2021 ブリティッシュチャンピオンズデー・レース結果

現地時間10/16(土)に英アスコット競馬場にて開催された今年のブリティッシュチャンピオンズデーの各レースの結果と動画をお届けする。

Qipco Champion Stakes (British Champions Middle Distance)(G1・芝1m1f212y・3歳以上)

・Addeybbがハナを切り、番手にAdayar、この後ろにSealiwayとFoxes Talesが付けて、Mishriffはさらに後ろの3列目の外につける展開。4角手前で早くもAdayarが先頭に立ち、Mishriffも4番手まで上昇して直線へ。残り2fを切った辺りでSealiwayが先頭に立ち、外からMishriffが接近するも脚色が怪しく、最後はDubai Honourが伸びてくるも、最後までSealiwayが頑張り切って1着。2着にDubai Honour、3着にMac Swiney。Mishriffは4着。

1着:Sealiway

牡3、父・Galiway、母・Kensea、母父・Kendargent
調教師:Cedric Rossi、騎手:Mickael Barzalona

・今回の勝利で通算12戦5勝、G1・2勝目。フランス産。昨年10/4の2歳G1-ジャンリュックラガルデール賞(t1400m・馬場状態「Heavy」)の勝ち馬で、今年6/6の仏G1-ジョッケクルブ賞(仏ダービー・t2100m・馬場状態「Soft」)でSt Mark’s Basilicaの2着。休み明けだった前走10/3の仏G1-凱旋門賞(t2400m・馬場状態「Heavy」)は単勝59倍の人気薄だったが好内容の5着とし、重い馬場への適性を改めて示してここへ臨んでいた馬。これまでのフランスでの戦績からアスコットの重い馬場への適性はいかにも高そうな馬で、ここも5番人気に推されてはいたが、並み居る実績馬をまとめて負かす殊勲の勝利をあげている。

・父のGaliwayは2011年英国産のGalileo産駒。現役時は6戦2勝、L-ルファビュルー賞(t1800m)の勝ち馬で、英2歳G3-ホリスヒルS2着、仏G3-フォンテーヌブロー賞3着。これまでに現2歳までの3世代が稼働中で、本馬(2ndクロップ)、Esope(2ndクロップ・G3-リューテス賞)、Kenway(1stクロップ・G3-ラロシェット賞)の3頭の重賞勝ち馬、4頭のリステッド勝ち馬を輩出中昨日時点で今年は39頭の産駒が出走し、ブラックタイプ勝ち馬が5頭(12.82%)も出ており、異例のパーセンテージを示している(※ちなみにDubawiは11.50%、Frankelは8.46%)。フランスにて供用中で供用初年度の2016年は3000ユーロだった種付料は今年は前年のSealiwayのジャンリュックラガルデール賞勝ちもあり、1万2000ユーロへ上昇しており、評価急騰中。

・母のKenseaは2010年仏国産、11戦2勝、L-ヘロド賞(t1400m)の勝ち馬。

・父のGaliwayの祖母・Blushing Awayは、Sealiwayの祖母の父・Gold Awayの母でもあり、Blushing Awayの3×4の牝馬クロスが発生している血統構成

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2021-10-16/789169

Queen Elizabeth II Stakes (Sponsored By Qipco)(G1・芝1m(Str)・3歳以上)(British Champions Mile)

・Palace Pierは4番手につけ、その後ろにBaaeedがPalace Pierを見る位置につける展開。道中しきりにデットーリが左後方のBaaeedを確認する仕草を見せながら、満を持して仕掛けると、Baaeedも同様に仕掛けられ、最後は人気両馬の一騎打ちに。前を行くThe Revenantに猛然と襲い掛かるPalace Pierの脚も素晴らしかったが、これを上回ったのがBaaeedの末脚。一気に外からPalace Pierを交わし、最後はクビ差抜け出したBaaeedが1着。2着にPalace Pier。

1着:Baaeed

牡3、父・Sea The Stars、母・Aghareed、母父・Kingmambo
調教師:William Haggas、騎手:Jim Crowley

・今回の勝利で通算6戦6勝G1・2勝目、重賞3勝目。今年6/7にデビューして以降、3戦目のL-サーヘンリーセシルS(t8f)を4馬身差で勝利し、4戦目のG3-サラブレッドS(t8f)を6馬身半差で勝利し、5戦目のG1-モーリスドゲスト賞(t1600m)を1馬身1/4差で勝利。デビュー5連勝でここへ出走していた馬。Palace Pierとの真っ向勝負を制し、これで完全に世代交代を果たし、新たなマイル王の座に就いたと言えそうである。この馬に土をつける馬が出てくるのか、出てくるとしてそれはどの馬なのか、が今後の欧州マイル路線の注目点となる。

