2020 ロイヤルアスコット開催特集【2】初日レース結果

ロイヤルアスコット開催初日はG1・2レース(クイーンアンS、キングズスタンドS)、G2・3レース(リブルスデイルS、キングエドワード7世S、デュークオブケンブリッジS)、ハンデ戦・2レースの計7レースが行われている。重賞レースを中心に結果と動画をレース順にお届けする。

1R・Buckingham Palace Handicap(Class2・芝7f・3歳以上)

1着:Motakhayyel

牡4、父・Heeraat、母・Virtuality、母父・Elusive Quality
調教師:Richard Hannon、騎手:Jim Crowley

・ハムダン殿下の持ち馬、Motakhayyelが外の馬群からラスト抜け出して1着。

・例年とは全く異なる観衆のいないロイヤルアスコットのパレードリングの風景。関係者がソーシャルディスタンスを意識しているのがよく分かる画像。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-16/758734

2R・Queen Anne Stakes(G1・芝直線1m・4歳以上)

・クイーンアンSは1840年創設、1930年にアン女王の名を冠して改名。アン女王は1711年にアスコット競馬場の建設を命じた女王。アン女王は大の紅茶好きでも有名で、1日に何度も紅茶を飲む習慣(ブレックファーストティー、アフタヌーンティー、ハイティー、ナイトティー等)は彼女から広がったと言われる。

1着:Circus Maximus

牡4、父・Galileo、母・Duntle、母父・Danehill Dancer
調教師:A P O’Brien、騎手:Ryan Moore

・これぞG1、という見応え充分な好レース。早々とほぼ逃げ馬とは差がない2番手を確保したCircus Maximusと、これをマークするように後ろにつけたゴドルフィンのTerebellum。残り2fを切った辺りで両馬が仕掛けられると、内のデットーリと外のムーア、名手2人による壮絶な叩き合いが展開され、いったん抜け出したデットーリのTerebellumを差し返す形でムーアのCircus Maximusがアタマ差で勝利。

・「The world’s best」と現地At The Racesが評した名手2人の鍔迫り合いをスローで捕らえた動画。

・今回の勝利で通算12戦5勝、G1・3勝目。昨年の英ダービー(6着)後、マイル路線に進路を取り、セントジェームズパレスS1着→サセックスS2着。その後、10fのインターナショナルS(7着)を使われた後に、ムーランドロンシャン賞1着→BCマイル4着。今回はそれ以来の休み明けのレースだった。セントジェームズパレスSはクビ差、ムーランドロンシャン賞はハナ差、今回はアタマ差、とこれまでに勝った3つのG1はいずれも接戦を制してのもので、今後の欧州マイル路線でも持ち前の勝負強さを存分に魅せてくれそうである。次走は昨年同様、サセックスSになる模様。

 1着:[2020/06/16]クイーンアンS(英G1・1m・アスコット)
 1着:[2019/09/08]ムーランドロンシャン賞(仏G1・1600m・パリロンシャン)
 1着:[2019/06/18]セントジェームズパレスS(英G1・7f213y・アスコット)

・母のDuntleは現役時11戦5勝、英G2-デュークオブケンブリッジS(1m)、愛G3-アメジストS(1m)、愛G3-デスモンドS(1m)の勝ち馬。

2着:Terebellum(アタマ差)

牝4、父・Sea The Stars、母・Marvada、母父・Elusive City
調教師:John Gosden、騎手:Frankie Dettori

・道中はCircus Maximusの後ろに位置。勝負どころで先に仕掛けられると、完全にCircus Maximusよりも前に抜け出すシーンがあったが、ジワジワと差を詰められ、最後は叩き合いの末、惜しくも2着。G1馬相手にこの競馬なら善戦したといえる。

3着:Marie’s Diamond(3馬身差)

牡4、父・Footstepsinthesand、母・Sindiyma、母父・Kalanisi
調教師:Mark Johnston、騎手:Joe Fanning

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-16/758728

3R・Ribblesdale Stakes(G2・芝1m3f211y・3歳牝馬)

・リブルスデイルSは1919年創設の3歳牝馬限定重賞。レース名は第4代リブルスデイル伯爵(Master of the Buckhounds=狩猟犬を管理する宮廷職、に就いていた人物)に由来。

1着:Frankly Darling

牝3、父・Frankel、母・Hidden Hope、母父・Daylami
調教師:John Gosden、騎手:Frankie Dettori

・番手追走の1番人気、Frankly Darlingが直線であっさりと先頭に立つと、後続との差を速やかに広げてセーフティーリードを築くと、最後は鞍上のデットーリが持ったままでゴールする着差(1馬身3/4差)以上の楽勝。この勝ち方なら英オークスへの期待が大きく膨らみそうである。

