現地時間3/21(土)に豪シドニー郊外のローズヒルガーデンズ競馬場にて世界最高賞金の2歳戦・ゴールデンスリッパー、シドニー3歳3冠の2ndレグ・ローズヒルギニー、ジョージライダーSなど5つのG1レースが行われている。各レースの結果と動画をまとめてお届けする。
Longines Golden Slipper(G1・芝1200m・2歳)
・当時のシドニーターフクラブの会長・ジョージライダー氏の発案で1957年に創設。2歳戦としては世界最高の賞金額を誇り、総賞金は破格の350万豪ドル。オーストラリア競馬の4大レース(コックスプレート、コーフィールドC、メルボルンC、ゴールデンスリッパー)の1つで、シドニーで行われるレースでは最も有名なレースとされ、「王冠の宝石」とも称えられるレース。
1着:Farnan
牡2、父・Not A Single Doubt、母・Tallow、母父・Street Cry
調教師:Gai Waterhouse & Adrian Bott、騎手:Hugh Bowman
・スタート好発のFarnanが押してハナを奪う展開。そのまま快調にレースを主導すると、直線を向いても勢いは衰えず、後続をそのまま抑え込み、逃げ切り勝ち。ロードカナロア産駒・Tagaloaは好位追走から直線は外から差を詰めにかかるも、終始差が詰まらず流れ込みの形で4着まで。
・今回の勝利で通算6戦5勝、G1初制覇、重賞3勝目。前走3/7のG2-トドマンS(芝1200m)でG1-ブルーダイヤモンドSの勝ち馬・Tagaloa(父・ロードカナロア)を降し、ここは1番人気で臨んでいた馬。トドマンS、今回はいずれも逃げ切り勝ちで、前走後にAdrian Bott師がこの馬について語った、スタートの良さ、スピードとその持続力、直線での加速力といった、長所をフルに生かした大きな勝利。現地のRacing.comは今回の勝利を「dominant win(支配的な勝利)」と形容している。これで1着賞金200万豪ドル(約1億2860万円)を獲得。
1着:[2020/03/21]ゴールデンスリッパー(豪G1・芝1200m・ローズヒルガーデンズ)
1着:[2020/03/07]トドマンS(豪G2・芝1200m・ランドウィック)
1着:[2020/02/22]シルバースリッパーS(豪G2・芝1100m・ローズヒルガーデンズ)
・Gai Waterhouse師はゴールデンスリッパー7勝目(2001年・Ha Ha、2004年・Dance Hero、2008年・Sebring、2012年・Pierro、2013年・Overreach、2015年・Vancouver、2020年・Farnan)。
・Hugh Bowman騎手はゴールデンスリッパー初勝利。新型コロナウイルスの影響で場内には関係者しか入場していない中、レース後、馬上で場内にファンがいるかのようにゴーグルを投げるパフォーマンスで喜びを表している。
・父のNot A Single Doubtは2001年豪州産のRedoute’s Choice産駒。現役時は10戦4勝、芝1000mと芝1200mのリステッドレースを勝ったのみで重賞勝ちはなし。戦績は地味だが、種牡馬入り後にKenedna、Scales of Justice、Miracles of Life、Extreme ChoiceなどFarnanを含めて計13頭のG1馬を輩出する成功を収めている。現在の豪サイアーランキングは12位。現在、スニッツェルと同じアローフィールドスタッドに繋養中で今年の種付料は11万豪ドル。
・母のTallowは12戦3勝、豪G3-ヴァニティS(芝1400m)の勝ち馬。
2着:Away Game(1馬身3/4差)
牝2、父・スニッツェル、母・Elusive Wonder、母父・Elusive Quality
調教師:Ciaron Maher & David Eustace、騎手:Glen Boss
3着:Mamaragan(1馬身差)
牡2、父・Wandjina、母・Forbidden、母父・General Nediym
調教師:John P Thompson、騎手:Nash Rawiller
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/311/rosehill/2020-03-21/754186
Sky Racing Active Rosehill Guineas(G1・芝2000m・3歳)
・1910年創設。シドニー3歳3冠の2ndレグに当たるレース。当初は7fにて行われていたが1973年以降は2000mにて施行されている。過去の主な勝ち馬にPhar Lap(1929年)、Ajax(1937年)、Tulloch(1957年)、Dulcify(1979年)、Kingston Town(1980年)、Octagonal(1996年)など。後にジャパンカップに出走した勝ち馬としてStrawberry Road(1983年)、Naturalism(1992年)がいる。
1着:Castelvecchio
牡3、父・Dundeel、母・St Therese、母父・デヒア
調教師:Richard Litt、騎手:Craig A Williams
・5番手追走から直線で外に持ち出され、残り300で先頭に立ったCastelvecchioが早め先頭からの押し切り勝ち。1番人気のShadow Heroは直線大外から追い込むも4着まで。
