3回目となる本稿では上位人気7頭以外のJohn Gosden師の管理する英ダービー馬候補7頭について触れる。John Gosden師は1997年のBenny the Dip、2015年のGolden Hornで英ダービー2勝。ゴドルフィンや、クールモアのお馴染みの面々が馬主になっている馬も名前があがっており注目を集めている。
※RPRは英レーシングポスト社による独自レーティング。最も高い自己ベストのRPRをピックアップして表記している。現時点での勢力図を俯瞰する物差しとしてご参照頂きたい。
※オッズは英ウィリアムヒルの現時点のもの。
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Waldkonig
父・Kingman、母・Waldlerche、母父・Monsun
調教師:John Gosden、馬主:Gestut Ammerland & Newsells Park Stud
RPR:94、現時点での英ダービー単オッズ:26.0倍
・1戦1勝。12/7のウォルバーハンプトンでのデビュー戦(AW8.5f)で1着(2着に9馬身差をつけて快勝)。以下の動画で現地実況が「Sparkling debut!」とアナウンスするのも頷ける勝ちっぷり。Waldgeistの半弟で父がKingman、John Gosden師の管理馬、となれば人気になるのも当然。
・父のKingmanは2011年英国産のInvincible Spirit産駒。現役時はJohn Gosden師に管理され、通算8戦7勝、2着1回。G1を4勝(アイリッシュ2000ギニー、セントジェームズパレスS、サセックスS、ジャックルマロワ賞)し、2014年のカルティエ賞年度代表馬、最優秀3歳牡馬に選出された馬。現3歳がファーストクロップでプールデッセデプーラン(仏2000ギニー)を制したPersian Kingなど5頭の重賞勝ち馬を輩出。現2歳のセカンドクロップからも1頭が重賞勝ち馬となり、絶好の種牡馬デビューを飾っている。産駒の活躍を受けて種付料は5万5000ドル(2015~2018年)→7万5000ドル(2019年)→15万ドル(2020年)と急上昇中。
・母のWaldlercheは仏G3-ペネロープ賞の勝ち馬。 半兄のWaldgeistは今年の凱旋門賞、ガネー賞など4つのG1を含む重賞8勝。 半姉のWaldliedは仏G2-マルレ賞の勝ち馬。 伯父のMasked Marvelは英G1-英セントレジャーを含む重賞2勝。
Enemy
父・Muhaarar、母・Prudenzia、母父・Dansili
調教師:John Gosden、馬主:Qatar Racing Ltd & Lady O’Reilly
RPR:86、現時点での英ダービー単オッズ:34.0倍
・1戦1勝、9/6のアスコットでのメイドン(7f)で1着。
・父のMuhaararは2012年英国産のOasis Dream産駒。現役時は11戦7勝、ブリティッシュチャンピオンズスプリントS、モーリスドゲスト賞、ジュライカップ、コモンウェルスカップの4つのG1を含む重賞6勝。2015年のカルティエ賞最優秀スプリンター。現2歳がファーストクロップだが、まだ重賞勝ち馬は出していない。
・半姉のChicquitaは2013年のアイリッシュオークス馬。半姉のMagic Wandは豪G1-マッキノンS、英G2-リブルスデイルSの勝ち馬。
Hypothetical
父・Lope De Vega、母・Peut Etre、母父・Whipper
調教師:John Gosden、馬主:Sheikh Hamdan bin Mohammed Al Maktoum
RPR:82、現時点での英ダービー単オッズ:34.0倍
・1戦1勝。12/13のチェルムスフォードのデビュー戦(AW1m)で1着(2着に5馬身差をつけて勝利)。
・父のLope De Vegaは2007年愛国産のShamardal産駒。現役時はA Fabre師に管理され、9戦4勝。プールデッセデプーラン(仏2000ギニー)、ジョッケクルブ賞(仏ダービー)の2冠馬。今年の種付料は過去最高の8万ユーロだったが、Phoenix of Spain(アイリッシュ2000ギニー)、Zabeel Prince(イスパーン賞)らの産駒の活躍を受けて、2020年はこれを更新し10万ユーロとなっている。
