20のG1-シャンペンS(1600m)は2着だった馬。
1着:[2019/10/24]マニカトS(豪G1・1200m・ムーニーヴァレー)
1着:[2019/09/27]スカボローS(豪G3・1200m・ムーニーヴァレー)
1着:[2019/02/02]チェアマンズS(豪G3・1000m・コーフィールド)
・父のI Am Invincibleは2004年豪州産のInvincible Spirit産駒。現役時は13戦5勝、G3-マッケイSの勝ち馬。2013-14年の豪州リーディングファーストクロップサイアーとなり、以後、Brazen Beau、Voodoo Lad、Hellbent、Viddora、I Am a Star、InvincibellaなどのG1勝ち馬を輩出。2017-18、2018-19年の豪州リーディングサイアーランキングはいずれもスニッツェルに次ぐ2位。2019年の種付料はスニッツェルをしのぐ豪州最高額の24万7500豪ドル(約1838万円)で、Winxの最初の交配相手に選定された他、名牝・Black Caviarにも一昨年、昨年と種付けを行っている人気種牡馬。
・伯母のVelociteaは豪G1-ザ・グッドウッド(1200m)の勝ち馬。
2着:Vital Silver(3/4身差)
せん6、父・Wanted、母・Vintage Silver、母父・Marooned
調教師:Daniel & Ben Pearce、騎手:Ben Melham
3着:Anaheed(1馬身差)
牝3、父・Fastnet Rock、母・Rostova、母父・Testa Rossa
調教師:Peter & Paul Snowden、騎手:Timothy Clark
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/299/moonee-valley/2019-10-25/743594