現地時間6/6(土)に英ニューマーケット競馬場にて、注目のPinatuboが出走したG1-英2000ギニーが行われている。同日に行われた昨年の凱旋門賞馬・Waldgeistの半弟でダービー候補と目されているWaldkonigが出走したL-ニューマーケットSと合わせて、結果と動画をお届けする。
Qipco 2000 Guineas Stakes(G1・芝1m・3際牡馬、せん馬)
・1809年創設。レース名は創設時の賞金より。1860年代半ばから英国内の3歳戦として価値の高いものとみなされるようになり、既に創設されていたダービー、セントレジャーと合わせていわゆる「クラシック」として認知され、このコンセプトが各国に広まったとされる。今年はクレイヴンS、グリーナムSなどの例年行われる2000ギニーの前哨戦が一切行われず、ほぼ全馬が今年初戦の休み明けのレースという異例の形での開催となる。
1着:Kameko
牡3、父・Kitten’s Joy、母・Sweeter Still、母父・ロックオブジブラルタル
調教師:Andrew Balding、騎手:Oisin Murphy
・注目のPinatuboは初手は馬群の中、中団追走を選択。Kamekoはさらに後ろの外目追走。勝負所でまずWichitaが先に抜け出し、直後にPinatuboがつけ、ここからPinatuboの豪脚が見られるか?と思わせるも、追い出されてから伸びを欠き、外から内に切れ込んできたKamekoがWichitaを一気に抜き去って、差し切り勝ち。
・今回の勝利で通算5戦3勝、G1・2勝目。ドンカスター競馬場が豪雨により開催不能となり、代替としてニューカッスル競馬場で芝からAWへ条件変更の上、行われた2歳G1-フューチュリティトロフィー(AW1m5y)を2着に3馬身1/4差をつけて完勝していた馬で、今回はそれ以来のレース。昨年Roaring Lionを種牡馬入り1年目に失った馬主のカタールレーシングに、後を継ぐような形で出現した新たなスター候補だったが、今回の勝利でその地位を確保した印象。今回の勝利を受けてウィリアムヒルでは7/4の英ダービーで本馬を4.00倍の1番人気に据えているが、2冠の期待が大きなものになる勝利。
1着:[2020/06/06]英2000ギニー(英G1・芝1m・ニューマーケット)
1着:[2019/11/01]フューチュリティトロフィー(英G1・AW1m5y・ニューカッスル)
・父のKitten’s Joyは2001年米国産のEl Prado産駒。現役時は14戦9勝、2着4回。芝に限ると12戦9勝、2着3回で連対を外していない。ターフクラシック招待S(芝12f)、セクレタリアトS(芝10f)の2つのG1を含む重賞7勝、2004年のエクリプス賞最優秀芝牡馬。主な産駒にRoaring Lion(エクリプスS、インターナショナルS、アイリッシュチャンピオンS、クイーンエリザベス2世S)、Hawkbill(エクリプスS、ドバイシーマクラシック)、Stephanie’s Kitten(BCフィリー&メアターフなどG1を5勝)。2013年~2018年の北米芝リーディングサイアーで、2013年と2018年は北米リーディングサイアーの座についた大種牡馬だが、産駒の欧州クラシック制覇は今回が初となる。今年の種付料は7万5000ドル。
・母のSweeter Stillはアイルランドでデビュー後、米国へ移籍し通算19戦5勝、米G3-セニョリータS(ダ1m)の勝ち馬で、他に重賞2着1回、3着1回。伯母のBelle Artisteは愛G3-デリンズタウンスタッド1000ギニートライアルの勝ち馬。叔父のKingsbarnsは2012年の英2歳G1-レーシングポストトロフィーの勝ち馬。
2着:Wichita(クビ差)
牡3、 父・No Nay Never、母・Lumiere Noire、母父・Dashing Blade
調教師:A P O’Brien、騎手:Frankie Dettori
・10/12のニューマーケットでの英G1-デューハーストS(7f)で勝ったPinatuboから4馬身3/4差の3着だった馬。道中は逃げた馬とそれ程は差のない直後の好位でレースを運び、常に進路を確保しながら早めに抜け出して粘り込みをはかる実にスムーズな競馬。この辺りはFrankie Dettoriの真骨頂と言えるが、結果的にKamekoにはクビ差、差されたがPinatuboを1馬身差で抑えて2着確保する大健闘を見せている。今後のマイル路線での活躍が期待される好内容。
