ロイヤルアスコット開催最終日はG1・3レース(ダイヤモンドジュビリーS、セントジェームズパレスS、コロネーションS)、G2・2レース(コヴェントリーS、クイーンメアリーS)、ハンデ戦など・3レース、の計8レースが行われている。重賞レースを中心に結果と動画をレース順にお届けする。
1R・Silver Wokingham Handicap (A Consolation Race For The 2020 Wokingham Stakes) (Class2・芝6f・3歳以上)
1着:Chiefofchiefs
せん7、父・Royal Applause、母・Danvers、母父・Cape Cross
調教師:Charlie Fellowes、騎手:William Buick
・後方追走から良く伸びたChiefofchiefsが差し切り勝ち。昨年1月以来の勝利で通算6勝目。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-20/758804
2R・Queen Mary Stakes(G2・芝5f・2歳牝馬)
1着:Campanelle
牝2、父・Kodiac、母・Janina、母父・Namid
調教師:Wesley A Ward、騎手:Frankie Dettori
・最内枠発走のアメリカ調教馬・Campanelleが中団追走から、そのまま最内を通って上昇。先に抜け出したSacredを競り落として差し切り勝ち。1番人気のMore Beautifulは外の好位追走から、仕掛けられるも全く伸びず9着。
・今回の勝利で通算2戦2勝、重賞初制覇。3/31のガルフストリームパークでのデビュー戦(芝5f)を2着に3馬身半差をつけて勝利し、ここへ臨んでいた。Wesley A Ward師は2009年に米国拠点の調教師で初のロイヤルアスコットでの勝利をあげて以来、積極的に管理馬をロイヤルアスコットに使ってきた調教師で、これでロイヤルアスコット11勝目。中でもクイーンメアリーSは得意にしており、これで4勝目(2009年・Jealous Again、2015年・Acapulco、2016年・Lady Aurelia)。Lady AureliaはクイーンメアリーSを勝った後に仏G1-モルニー賞へ向かいこちらも勝利しているが、この馬もこのローテーションになるか。
1着:[2020/06/20]クイーンメアリーS(英G2・芝5f・アスコット)
・父のKodiacは2001年英国産のデインヒル産駒。現役時は20戦4勝で重賞勝ちは無いが、母のRafhaが仏オークス馬、半兄にInvincible Spiritがいる良血馬。これまでにBest Solution(ベルリン大賞、バーデン大賞、コーフィールドC)、Fairyland(フライングファイブS、チェヴァリーパークS)、Tiggy Wiggy(チェヴァリーパークS)、Hello Youmzain(スプリントC)の4頭のG1馬を輩出、初年度(2007年)は5000ユーロだった種付料は産駒の活躍により急騰を続け、今年は6万5000ユーロ。
・母のJaninaは5戦2勝、5fの牝馬限定のリステッド勝ち馬。祖母のLady Dominatrixは英G3-ドバイ国際空港ワールドトロフィーの勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-20/758807
3R・Coventry Stakes(G2・芝6f・2歳)
1着:Nando Parrado
牡2、父・Kodiac、母・Chibola、母父・Roy
調教師:Clive Cox、騎手:Adam Kirby
・内から先行したNando Parradoがそのまま抜け出したところへ、直後にいたQaaderが接近するもなかなか差が詰まらず、Nando Parradoが1着。1番人気のAdmiral Nelsonはスタートが良くなく、道中は後方に置かれ、前にびっしり馬が揃いどこにも進路がない展開。内へ進路を求めようとするもその時点で既に脚を無くし、8着。
・今回の勝利で通算2戦1勝、重賞初制覇。6/4のニューマーケットでのデビュー戦(6f)は勝ち馬から5馬身差の5着。今回は全馬がデビュー2戦目のレースだったが、初戦で敗れてここへ臨んだ馬の中で、5着は最も悪い着順。それもあり16頭立ての15番人気での出走となっていたが、見事に勝利。Kodiac産駒が2歳重賞を連勝。
1着:[2020/06/20]コヴェントリーS(英G2・芝6f・アスコット)