・今回の勝利で通算12戦4勝、G1・2勝目。昨年10/12のG1-スプリングチャンピオンS(芝2000m)でShadow Heroの2着とした後に臨んだ、G1-コックスプレート(芝2000m)でリスグラシューの2着。その後は6着→8着と冴えない成績が続いていたが、コックスプレート以来の騎乗となったCraig A Williams騎手の好騎乗もあり、人気を集めたランドウィックギニーの勝ち馬・Shadow Hero、ヴィクトリアダービーの勝ち馬・Warningらを降し、見事に勝利を収めている。
1着:[2020/03/21]ローズヒルギニー(豪G1・芝2000m・ローズヒルガーデンズ)
1着:[2019/04/20]シャンペンS(豪G1・芝1600m・ランドウィック)
・父のDundeelは2009年新国産のHigh Chaparral産駒。現役時はランドウィックギニー、ローズヒルギニー、オーストラリアンダービーのシドニー3歳3冠を達成し、他にAJCクイーンエリザベスSなどG1を計6勝、重賞7勝。本馬以外の主な産駒にSuper Seth(コーフィールドギニー)、Yourdeel(マナワツサイアーズプロデュースS、システマS)。現在の豪サイアーランキング21位。今年の種付料は6万6000豪ドル。
・半姉のMaid of Heavenは豪G1-スプリングチャンピオンSの勝ち馬。母の半きょうだい(せん馬)のPlanet RulerはVRCホンダS、ジョージメインSなど豪G1を5勝。
2着:Prince Fawaz(半馬身差)
牡3、父・Fastnet Rock、母・Lady Paget、母父・Testa Rossa
調教師:Anthony Cummings、騎手:Adam Hyeronimus
3着:Reloaded(2馬身半差)
牡3、父・スニッツェル、母・Hollow Bullet、母父・タヤスツヨシ
調教師:Chris Waller、騎手:James McDonald
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/311/rosehill/2020-03-21/754320
The Agency George Ryder Stakes(G1・芝1500m・3歳以上)
・1903年にレイルウェイSとして創設。1974年より現在の名称(シドニーターフクラブの会長・ジョージライダー氏より)に改称。例年ゴールデンスリッパーSと同じ日に行われている。2016年から2019年までWinxが4連覇達成。2015年にはリアルインパクトが前年12月の阪神Cを制した後に出走し、6番人気ながら1着となったレース。
1着:Dreamforce
せん7、父・Fastnet Rock、母・Eskimo Queen、母父・シンコウキング
調教師:John P Thompson、騎手:Nash Rawiller
・ハナを切ったDreamforceがそのまま逃げ切り勝ち。1番人気のTe Akau Sharkは前走同様、直線での追い込みに賭ける競馬となったが、大外から伸びを欠き3着。
・今回の勝利で通算32戦12勝、G1初制覇、重賞4勝目。前走2/29のG1-チッピングノートンSで勝ったTe Akau Sharkの8着と大敗し、ここは人気を落としていたが、昨年9月にはTe Akau Sharkに3馬身差をつけて重賞を勝っていた馬で、条件次第ではG1に手が届いてもおかしくなかった馬。今回は圧倒的な人気を集めていたTe Akau Sharkの意外な凡走にも恵まれ、待望のG1初制覇を果たしている。
1着:[2020/03/21]ジョージライダーS(豪G1・芝1500m・ローズヒルガーデンズ)
1着:[2019/09/07]トラムウェイS(豪G2・芝1400m・ランドウィック)
1着:[2019/03/02]リバプールシティC(豪G3・芝1300m・ランドウィック)
1着:[2018/11/10]チャタムS(豪G3・芝1400m・フレミントン)
・父のFastnet Rockは2001年豪州産のデインヒル産駒。現役時は19戦6勝、オークレイプレート(芝1100m)、ライトニングS(芝1000m)の2つのG1を含む重賞6勝。クールモア・オーストラリアでの種牡馬入り後、2011-12年、2014-15年の2度、豪リーディングサイアーの座に就く大成功を収め、デインヒル系の拡大に貢献。現時点の豪サイアーランキングは自身は11位だが、Fastnet Rockの直仔のSmart Missile(17位)、Rothesay(31位)、Hinchinbrook(35位)、Foxwedge(38位)などがランキング入りしており、サイアーラインの確立が進行中。今年の種付料は6万ユーロ。
・母のEskimo Queenは21戦4勝、豪G1-クールモアクラシック(芝1500m)、豪G1-クイーンズランドオークス(芝2400m)の勝ち馬。
2着:The Bostonian(アタマ差)
せん5、父・Jimmy Choux、母・Keepa Cheval、母父・Keeper
調教師:Tony Pike、騎手:James McDonald
3着:Te Akau Shark(1馬身1/4差)
せん5、父・Rip Van Winkle、母・Bak Da Chief、母父・チーフベアハート
調教師:Jamie Richards、騎手:Opie Bosson
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/311/rosehill/2020-03-21/754319
Ranvet Stakes(G1・芝2000m・3歳以上)
・1903年にニューサウスウェールズ州の知事(ニューサウスウェールズ州のオーストラリアでの君主、エリザベス女王の副代表という位置付け)だったSir Harry Holdsworth Rawsonの名を冠してローソンSとして創設。1991年より現在のスポンサーの名称を冠した名称に改称。2015年にトーセンスターダムが前年12月の阪神でのG3-チャンレンジCを勝った後に挑み、2着になったレース。
