現地時間11/5(金)に米デルマー競馬場にて開幕した今年のブリーダーズカップ。本稿では初日「フューチャーズスターズフライデー」に行われた4つのG1レースと1つのG2レースの結果と動画をお届けする。
Breeders’ Cup Juvenile Turf(G1・芝8f・2歳牡馬&せん馬)
・最内枠発走のゴドルフィンのModern Gamesはインの6番手を追走。直線で大外に持ち出されると見事な瞬発力を発揮。一気に抜け出して快勝。
・Albahrがゲート内で暴れたために出走取消。同厩、同馬主のModern Gamesもいったんは競走除外となるも、最終的には賞金のためだけの出走が認められての出走となる異例の事態となっている。Modern Gamesの馬券は払戻となっており(レース映像のオッズ欄が「SCR(Scratch)」となっている)、2着入線のTiz The Bombを管理するKenneth McPeek師は「私はパリミチュエルの勝者だ」とコメント。若干後味の悪い結果となっている。
1着:Modern Games
牡2、父・Dubawi、母・Modern Ideals、母父・New Approach
調教師:Charlie Appleby、騎手:William Buick
・今回の勝利で通算6戦4勝、G1初制覇、重賞2勝目。7/1にデビューし5着→1着→2着→1着。5戦目の前走9/23のG3-サマーヴィルタタソールS(t7f)で2着に2馬身半差をつけて重賞初勝利を果たし、ここへ出走していた馬。
・父のDubawiは2002年愛国産のDubai Millennium産駒。現役時は8戦5勝、ジャックルマロワ賞(t1600m)、アイリッシュ2000ギニー(t8f)、ナショナルS(t7f)の3つのG1を含む重賞4勝。今年はLord Northがドバイターフ、Albahrがサマーターフ、Space Bluesがフォレ賞、Creative ForceがブリティッシュチャンピオンズスプリントSに勝利しており、今回の勝利で今年5頭目のG1馬を輩出。2日目のマイルにはSpace Bluesが出走予定でゴドルフィンのDubawi産駒の勝利が続くかどうか。
・母のModern Idealsは2010年英国産、1戦未勝利。叔父のUltraは仏2歳G1-ジャンリュックラガルデール賞の勝ち馬。伯母のSynopsisは仏G3-ミネルヴ賞の勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/444/del-mar/2021-11-06/797350
TVG Breeders’ Cup Juvenile presented by Thoroughbred Aftercare Alliance(G1・ダ8.5f・2歳牡馬&せん馬)
・大外枠発走の1番人気・Cornicheがダッシュを効かせて1角先頭で通過。しっかりと自分の形に持ち込み、直線も危なげなく後続を抑え込み完勝。2着は好位から粘り込んだPappacap。最内枠発走の日本調教馬・ジャスパーグレイトは先手争いで付いていけず1角をほぼ最後方で通過。終始後方のまま流れ込んでの10着。
1着:Corniche
牡2、父・Quality Road、母・Wasted Tears、母父・Najran
調教師:Bob Baffert、騎手:Mike E Smith
・今回の勝利で通算3戦3勝、G1・2勝目。9/5のデルマーでのメイドン(d5.5f)で1着→10/2のサンタアニタでのG1-アメリカンファラオS(d8.5f)で1着とし、ここへ1番人気で出走していた馬。前走のアメリカンファラオSと同じくGun Runner産駒・Pappacapとのワンツー決着。
・アメリカンファラオS勝利時にも触れたが、Bob Baffert師の管理馬はロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーのポイントを得る資格が無いとチャーチルダウンズ社より発表されており、Cornicheは今のままではどれだけ勝ってもケンタッキーダービーには出走することが出来ない状況。来年のサンタアニタダービー辺りの前に転厩してポイントを獲って本番へ出走。レース後にBob Baffert厩舎へ戻る、といったような形で問題を処理していく他なさそうだが、果たしてどうなるか。
・父のQuality Roadは2006年米国産のElusive Quality産駒。現役時は13戦8勝、ドンH(9f・レコード勝ち)、フロリダダービー(9f・レコード勝ち)、ウッドワードS(9f)、メトロポリタンH(8f)の4つのG1を含む重賞7勝。主な産駒にCity of Light(ペガサスワールドC、BCダートマイル等)、Abel Tasman(ケンタッキーオークス、エイコーンS等)。現在、8世代が稼働中でCornicheを含む12頭のG1馬を輩出中。TDNによる現時点の北米サイアーランキング15位。今年の種付料は15万米ドル。
・母のWasted Tearsは2005年米国産、22戦12勝、G2-ジェニーワイリーSなど米重賞6勝の活躍馬でG1-メイトリアークS2着。母父のNajranは1999年米国産のRunaway Groom(その父・Blushing Groom)産駒。G3-フィーニクスBCステークス、G3-ウエストチェスターHの勝ち馬。Wasted Tearsが父として輩出した代表産駒。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/444/del-mar/2021-11-05/797349