・母のChibolaはアルゼンチン産。現役時は18戦5勝。伯父のChullo(父・Roy)は亜G1-エストレージャス大賞フニオールスプリントの勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-20/758806
4R・Coronation Stakes(G1・芝7f213y・3歳牝馬)
1着:Alpine Star
牝3、父・Sea The Moon、母・Alpha Lupi、母父・Rahy
調教師:Mrs John Harrington、騎手:Frankie Dettori
・好位の内を追走していたAlpine Starが直線でラチ沿いに進路を取ると、力強い末脚を発揮して残り1fの地点では完全に先頭に。そのまま2着に4馬身1/4差をつけて快勝。後方追走から直線で外を良く伸びてきたアメリカ調教馬のSharingが2着、1番人気のQuadrilateralは3着。
・今回の勝利で通算4戦3勝、G1初制覇、重賞2勝目。6/11のレパーズタウンでのデビュー戦(7f)では先日の英1000ギニーを圧勝したLoveの3着→8/2のガルウェイでの2戦目(7f)では昨日のクイーンズヴァーズを勝ったSantiagoに3馬身1/4差をつけて1着→8/23のカラでの愛G2-デビュータントS(7f)ではLoveらを降して1着。今回はそれ以来の休み明けのレースだった。
1着:[2020/06/20]コロネーションS(英G1・芝7f213y・アスコット)
1着:[2019/08/23]デビュータントS(愛G2・芝7f・カラ)
・鞍上のFrankie Dettoriはこの勝利がロイヤルアスコット72勝目となるが、ロイヤルアスコットで行われる8つのG1レース全てに勝利という偉業を達成。”I’ve conquered Royal Ascot!”と喜びのコメントを出している。
・父のSea The Moonは2011年ドイツ産のSea The Stars産駒。現役時は5戦4勝、G1-ドイチェスダービー(11馬身差で圧勝)、G2-ウニオン・レネン、G3-春季3歳賞の重賞3勝。現3歳はセカンドクロップで、本馬が初の産駒G1馬となり、本馬を含めてこれまでに5頭の重賞勝ち馬を輩出中。今年の種付料は1万5000ポンド。
・曽祖母がMiesqueになる名門牝系の出身。半姉のAlpha Centauri(父・Mastercraftsman)は一昨年、ジャックルマロワ賞、ファルマスS、コロネーションS、アイリッシュ1000ギニーの4つのG1を制覇。祖母のEast of the Moonはジャックルマロワ賞、ディアヌ賞(仏オークス)、プールデッセデプーリッシュ(仏1000ギニー)の勝ち馬。3日目のジャージーSを勝ったMolathamも曽祖母がEast of the Moonという同じ牝系出身で、本馬の勝利はこの牝系の素晴らしさを改めて示すもの。
2着:Sharing(4馬身1/4差)
牝3、父・Speightstown、母・Shared Account、母父・Pleasantly Perfect
調教師:H Graham Motion、騎手:Oisin Murphy
・昨年の米G1-BCジュヴェナイルフィリーズターフ(芝1m)の勝ち馬。休み明けの前走5/23のチャーチルダウンズでのTepin Stakes(Black Type・芝1m)を勝利し、ここへ臨んでいた。勝ち馬に着差はつけられたが、Quadrilateralを抑えての2着なら十分好走したといえる印象。
3着:Quadrilateral(1馬身3/4差)
牝3、父・Frankel、母・Nimble Thimble、母父・Mizzen Mast
調教師:Roger Charlton、騎手:Jason Watson
・後方追走から4角手前にかけて仕掛けられてポジションを上げ、直線を向いた時点では好位に取りついていたが、追われてからはジリジリとしか伸びず。仕掛けられて伸びを欠くのは前走英1000ギニーと全く同じで、これくらいの着順が今の能力を示す適正なものな印象。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-20/758805
5R・St James’s Palace Stakes(G1・芝7f213y・3歳牡馬)
1着:Palace Pier
牡3、父・Kingman、母・Beach Frolic、母父・Nayef
調教師:John Gosden、騎手:Frankie Dettori
