コラム・新種牡馬評論【3】15年ぶりの好成績をおさめつつある新種牡馬たち

3回目となる今回も直近のデータを元に各新種牡馬の傾向を読み解いていく。11月はキタサンブラック、シルバーステートが初の重賞勝ち馬を輩出し、既に重賞勝ち馬を出しているドレフォンに並んでいる。今回も用いるデータは全てJRAでのものになるが、今回は地方での産駒動向にも簡単に触れつつまとめている。

概要

・新種牡馬3頭が重賞勝ち馬を輩出するのはかなり久々のことで、2006年以来、15年ぶり。2006年は2歳戦で4頭の重賞勝ち馬が計6つの重賞勝ちと新種牡馬産駒が大活躍した年で、サンデーサイレンスのラストクロップがデビューした2005年の翌年。今年の新種牡馬は重賞戦績においてこの年に比肩する好成績をここまでおさめているといえるが、ウオッカのように2歳G1を勝てる馬がいるかが今後の注目ポイントになる。

 参考:2006年に重賞勝ち馬を輩出した新種牡馬

 タニノギムレットウオッカ(阪神ジュベナイルフィリーズ)、ゴールドアグリ(新潟2歳S)
 アドマイヤコジーンアストンマーチャン(ファンタジーS、小倉2歳S)
 ジャングルポケットフサイチホウオー(東スポ杯2歳S、R-NIKKEI杯2歳S)

・次に11月末までの2歳戦成績を以下に改めてまとめる。ディープインパクトの29勝に次ぐ全体2位の24勝をあげているドレフォン産駒の活躍が目立っており、勝率(11.9%→13.5%)、連対率(20.7%→21.3%)ともに10月末までの数値より改善されている。シルバーステートとキタサンブラックは共に重賞勝ち馬を送り出しているが、全体的な数値はダウン。イスラボニータが勝率を10%超に伸ばしており、CPIで劣るシルバーステート、キタサンブラックとの差をジワジワ詰めており、注目される。

種牡馬1着数勝率連対率
ドレフォン2413.5%21.3%
シルバーステート1310.7%18.2%
キタサンブラック1318.1%26.4%
イスラボニータ1111.0%23.0%
アメリカンペイトリオット66.1%15.3%
サトノアラジン66.5%8.6%
ザファクター54.7%12.3%
コパノリッキー46.3%15.6%

・次に11月単月の成績を以下にまとめる。ドレフォンの8勝はディープインパクトの12勝に次ぐ全体2位の好成績。全体3位はドゥラメンテとモーリスの6勝。4勝をあげたイスラボニータも目立つ数字で、同じ4勝をあげた種牡馬にロードカナロア、ハーツクライ、キズナ、ホッコータルマエがいる。

種牡馬1着数2着数勝率連対率
ドレフォン8218.6%23.3%
イスラボニータ4314.8%25.9%
ザファクター3312.5%25.0%
アメリカンペイトリオット2411.1%33.3%
キタサンブラック2013.3%13.3%
ビッグアーサー124.3%13.0%
シルバーステート113.4%6.9%
コパノリッキー109.1%9.1%

11月に8勝をあげたドレフォン産駒

ドレフォン産駒の11月末までの芝、ダート別の成績

芝:9勝、2着6回、3着12回
勝率8.3%。連対率13.8%、複勝率24.8%

ダ:15勝、2着8回、3着3回
勝率21.7%、連対率33.3%、複勝率37.7%

・芝での9勝は新種牡馬の中ではシルバーステート(13勝)、キタサンブラック(11勝)に次ぐ3番目の勝利数でイスラボニータ(9勝)と同数。ダートの15勝は全体でもトップの勝利数。勝率、連対率、複勝率を見ると圧倒的にダート>芝の戦績となっており、数字だけを見ると先々はダートのチャンピオンサイアーも望める印象だが先回りし過ぎだろうか。

