2020 エクリプスS、ジョッケクルブ賞(仏ダービー)、ディアヌ賞(仏オークス)・レース結果

現地時間7/5(日)に英サンダウン競馬場にて行われた、G1-エクリプスSと、仏シャンティイ競馬場にて行われた、G1-ジョッケクルブ賞(仏ダービー)、G1-ディアヌ賞(仏オークス)のレース結果と動画をお届けする。

Coral-Eclipse(G1・芝1m1f209y・4歳以上・英サンダウン競馬場)

・エクリプスSは1886年創設。レース名は18世紀後半に活躍したEclipseより。Eclipseはアメリカの年間表彰制度・エクリプス賞にもその名を残しており、現在のサラブレッドの父系の80~90%程度はEclipseに辿り着くと言われ、母系を合わせた血統的影響度は10%を超えると言われる。ただオーストラリアでの最新の研究によるとEclipseの遺伝子を多く持つ個体は競走能力、出走率、獲得賞金が低い傾向がみられるとのこと。

1着:Ghaiyyath

牡5、父・Dubawi、母・Nightime、母父・Galileo
調教師:Charlie Appleby、騎手:William Buick

・大方の予想通りGhaiyyathがハナに立ち、Japan、ディアドラが続く展開。注目のEnableはこれらの後ろの4,5番手を追走。そのままの隊列で直線をむかえると、まずディアドラが脱落し、外からEnableが前を捕まえに行く形になるも、前を行くGhaiyyath、Japanの順番はなかなか変わらず、Ghaiyyathが逃げ切り勝ち。最後にEnableがJapanを交わし2着。

・今回の勝利で通算11戦8勝、G1・3勝目重賞7勝目。前走のコロネーションCに続くG1連覇達成。前走同様、自分の形に持ち込んだ際の強さに磨きがかかった印象で、2000~2400m辺りの競馬ならどこに出ても攻略し難い存在になりつつある感あり。次走は8/19のヨークでのG1-インターナショナルSになる模様で、今回は回避した先日のG1-プリンスオブウェールズSの勝ち馬・Lord Northがここへ出てくれば対抗格になりそうだが果たしてどうなるか。

 1着:[2020/07/05]エクリプスS(英G1・芝1m1f209y・サンダウン)
 1着:[2020/06/05]コロネーションカップ(英G1・芝1m4f・ニューマーケット)

 1着:[2020/02/20]ドバイミレニアムS(UAEG3・芝2000m・メイダン)
 1着:[2019/09/01]バーデン大賞(独G1・芝2400m・バーデンバーデン)
 1着:[2019/04/07]アルクール賞(仏G2・芝2000m・パリロンシャン)
 1着:[2018/09/22]プランスドランジュ賞(仏G3・芝2000m・パリロンシャン)
 1着:[2017/10/14]オータムS(英G3・芝1m・ニューマーケット)

・母のNightimeは大種牡馬・Galileoのファーストクロップ。キャリア2戦、1勝馬の身で挑んだ2006年のG1-アイリッシュ1000ギニー(1m)を制覇し、Galileo産駒初のクラシックホースになった馬。半姉のZhukova(父・Fastnet Rock)は米G1-マンノウォーSなど米愛で重賞3勝。叔母のファイノメナ(父・Galileo)はニアルコスファミリーの所有馬で社台コーポレーション白老ファームにて繋養中。産駒のキングオブコージ(父・ロードカナロア)が先日の目黒記念を制したばかり。

2着:Enable(2馬身1/4差)

牝6、父・Nathaniel、母・Concentric、母父・Sadler’s Wells
調教師:John Gosden、騎手:Frankie Dettori

・道中は前にいるGhaiyyath、Japan、ディアドラを見る形で4,5番手を追走。直線では外から脚を伸ばし、Japanを競り落としたのは流石だが、最後までGhaiyyathとの差を詰め切ることは出来ずに2着完敗。

・John Gosden師のレース後のZOOMによるリモートインタビュー動画。無事に復帰戦を終えた安堵が滲み出たコメントで、次走は7/25のキングジョージになる旨、述べている。3勝目がかかるキングジョージで彼女本来のレースが見られるか、叩かれた上積みも含めて注目となる。