・母のPeut Etreは10戦1勝。叔母のPrecieuseは仏G1-プールデッセデプーリッシュ(仏1000ギニー)、米G3-ハニーフォックスSの勝ち馬。
Cherokee Trail
父・War Front、母・Moth、母父・Galileo
調教師:John Gosden、馬主:M Tabor, D Smith & Mrs J Magnier
RPR:91、現時点での英ダービー単オッズ:51.0倍
・3戦2勝。John Gosden師の管理馬だが、馬主はクールモアのお馴染みの面々の名前が並ぶ馬。9/7のアスコットでのノービス(7f)で1着→9/21のニューベリーでの条件戦(7f)で1着(Ryan Moore騎乗)→10/12のニューマーケットでの英G3-オータムS(1m)で7着(Frankie Dettori騎乗)。
・父のWar Frontは2002年米国産のDanzig産駒。現役時は13戦4勝、米G2-アルフレッドG.ヴァンダービルトH(ダ6f)の勝ち馬で、他に米G1-ヴォスバーグS、フォアゴーSで2着。2019年はWar of WillがプリークネスSを制し、War Front産駒初のクラシックホースとなったが、欧州からもクラシックホースを輩出出来るかどうか。種付料は2017年以降、25万ドルを維持している。
・母のMothは英1000ギニー3着、英オークス4着。
Ursa Minor
父・Sea The Stars、母・Kincob、母父・Kingmambo
調教師:John Gosden、馬主:Godolphin
RPR:80、現時点での英ダービー単オッズ:51.0倍
・3戦1勝。デビュー3戦目、9/19のヤーマスでのノービス(1m3yds)で勝ち上がり。John Gosden師の管理馬だが、馬主はゴドルフィンという馬。
・父のSea The Starsは2006年愛国産のCape Cross産駒。現役時はJohn M Oxx師に管理され、9戦8勝、凱旋門賞、アイリッシュチャンピオンS、インターナショナルS、エクリプスS、英ダービー、英2000ギニーの6つのG1を含む重賞7勝。2019年はStradivarius、Crystal Ocean、Star Catcherら産駒が大活躍。これを受けて2019年は13万5000ユーロだった種付料が2020年は過去最高の15万ユーロへ引き上げられている。
・半姉のKaramelaはアルゼンチンの重賞勝ち馬。叔父のBachelor Dukeは2004年のアイリッシュ2000ギニーの勝ち馬。
Almighwar
父・Dubawi、母・Taghrooda、母父・Sea The Stars
調教師:John Gosden、馬主:Hamdan Al Maktoum
RPR:57、現時点での英ダービー単オッズ:67.0倍
・1戦未勝利。10/23のニューマーケットでのノービス(1m)で13頭立ての10着(勝ち馬から11馬身差)。
・父のDubawiは2002年愛国産のDubai Millennium産駒。現役時は8戦5勝、ジャックルマロワ賞、アイリッシュ2000ギニー、ナショナルSの3つのG1を含む重賞4勝。尚、2005年の英ダービーでは勝ったMotivatorから8馬身差の3着。種付料は2017年以降、25万ポンドを維持している。
・母のTaghroodaは2014年の英オークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSを制覇し、ヨークシャーオークスで2着、凱旋門賞で3着。
Baptism
父・Sea The Stars、母・Holy Salt、母父・Holy Roman Emperor
調教師:John Gosden、馬主:Cheveley Park Stud
RPR:80、現時点での英ダービー単オッズ:101.0倍
・4戦1勝。デビュー3戦目、10/3のチェルムスフォードでのAWでのレース(1m2f)で勝ち上がり。
・父のSea The StarsについてはUrsa Minorの欄をご参照下さい。
・伯父のHe’s Your Manは豪G1-ザ・スターエプソム、豪G1-キングストンタウンクラシックの勝ち馬。伯母のPerfect Hedgeは仏G3-ペネロープ賞の勝ち馬。厩舎と父の名前でオッズがついている印象。