2019ブリーダーズカップ2日目【2】(クラシック、スプリント等)・レース結果

現地時間11/2(土)に米サンタアニタ競馬場にて行われた今年のブリーダーズカップ2日目。「チャンピオンシップサタデー」としてダート5レース、芝4レースの計9つのG1レースが行われている。本稿ではこの内、ダートの5レース(クラシック、ディスタフ、スプリント、ダートマイル、フィリー&メアスプリント)について、各レースの結果と動画をお届けする。

※芝の4レース(ターフ、マイル、フィリー&メアターフ、ターフスプリント)については以下で触れているので、合わせてご参照下さい。

https://umahei.com/post-10218

Longines Breeders’ Cup Classic(G1・ダ10f・3歳以上)

1着:Vino Rosso

牡4、父・Curlin、母・Mythical Bride、母父・Street Cry
調教師:Todd Pletcher、騎手:Irad Ortiz Jr

・1角の入りはMcKinzieが3番手、Vino Rossoが4番手。3角手前からMcKinzieが早めに仕掛けると、Vino Rossoはこれを見るように上昇開始。直線入口ではこの2頭の一騎打ちムードとなったが、Vino Rossoの勢いがMcKinzieを圧倒。最後は4馬身以上の差をつけてVino Rossoが完勝。

※以下の動画は3分20秒過ぎにレースがスタートするので、シークバーで必要に応じてシークしてご覧ください。

・今回の勝利で通算15戦6勝、G1は2勝目重賞3勝目。5/27のG1-ゴールドカップアットサンタアニタ(ダ10f)で1着→8/3のG1-ホイットニーS(ダ9f)で3着→9/28のG1-ジョッキークラブゴールドC(ダ10f)で1着入線も2着降着、としここへ臨んでいた。確たる軸馬不在となった今年のBCクラシックだが、終わってみれば本馬が実に強い勝ち方を見せ、父のCurlinと共にBCクラシックの親子制覇を達成している。2016年のキーンランド9月1歳馬セールにて41万ドルで購買された馬。

 1着:[2019/11/02]BCクラシック(米G1・ダ10f・サンタアニタ)
 1着:[2019/05/27]ゴールドカップアットサンタアニタ(米G1・ダ10f・サンタアニタ)

 1着:[2018/04/07]ウッドメモリアルS(米G2・ダ9f・アケダクト)

・父のCurlinは2004年米国産のSmart Strike産駒。現役時は16戦11勝、BCクラシック、ドバイワールドC、プリークネスS、ジョッキークラブゴールドカップ(2勝)、スティーヴンフォスターH、ウッドワードSの7つのG1を含む重賞9勝。主な産駒にPalace Malice(ベルモントS、メトロポリタンH)、Exaggerator(プリークネスS、サンタアニタダービー、ハスケル招待S)、Good Magic(ハスケル招待S、BCジュヴェナイル)、Stellar Wind(G1を6勝)など。昨年の北米サイアーランキング6位、今年はBCクラシック前の時点で4位。来年の種付料は17万5000ドル。

・母のMythical Brideは13戦1勝。叔父のCommissionerは米重賞3勝。

・Mr. ProspectorとDeputy Ministerが共に3×4のインブリードとなっている点が特徴的な血統構成の馬。

2着:McKinzie(4馬身1/4差)

牡4、父・Street Sense、母・Runway Model、母父・Petionville
調教師:Bob Baffert、騎手:Joel Rosario

・早めに先頭に立って押し切る形は狙い通りだったと思われるが、戦前に懸念されていた勝ち身の遅さは払拭出来ず、2着は守ったものの勝ち切れずに終わっている。乗り方一つで結果が変わったようにも思えず、力は出し切った印象。

3着:Higher Power(4馬身1/4差)

牡4、父・Medaglia d’Oro、母・Alternate、母父・Seattle Slew
調教師:John W Sadler、騎手:Flavien Prat

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/257/santa-anita/2019-11-03/743641