ドレフォン産駒の11月単月の芝、ダート別の成績

芝:2勝、2着2回、3着1回
勝率10.5%。連対率21.1%、複勝率26.3%

ダ:6勝、2着0回、3着2回
勝率25.0%、連対率25.0%、複勝率33.3%

11月の産駒成績は(8-2-3-30/43)11月の産駒勝率18.6%はディープインパクトの44.4%にはさすがに劣るが、ドゥラメンテ(10.2%)、モーリス(15.0%)、ロードカナロア(10.5%)、ハーツクライ(12.9%)、キズナ(11.1%)、エピファネイア(7.1%)を凌駕。芝ではディープインパクト産駒に食われてしまい(※ディープインパクト産駒は11月だけで全て芝で12勝)、勝率が伸びにくくなる上位種牡馬が多い中、これとほぼ被らないダートでの圧倒的な強さを背景に勝率を伸ばしてきたのがドレフォン産駒の実像といえる。

・以下に11月のドレフォン産駒の8勝の内訳を示す。尚、指数は競馬ブックのスピード指数になる。8勝中、ダート6勝、芝2勝。ダート優位の産駒傾向は11月も継続しており、ダートの未勝利戦を勝った4頭中、芝デビュー馬が3頭。芝デビューで頭打ち気味となり、ダート替りで勝ち上がるパターンも従来通り頻出している。

 ドレフォン産駒の11月の勝ち馬一覧

 11/06:新馬戦(阪神ダ1800):テーオードレフォン・指数72
 11/07:未勝利(阪神ダ1400):カラフルキューブ・指数75
 11/13:未勝利(東京芝1400):サーマルウインド・指数75
 11/14:未勝利(東京芝1600):スリールサンセール・指数70未満
 11/27:カトレア賞(東京ダ1600):コンシリエーレ・指数88
 11/27:未勝利(阪神ダ1800):フローラルビアンカ・指数70未満
 11/28:未勝利(阪神ダ1800):エルバリオ・指数70未満
 11/28:未勝利(阪神ダ1400):トーホウデュラン・指数75

・勝ち上がり組は芝ではオルコスがファンタジーSで6着、カワキタレブリーがデイリー杯2歳Sで3着、ウナギノボリがデイリー杯2歳Sで7着。ダートではコンシリエーレがカトレア賞で1着。コンシリエーレについては後述するが、芝ではカワキタレブリーが函館芝1200での新馬勝ち後、函館2歳S5着→クローバー賞3着→もみじS5着に続き、デイリー杯2歳Sでは最低人気だったが3着と健闘。これまでの5戦全て人気以上に走り、全て掲示板入り。存在としては大変渋いが馬主としては大変頼もしい存在。

・以下は11月末までのJRAでのダートの2歳戦成績をまとめたものになる。1着数、勝率ともにドレフォンが堂々のトップ。2歳ダート戦におけるヘニーヒューズの牙城はかなり堅牢なものがあり、2017年の日本供用後の1stクロップデビュー以降、首位の座を譲った事が無いのが現況。ここでドレフォンがヘニーヒューズの牙城を崩すことになると、ちょっとした事件になるが残り1か月、どうなるか。

種牡馬1着数2着数勝率連対率
ドレフォン15821.7%33.3%
ヘニーヒューズ141414.9%29.8%
シニスターミニスター12716.7%26.4%
ホッコータルマエ9710.5%18.6%
ディスクリートキャット7711.9%23.7%
キズナ6218.2%24.2%
エスポワールシチー5813.2%34.2%
マクフィ5313.9%22.2%

・カトレア賞を勝ったコンシリエーレはジオグリフに次ぐ2頭目のドレフォン産駒の2勝馬(いずれもノーザンファーム生産馬)。近年のカトレア賞(カトレアS)の勝ち馬が記録した競馬ブックスピード指数を以下に示すが、同じ良馬場で行われた昨年の勝ち馬・レモンポップと比べると劣るが、2018年のメイクハッピーの指数は上回っている。