・今回の勝利で通算3戦2勝重賞初制覇。馬場状態が「Heavy」だった昨年10/22のヤーマスでのデビュー戦(1m3yds)は2着→224日ぶりの休み明けだった前走6/1のニューカッスルでの2戦目(AW1m2f42yds)では2着に5馬身差をつけて快勝し、ここへ出走していた。結果を受けてウィリアムヒルでは英オークスのアンティポストで本馬を英1000ギニーの勝ち馬・Love(2.50倍)に続く、2番人気(4.00倍)に評価を上げている。

 1着:[2020/06/16]リブルスデイルS(英G2・芝1m3f211y・アスコット)

・Frankel産駒は昨年、Anapurnaが英オークスを制覇、Logicianが無敗で英セントレジャーを制覇。今年もクラシックホース誕生となるか、俄然注目される。

・母のHidden Hopeは9戦1勝。唯一の勝利が牝馬限定のListed-チェシャーオークス(1m3f75yds)で、英G2-ランカシャーオークス2着、仏G2-ポモーヌ賞2着、英G3-プリンセスロイヤルS3着と重賞入着3回。従兄に凱旋門賞、アイリッシュチャンピオンS、エクリプスS、英ダービーの勝ち馬・Golden Hornがおり、馬主のアンソニー・オッペンハイマー氏(ニューマーケットにハスクーム&ヴァリアントスタッドを所有)に多くの成功をもたらしてきた牝系の出身。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-16/758729

4R・King Edward VII Stakes(G2・芝1m3f211y・3歳牡馬、せん馬)

・キングエドワード7世Sは1834年にアスコットダービーとして創設。1926年に前王エドワード7世を記念して改称。エドワード7世は馬主・生産者として英3冠、グランドナショナルなどを勝ち、現役国王としてもMinoruで2000ギニー、ダービーを制す前代未聞の快挙を達成した人物。

1着:Pyledriver

牡4、父・Harbour Watch、母・La Pyle、母父・Le Havre
調教師:William Muir、騎手:Martin Dwyer

・1番人気のMogulは4角手前での行きっぷりが悪く、直線を向いた時点では後ろから2頭目の位置。大外から末脚を伸ばそうとするも、最後方にいたMohican Heightsに最後差し込まれて結果4着。勝ったPyledriverは4角手前で最内に潜り込み、コーナーリングで直線をほぼ先頭で向かえることとなった好騎乗が大きく、人気薄だったが会心の勝利。

・今回の勝利で通算6戦3勝、重賞初制覇。昨年9/7のヘイドックでのリステッド(1m37yds)を勝利した後は、9/28のニューマーケットでの英G2-ロイヤルロッジS(芝1m)7で着→249日ぶりだった6/3のケンプトンでの英G3-クラシックトライアルS(AW1m1f219yds)を2着とし、ここへ臨んでいた。

 1着:[2020/06/16]キングエドワード7世S(英G2・芝1m3f211y・アスコット)

・父のHarbour Watchは2009年愛国産のAcclamation産駒。現役時は2歳時のみ稼働し3戦3勝、英2歳G2-リッチモンドS(6f)の勝ち馬。3戦とも圧勝続きで翌年の英2000ギニーの最有力候補と目されていたがデューハーストSの前に後肢を故障。その後、復帰することなく引退。Frankelと同じく2016年に産駒がデビューし、大きな期待を集めていたが香港G1-香港スチュワーズC(1600m)の勝ち馬・Waikuku、仏2歳G2-ロベールパパン賞(1100m)を勝ったTis Marvellousがこれまでの代表産駒。

・母のLa Pyleは平地で11戦2勝、障害で4戦未勝利。叔父のHelene Charisma(父・Air Chief Marshal)は仏G1-パリ大賞典の勝ち馬。叔母のNormandel(父・Le Havre)は愛G3-パークエキスプレスSの勝ち馬。母の叔母のLinngari(父・Indian Ridge)は独G1-バイエルンツフトレネン(ダルマイヤー大賞)、伊G1-ヴィットーリオディカープア賞など重賞6勝の活躍馬。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-16/758731

5R・King’s Stand Stakes(G1・芝5f・3歳以上)

・キングズスタンドSは1860年創設。1901年にビクトリア女王(現在のイギリス女王・エリザベス2世の高祖母)が亡くなり、子のエドワード7世が国王に即位した際に「Queen’s Stand Plate」から現在の名称に改称。

1着:Battaash

せん6、父・Dark Angel、母・Anna Law、母父・Lawman
調教師:Charles Hills、騎手:Jim Crowley

・外から2頭目(映像では手前から2頭目)から好ダッシュを決めたBattaashが、序盤は2番手辺りにいたが、中盤からはスピードの違いで楽々と先頭に立つと、早々に2番手以降との差を広げ、後続には何もさせない印象的な強さを見せて完勝。現地At The Racesが「Rocket!」と評したのがまさにぴったりな素晴らしい勝ち方である。