3着:Japan(アタマ差)

牡4、父・Galileo、母・Shastye、母父・デインヒル
調教師:A P O’Brien、騎手:Ryan Moore

・逃げたGhaiyyathの後ろにつける積極的なレースを見せるも、Ghaiyyathを捕まえることは出来ず、最後、後ろから差してきたEnableに競り負けての3着。真っ向勝負を挑んだ上での3着で力は出せているレースだが、勝てそうなシーンは一度もなく、完敗だった印象。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/54/sandown/2020-07-05/761020

Prix de Diane Longines(G1・芝2100m・3歳牝馬・仏シャンティイ競馬場)

・ディアヌ賞は1843年創設。ディアヌは英語のダイアナ(神話の女神)の意。当初はフランス産馬限定の競走で1947年に海外産馬に門戸を開放。開放後の1974年にエリザベス女王の持ち馬・Highclere(ディープインパクトの曽祖母)が勝利。過去にTreve、Zarkava、Allez Franceなど6頭が後に凱旋門賞を制覇している。

1着:Fancy Blue

牝3、父・ディープインパクト、母・Chenchikova、母父・Sadler’s Wells
調教師:Donnacha Aidan O’Brien、騎手:Pierre-Charles Boudot

・Alpine Starが逃げ、Fancy Blueが2番手、Raabihahが3番手を追走。直線に入っても隊列は変わらず、Alpine StarとFancy Blueの競り合いに外からRaabihahとPeacefulが接近する手に汗握る展開に。最後は人気4頭が横並びになる大接戦のゴール前を制したFancy Blueが1着。

https://twitter.com/equidia/status/1279779988376608768

・今回の勝利で通算4戦3勝、2着1回、重賞初制覇。前走6/13のG1-アイリッシュ1000ギニー(芝1m)では後方追走から直線だけで追い込む競馬となり2着。その後は英愛オークスではなく、アイリッシュ1000ギニーの内容を見たドナカオブライエン師の「この馬はフランス向き」との判断よりここへ向かうこととなっていた。鞍上にPierre-Charles Boudotを確保出来たのも大きく、今回は前走とはレース内容が一変。終始逃げる形になった1番人気のAlpine Starを番手でマークし、直線で力強くこれを競り落としての見事な勝利。昨日の英オークスを見るにLoveに勝つのは至難とみるのが妥当で、適性も加味した上でここを目標に定めた陣営の慧眼が結実した形。

 1着:[2020/07/05]ディアヌ賞(仏G1・芝2100m・シャンティイ)

・ディープインパクト産駒の欧州クラシック制覇は2012年のBeauty Parlour(プールデッセデプーリッシュ)、2018年のSaxon Warrior(英2000ギニー)、Study of Man(ジョッケクルブ賞)に続く4勝目。欧州からディープインパクトのもとにG1・7勝のMinding、G1・4勝のWinterなどの良血繁殖牝馬がシャトルされ、その時に産まれた産駒がまだ3世代残っており、欧州クラシック5勝目、6勝目も期待される現況。

・昨年騎手を引退し調教師に転身したばかりの21歳のドナカオブライエン師。6日前に管理馬が初めて芝のレースを勝ったばかりで、いきなりの仏クラシック制覇。

・血統背景など詳細については以下の過去記事をご参照下さい。

2着:Alpine Star(短首差)

牝3、父・Sea The Moon、母・Alpha Lupi、母父・Rahy
調教師:Mrs John Harrington、騎手:Stephane Pasquier

・結果的にこの馬が逃げる形になり、最後にFancy Blueに差されるも2着確保。今日の競馬ならマイルだけでなくこの距離でも十分に戦える印象。前走コロネーションSでは見事な差し切り勝ちを収めていた馬で、今日は逃がされる形になったのがやや誤算だったか。

3着:Peaceful(アタマ差)

牝3、父・Galileo、母・Missvinski、母父・ストラヴィンスキー
調教師:A P O’Brien、騎手:Seamie Heffernan

・道中は前の2頭、Alpine StarとFancy Blueを見る形の5番手前後を追走。直線で良く伸び、一瞬はまとめてこの馬が差し切るか?と思わせるシーンを演出するも前の2頭の牙城を崩すには至らず、3着。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/204/chantilly/2020-07-05/762146