1着:Addeybb
せん6、父・Pivotal、母・Bush Cat、母父・Kingmambo
調教師:William Haggas、騎手:Tom Marquand
・主導権を奪ったAddeybbは4角手前からジョッキーの手が激しく動き、外から接近したVerry Elleegantが先に抜け出しかけピンチを迎えたが、直線で差し返す根性を見せ、欧州調教馬らしい力感溢れる走りで1着。
・今回の勝利で通算16戦8勝、G1初制覇、重賞3勝目。昨年10/19の英G1-チャンピオンSでMagicalの2着だった馬で、今回はそれ以来、153日ぶりのレース。欧州以外でのレースは今回が初でWilliam Haggas師のレース選択が奏功した形。
1着:[2020/03/21]ランヴェットS(豪G1・芝1600m・ローズヒルガーデンズ)
1着:[2019/08/10]ローズオブランカスターS(英G3・芝1m2f100yds・ヘイドック)
1着:[2018/04/27]ベット365マイル(英G2・芝1m・サンダウン)
・父のPivotalは1993年英国産のPolar Falcon産駒。現役時は6戦4勝、英G1-ナンソープS(芝5f)、英G2-キングズスタンドS(芝5f)の勝ち馬。主な産駒にSariska(英オークス、愛オークス)、African Story(ドバイワールドC等)、Avilius(ランヴェットS等)など。TDNによる昨年の欧州サイアーランキングは20位。今年の種付料はPrivate。
・母のBush Catは5戦未勝利。母の従兄・Strategic Choiceはミラノ大賞典、アイリッシュセントレジャーの2つのG1を含む重賞4勝。1996年のジャパンカップではシングスピール、ファビラスラフィンに次ぐ3着(エリシオが3着同着)。
2着:Verry Elleegant(半馬身差)
牝4、父・Zed、母・Opulence、母父・Danroad
調教師:Chris Waller、騎手:James McDonald
3着:Avilius(5馬身1/4差)
せん6、父・Pivotal、母・Alessandria、母父・サンデーサイレンス
調教師:James Cummings、騎手:Hugh Bowman
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/311/rosehill/2020-03-21/754318
City Tattersalls Club Galaxy(G1 Handicap・芝1100m・3歳以上)
・ザ・ギャラクシーは1972年創設。1984年よりG1。創設以来、2007年を除き2012年までランドウィック競馬場にて行われてきたが、2013年以降はローズヒルガーデンズ競馬場にて行われている。
1着:I Am Excited
牝5、父・スニッツェル、母・Lady Beckworth、母父・General Nediym
調教師:David Pfieffer、騎手:Timothy Clark
・道中は中団のインにつけていたI Am Excitedが、直線で内から良く伸び、先に抜け出していたMiss Leonidasを差し切って1着。
・今回の勝利で通算27戦7勝、G1初制覇、重賞3勝目。これまでにG1での好走歴はなく、ここも単勝オッズ20倍超の人気薄だったが、人気馬総崩れの中、大金星をあげている。
1着:[2020/03/21]ザ・ギャラクシー(豪G1・芝1100m・ローズヒルガーデンズ)
1着:[2019/04/27]ヴィクトリーS(豪G2・芝1200m・イーグルファーム)
1着:[2018/10/06]ギルガイS(豪G2・芝1200m・フレミントン)
・父のスニッツェルは2002年豪州産のRedoute’s Choice産駒。現役時は15戦7勝、オークレイプレート(芝1100m)の1つのG1を含む重賞4勝。2016-17、2017-18、2018-19の3期連続で豪州リーディングサイアーの座に君臨中。主な産駒にRedzel(ジ・エベレスト、ドゥーンベン10000、ダーレークラシック)、Trapeze Artist(G1を4勝)、Shamus Award(コックスプレート)など。2007年、2011年にシャトル種牡馬として日本で供用された時の主な産駒にヤングマンパワー(アーリントンC、関屋記念、富士S)。供用4年目には2万2000豪ドルまで下がった種付料は右肩上がりに高騰中で2019年の種付料は22万豪ドル。
・母のLady Beckworthは12戦1勝。半姉のFlippantは豪G3-フランシストレサディスSの勝ち馬。従姉のAtlantic JewelはMRC1000ギニー、オールエイジドS、メムジーS、コーフィールドSの4つのG1を含む重賞7勝。従姉のCommanding JewelはMRC1000ギニーの1つのG1を含む重賞3勝。
2着:Miss Leonidas(短頭差)
牝5、父・I Am Invincible、母・Happy Play、母父・Barathea
調教師:Shaun Dwyer、騎手:Billy Egan
3着:Tofane(アタマ差)
牝4、父・Ocean Park、母・Baggy Green、母父・Galileo
調教師:Michael Moroney、騎手:Michael Dee
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/311/rosehill/2020-03-21/754321