・Wichitaがハナを切り、Pinatuboは出たなりで最後方を追走。3番人気のPalace Pierはスタート良くなく、道中はPinatuboの前に位置。直線入口でPinatuboは外に回さず狭いスペースを突きに行き、Palace Pierは思い切って大外に持ち出される形。残り1f辺りからは逃げるWichita、外から迫るPinatuboとPalace Pierの人気上位3頭の非常に見応えのある激戦となり、いったんは真ん中のPinatuboが先頭に立つも、最後にPalace Pierが内2頭をまとめて交わし去り、1着。
・今回の勝利で通算4戦4勝、重賞初制覇。昨年8/30のサンダウンでのデビュー戦(芝7f)→昨年9/18のサンダウンでの2戦目(芝7f)→今年6/6のニューカッスルでの3戦目(AW1m)を3連勝し、ここへ臨んでいた。3勝とも2着に3馬身以上の差をつけて勝ってきており、ここは重賞初出走で英2000ギニーの2着馬、3着馬が相手だったが3番人気に推されていた。同世代のPinatubo、Wichitaらとは今後もマイル路線で顔を合わせていくことになろうが、今日のレースを観る限り、3頭の力量差は少なそうで、今後の古馬も交えたマイル路線は非常に盛り上がりそうな感あり。
1着:[2020/06/20]セントジェームズパレスS(英G1・芝7f213y・アスコット)
・父のKingmanは昨年のプールデッセデプーランの勝ち馬、Persian Kingに続く2頭目の産駒G1馬を輩出。これまでの3世代(2歳、3歳、4歳)で9頭目の重賞勝ち馬を輩出し、リステッド勝ち馬も11頭輩出中。評価は当然、右肩上がりに上昇中で、初年度(2015年)は5万5000ポンドだった種付料は今年は15万ポンド。
・母のBeach Frolicは未出走。伯母のJoviality(父・Cape Cross)は英G3-ウィンザーフォレストS、英G3-ムシドラSの勝ち馬。伯父のBonfire(父・Manduro)は英G2-ダンテSの勝ち馬。近親にBlue Bunting(英1000ギニー、アイリッシュオークス、ヨークシャーオークス)、Miss Satamixa(ジャックルマロワ賞)。
2着:Pinatubo(1馬身差)
牡3、父・Shamardal、母・Lava Flow、母父・Dalakhani
調教師:Charlie Appleby、騎手:William Buick
・道中は最後方を追走。直線入口でうまく進路を確保され、あとは伸びるだけ、というところまでは行っていたが、内で粘っていたWichitaを競り落とすことは出来たが、外から来たPalace Pierの末脚には抵抗出来ず2着まで。前走よりは好内容で、今日の走りならマイルでも問題ない印象。次走は7/29のサセックスSが有力視されるが、SiskinやCircus Maximusらとの戦いは興味深いものとなる。
3着:Wichita(頭差)
牡3、父・No Nay Never、母・Lumiere Noire、母父・Dashing Blade
調教師:A P O’Brien、騎手:Ryan Moore
・出たなりに逃げの手に出ると、そのまま逃げ込みを図る競馬。なかなか後続に差されず快調に粘り込めており、結果、3着に敗れたが改めてこの世代のマイル路線では上位の存在であることを証明する走り。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-20/758808
6R・Diamond Jubilee Stakes(G1・芝6f・4歳以上)
1着:Hello Youmzain
牡4、父・Kodiac、母・Spasha、母父・Shamardal
調教師:Kevin Ryan、騎手:Kevin Stott
・絶好のスタートを切ったHello Youmzainがジワジワと外へ誘導されながら、最内を通ったSands Of Maliとはかなり横の距離が離れる中、実質的に終始ほぼ先頭をキープ。今日ここまで3勝のFrankie Dettori騎乗の1番人気・Scepticalは好位を追走。残り2f過ぎ辺りでScepticalが仕掛けられていったんは完全に先頭に立つも、Hello Youmzainがこれを差し返しに行き、ゴール前で逆転に成功。Hello Youmzainが2つ目のG1タイトルを獲得している。レース後に目頭を抑えるKevin Stott騎手(初のG1勝利)の表情が印象的。
・今回の勝利で通算9戦5勝、G1・2勝目、重賞4勝目。現4歳世代は昨年、Advertiseがモーリスドゲスト賞、Ten SovereignsがジュライC、本馬がスプリントCと次々に古馬を降してG1を勝ち、スプリント路線でのレベルの高さを誇示していたが、AdvertiseとTen Sovereignsはいずれも既に3歳で現役を切り上げて早々に種牡馬入り。今後は3歳馬も交えた戦いとなるが、4歳馬ではこの馬が代表格として6f路線を引っ張っていくこととなろう。
