2021 凱旋門賞等・レース結果

現地時間10/3(日)の仏パリロンシャン競馬場は凱旋門賞を筆頭にG1レースが6つ行われるArc Weekendの2日目。本稿では凱旋門賞、オペラ賞、アベイドロンシャン賞、フォレ賞(エントシャイデンが大健闘の3着)、マルセルブサック賞、ジャンリュックラガルデール賞の結果と動画をお届けする。

Qatar Prix de l’Arc de Triomphe(G1・芝2400m・3歳以上+せん馬不可)

・凱旋門賞は道中、6~8番手にいた3頭での決着となり、直線で外から伸びたTorquator Tassoが1着。内から伸びたTarnawaが3/4身差の2着、3着に短頭差でHurricane Lane。Adayarは4着、Snowfallは6着。日本調教馬のクロノジェネシスは意欲的なレースを見せるも直線バテて7着。ディープボンドは序盤で前に行けず自分のレースが全く出来ず最下位。

1着:Torquator Tasso

牡4、父・Adlerflug、母・Tijuana、母父・Toylsome
調教師:Marcel Weiss、騎手:Rene Piechulek

・今回の勝利で通算11戦5勝、G1・3勝目、重賞4勝目。昨年のドイチェスダービーでIn Swoopの2着だった馬で、昨年10月のベルリン大賞(t2400m)、今年9月のバーデン大賞(t2400m)の2つのG1に勝利。他にバイエルン大賞2着、ベルリン大賞2着、バーデン大賞3着と常にG1で好走してきたドイツ調教馬。ドイツ調教馬の凱旋門賞勝利は1975年のStar Appeal、2011年のDanedreamに続く3頭目。

・レース後、Tarnawa(2着)のD K Weld師は「昨夜雨が降らなかったら彼女が勝ったと正直に信じている」とコメント。Adayar(4着)のCharlie Appleby師は「来年、まともな馬場に戻ると、この馬が10F~12Fの間でトップにいるのを見る事が出来ます」とコメント。両調教師とも馬場に言及しており、「運」に恵まれないと勝てないレースと改めて思い知らされる結果となっている。Snowfall(6着)のRyan Moore騎手は「Snowfallは順調だった。少しがっかりしたが彼女は悪いレースをしていなかった」とコメント。

・父のAdlerflugは2004年独国産のIn The Wings産駒。現役時は11戦4勝、ドイチェスダービー(7馬身差での勝利)、ドイツ賞(現ベルリン大賞)の2つのG1に勝利。祖母のAlyaはUrban Sea、キングズベストを輩出したAllegrettaの全妹になる名門牝系の出身。本馬以外の主な産駒に昨年のドイチェスダービー馬で凱旋門賞2着のIn SwoopIquitos(独G1を3勝)、Lacazar(独オークス)、Ito(バイエルン大賞)など。残念ながら今年4月に17歳で急死している

・母のTijuanaは2011年ドイツ産。父と同じ牝系の出身で、4代母がAllegretta(Urban Sea、キングズベストの母)。Torquator TassoはAlyaの母・Anatevkaの4×5の牝馬クロスを持つ馬で、言い換えるとAlyaとAllegrettaの全姉妹の3×4のクロスが発生している血統構成

・母父のToylsomeは1999年英国産のCadeaux Genereux産駒。現役時は36戦16勝、G1-フォレ賞、G3-ベルリン大賞の勝ち馬で他にドイツのリステッドを9勝。父としてはこれまでに目立った産駒は残しておらず、母父としてもTorquator Tasso以外に目ぼしい産駒は残せていない。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2021-10-03/794437

Prix de l’Opera Longines(G1・芝2000m・3歳以上牝馬)

・オペラ賞は、絶好の手応えで番手から1番人気のAudaryaが抜け出しを図るもラストでバテてしまい、直線を後ろから3頭目で回った人気薄のRougirが大外一気の差し切り勝ちをおさめている。日本調教馬のディープインパクト産駒・イカットは13着。

1着:Rougir

牝3、父・Territories、母・Summer Moon、母父・Elusive City
調教師:Cedric Rossi、騎手:Maxime Guyon

・今回の勝利で通算13戦4勝、G1初制覇、重賞2勝目。昨年10/20の2歳G3-レゼルヴォワ賞(t1600m・馬場状態「Very Soft」)の勝ち馬で、以後、プールデッセデプーリッシュ(仏1000ギニー)8着、ディアヌ賞(仏オークス)5着、ロートシルト賞4着とG1ではソコソコの戦績だった馬。前走8/21のG2-ノネット賞(t2000m)をハナ差の2着とし、ここへ出走していた馬だが、ここでは単勝20倍超の人気に留まっていた。