馬場状態勝ち馬勝ち時計指数
2021コンシリエーレ1:38.088
2020レモンポップ1:36.493
2019デュードヴァン1:36.287
2018メイクハッピー1:38.386
2017ルッジェーロ1:38.281
2016モンサンレガーメ1:37.880
2015ラニ1:37.487

・コンシリエーレは12/15のJpn1-全日本2歳優駿(川崎ダ1600)に出走予定。JRA所属馬は以下の5頭が出走予定となっている。JRAで勝ち上がった時の競馬ブックスピード指数を併記してまとめているが、2勝目で記録した指数をみるとコンシリエーレがトップ。勝ち上がり時の指数トップはアイスジャイアント。

馬名勝ち上がりレース指数2勝目レース指数
アイスジャイアント中京ダ180080門別ダ1800
カイカノキセキ札幌芝100080
コンシリエーレ新潟ダ180077東京ダ160088
コンバスチョン東京ダ140074中京ダ140084
セキフウ阪神ダ140076阪神ダ140083

・兵庫ジュニアグランプリの1,2着馬(セキフウ、コンバスチョン)、JBC2歳優駿の1着馬(アイスジャイアント)が揃う大変興味深い一戦となりそうだが、2014年の関東オークスの勝ち馬・エスメラルディーナの半弟という血統背景からもコンシリエーレが川崎での大一番で躍動する可能性は少なくない印象。高いダート適性を示してきたドレフォン産駒に相応しいビッグタイトル獲得なるか。

・11/29時点の地方でのドレフォン産駒の成績は4頭が出走し2頭が勝ち上がり。AEIは1.66、CPIは0.17。

ウォーターナビレラが重賞勝ちをおさめたシルバーステート産駒

シルバーステート産駒の11月末までの芝、ダート別の成績

芝:13勝、2着8回、3着10回
勝率11.7%。連対率18.9%、複勝率27.9%

ダ:0勝、2着1回、3着0回
勝率0.0%、連対率10.0%、複勝率10.0%

・芝での13勝はディープインパクト(29勝)、ドゥラメンテ(20勝)、ロードカナロア(19勝)、エピファネイア(17勝)、ハービンジャー(16勝)、モーリス(15勝)に次ぐ7位タイ(※ハーツクライ、ダイワメジャーと同数)、新種牡馬ではトップの数字。勝率の11.7%はそれほど悪い数字ではなく、ドゥラメンテ(11.2%)、エピファネイア(10.8%)、モーリス(10.9%)、キズナ(9.6%)を凌駕している立派な数字。ダートは10回出走して2着1回のみ。

シルバーステート産駒の11月単月の芝、ダート別の成績

芝:1勝、2着1回、3着1回
勝率3.8%。連対率7.7%、複勝率11.5%

ダ:0勝、2着0回、3着0回
勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%

11月の産駒成績は(1-1-1-26/29)。唯一の勝利がウォーターナビレラの勝ったG3-ファンタジーS。2着1回は新馬戦(東京芝2000)でバトルボーンが記録したもので、3着1回は新馬戦(阪神芝2000)でトランソニックが記録。新馬戦ではそこそこ人気になることが多いが、以下のように大半は人気以下の着順と苦戦。

 シルバーステート産駒の11月の新馬戦成績

 11/07:新馬戦(福島芝1200):シルバーセレタ・5番人気→12着
 11/07:新馬戦(阪神芝2000):ジョウショーヘイロ・3番人気→7着
 11/07:新馬戦(阪神芝1200):ジェニーグロウ・3番人気→4着
 11/20:新馬牝(東京芝1600):タッカーシルバー・4番人気→5着
 11/20:新馬戦(阪神芝1400):シルバーブレッド・6番人気→10着
 11/21:新馬戦(東京芝2000):バトルボーン・2番人気→2着
 11/21:新馬戦(阪神芝2000):トランソニック・3番人気→3着
 11/28:新馬戦(阪神芝2000):ゼンノインヴォーク・1番人気→5着

・勝ち上がり組はウォーターナビレラ以外はベルウッドブラボーが京王杯2歳Sで9着(2番人気)、リトスが福島2歳Sで7着(8番人気)、コムストックロードが赤松賞で6着(3番人気)と苦杯続き。