1着:[2020/06/20]ダイヤモンドジュビリーS(英G1・芝6f・アスコット)
1着:[2019/09/07]スプリントC(英G1・芝6f・ヘイドックパーク)
1着:[2019/05/25]サンディレーンS(英G2・芝6f・ヘイドックパーク)
1着:[2018/10/13]クリテリウムドメゾンラフィット(仏G2・芝1200m・メゾンラフィット)
・Kodiac産駒はこれで2RのクイーンメアリーS、3RのコヴェントリーSに続く本日3勝目。
・母のSpashaは未出走。半兄のRoyal Youmzainは英、伊で重賞3勝。
2着:Dream Of Dreams(アタマ差)
せん6、父・Dream Ahead、母・Vasilia、母父・Dansili
調教師:Sir Michael Stoute、騎手:Ryan Moore
・昨年のこのレースで勝ったBlue Pointからアタマ差の2着だった馬。その後、10着→8着→16着と大敗が続くと、昨年10月に去勢され、今回は245日ぶりのレースだった。後方追走から末脚に賭ける競馬で、ラストScepticalを交わし、2年連続2着確保。
3着:Sceptical(クビ差)
せん4、父・Exceed And Excel、母・Jealous Again、母父・Trippi
調教師:Denis Gerard Hogan、騎手:Frankie Dettori
・ここまでに4連勝し、重賞初挑戦の身で1番人気に推されていたが、いったんは先頭に立つ競馬を見せ、力量の一端は充分に見せたレース。結果、やや早仕掛けになった感があるが、この内容なら今後の6f路線で主役を張れそうな印象。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-20/758809
7R・Wokingham Stakes (Heritage Handicap) (Class2・芝6f・3歳以上)
1着:Hey Jonesy
せん5、父・Excelebration、母・Fikrah、母父・Medicean
調教師:Kevin Ryan、騎手:Kevin Stott
・内と外に大きく離れたゴール前は大接戦となったが、内のHey Jonesyが残して1着。初日のバッキンガムパレスHで22着だった馬で中3日でこのレースに出走していた。Kevin Ryan師、Kevin Stott騎手は6RのダイヤモンドジュビリーSに続き連勝。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-20/758810
8R・Queen Alexandra Stakes (Class2・芝2m5f143y・4歳以上)
1着:Who Dares Wins
せん8、父・Jeremy、母・Savignano、母父・Polish Precedent
調教師:Alan King、騎手:Tom Marquand
・障害G2の勝ち馬で1番人気に推されていたWho Dares Winsが直線抜け出して1着。3/10のチェルトナムフェスティバル初日のG3-ウルティマハンディキャップチェイスで13着だった馬で、今回はそれ以来のレース。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2020-06-20/758811
開催リーディングについて
種牡馬
1位・Dark Angel、Dubawi、Kodiac(3勝)
・Kodiacは最終日だけで3勝。
調教師
1位・John Gosden(6勝)
2位・A P O’Brien、Roger Varian(4勝)
・昨年は2勝のみだったJohn Gosden師が今年は6勝をあげトップ。ロイヤルアスコット開催のリーディングトレーナーの座に就くのはこれが2度目。
騎手
1位・Frankie Dettori、Jim Crowley(6勝)
2位・Ryan Moore(4勝)
・昨年は1勝のみだったJim Crowley騎手が今年は大活躍を見せ6勝。Frankie Dettori騎手は最終日だけで3勝。ロイヤルアスコット開催で通算73勝をあげ、Pat Edderyの記録に並ぶ歴代2位の記録となっている。尚、歴代最多記録はレスター・ピゴットの116勝である。
オーナー
1位・Sheikh Hamdan Al Maktoum(6勝)
・ハムダン殿下の持ち馬が6勝をあげトップ。
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