現地時間7/4(土)に英エプソム競馬場にて行われた、G1-英ダービー、G1-英オークスのレース結果と動画をお届けする。今年はダービーとオークスが同日に行われる異例の日程となり、6/1に英国の平地競馬が無観客開催にて再開されてから、約1カ月後に各馬とも一生に一度の大舞台を迎えることとなっている。
Investec Derby(G1・芝1m4f6y・3歳)
1着:Serpentine
牡3、父・Galileo、母・Remember When、母父・Danehill Dancer
調教師:A P O’Brien、騎手:Emmet McNamara
・Serpentineがハナに立ち、番手にKhalifa Sat、3番手にAmhran Na Bhfiannがつける展開。人気のKamekoは5番手、Mogulは6番手、English Kingはさらに後ろの9番手辺りを追走。逃げたSerpentineの脚色はタッテナムコーナーを経ても衰えるどころかさらに快調となり、直線に入ると後続との差をさらに広げる意外な展開に。人気各馬が必死に追いすがろうとする中、早くもSerpentineの1着は確定的となり、番手追走のKhalifa Sat、3番手追走のAmhran Na Bhfiannもそのまま粘り込む典型的な行った行ったの競馬で決着。1番人気のKamekoは4着、2番人気のEnglish Kingは5着。
・今回の勝利で通算4戦2勝、重賞初制覇。昨年9/17のガルウェイでのデビュー戦(8.5f)で10着→6/12のカラでの2戦目(1m2f)で5着→6/27のカラでの3戦目(1m2f)で1着とし、連闘でここへ臨んでいた。前走は9馬身差での勝利ではあったが、戦績的に今回、単勝オッズ26倍の評価だったのは致し方ないところ。人気馬総崩れの大荒れのダービーとなったが、2着につけた5馬身半の着差は近20年では2010年のワークフォース(7馬身差)に続く大きい着差。尚、ウィリアムヒルではレース後に凱旋門賞の前売り単オッズで本馬を4番人気の15.00倍に設定している。
1着:[2020/07/04]英ダービー(英G1・芝1m4f6y・エプソム)
・Galileo産駒の英ダービー制覇はNew Approach(2008年)、Ruler of the World(2013年)、Australia(2014年)、Anthony Van Dyck(2019年)に続く5勝目。
・A P O’Brien師の英ダービー制覇はGalileo(2001年)、High Chaparral(2002年)、Camelot(2012年)、Ruler of the World(2013年)、Australia(2014年)、Wings of Eagles(2017年)、Anthony Van Dyck(2019年)に続く8勝目で、歴代単独トップ。
・母のRemember Whenは6戦未勝利だが、英オークス2着、アイリッシュ1000ギニー4着、プリティポリーS4着とG1で善戦を続けた馬。全姉のWedding Vowは愛G2-キルボイエステートS(9f)の勝ち馬で、ナッソーS2着。全兄のBeacon Rockは愛G3-ガリニュールS(10f)の勝ち馬。全姉のBye Bye Babyは愛G3-ブルーウインドS(10f)の勝ち馬で、英オークス3着、アイリッシュオークス4着、プリティポリーS4着。伯父のDylan Thomas(父・デインヒル)は凱旋門賞、アイリッシュチャンピオンS(2勝)、キングジョージ、ガネー賞、アイリッシュダービーの6つのG1を含む重賞7勝。叔母のHomecoming Queen(父・Holy Roman Emperor)は2012年の英1000ギニーの勝ち馬。
2着:Khalifa Sat(5馬身半差)
牡3、父・Free Eagle、母・Thermopylae、母父・テンビー
調教師:Andrew Balding、騎手:Tom Marquand
・2番手追走のまま最後まで粘り込んで大健闘の2着入線。前走6/14のグッドウッドでのListed(1m3f44y)を勝ち、ここへ臨んでいた。父のFree EagleはHigh Chaparral産駒で2015年のG1-プリンスオブウェールズSなど重賞2勝。現3歳がファーストクロップで、リステッド勝ち馬が本馬を含め2頭出ている。
3着:Amhran Na Bhfiann(半馬身差)
牡3、父・Galileo、母・Alluring Park、母父・Green Desert
調教師:A P O’Brien、騎手:William Buick
・先行してバテることなく3番手の位置を守り抜き3着。まだ未勝利の馬で、これまでの2戦は昨年8/23のカラでのデビュー戦(1m)で13着→6/9のレパーズタウンでの2戦目(1m2f)で4着、でここは3戦目のレースだった。全姉のWasは2012年の英オークス馬、叔父に2008年の英ダービーなどG1・5勝のNew Approach(父・Galileo)がいる良血馬で、血統背景から実績のあるエプソムのこの舞台で表面化していなかった能力が一気に覚醒した感あり。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/17/epsom/2020-07-04/758987
Investec Oaks(G1・芝1m4f6y・3歳牝馬)
1着:Love
牝3、父・Galileo、母・Pikaboo、母父・Pivotal
調教師:A P O’Brien、騎手:Ryan Moore
・最低人気のTiempo VuelaとバリードイルのPassionの2頭が後続を離してレースを主導する展開。人気のLoveは5,6番手につけ、この後ろに2番人気のFrankly Darlingがつける形。4角手前からLoveが上昇を開始し、残り2fの地点で早くも先頭に立つと、あとは後続を突き離す一方。2着に9馬身差をつけてLoveが圧勝。勝ち時計の2:34.06は2017年にEnableが勝った際の2:34.13を上回るレースレコード。