Prix du Jockey Club(G1・芝2100m・3歳・仏シャンティイ競馬場)

・ジョッケクルブ賞は1836年創設。レース名は当時、フランス競馬が大きな影響を受けていた、英国競馬を統括していたニューマーケットのジョッキークラブ(仏語読みではジョッケクルブ)より。尚、フランスの平地競走と障害競走の統括機関で現在のフランスギャロの前身・フランス馬種改良奨励協会が設立されたのは1833年。2005年以降は2400mから2100mに距離短縮されて施行されている。

1着:Mishriff

牡3、父・Make Believe、母・Contradict、母父・Raven’s Pass
調教師:John Gosden、騎手:Ioritz Mendizabal

・1番人気のVictor Ludorumはスタート遅れて終始最後方を追走。勝ったMishriffは前に2頭を置いた2列目の真ん中を追走。直線は前がカベになりかける局面もあったが、残り200で進路を確保されると、そこから矢のような末脚を披露。最後は前々で立ち回り、先頭に立っていたThe Summitを外から交わしてMishriffが1着。Victor Ludorumは直線大外から良く伸びるも残り100で勢いが止まり、3着まで。

・今回の勝利で通算6戦3勝、重賞初制覇。2/29のサンバサウジダービー(ダ1600m)でフルフラットの2着だった馬で、そこから97日の休養を挟んだ前走6/6のニューマーケットでのListed-ニューマーケットS(芝1m2f)に出走し、同厩のWaldkonigらを降して2着に4馬身差をつけて快勝し、英ダービーではなくここへ臨んでいた。ディアヌ賞同様、国外調教馬の出走を認めない形で再開していたフランス競馬の規制緩和(=国外調教馬出走可へ)を的確に捕らえ、ここへ目標を定めてきた陣営の目利きの勝利。

 1着:[2020/07/05]ジョッケクルブ賞(仏G1・芝2100m・シャンティイ)

・John Gosden師はジョッケクルブ賞初制覇、Ioritz Mendizabal騎手は2008年のVision d’Etatに続くジョッケクルブ賞2勝目。

・父のMake Believeは2012年英国産のMakfi産駒。現役時はAndre Fabre師に管理され、7戦4勝、プールデッセデプーラン、フォレ賞の2つのG1の勝ち馬。現3歳がファーストクロップで、本馬が初の産駒G1馬になる。これまでに本馬を含む3頭の重賞勝ち馬、1頭のリステッド勝ち馬を輩出。TDNによる昨年の欧州ファーストクロップサイアーランキングは7位で、47頭がデビューし16頭が勝ち上がり、通算23勝、重賞2勝をあげている。今年の種付料は1万2000ユーロ。

・母のContradictは9戦1勝。祖母のActs of Graceは英G3-プリンセスロイヤルSの勝ち馬。曽祖母のRafhaは仏G1-ディアヌ賞(仏オークス)、英G3-メイヒルSの勝ち馬。4代母のEljazziは昨年のカルティエ賞最優秀2歳牡馬・Pinatuboの4代母でもあり、同じ牝系に属する。

2着:The Summit(1馬身3/4差)

牡3、父・Wootton Bassett、母・Acola、母父・Acatenango
調教師:H-A Pantall、騎手:Vincent Cheminaud

・道中は3番手を追走。そのまま粘り込む競馬となり、最後は勝ち馬に競り負ける形になるもタフに2着確保。前々走のG3-フォンテーヌブロー賞1着→前走のG1-プールデッセデプーラン2着→今回2着、と今季は持ち前の先行力を如何なく発揮し好成績を残している。

3着:Victor Ludorum(クビ差)

牡3、父・Shamardal、母・Antiquities、母父・Kaldounevees
調教師:A Fabre、騎手:Mickael Barzalona

・1番枠からの出走でゲート入りしてからかなり長い間、待たされてからのスタートになったのも影響したか、スタートで出遅れ気味になり、終始最後方を追走する苦しい展開に。直線外からよく伸びてはいるが突き抜ける程の脚ではなく、3着までで父に続く仏2冠達成はならず。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/204/chantilly/2020-07-05/762145