・ウォーターナビレラがファンタジーSで記録した競馬ブックスピード指数は91(勝ち時計1:21.1)。昨年メイケイエールが記録した92(勝ち時計1:20.1)と比べると悪い指数ではなく、12/12の阪神ジュベナイルフィリーズも勝つようなことになると、父の評価はさらにうなぎ登りとなるが、果たして。

 2021年ファンタジーS
 前半3F:34.4 後半3F:35.2(ウォーターナビレラの上り3F:34.7)

 2020年ファンタジーS
 前半3F:34.1 後半3F:34.8(メイケイエールの上り3F:34.5)

・11/29時点の地方でのシルバーステート産駒の成績は15頭が出走し10頭が勝ち上がり。AEIは0.92、CPIは1.59。

イクイノックスが重賞勝ちをおさめたキタサンブラック産駒

キタサンブラック産駒の11月末までの芝、ダート別の成績

芝:11勝、2着5回、3着5回
勝率17.7%。連対率25.8%、複勝率33.9%

ダ:2勝、2着1回、3着2回
勝率20.0%、連対率30.0%、複勝率50.0%

・芝での11勝は全体10位、新種牡馬ではシルバーステートに次ぐ2位。勝率17.7%はディープインパクトの31.5%には劣るが、出走回数が少ない種牡馬を除くとほとんどの種牡馬に勝っている大変優秀な数字。ダートは出走回数が少なく、もう少し出走回数が多くなってからの数字を見たいところではあるが、今後の可能性を感じさせる好発進ぶりを示している。

キタサンブラック産駒の11月単月の芝、ダート別の成績

芝:2勝、2着0回、3着1回
勝率16.7%。連対率16.7%、複勝率25.0%

ダ:0勝、2着0回、3着0回
勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%

11月の産駒成績は(2-0-1-12/15)。イクイノックスがG2-東京スポーツ杯2歳S、ユキノエリザベスが新馬・牝(東京芝1600)に勝利。3着1回は未勝利戦(東京芝1600)でメトセラが記録。イクイノックス以外の勝ち上がり組の戦績はドグマがデイリー杯2歳Sで6着(5番人気)、サウンドクレアが黄菊賞で4着(3番人気)。

・イクイノックスはノーザンファーム天栄の木實谷場長が「ゲート試験合格後に天栄で1か月ほど調整を行ったのですが、速めの調教でも年長馬と互角の手応えで坂路を駆け上がってくることができる馬」「まだまだ良くなる余地は十分。どんな成長を見せてくれるのか楽しみでなりません。」(8/12・東京スポーツ「ノーザンファーム天栄発」より)」とデビュー前から好感触を表していた期待馬。ここまでの戦績は期待通りといったところだろう。

・以下に過去の良馬場で行われた東京スポーツ杯2歳Sの勝ち馬が記録した競馬ブックスピード指数等をまとめて示す。一昨年にコントレイルがマークした98.5は別格の指数だが、前半5F58.8秒のハイペースが寄与した面も大きい。今年の前半5Fは60.3秒。極端に高い指数は出にくいレースとなった中で、レース上り34.3秒を1.3秒上回る32.9秒を計時したラスト3Fの内容からもイクイノックスの指数はまずまずのものと評価出来そうである。尚、以下のリストの前半5F、上り3Fのラップタイムはレースラップになる。

馬名指数勝ち時計前半5F上り3F
2021イクイノックス90.81:46.260.334.3
2020ダノンザキッド92.31:47.560.534.3
2019コントレイル98.51:44.558.833.9
2018ニシノデイジー90.61:46.660.434.6
2017ワグネリアン93.41:46.658.535.8
2015スマートオーディン90.31:49.562.433.7
2014サトノクラウン86.91:47.960.334.9
2013イスラボニータ94.31:45.959.634.4
2012コディーノ94.21:46.058.434.5
2010サダムパテック85.91:47.360.135.2
2009ローズキングダム85.71:48.261.134.4
2008ナカヤマフェスタ81.41:47.761.034.3