・父のTerritoriesは2012年愛国産のInvincible Spirit産駒。現役時は13戦3勝、G1-ジャンプラ賞(t1600m)、G3-フォンテーヌブロー賞(t1600m)の勝ち馬で、英2000ギニー2着、ジャンリュックラガルデール賞2着、ジャックルマロワ賞2着。現3歳が1stクロップでRougirが唯一の重賞勝ち馬で、他にリステッド勝ち馬1頭を輩出。

・母のSummer Moonは2011年仏国産、7戦2勝。曽祖母まで遡ってもその子孫に重賞勝ち馬はおらず、至って地味な牝系の出身。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2021-10-03/794617

Prix de l’Abbaye de Longchamp Longines(G1・芝1000m・2歳以上)

・アベイドロンシャン賞は、ゴール前までAir De Valseの逃げ込み優勢だったが、鋭く伸びたA Case Of Youが猛追。最後は外から短頭差、差し切ったA Case Of Youが1着。

1着:A Case Of You

牡3、父・Hot Streak、母・Karjera、母父・Key Of Luck
調教師:Adrian McGuinness、騎手:Ronan Whelan

・今回の勝利で通算10戦5勝、G1初制覇、重賞3勝目。5/16のG3-ラッケンS(t5f205yds)に勝利し、6/18のロイヤルアスコットのG1-コモンウェルスC(t6f)に挑むも11着と大敗。その後、一息入れられ、8/8のG3-フェニックススプリントS(t6f)で3着→9/12のG1-フライングファイブ(t5f)で2着とし、ここへ出走していた馬。

・父のHot Streakは2011年愛国産のIffraaj産駒。現役時は18戦4勝、G2-テンプルS(t5f)、2歳G3-コーンウォリスS(t5f)の勝ち馬。他にミドルパークS2着、キングズスタンドS3着。現2歳まで3世代が稼働中で、A Case Of Youは唯一の産駒重賞勝ち馬

・母のKarjeraは2008年愛国産、7戦未勝利。母父のKey Of Luckは1991年米国産のChief’s Crown産駒。現役時は17戦6勝、G3-アランベール賞(t1000m)、Listed-ドバイデューティフリー(d2000m)、Listed-クリテリウム・ド・エヴリ(t1200m)の勝ち馬。父としてAlamshar(キングジョージ、愛ダービー)を輩出。母父として優秀な成績を残しており、Phoenix Of Spain(愛2000ギニー)、Society Rock(ゴールデンジュビリーS、スプリントC)、Slade Power(ジュライC、ダイヤモンドジュビリーS)を輩出

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2021-10-03/794618

Qatar Prix de la Foret(G1・芝1400m・3歳以上)

・フォレ賞は、後方待機のゴドルフィンの青の帽子・Space Bluesが直線残り1fを切ってから豪脚を披露し、力の違いを見せつけるかのような内容で完勝。日本調教馬・エントシャイデンは積極的に好位につけ、直線に入っても最後までバテずに頑張り、見せ場十分の好内容で大健闘の3着。

1着:Space Blues

牡5、父・Dubawi、母・Miss Lucifer、母父・Noverre
調教師:Charlie Appleby、騎手:William Buick

・今回の勝利で通算18戦10勝、G1・2勝目、重賞5勝目。4連勝で昨年8/9のG1-モーリスドゲスト賞(t1300m)に勝利。今年は2/20のstc1351ターフスプリント(t1351m)で1着→3/27のG1-アルクォーツスプリント(t1200m)で9着→7/27のG2-レノックスS(t7f)で4着→8/21のG2-シティオブヨークS(t7f)で1着とし、ここへ出走していた馬。

・父のDubawiは2002年愛国産のDubai Millennium産駒。現役時は8戦5勝、ジャックルマロワ賞(t1600m)、アイリッシュ2000ギニー(t8f)、ナショナルS(t7f)の3つのG1を含む重賞4勝。今年はLord Northがドバイターフ、Albahrがサマーターフに勝利しており、今回の勝利で今年3頭目のG1馬を輩出。TDNによる今年の欧州サイアーランキングは3位で、今年は20頭の重賞勝ち馬を輩出中(出走馬の6.49%が重賞勝ち)。この頭数、比率はFrankel、Galileoらを凌ぎ欧州トップ。