Longines Breeders’ Cup Distaff(G1・ダ9f・3歳以上牝馬)

1着:Blue Prize

牝6、父・Pure Prize、母・Blues For Sale、母父・Not For Sale
調教師:Ignacio Correas IV、騎手:Joe Bravo

・注目のMidnight Bisouは1角を6,7番手で通過。勝ったBlue Prizeはさらに後ろの8,9番手を追走。Serengeti Empressが快調に逃げる中、3角過ぎに大外を伝ってBlue Prizeが積極的にポジションの押し上げを図るが、Midnight Bisouは行きっぷりが悪く追撃を試みるも、Blue Prizeとの差が開いた状態で直線へ。最後はBlue Prizeが先頭に立ち、Midnight Bisouが追う形になるが大勢は早めに決し、Blue Prizeが1着でゴール。

・今回の勝利で通算23戦10勝、G1は4勝目重賞7勝目。昨年は勝ったMonomoy Girlから1馬身3/4差の4着。その後、今年は5月から始動し3着→2着→3着と連敗が続いたが、8/18のサラトガでのリステッド勝ち(ダ9f)→10/6のG1-スピンスターS(ダ9f)と連勝し、ここへ臨んでいた。今回は昨年の同レース以来の対戦となったMidnight Bisouより早めに動いて前を捕まえに行き、そのまま押し切った会心のレースといえる。

 1着:[2019/11/02]BCディスタフ(米G1・ダ9f・サンタアニタ)
 1着:[2019/10/06]スピンスターS(米G1・ダ9f・キーンランド)
 1着:[2018/10/07]スピンスターS(米G1・ダ9f・キーンランド)

 1着:[2018/09/15]ローカストグローヴS(米G3・ダ8.5f・チャーチルダウンズ)
 1着:[2018/06/17]フルールドリスH(米G2・ダ9f・チャーチルダウンズ)
 1着:[2017/11/23]フォールズシティーH(米G2・ダ9f・チャーチルダウンズ)
 1着:[2016/10/10]セレクシオン大賞(亜G1・ダ10f・パレルモ)

・父のPure Prizeは1998年米国産のStorm Cat産駒。現役時は17戦5勝、G2-ケンタッキーCクラシック(ダ9f)の勝ち馬。主な産駒に米芝G1を2勝(フラワーボウルS、アメリカンオークス)、重賞6勝のPure Clan

・母父のNot For Saleは1994年アルゼンチン産のParade Marshal(その父・Caro)産駒。アルゼンチンのG1-ブエノスアイレス大賞の勝ち馬。父としてアルゼンチンで多くのG1馬を輩出しており、BMSとしてはダノンファンタジー(阪神ジュヴェナイルフィリーズ)を輩出。

2着:Midnight Bisou(1馬身半差)

牝4、父・Midnight Lute、母・Diva Delite、母父・Repent
調教師:Steven Asmussen、騎手:Mike E Smith

・今年は7戦して7勝とここまで完璧な過程で、昨年3着に終わったこのレースの制覇を狙ったが惜しくも2着まで。3角過ぎてからスっと上昇出来たかどうかの機動力の差が出た形。

3着:Serengeti Empress(3馬身1/4差)

牝3、父・Alternation、母・Havisham、母父・Bernardini
調教師:Thomas Amoss、騎手:Flavien Prat

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/257/santa-anita/2019-11-02/743640

Breeders’ Cup Sprint(G1・ダ6f・3歳以上)

1着:Mitole

牡4、父・エスケンデレヤ、母・Indian Miss、母父・Indian Charlie
調教師:Steven Asmussen、騎手:Ricardo Santana Jr

・マテラスカイを制してハナに立ったのがShancelot。Mitoleはこれらを見る形で4番手を追走。序盤の2f通過が21.47秒というハイペースの中、直線は粘り込みを図るShancelotと外から伸びるMitoleの一騎打ちの様相に。見応えのある攻防が続いたが最後は現地実況が「the Monster!」と形容したMitoleが差し切って1着。マテラスカイは4角手前で一杯になり、勝ち馬から9馬身半差のシンガリ負け。