・今回の勝利で通算9戦5勝、G1・3勝目、重賞4勝目。英1000ギニーが4馬身1/4差、今回が9馬身差と2着以下に圧倒的な着差をつけての2冠達成。レース後、A P O’Brien師は次走の候補として7/18(土)のアイリッシュオークスをあげている。合わせて秋の凱旋門賞についても触れ、セントレジャーを使ってから臨む青写真を披露している。今日の勝利を受けてウィリアムヒルでは早くも凱旋門賞の前売り単オッズで本馬をEnable(4.50倍)に続く2番人気の7.00倍に設定しているが、新たな女傑、スターホース誕生を強く印象づける勝利である。
1着:[2020/07/04]英オークス(英G1・芝1m4f6y・エプソム)
1着:[2020/06/07]英1000ギニー(英G1・芝1m・ニューマーケット)
1着:[2019/09/15]モイグレアスタッドS(愛G1・芝7f・カラ)
1着:[2019/07/25]シルバーフラッシュS(愛G3・芝7f・レパーズタウン)
・Galileo産駒の英オークス制覇はWas(2012年)、Minding(2016年)、Forever Together(2018年)に続く4勝目。昨年の勝ち馬・AnapurnaはFrankel(その父・Galileo)産駒、2017年の勝ち馬・EnableはNathaniel(その父・Galileo)産駒で、これで近5年の英オークスはGalileo直仔が3勝、Galileoの孫が2勝。この父系のクラシックディスタンスにおける圧倒的な戦績は改めて驚異的である。
・Aidan O’Brien師の英オークス制覇はShahtoush(1998年)、Imagine(2001年)、Alexandrova(2006年)、Was(2012年)、Qualify(2015年)、Minding(2016年)、Forever Together(2018年)に続く8勝目。ちなみに歴代トップは1802年から1825年にかけて13勝したRobert Robson師。
・Ryan Moore騎手の英オークス制覇はSnow Fairy(2010年)、Minding(2016年)に続く3勝目。
・母のPikabooは5戦未勝利だが繁殖牝馬として優れた実績を残しており、半姉のLucky Kristale(父・Lucky Story )は英2歳G2-ロウザーS、英2歳G2-ダッチェスオブケンブリッジSの勝ち馬。全姉のFlatteringは愛G3-ムンスターオークスの勝ち馬。全姉のPeach Treeは愛G3-スタネーラSの勝ち馬。叔父のArabian Gleamは英重賞3勝。
2着:Ennistymon(9馬身差)
牝3、父・Galileo、母・Lahinch、母父・Danehill Dancer
調教師:A P O’Brien、騎手:Seamie Heffernan
・ロイヤルアスコットの前走6/16のG2-リブルスデイルSでは勝ったFrankly Darlingから1馬身3/4差の2着だった馬。道中は後方追走から早めに動いて内からポジションを押し上げ、直線でPassionを交わし、いったんはこの馬が先頭に立つも、程なくして脚色が全く違ったLoveに早々と交わされはしたが、そこから最後まで粘り切り、2着確保。
3着:Frankly Darling(3/4身差)
牝3、父・Frankel、母・Hidden Hope、母父・Daylami
調教師:John Gosden、騎手:Frankie Dettori
・道中はLoveをマークするような位置取りで常にLoveを前に見ながらの競馬。ただ、勝負どころでLoveが先に動いた時点で若干踏み遅れる形になり、ここで付いていけなかった時点で勝つのは難しい情勢に。結局、最後までLoveを脅かす事は出来ず、前にいたEnnistymonも差せずに3着まで。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/17/epsom/2020-07-04/760762
7/5(日)に行われる欧州の注目レースについて
・エクリプスSはグリーンチャンネルにて7/5の23:00~24:30まで無料生中継。ジョッケクルブ賞(仏ダービー)、ディアヌ賞(仏オークス)についても録画にて紹介されるとのことで、エクリプスSの馬券を購入される方もそうでない方も必見のプログラムとなる。
エクリプスS(G1・芝1m1f209y・4歳以上・英サンダウン競馬場)
・日本時間23:35発走予定。Enableの復帰戦に豪華なメンバーが集い、今年の古馬戦線を占う意味で非常に重要な一戦。Enableが当然、圧倒的な人気を集めており、コロネーションCを圧勝したGhaiyyath、一度叩かれたJapanの両馬が対抗人気。
https://www.racingpost.com/racecards/54/sandown/2020-07-05/761020/
ジョッケクルブ賞(仏ダービー)(G1・芝2100m・3歳・仏シャンティイ競馬場)
・日本時間22:10発走予定。前走プールデッセデプーランを快勝し、2冠を狙うゴドルフィンのShamardal産駒・Victor Ludorumが1番人気。2番人気はクールモア所有、A Fabre師の管理馬、American Pharoah産駒・Ocean Atlantique。
https://www.racingpost.com/racecards/204/chantilly/2020-07-05/762145/
ディアヌ賞(仏オークス)(G1・芝2100m・3歳牝馬・シャンティイ競馬場)
・日本時間22:55発走予定。前走ロイヤルアスコットのコロネーションSを圧勝したAlpine Starが1番人気。2番人気はアイリッシュ1000ギニーの勝ち馬・Peacefulと、2戦2勝の無敗馬・Raabihahが並ぶ。注目は4番人気のディープインパクト産駒・Fancy Blue。2着だったアイリッシュ1000ギニーのレースを観て、ドナカオブライエン師がフランス向きと判断し、ここへ出走。Pierre-Charles Boudotを鞍上に配し、この距離で真価を発揮出来るか。
https://www.racingpost.com/racecards/204/chantilly/2020-07-05/762146/