3着:Pinatubo(1馬身差)
牡3、父・Shamardal、母・Lava Flow、母父・Dalakhani
調教師:Charlie Appleby、騎手:William Buick
・道中は馬込みで揉まれるシーンもあったが、早めに進路を確保し、あとはきっちり抜け出すだけ、というところまでは誘導されておりレースぶりに問題は見られなかったが、そこから伸びを欠き3着まで。マイルは今回が初ではあったが、前方のWichitaを最後まで捉えられなかったのは印象が良くなく、今回に関しては距離の壁も若干感じさせる力負け。現在、6/20のG1-セントジェームズパレスSのアンティポストでウィリアムヒルでは1番人気の2.50倍。次走は英ダービーではなく、中1週にはなるがここになるのではないだろうか。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/38/newmarket/2020-06-06/757535
Betfair Exchange Free Bet Streak Newmarket Stakes(Listed・芝1m2f・3歳)
・例年2000ギニーが行われる日に施行されてきたレースで、以前はHeathorn Stakesとして行われていたが1986年から現在の名称に改称。Shirley Heights(1978年)、Slip Anchor(1985年)はここを勝って同年の英ダービーを制している。
1着:Mishriff
牡3、父・Make Believe、母・Contradict、母父・Raven’s Pass
調教師:John Gosden、騎手:David Egan
・内の番手を追走していたMishriffが早めに抜け出して押し切る競馬で1着。注目のWaldkonigは中団追走から道中、内に進路を取り、ジワジワと脚を伸ばすもMishriffを捕まえるには至らず、最後はVolkan Starに差されて3着まで。
・今回の勝利で通算5戦2勝。デビュー2戦は4着→3着。11/6のノッティンガムでの3戦目(8.5f)で1着。その後、116日の休養を挟んで臨んだ、2/29のサウジダービー(ダ1600m)でフルフラットの2着。今回はそれ以来の97日ぶりのレースだった。今回の2着に4馬身差をつけての勝利を受けてウィリアムヒルでは7/4の英ダービーでこの馬を単勝17倍の6番人気に評価を上げている。尚、今回3着に敗れたWaldkonig(昨年の凱旋門賞馬・Waldgeistの半弟)も同じ単勝17倍の6番人気となっている。
・父のMake Believeは2012年英国産のMakfi産駒。現役時はAndre Fabre師に管理され、7戦4勝、プールデッセデプーラン、フォレ賞の2つのG1の勝ち馬。現3歳がファーストクロップで、これまでに2頭の重賞勝ち馬、2頭のリステッド勝ち馬が出ている。
・母のContradictは9戦1勝。祖母のActs of Graceは英G3-プリンセスロイヤルSの勝ち馬。曽祖母のRafhaは仏G1-ディアヌ賞(仏オークス)、英G3-メイヒルSの勝ち馬。4代母のEljazziはPinatuboの4代母でもあり、同じ牝系に属する。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/38/newmarket/2020-06-06/757536
明日の英1000ギニーについて
・明日の英1000ギニーの出馬表は以下の通り。発走予定は日本時間6/7(日)の23:35。現在の1番人気は3戦無敗のFrankel産駒・Quadrilateral。
https://www.racingpost.com/racecards/38/newmarket/2020-06-07/757551/
・英1000ギニーは以下のDubai Racing ChannelでLiveで無料配信(登録不要)されるので、興味がおありの方はリンク先にてお楽しみ頂きたい。現地ITVレーシング、Racing TVの映像をミックスさせた独自の構成で英国各地のレースを日本にいながらLiveで無料視聴出来る大変有難いチャンネルである。
http://www.dubairacing.ae/content/dubairacing/ar-ae/live/1.html