・レース後、Jim Crowley騎手は「彼はワールドチャンピオンになれると思う」「彼はまさにビーストです」とコメント。

・父のSea The Starsは2006年愛国産のCape Cross産駒。現役時は9戦8勝、凱旋門賞、アイリッシュチャンピオンS、インターナショナルS、エクリプスS、英ダービー、英2000ギニーの6つのG1を含む重賞7勝。今年は本馬Teona(ヴェルメイユ賞)の2頭のG1馬を出し、TDNによる昨日までの欧州サイアーランキング9位。14頭が重賞勝ち馬となり、21頭がブラックタイプ勝ち馬となっている。

・母のAghareedは2009年米国産、5戦2勝、パリロンシャンでのListed-リアンクール賞(芝2000m)の勝ち馬。祖母のLahudoodはG1-BCフィリー&メアターフ、G1-フラワーボウル招待Sの勝ち馬。Baaeedの全兄・Hukumは英G3-ジェフリーフリアS(2勝・13.5f)、英G3-ジョンスミスシルヴァーカップS(14f)、英G3-カンバーランドロッジS(12f)に勝利している現役馬。

・父・Sea The Stars、母父・Kingmamboの配合はMr. Prospectorの4×3のクロスが発生するもので、Baaeedの他にガネー賞など重賞6勝、凱旋門賞2着などG1戦線で活躍したCloth of Starsもこの配合。尚、Baaeedは4代母の父もMr. Prospectorのため、クロスが4×3×5になる。

・レース後、John Gosden師はPalace Pierについて、「おそらく今回が彼のラストレースになる」とコメント。Palace Pierはこれで通算成績11戦9勝、G1・5勝、重賞6勝。敗れた2回は昨年と今年のクイーンエリザベス2世Sのみ、という大変立派な戦績を残して、ターフを去り、今後はKingmanの後継種牡馬という重責を担うこととなる。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2021-10-16/789170

Qipco British Champions Fillies & Mares Stakes(G1・芝1m3f211y・3歳上牝馬)(British Champions Series)

・注目のSnowfallは中団やや後方からレースを運び、直線勝負に持ち込むも、好位から先に抜け出していたMuhaarar産駒の2頭、EshaadaとAlbafloraを捕らえることが出来ず3着まで。ヴェルメイユ賞で2着に敗れた時点で既に調子落ちだった印象で2カ月前のヨークシャーオークスでは圧勝していた2頭の前に敗れている。1着は3歳馬のEshaada、2着は4歳馬のAlbaflora。

1着:Eshaada

牝3、父・Muhaarar、母・Muhawalah、母父・Nayef
調教師:Roger Varian、騎手:Jim Crowley

・今回の勝利で通算5戦3勝、重賞初制覇。昨年11/4のデビュー戦(t1m75yds)1着→今年5/15のL-フィリーズトライアルS(t1m2f)1着→6/17のロイヤルアスコットでのG2-リブルスデイルS(t1m3f211yds)2着→8/19のG1-ヨークシャーオークス(t1m3f188yds)7着、としここへ出走していた馬。アスコットでの実績はある馬だが、前走がシンガリ負けでは、ここで単勝オッズ17倍の評価に留まったのは無理もないところ。

・父のMuhaararは2012年英国産のOasis Dream産駒。現役時は11戦7勝、ブリティッシュチャンピオンズスプリントS、モーリスドゲスト賞、ジュライC、コモンウェルスCの4つのG1を含む重賞6勝。現2歳までの3世代が稼働中で、Eshaadaは初の産駒G1馬となる。他に2頭の重賞勝ち馬、3頭のリステッド勝ち馬を輩出中。今年の種付料は1万ポンド。

・母のMuhawalahは2011年愛国産、6戦1勝で、G1-ジャックルマロワ賞、G1-ジャンプラ賞、G3-フォンテーヌブロー賞の勝ち馬・Tamayuzの全妹になる良血馬。甥に昨年のG1-アイリッシュダービー、G2-クイーンズヴァーズの勝ち馬・Santiago。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2021-10-16/789171

Qipco British Champions Sprint Stakes(G1・芝6f・3歳以上)(British Champions Series)

・昨年の覇者で今年のダイヤモンドジュビリーS2着のGlen Shielがハナを切る展開。この後ろにつけたゴドルフィンのCreative Forceが残り2fを切る辺りで前を捕らえにかかり、残り1fで先頭に立つとそのまま後続の追撃を抑え込み、Creative Forceが1着。2着に逃げ残ったGlen Shiel。