・今回の勝利で通算14戦10勝、G1は4勝目重賞5勝目。今年になってから一気に台頭した馬で、4/13のG3-カウントフリートスプリントH(ダ6f)で初めて重賞に出走しこれに勝利→5/4のG1-チャーチルダウンズS(ダ7f)で初G1制覇→6/8のG1-メトロポリタンH(ダ1m)で1着。その後、7/27のG1-アルフレッドG.ヴァンダービルトH(ダ6f)で3着に敗れるも、8/24のG1-フォアゴーS(ダ7f)を制し、ここへ臨んでいた。2016年のキーンランド9月1歳馬セールにて2万ドルで購買され、2017年のOBS4月2歳馬トレーニングセールにて14万ドルで購買された馬。

 1着:[2019/11/02]BCスプリント(米G1・ダ6f・サンタアニタ)
 1着:[2019/08/24]フォアゴーS(米G1・ダ7f・サラトガ)
 1着:[2019/06/08]メトロポリタンH(米G1・ダ1m・ベルモントパーク)
 1着:[2019/05/04]チャーチルダウンズS(米G1・ダ7f・チャーチルダウンズ)

 1着:[2019/04/13]カウントフリートスプリントH(米G3・ダ6f・オークローンパーク)

・父のエスケンデレヤは2007年米国産のGiant’s Causeway産駒で、G1-ウッドメモリアルS(ダ9f)、G2-ファウンテンオブユースS(ダ9f)の勝ち馬。これまでの代表産駒に本馬とMor Spirit(G1-メトロポリタンH、2歳G1-ロスアラミトスフュチュリティなど重賞4勝)がいるが、いずれも日本供用が決まった後にG1を制覇。2016年から日本軽種馬協会静内種馬場にて供用中。今年の種付料は150万円。

・母のIndian Missは2戦未勝利。叔母のLive Livelyは米G3-ダヴォナデールSの勝ち馬。

2着:Shancelot(1馬身1/4差)

牡3、父・シャンハイボビー、母・True Kiss、母父・Is It True
調教師:Jorge Navarro、騎手:Jose L Ortiz

・負けはしたが好内容の2着。前走はOmaha Beach、今回はMitoleの鬼脚に屈したが、メンバー次第では今後、この路線でG1タイトルを量産しそうな馬。

3着:Whitmore(2馬身1/4差)

せん6、父・Pleasantly Perfect、母・Melody’s Spirit、母父・Scat Daddy
調教師:Ronald Moquett、騎手:Flavien Prat

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/257/santa-anita/2019-11-02/743636

Big Ass Fans Breeders’ Cup Dirt Mile(G1・ダ1m・3歳以上)

1着:Spun To Run

牡3、父・ハードスパン、母・Yawkey Way、母父・Grand Slam
調教師:Juan Carlos Guerrero、騎手:Irad Ortiz Jr

・ハナを切ったSpun To Runがラクに逃げる中、人気のOmaha Beachは6,7番手を追走。3角過ぎからポジションの押し上げを図るも外を通らざるをえず、かなり脚を使う展開に。Spun To Runが悠々と逃げ切って1着。Omaha Beachは2着まで。

・今回の勝利で通算11戦5勝、重賞2勝目。119日ぶりの休み明けだった7/20のG1-ハスケル招待S(ダ10f)で3着→9/2のG3-スマーティージョーンズS(ダ8.5f)で1着→9/21のG1-ペンシルバニアダービー(ダ9f)で5着→10/12のパークスでのブラックタイプ(ダ1m)で1着、としここへ臨んでいた。今年5月のミッドランティック2歳馬トレーニングセールにて6万4000ドルで購買された馬。

 1着:[2019/11/02]BCダートマイル(米G1・ダ1m・サンタアニタ)
 1着:[2019/09/02]スマーティージョーンズS(米G3・ダ8.5f・パークス)