母のMiss Luciferは2004年仏国産、11戦3勝、英G2-チャレンジS(t7f)、L-オクトーバーS(t7f)の勝ち馬。半姉のShuruq(父・Elusive Quality)はマクトゥームチャレンジラウンド1、UAEオークスなど重賞4勝。近親にChachamaidee(愛メイトロンS)、Virginia Waters(英1000ギニー)。尚、父のDubawiも同牝系に属するため、本馬はSunbitternの4×5の牝馬クロスが発生している

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2021-10-03/794619

Qatar Prix Marcel Boussac – Criterium des Pouliches(G1・芝1600m・2歳牝馬)

・マルセルブサック賞は、道中後ろから2頭目を追走していたZellieが直線インを強襲。先に抜け出しかけていたTimes Squareを内から抜き去って1着。

1着:Zellie

牝2、父・Wootton Bassett、母・Sarai、母父・Nathaniel
調教師:A Fabre、騎手:Oisin Murphy

・今回の勝利で通算6戦4勝、重賞初制覇。5/18にデビュー後、3連勝で7/11のListed-Roland de Chambure(t1400m)に勝利(馬場状態「Very Soft」)。その後、8/3のG3-シックスパーフェクションズ賞(t1400m)で2着→9/9のG3-オマール賞(t1600m)で2着とし、ここへ出走していた馬。

・父のWootton Bassettは2008年英国産のIffraaj産駒。現役時は9戦5勝、仏2歳G1-ジャンリュックラガルデール賞の勝ち馬。初年度産駒(23頭)からチャンピオンホース・Almanzor(英チャンピオンS、愛チャンピオンS、ジョッケクルブ賞の3つのG1を含む重賞5勝)を輩出し、Almanzorの活躍前に安い種付料で種付けされ産まれた世代から、Audarya(BCフィリー&メアターフ、ジャンロマネ賞)、Wooded(アベイドロンシャン賞)が出現。Almanzorが活躍した翌年に種付されて2018年に産まれた現3歳世代からもIncarville(サンタラリ賞)が出て、2歳世代からも本馬がG1を勝ち、これで5頭目のG1馬を輩出。これまで7世代が稼働中で、5頭のG1馬の他に10頭の重賞勝ち馬、10頭のリステッド勝ち馬を輩出中。今年の種付料は昨年の2.5倍になる10万ユーロ。

・母のSaraiは2014年英国産、未出走。伯母のSpeciosaはG1-英1000ギニー、2歳G2-ロックフェルS、G3-ネルグウィンSの勝ち馬。母の叔母・Prideは英チャンピオンS、香港カップ、サンクルー大賞の3つのG1を含む重賞8勝。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2021-10-03/794615

Qatar Prix Jean-Luc Lagardere(G1・芝1400m・2歳+せん馬不可)

・ジャンリュックラガルデール賞は、ゴドルフィンのNoble Truthがハナを切り、ゴール前まで逃げ込み態勢に入っていたが、道中ずっとインで脚を溜めていたAngel Bleuが忍び寄り、ゴール前で捕らえて差し切り勝ち。

1着:Angel Bleu

牡2、父・Dark Angel、母・Cercle De La Vie、母父・Galileo
調教師:Ralph Beckett、騎手:Frankie Dettori

・今回の勝利で通算7戦4勝、G1初制覇、重賞2勝目。ロイヤルアスコットのG2-コヴェントリーS(t6f)では13着と大敗するも、以後、7/24のListed-パットエデリーS(t7f)で2着→7/27のG2-ヴィンテージS(t7f)で1着とし、ここへ出走していた馬。

・父のDark Angelは2005年愛国産のAcclamation産駒。現役時は2歳時にのみ稼働し9戦4勝、英2歳G1-ミドルパークS(6f)、英2歳G2-ミルリーフS(6f8yds)の勝ち馬。Battaash(ナンソープS2勝、キングズスタンドS、アベイドロンシャン賞)、Harry Angel(スプリントC、ジュライC)、Lethal Force(ジュライC、ダイヤモンドジュビリーS)、Mecca’s Angel(ナンソープS2勝)などの優良スプリンターを輩出中。今年はAlthiqa(ダイアナS、ジャストアゲームS)、Raging Bull(メイカーズ46マイルS)がG1制覇。現2歳まで11世代が稼働中で、Angel Bleuは9頭目の産駒G1馬となる。

・母のCercle De La Vieは2014年愛国産、3戦未勝利。伯父のHighland Reelはキングジョージ、BCターフ、香港ヴァーズなど世界を股にかけて7つのG1タイトルを獲得した名馬。伯父のIdaho、叔父のCape of Good Hope、Nobel Prizeは全て重賞勝ち馬。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2021-10-03/794616