Breeders’ Cup Juvenile Fillies Turf(G1・芝8f・2歳牝馬)
・3角通過時は後ろから2頭目にいたPizza Biancaが直線で内に切れ込みイン強襲。先団をうまくさばいて先頭まで突き抜ける競馬で追い込み勝ち。アメリカの小回りコースではなかなかお目にかかれない勝ち方。
1着:Pizza Bianca
牝2、父・Fastnet Rock、母・White Hot、母父・Galileo
調教師:Christophe Clement、騎手:Jose L Ortiz
・今回の勝利で通算3戦2勝、重賞初制覇。7/22のサラトガでのメイドン(t8.5f)で1着→9/19のウッドバインでの加G1-ナタルマS(t8f)で2着とし、ここへ出走していた馬。
・レース動画にも青のスーツを着て映っていたオーナーブリーダーのBobby Flay氏は過去に料理の鉄人にも出演したことがあるアメリカの著名な料理人。ブリーダーズカップ取締役会のメンバー。
・父のFastnet Rockは2001年豪州産のデインヒル産駒。現役時は19戦6勝、オークリープレート(芝1100m)、ライトニングS(芝1000m)の2つのG1を含む重賞6勝。2011-2012年、2014-2015年の2期に渡り全豪リーディングサイアーとなり、シャトル種牡馬としてアイルランドのクールモアスタッドでも供用されたため、欧州でもFascinating Rock(英チャンピオンSなど)、Qualify(英オークス)などの活躍馬を輩出してきた大種牡馬。本馬は42頭目の産駒G1馬となる。ちなみに42頭のG1馬の内、母父が本馬と同じGalileoの産駒は9頭いる。
・母のWhite Hotは2013年愛国産、未出走。伯父のPour Moiは英G1-英ダービー、仏G2-グレフュール賞の勝ち馬。伯母のGagnoaは仏G3-ペネロープ賞、仏G3-レゼルヴォワ賞の勝ち馬で、産駒のEtoile、Ancient Romeは共に重賞勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/444/del-mar/2021-11-05/797348
Netjets Breeders’ Cup Juvenile Fillies(G1・ダ8.5f・2歳牝馬)
・大外から飛び出した6番・Echo Zuluが注文通りハナに立ち、レースを制圧。直線早々に勝負を決め、最後は鞍上が持ったままでゴール。着差以上に2着以下との差を感じさせる凄みのある勝利。
1着:Echo Zulu
牝2、父・Gun Runner、母・Letgomyecho、母父・Menifee
調教師:Steven Asmussen、騎手:Joel Rosario
・今回の勝利で通算4戦4勝、G1・3勝目。7/15のサラトガでのメイドン(d5.5f)→9/5のサラトガでのG1-スピナウェイS(d7f)→10/3のベルモントパークでのG1-フリゼットS(d8f)とデビュー3連勝を果たし、ここへ1番人気で出走していた馬。3つのG1で2着につけた着差が4馬身→7馬身1/4→5馬身1/4と圧勝続きで、来年以降が大変楽しみな存在。
・父のGun Runnerは2013年米国産のCandy Ride産駒。現役時は19戦12勝、BCクラシック、ペガサスワールドC、ウッドワードS、ホイットニーS、スティーヴンフォスターH、クラークHの6つのG1を含む重賞10勝。現2歳が1stクロップで既にGunite(ホープフルS)、本馬の2頭がG1勝ち。他にPappacap(ベストパルS・本日のBCジュヴェナイル2着)、Wicked Halo(アディロンダックS)がG2を勝っており、既に4頭の重賞勝ち馬を輩出中。現在、43頭がデビューし19頭が勝ち上がり(44.19%)。勝ち上がり率は同じ北米供用中の主な新種牡馬の中ではConnect(35.94%)、Caravaggio(30.67%)、Practical Joke(30.61%)、Classic Empire(29.79%)を大きく凌いでいる状況。
・母のLetgomyechoは2002年米国産、4戦3勝、G2-フォワードギャルSの勝ち馬。繁殖牝馬として優秀な成績をおさめており、本馬の半兄・J Boys EchoはG3-ゴーサムSの勝ち馬。本馬の半兄・Echo Town(父・Speightstown )はG1-H.アレンジェンケンスSの勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/444/del-mar/2021-11-05/797347
Breeders’ Cup Juvenile Turf Sprint(G2・芝5f・2歳)
・Wesley A Ward師の管理馬でNational Defense産駒のTwilight Gleaming(牝2)が逃げ切り勝ち。デビュー2戦目で勝ち上がり、この厩舎お得意の英国遠征を敢行。6/16のロイヤルアスコットのG2-クイーンメアリーS(t5f)に1番人気で出走し2着。その後、ドーヴィルへ転戦し、8/7のListed-ヴァレドージュ賞(芝1000m)を1着とし、ここへ出走していた馬。これでWesley A Ward師はこのレース3連覇達成。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/444/del-mar/2021-11-05/797346