・父のハードスパンは2004年米国産のDanzig産駒。現役時は13戦7勝、G1-キングズビショップS(ダ7f)、G2-ケンタッキーCクラシックS(AW9f)、G2-レーンズエンドS(AW9f)、G3-ルコントS(ダ8f)の重賞4勝。他にBCクラシック、ケンタッキーダービーで2着。2008年から2013年まではアメリカで供用され10頭のG1馬を輩出。2014年に1年だけ日本にて供用され、翌年産まれた産駒82頭が血統登録されているがまだ重賞勝ち馬は出ていない。Out for a Spin(アッシュランドS)に続く、2015年にアメリカに戻ってからの産駒から出た2頭目のG1馬が本馬になる。来年の種付料は4万ドル。

・母のYawkey Wayは10戦3勝。

2着:Omaha Beach(2馬身3/4差)

牡3、父・War Front、母・Charming、母父・Seeking The Gold
調教師:Richard E Mandella、騎手:Mike E Smith

・前走で見せた序盤の行きっぷりの悪さが距離がマイルになった今回も解消されず、終始苦しいレースを強いられた印象。前回と今回のレースを観る限り、もう少し距離が長いほうがいい印象で、春先に見せていたようなスケールの大きい走りを取り戻してもらいたいところ。

3着:Blue Chipper(1馬身1/4差)

せん4、父・Tiznow、母・Dixie City 、母父・Dixie Union
調教師:Kim Young Kwan、騎手:Flavien Prat

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/257/santa-anita/2019-11-02/743639

Breeders’ Cup Filly & Mare Sprint(G1・ダ7f・3歳以上牝馬)

1着:Covfefe

牝3、父・Into Mischief、母・Antics、母父・Unbridled
調教師:Brad H Cox、騎手:Joel Rosario

・序盤は3,4番手を追走していたCovfefeが4角で先頭に立つと、早々に後続を突き離して1着確定の態勢に。最後、Bellafinaがよく追い詰めたが、3/4身差でこれを抑え切り、Covfefeが1着。

・今回の勝利で通算8戦6勝、G1は2勝目重賞3勝目。8/3のG1-テストS(ダ7f)を勝ち、9/21のチャーチルダウンズでのリステッド(ダ7f)を勝ち、ここへ臨んでいた。2017年のキーンランド9月1歳馬セールにて25万ドルで購買された馬。

 1着:[2019/11/02]BCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7f・サンタアニタ)
 1着:[2019/08/03]テストS(米G1・ダ7f・サラトガ)

 1着:[2019/05/17]ミスプリークネスS(米G3・ダ6f・ピムリコ)

・父のInto Mischiefは2005年米国産のHarlan’s Holiday産駒。現役時は6戦3勝、2歳G1-キャッシュコールフューチュリティ(AW8.5f)の重賞1勝。半妹に名牝Beholder(G1を11勝、エクリプス賞を4度受賞)、半弟にMendelssohn(BCジュヴェナイルターフ)。これまでに本馬を含め5頭のG1馬(GoldencentsPractical JokeAudibleMia Mischief本馬)を輩出。昨年の北米リーディングサイアーランキング4位、今年は現時点で1位。来年の種付料は今年の15万ドルからアップし、過去最高の17万5000ドル。2011年と2012年は7500ドルだったので、いかにこの馬の評価が近年急騰中なのかが分かる。

・半姉のアルビアーノ(父・Harlan’s Holiday)は2015年のスワンS、フラワーCの勝ち馬。

2着:Bellafina(3/4身差)

牝3、父・Quality Road、母・Akron Moon、母父・Malibu Moon
調教師:Simon Callaghan、騎手:Flavien Prat

3着:Dawn The Destroyer(7馬身3/4差)

牝5、父・Speightstown、母・Dashing Debby、母父・Medaglia d’Oro
調教師:Kiaran McLaughlin、騎手:Tyler Gaffalione

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/257/santa-anita/2019-11-02/743633