・今回の勝利で通算21戦11勝、G1・3勝目重賞9勝目。デビュー以来、3戦目に6fのレースを1度使われたのを除き(結果3着)、全て5f、1000mのレースのみを使われてきた馬。この距離のG1では3歳時(2017年)にアベイドロンシャン賞、5歳時(2019年)にナンソープSを制していたが、キングズスタンドSだけはこれまで獲れておらず、一昨年と昨年はともにBlue Pointの2着と敗れていた。今回の勝利で5f、1000mの欧州G1完全制覇達成。

 1着:[2020/06/16]キングズスタンドS(英G1・芝5f・アスコット)
 1着:[2019/08/23]ナンソープS(英G1・芝5f・ヨーク)

 1着:[2019/08/02]キングジョージS(英G2・芝5f・グッドウッド)
 1着:[2019/05/25]テンプルS(英G2・芝5f・ヘイドック)
 1着:[2018/08/03]キングジョージS(英G2・芝5f・グッドウッド)
 1着:[2018/05/26]テンプルS(英G2・芝5f・ヘイドック)
 1着:[2017/10/01]アベイドロンシャン賞(仏G1・芝1000m・シャンティイ)
 1着:[2017/08/04]キングジョージS(英G2・芝5f・グッドウッド)
 1着:[2017/07/08]スプリントS(英G3・芝5f10yds・サンダウン)

・父のDark Angelは2005年愛国産のAcclamation産駒。現役時は2歳時にのみ稼働し9戦4勝、英G1-ミドルパークS(6f)、英G2-ミルリーフS(6f8yds)に勝利。本馬の他にHarry Angel(スプリントC、ジュライC)、Lethal Force(ジュライC、ダイヤモンドジュビリーS)、Mecca’s Angel(ナンソープS2勝)などの優良スプリンターを輩出中。

・母のAnna Lawは4戦未勝利。従兄のTasleet(父・Showcasing)は英G2-デュークオブヨークS、英G3-グリーナムSの勝ち馬で、ダイヤモンドジュビリーS2着、スプリントC2着、ブリティッシュチャンピオンズスプリントS2着と6fのG1で活躍。

2着:Equilateral(2馬身1/4差)

せん5、父・Equiano、母・Tarentaise、母父・Oasis Dream
調教師:Charles Hills、騎手:James Doyle

3着:Liberty Beach(短頭差)

牝3、父・Cable Bay、母・Flirtinaskirt、母父・Avonbridge
調教師:John Quinn、騎手:Jason Hart

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-16/758732

6R・Duke Of Cambridge Stakes(G2・芝直線1m・4歳以上牝馬)

・デュークオブケンブリッジSは2004年にウインザーフォレストSとして創設、2013年に改称。「デュークオブケンブリッジ」はイギリスの公爵位の一つで、英国王室の年少の王族に対して授与されるもの。2011年にウィリアム王子が結婚した際にエリザベス女王より爵位を叙爵されている。

1着:Nazeef

牝4、父・Invincible Spirit、母・Handassa、母父・Dubawi
調教師:John Gosden、騎手:Jim Crowley

・4番手追走の1番人気、Jubilosoの後ろにつけていたNazeefが外から鋭く伸びて、先に抜け出していたAgincourtをアタマ差、差し切って1着。Jubilosoはズルズル後退し最下位で入線。Jim Crowley騎手はこれで1RのMotakhayyel、5RのBattaashに続き本日3勝目。

・今回の勝利で通算6戦5勝重賞初制覇。デビュー戦で3着に敗れて以降、これで5連勝達成。休み明けの前走6/3のケンプトンでのListed-スノードロップフィリーズS(AW1m)でG1・2勝の実績馬、Billesdon Brookを降す勝利を収め、ここへ臨んでいた。

 1着:[2020/06/16]デュークオブケンブリッジS(英G2・芝1m・アスコット)

・母のHandassaは6戦2勝、リステッド(1m)1勝。伯父のEuginio(父・Fastnet Rock)は英G3-ダーレーSの勝ち馬。伯父のDesert Stone(父・Fastnet Rock)は米G2-サンガブリエルSの勝ち馬。祖母の半兄のPastoral Pursuits(父・Bahamian Bounty)は英G1-ジュライCなど重賞3勝。祖母の半兄のGoodricke(父・Bahamian Bounty)は英G1-スプリントCの勝ち馬。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-16/758730

7R・Ascot Stakes(A Handicap) (Class2・芝2m3f210y・4歳以上)

1着:Coeur De Lion

せん7、父・Pour Moi、母・Hora、母父・Hernando
調教師:Alan King、騎手:Thore Hammer Hansen

・一昨年6着、昨年5着とこのレースに3年連続出走となっていたCoeur De Lionが外から一気に追い込んで1着。1番人気の障害G1馬、Verdana Blueはいったんは完全に先頭に立つも最後、出し抜けを食らう形となり惜しい2着。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-16/758733

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