ここまでの2021年の重賞レース13レースの内、サンデーサイレンスのインブリード馬がすでに4勝を上げている。現在は世代的にいわゆる3×3から、3×4乃至4×3にシフトしようとするタイミングで、この辺りまで遠くなってくれば、強いインブリードを忌避する向きも軽減されて、同インブリード馬の数は今後増加の一途をたどるものと予想される。現時点ではデータ数は十分とは言えないが、今後大きな潮流となる可能性もありそう、ということで、種牡馬別に動向を随時ウォッチしていく。

(参考)2021年重賞勝馬

馬名レース名種牡馬インブリード
レッドルゼル21根岸Sロードカナロア
シヴァージ21シルクロードHFirst Samurai
カジノフォンテン21川崎記念カジノドライヴ
アリストテレス21AJCCエピファネイアサンデー4×3
オーヴェルニュ21東海Sスマートファルコンサンデー3×4
マルシュロレーヌ21TCK女王盃オルフェーヴル
グラティアス21京成杯ハーツクライ
ショウリュウイクゾ21日経新春杯Hオルフェーヴルサンデー3×4
マジックキャッスル21愛知杯Hディープインパクト
ファインルージュ21フェアリーSキズナサンデー3×4
ピクシーナイト21シンザン記念モーリス
ケイデンスコール21京都金杯Hロードカナロア
ヒシイグアス21中山金杯Hハーツクライ

オルフェーヴル産駒:サンデーサイレンス(SS)・インブリード馬データ(JRA) 2021/1/31開催終了時点

頭数分布(%)

【現4~6歳】2勝以上1勝0勝入着有0勝入着無未出走
SS3×34(16%)1(4%)6(24%)14(56%)0(0%)25(100%)
SS3×48(32%)3(12%)3(12%)11(44%)0(0%)25(100%)
インブリードなし68(18%)59(16%)127(34%)113(30%)11(3%)378(100%)

重賞勝馬
SS3×3:なし
SS3×4:2頭(頭数全体の9%)
オーソリティ(青葉賞など)、ショウリュウイクゾ(日経新春杯)
インブリードなし:9頭(頭数全体の3%)
ラッキーライラック(大阪杯などGⅠ4勝)、エポカドーロ(皐月賞)、バイオスパーク(福島記念)、オセアグレイト(ステイヤーズS)、ジャスティン(カペラSなど)、サラス(マーメイドS)、シャインガーネット(ファルコンS)、マルシュロレーヌ(レディスプレリュードなど)、ロックディスタウン(札幌2歳S)

短評
インブリードに対する一般的なイメージは野球に例えれば、「一発長打が期待できるかもしれないが、空振り三振も増えそう」というところだろうか。上表の通り、サンデーサイレンス3×3のインブリード馬は勝ち上がり率の低さ(16%+4%=20%)が顕著になっているが、サンデーサイレンス3×4のインブリード馬のデータは、成功率(2勝以上)が際立っており、空振りのリスクも軽減される(勝ち上がり率32%+12%=44%はインブリードなしの18%+16%=34%を上回る)という、優れた傾向を示している。サンプル数がまだ少ない点は留意が必要だが、あと数倍程度データが蓄積されてもこうした有意差が維持されるようなら、かなり有望と言うことになるのではないだろうか。現状のデータで敢えてケチをつけるとすれば、オーソリティ(祖母がシーザリオ)、ショウリュウイクゾ(母ショウリュウムーンは重賞3勝)はかなりの良血馬で、成功をインブリードの効果に帰してよいものかどうかは不明という点、0勝入着無の比率はやや高めである点、あたりだろうか。

追記しておくと、インブリードなしのパターンの60%が、母が輸入牝馬であること等を考慮すると、厳密な比較は難しいものの、繁殖の質によるバイアス(インブリードなし馬の母馬の質が低いために上記のようなデータとなったのではないか、等)が結果を左右している、とは考えづらい。また、明け3歳世代についてはまだこれから大きく変動するため参考データとして下表に別表示としたが、SS3×4の勝ち上がり率が既に高い数値を示している点は注目に値する。

(参考)現3歳世代のデータ

【現3歳】2勝以上1勝0勝入着有0勝入着無未出走
SS3×31(13%)0(0%)3(38%)2(25%)2(25%)8(100%)
SS3×40(0%)3(43%)1(14%)2(29%)1(14%)7(100%)
インブリードなし1(1%)5(6%)20(25%)37(46%)18(22%)81(100%)