1着:Creative Force

せん3、父・Dubawi、母・Choose Me、母父・Choisir
調教師:Charlie Appleby、騎手:William Buick

・今回の勝利で通算10戦6勝、G1初制覇、重賞2勝目。2歳時に去勢され、去勢明けの今季は4連勝で6/19のロイヤルアスコットでのG3-ジャージーS(t7f)を制覇。その後はG1-ジュライC5着(勝ち馬から2馬身差)→G2-レノックスS2着(勝ち馬からクビ差)→G1-スプリントC6着(勝ち馬から3馬身差)とし、ここへ出走していた馬。大負けすることなく常にソコソコの勝負はしてきており、実績のあるアスコットで遂にG1勝ち。

・父のDubawiは2002年愛国産のDubai Millennium産駒。現役時は8戦5勝、ジャックルマロワ賞(t1600m)、アイリッシュ2000ギニー(t8f)、ナショナルS(t7f)の3つのG1を含む重賞4勝。今年はLord Northがドバイターフ、Albahrがサマーターフ、Space Bluesがフォレ賞に勝利しており、今回の勝利で今年4頭目のG1馬を輩出。

・母のChoose Meは2006年愛国産、28戦4勝、L-フェアリーブリッジS(t7f100yds)の勝ち馬。Creative Forceの半姉・PersuasiveはG1-クイーンエリザベス2世S、G3-アタランタフィリーズSの勝ち馬。4代母のCairn Rougeは英チャンピオンS、アイリッシュ1000ギニー、コロネーションSの勝ち馬で。皐月賞馬・エポカドーロの4代母でもある。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2021-10-16/789172

Qipco British Champions Long Distance Cup(G2・芝1m7f209y・3歳以上)(British Champions Series)

・道中は1番人気のTrueshanが中団待機、2番人気のStradivariusは後ろから2頭目につける展開。4角手前にかけてTrueshanが外から先頭にならびかけると、Stradivariusも外を通って上昇開始。早め先頭のTrueshanが押し切りを図ろうとするところへ外からStradivariusが接近するも、並ぶまでには至らず、Trueshanが1着。2着に人気薄のTashkhan、3着にStradivarius。

1着:Trueshan

せん5、父・Planteur、母・Shao Line、母父・General Holme
調教師:Alan King、騎手:Hollie Doyle

・今回の勝利で通算16戦10勝、重賞4勝目。フランス産。今までの3つの重賞勝ちは昨年のG2-ブリティッシュチャンピオンズロングディスタンスC(馬場状態「Soft」)、今年7/27のG1-グッドウッドC(馬場状態「Soft」)、前走10/2のG1-カドラン賞(馬場状態「Very Soft」)と渋った馬場でのもので、今回も馬場状態が焦点となっていたが、「Good To Soft」での競馬となっていた。3年連続でカルティエ賞最優秀ステイヤーの座に就き、長きに渡り欧州長距離路線を平定してきたStradivariusに、この馬場で4馬身の決定的な差をつけての勝利で、王位の座が完全に移行したといって良さそうである。ゴールドCでStradivariusの4連覇を阻止したSubjectivistがその後、戦線復帰出来ておらず、欧州長距離路線においてはTrueshanの時代が今後は続いていくことになりそうである。

・父のPlanteurは2007年愛国産のDanehill Dancer産駒。現役時は24戦7勝、G1-ガネー賞の勝ち馬で他に重賞3勝、ジョッケクルブ賞、イスパーン賞、パリ大賞などG1での2着が4回、ドバイワールドカップでの3着が2回。現2歳まで5世代が稼働中で、2ndクロップのTrueshanが唯一の産駒重賞勝ち馬。他にリステッド勝ち馬を5頭、重賞入着馬を2頭、リステッド入着馬を3頭輩出中。今年の種付料は3000ポンド。

・母のShao Lineは1998年仏国産、13戦2勝(2300m、2400m)。牝系は曽祖母まで遡っても仔や孫、曾孫から重賞勝ち馬が出ておらず、至って地味。母父のGeneral Holmeは1979年米国産、現役時は仏重賞4勝。Hyperion直系の種牡馬で、父として仏英で重賞3勝のRon’s Victoryなどを輩出。

・レース後、Stradivariusの引退の可能性について問われたJohn Gosden師は「レース後は元気そうで、決定までには少なくとも1週間かかる。言い換えれば彼の状態を数日見たいと思っている」「彼は非常に表現力豊かなキャラクターです。彼は私たちに教えてくれます」とコメント。時代を築いた偉大な「star stayer」の今後が気になるところだがどうなるか。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/2/ascot/2021-10-16/789173