・既に来年の種付料は今年の300万円から200万円アップの500万円(受胎確認後)と発表済みで、既に満口。配合相手の質は確実に上がるはずで、種牡馬としての成功の階段をまずは一歩踏み出しつつあるといえそうである。

キタサンブラックの種付料、種付頭数推移

年度種付料種付け頭数
2018500万円130頭
2019400万円110頭
2020400万円92頭
2021300万円102頭
2022500万円満口

・11/29時点の地方でのキタサンブラック産駒の成績は2頭が出走し1頭が勝ち上がり。AEIは2.07、CPIは0.76。勝ち上がった1頭は2019年のセレクトセール(当歳)で4104万円で取引されたウン(牡2)。6/24の門別の新馬戦(ダ1700)で1着→7/27の地方重賞・ブリーダーズゴールドジュニアC(ダ1700)で9着→8/14の札幌のOP・コスモス賞(芝1800)で4着。尚、ウンは今週土曜の中山・葉牡丹賞に特別登録済。

11月に4勝をあげ、絶好調のイスラボニータ産駒

イスラボニータ産駒の11月末までの芝、ダート別の成績

芝:9勝、2着12回、3着11回
勝率10.0%。連対率23.3%、複勝率35.6%

ダ:2勝、2着0回、3着0回
勝率20.0%、連対率20.0%、複勝率20.0%

・芝での9勝は全体12位(キズナ、ドレフォンと同じ数字)、新種牡馬ではシルバーステート、キタサンブラックに次ぐ3位タイ。芝での出走回数90回はキズナ(94回)と近い数字になるが、勝率、連対率、複勝率の全てでキズナを上回っているのは大健闘といえよう。ダートでの2勝はいずれも1200mでのものだが、勝ち馬の競馬ブックスピード指数は79(アイヴォリードレス)と77(アメトリーチェ)で優秀。両馬とも勝った後まだ使われていないが、今後が注目される存在。

イスラボニータ産駒の11月単月の芝、ダート別の成績

芝:4勝、2着3回、3着3回
勝率15.4%。連対率26.9%、複勝率38.5%

ダ:0勝、2着0回、3着0回
勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%

11月の産駒成績は(4-3-3-17/27)。ロードカナロア、ハーツクライ、キズナ、ホッコータルマエと並ぶ4勝は立派な数字と言える。複勝率37.0%も高い数字でドレフォン(30.2%)、ドゥラメンテ(32.2%)、モーリス(25.0%)、ロードカナロア(31.6%)、ハーツクライ(35.5%)、キズナ(33.3%)を凌駕。以下に競馬ブックスピード指数を併記の上、勝ち上がり馬をまとめている。

 イスラボニータ産駒の11月の勝ち上がり馬一覧

 11/06:未勝利(福島芝1200):スマイルアップ・指数74
 11/06:未勝利(阪神芝1600):トゥードジボン・指数76
 11/20:新馬戦(阪神芝1400):カイハオン・指数75
 11/27:未勝利(阪神芝1600):ハンス・指数78

・勝ち上がり組もニシノレバンテが福島2歳Sで2着プルパレイがデイリー杯2歳Sで4着と健闘し、中身は濃い。デイリー杯2歳Sのプルパレイは勝ったセリフォスから0.3秒差での4着。次走は朝日杯FSに行く模様で、セリフォスに先着するのは難しそうだが、持ち前の先行力を駆使してどこまで抵抗出来るか。尚、ニシノレバンテは来週の黒松賞(中山芝1200)に向かう模様。

