先週の共同通信杯はエピファネイア産駒エフフォーリア(母父がハーツクライでサンデーサイレンス4×3のインブリードがある)が制し、これでサンデー3×4、4×3インブリード馬による2021年5つ目の重賞制覇となった。
今回はそのエピファネイアをとりあげる。前回のオルフェーヴル(初年度産駒が現6歳)より、産駒数が2世代少ないエピファネイア(初年度産駒がまだ現4歳)だが、サンデーサイレンスの血統表上の位置が4代目となり(オルフェーヴルは3代目)、インブリードに対する抵抗感も大きく薄れるようで、サンデーサイレンスのインブリード馬の比率は現4歳世代でJRAに登録されたエピファネイア産駒全体の74%、現3歳世代で78%と格段に高くなっている。インブリード馬とそうでない馬とで、ここまで実績はどうなっているだろうか。
(vol.1 オルフェーヴル編はこちら↓)
エピファネイア産駒:サンデーサイレンス(SS)・インブリード馬データ(JRA) 2021/2/14開催終了時点
現4歳世代:頭数分布(%)
【現4歳】 | 重賞勝 | 勝ち上がり |
SS4×2 | 0(0%) | 0(0%) |
SS4×3 | 2(2%) | 37(42%) |
SS4×4 | 0(0%) | 4(31%) |
インブリードなし | 0(0%) | 10(28%) |
勝数・入着別 | 2勝以上 | 1勝 | 0勝入着有 | 0勝入着無 | 未出走 | 計 |
SS4×2 | 0(0%) | 0(0%) | 0(0%) | 0(0%) | 1(100%) | 1(100%) |
SS4×3 | 14(16%) | 23(26%) | 29(33%) | 20(23%) | 2(2%) | 88(100%) |
SS4×4 | 2(15%) | 2(15%) | 2(15%) | 6(46%) | 1(8%) | 13(100%) |
インブリードなし | 5(14%) | 5(14%) | 13(36%) | 13(36%) | 0(0%) | 36(100%) |
重賞勝
SS4×3:
・デアリングタクト(牝馬3冠)
・アリストテレス(AJCC)
現3歳世代:頭数分布(%)
【現3歳】 | 重賞勝 | 勝ち上がり |
SS4×3 | 1(1%) | 22(24%) |
SS4×4 | 0(0%) | 1(20%) |
インブリードなし | 0(0%) | 4(14%) |
勝数・入着別 | 2勝以上 | 1勝 | 0勝入着有 | 0勝入着無 | 未出走 | 計 |
SS4×3 | 3(3%) | 19(21%) | 36(39%) | 29(32%) | 5(5%) | 92(100%) |
SS4×4 | 0(0%) | 1(20%) | 2(40%) | 1(20%) | 1(20%) | 5(100%) |
インブリードなし | 0(0%) | 4(14%) | 7(25%) | 11(39%) | 6(21%) | 28(100%) |
重賞勝馬
SS4×3:
・エフフォーリア(共同通信杯)
短評
ここまでエピファネイアが輩出した重賞勝馬3頭(デアリングタクト、アリストテレス、エフフォーリア)は全てサンデーサイレンス4×3のインブリード馬であり、上表に集計した勝ち上がりの率を見ても、現4歳世代でSS4×3は42%・現3歳世代で24%と、インブリードなしの現4歳28%・現3歳14%を目立って上回るデータが示されている。SS4×4についてははサンプル数がかなり少ないものの、ここまでの傾向としては、インブリードなしのケースとの差は明確なものとはなっていないようだ。
前回取り上げたオルフェーヴル産駒の結果と合わせて、SS3×4・SS4×3のクロスはますます有望、といきたいところだが、今回のエピファネイア産駒のケースについては、留意したい点がある。それは、社台グループの生産牧場においては、エピファネイアの交配相手にサンデー系の血をもった牝馬が極端に集中している、という事情である。背景には、サンデーの直仔・孫世代の有力種牡馬をグループのスタリオンに豊富に(過剰に?)抱え込んできた経緯があると推測される(サンデーの血が入っていない牝馬は、他に交配したいサンデー系種牡馬が沢山いるために、エピファネイアにはほぼ回ってこない。同じく4代目にサンデーサイレンスが位置するモーリスにも同様のことが言える)。データの分析に小さくない影響を与えそうなノーザンファーム生産馬を例にとると、現4歳世代のエピファネイア産駒27頭の内25頭、現3歳世代では実に28頭中28頭全頭がサンデーサイレンスのインブリード馬となっていて、データサンプルとしての偏りを生む要因となっている。参考に、ノーザンファーム生産馬を除くデータを下表に示した。それでもSS4×3の勝ち上がり率は現4歳38%・現3歳18%と、インブリードなしの現4歳29%・現3歳14%を上回っている。エピファネイア産駒についてもサンデーサイレンスのインブリードは有効、と評価を下せる有意差は観察できる、と言えそうだが、それが期待に応える華々しさかどうか、は、観る方によって温度差があるかもしれない。
(参考:ノーザンファーム除く)
【現4歳】 | 重賞勝 | 勝ち上がり |
SS4×3 | 1(2%) | 25(38%) |
SS4×4 | 0(0%) | 3(25%) |
インブリードなし | 0(0%) | 10(29%) |
勝数・入着別 | 2勝以上 | 1勝 | 0勝入着有 | 0勝入着無 | 未出走 | 計 |
SS4×3 | 8(12%) | 17(26%) | 23(35%) | 15(23%) | 2(3%) | 65(100%) |
SS4×4 | 2(17%) | 1(8%) | 2(17%) | 6(50%) | 1(8%) | 12(100%) |
インブリードなし | 5(15%) | 5(15%) | 13(38%) | 11(32%) | 0(0%) | 34(100%) |
【現3歳】 | 重賞勝 | 勝ち上がり |
SS4×3 | 0(0%) | 12(18%) |
SS4×4 | 0(0%) | 1(25%) |
インブリードなし | 0(0%) | 4(14%) |
勝数・入着別 | 2勝以上 | 1勝 | 0勝入着有 | 0勝入着無 | 未出走 | 計 |
SS4×3 | 1(2%) | 11(17%) | 28(43%) | 22(34%) | 3(5%) | 65(100%) |
SS4×4 | 0(0%) | 1(25%) | 1(25%) | 1(25%) | 1(25%) | 4(100%) |
インブリードなし | 0(0%) | 4(14%) | 7(25%) | 11(39%) | 6(21%) | 28(100%) |