・これまでの11勝の内、1200mで5勝(芝3、ダ2)、1600mで4勝(全て芝)、1400mで1勝(芝)、1800mで1勝(芝)。戦績からは芝マイル以下がイスラボニータ産駒の主戦場になるが、注目馬はこれまでの10頭の勝ち上がり馬の内、最も高い競馬ブックスピード指数79で10/2の中山ダ1200の新馬戦を勝ち上がったアイヴォリードレス(牝2)。社台コーポレーション白老ファーム産で、母父はクロフネ。関東オークスを勝ったカラフルデイズの半妹で伯父にG1-メトロポリタンH(d8f)の勝ち馬・Exciting Storyがいる牝系の出身。中山開催を待って2戦目を使われるようで、指数的に2勝目は早そうな印象。

・11/29時点の地方でのイスラボニータ産駒の成績は19頭が出走し6頭が勝ち上がり。AEIは0.88、CPIは0.88。

ビーアストニッシドが重賞2着したアメリカンペイトリオット産駒

アメリカンペイトリオット産駒の11月末までの芝、ダート別の成績

芝:5勝、2着7回、3着10回
勝率6.5%。連対率15.6%、複勝率28.6%

ダ:1勝、2着2回、3着3回
勝率4.8%、連対率14.3%、複勝率28.6%

・芝では2着、3着の多さが非常に目立つが、以下の事例を見ると新馬戦が天井で未勝利戦では成績を大幅に落とす産駒が多く、新馬戦2,3着の馬ですんなり未勝利戦を勝った馬は京都2歳S2着のビーアストニッシドのみ。2,3着の多さが必ずしも好材料にはならない印象。

 新馬戦で2,3着になったアメリカンペイトリオット産駒

 キルステン(新馬2着→未勝利5着→未勝利12着)
 サザンステート(新馬2着→未勝利15着)
 アメリカンスター(新馬2着)
 ロージーグロウ(新馬3着→未勝利12着)
 パウダリースノー(新馬3着→未勝利10着→未勝利14着→未勝利7着)
 イールテソーロ(新馬3着→未勝利9着→ひまわり賞3着→未勝利6着)
 コズミックフロスト(新馬3着→未勝利3着→未勝利5着→未勝利5着→未勝利8着)
 コロンバイン(新馬3着)
 ビーアストニッシド(新馬3着→未勝利1着→京都2歳S2着)

アメリカンペイトリオット産駒の11月単月の芝、ダート別の成績

芝:1勝、2着3回、3着1回
勝率8.3%。連対率33.3%、複勝率41.7%

ダ:1勝、2着1回、3着0回
勝率16.7%、連対率33.3%、複勝率33.3%

11月の産駒成績は(2-4-1-11/18)。勝ち上がり組の健闘が目立った1か月となり、ビーアストニッシドがG3-ラジオNIKKEI杯京都2歳S(阪神芝2000)で9番人気ながら逃げ粘り2着(1000m通過62.8秒の未勝利戦並みのラップで抗戦しての健闘)。ブレスレスリーが秋明菊賞(阪神芝1400)で7番人気で2着エテルナメンテがデュガの勝った500万下(東京芝1400)で6番人気で3着。以下に勝ち上がり馬をまとめているが、産駒の主戦場は芝のマイル以下になる。尚、以下の指数は競馬ブックスピード指数。

 アメリカンペイトリオット産駒の勝ち上がり馬一覧

 06/06:新馬戦(中京芝1400):ブレスレスリー・指数70未満
 08/01:新馬戦(新潟芝1600):ボンクラージュ・指数73
 10/24:未勝利(東京芝1400):エテルナメンテ・指数76
 10/30:未勝利(阪神芝1600):ビーアストニッシド・指数75
 11/21:未勝利(阪神ダ1800):ファンウワーズ・指数72
 11/27:未勝利(阪神芝1400):スピリットワールド・指数72

・11/29時点の地方でのアメリカンペイトリオット産駒の成績は25頭が出走し10頭が勝ち上がり。AEIは0.87、CPIは1.41。岩手のリュウノガルシアが盛岡の地方重賞・知床賞2着、若駒賞2着、ビギナーズC3着と健闘中。

11月に3勝をあげたザファクター産駒

ザファクター産駒の11月末までの芝、ダート別の成績

芝:1勝、2着3回、3着2回
勝率1.8%。連対率7.0%、複勝率10.5%

ダ:4勝、2着5回、3着3回
勝率8.2%、連対率18.4%、複勝率24.5%

ダートでの4勝はコパノリッキー、パイロ、キンシャサノキセキと同数。芝はまだ1勝のみだが、日本供用前に持ち込まれたザファクター産駒・サンノゼテソーロ(芝4勝)、ライバーバード(芝の2勝クラス勝ち)の存在を踏まえると、もう少しやれてもいい印象だが、ここまでの芝での戦績は惨憺たるもの。

ザファクター産駒の11月単月の芝、ダート別の成績

芝:1勝、2着0回、3着0回
勝率9.1%。連対率9.1%、複勝率9.1%

ダ:2勝、2着3回、3着0回
勝率15.4%、連対率38.5%、複勝率38.5%

11月の産駒成績は(3-3-0-18/24)。3勝は芝1勝、ダート2勝。2着3回は全てダート。10月末までは2勝しかあげていなかったのが、11月に入り一気に産駒が勝ち上がっている。以下に勝ち上がり馬をまとめているが、ダートが主戦場になる。尚、以下の指数は競馬ブックスピード指数。

 ザファクター産駒の勝ち上がり馬一覧

 07/10:未勝利(福島ダ1150):ナックドロップス・指数70
 10/16:新馬戦(阪神ダ1200):ゼットノヴァ・指数73
 11/06:新馬戦(東京ダ1300):モウショウ・指数70未満
 11/13:未勝利(東京芝1800):ショウナンマグマ・指数74
 11/21:未勝利(東京ダ1600):ミヤビクライ・指数70未満

・ナックドロップスは勝ち上がり後、ヤマボウシ賞(中京ダ1400)5着→Jpn3-エーデルワイス賞(門別ダ1200)5着。ゼットノヴァはダートの新馬戦で2着に3馬身半差をつけて逃げ切り勝ちし、2戦目は芝の秋明菊賞を使われて10着と大敗。ダートに戻ってどれくらい走れるか。唯一の芝での勝ち上がり馬・ショウナンマグマは今週土曜の葉牡丹賞に特別登録済。ディープインパクト産駒の有力馬が複数登録されており、出走した場合でも人気にはならなさそうだが、一発決められるか。

・11/29時点の地方でのザファクター産駒の成績は16頭が出走し10頭が勝ち上がり。AEIは1.25、CPIは1.22。キャッスルロックが南関東で2勝、ゴールドスノースウィートアローラが名古屋で2勝と健闘中。

地方での新種牡馬の産駒成績状況

・11/29時点の新種牡馬の地方での勝ち上がり頭数上位馬は以下の通り。コパノリッキー、ラニが勝ち上がり頭数TOP2

馬名出走頭数勝ち上がり頭数勝ち上がり率
コパノリッキー53頭20頭37.7%
ラニ38頭12頭31.6%
シルバーステート15頭10頭66.7%
ビッグアーサー16頭10頭62.5%
ザファクター16頭10頭62.5%
アメリカンペイトリオット25頭10頭40.0%

・コパノリッキーは収得賞金順の地方2歳サイアーランキングで5位だが、出走回数、出走頭数が抜けて多く、以下の数字を見ると中身の濃さでは現在1位のエスポワールシチーに劣る現況。ヘニーヒューズの驚異的な勝ち上がり率(16分の15=93.75%)は鬼の一語に尽きるが、今後、これらの猛者を相手にコパノリッキーが一流のダート種牡馬としての地位を築けるか、地方から大物を出せるか、要注目となりそうである。

収得賞金順位馬名出走回数出走頭数勝ち上がり頭数AEI
5位コパノリッキー241回53頭20頭0.81
1位エスポワールシチー242回50頭33頭1.62
2位ホッコータルマエ108回25頭17頭2.57
3位アジアエクスプレス168回43頭24頭1.42
4位ヘニーヒューズ62回16頭15頭3.26
6位フリオーソ216回46頭20頭0.88

※過去記事