2021 香港国際競走・レース結果

現地時間12/12(日)に香港シャティン競馬場にて行われた、G1-香港カップ(芝2000m)、G1-香港マイル(芝1600m)、G1-香港スプリント(芝1200m)、G1-香港ヴァーズ(芝2400m)のレース結果と動画をまとめてお届けする。

Longines Hong Kong Cup(G1・芝2000m・3歳以上)

・道中ラヴズオンリーユーは好位につけ、中団にRussian Emperor、後方にヒシイグアスがつける展開。直線で先にRussian Emperorが抜け出し、大外からヒシイグアスも迫る中、ラヴズオンリーユーは落ち着いて内を捌き、Russian Emperorとヒシイグアスの間を割って伸び、最後は短頭差交わし去り1着。

・気の利いた一文を添えた香港ジョッキークラブのtweetより。

1着:ラヴズオンリーユー

牝5、父・ディープインパクト、母・ラヴズオンリーミー、母父・Storm Cat
調教師:矢作芳人(栗東)、騎手:川田将雅

・今回の勝利で通算16戦8勝、G1・4勝目、重賞5勝目。デビュー4連勝でオークスを制するも4歳時は5戦未勝利とやや低迷。しかし5歳を迎えた今年は初戦の京都記念を制すると、ドバイシーマクラシック3着→クイーンエリザベス2世C1着→札幌記念2着→BCフィリー&メアターフ1着と充実著しい戦果を残し、引退レースとしてここへ臨んでいた。2017年のセレクトセールで1憶7280万円で取引され、DMMドリームクラブにて1口3.2万円で募集された馬。

今回の勝利でディープインパクト産駒の中で、本馬は獲得賞金でジェンティルドンナ、コントレイル、グランアレグリア、ヴィブロスに次ぐ5位に浮上。レース前には本馬の上にいたリアルスティールサトノダイヤモンド、フィエールマンを一気に抜き去ることとなり、現時点でディープインパクト産駒は獲得賞金上位5頭中、4頭が牝馬となっている。

・母のラヴズオンリーミーは2006年米国産、未出走。現役時はクールモアのMrs John Magnierの持ち馬だったが、2009年のキーンランド11月繁殖セールに、Danehill Dancerの仔を受胎した状態で上場され、吉田勝己氏が90万米ドルで落札。ノーザンファームにて繋養され、3番仔のリアルスティールがG1-ドバイターフ、G2-毎日王冠、G3-共同通信杯に勝利。ラヴズオンリーユーは7番仔

曽祖母が名牝・Miesqueという名門牝系出身。祖母のMonevassia(父・Mr. Prospector)はMiesqueの5番仔で、現役時は2戦未勝利(2着→4着)。1998年のキーンランド11月セールに、A.P. Indyの仔を受胎した状態で上場され、クールモアのJohn Magnier氏が175万米ドルで落札。Monevassiaが繁殖入り後、デインヒルを交配されて送り出したのが2005年のカルティエ賞最優秀2歳牝馬・Rumplestiltskin(マルセルブサック賞、モイグレアスタッドS)。ラヴズオンリーミーはRumplestiltskinの3歳下の半妹になる。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/416/sha-tin/2021-12-12/800183

Longines Hong Kong Mile(G1・芝1600m・3歳以上)

・注目のGolden Sixtyはいつもよりは前の中団やや後方を悠々と追走。直線は外に行こうとするもスペースが無く、馬群の中で進路を探す形を選択。若干ヒヤっとさせるも早々に首尾よく進路が確保されるといつも通りの鋭脚を発揮。あっという間に先頭に立ち、At The Racesが「Golden Sixty is a machine!」と形容する程の完勝。

・「The Pride of Hong Kong!」の一文と現地観衆の様子から、Golden Sixtyの香港での立ち位置がよく分かる一枚。

1着:Golden Sixty

せん6、父・Medaglia d’Oro、母・Gaudeamus、母父・Distorted Humor
調教師:K W Lui、騎手:C Y Ho

・今回の勝利で通算20戦19勝、G1・5勝目、重賞10勝目。これで2019年9月1日以降、継続中の16連勝達成。2019/2020シーズンに香港4歳3冠を達成し、2020/2021シーズンは始動戦から3連勝し、初のG1挑戦となった昨年12月の香港マイルでアドマイヤマーズ、Waikuku、Beauty Generationらを降し初G1制覇。その後、今年1月の香港スチュワーズC(芝1600m)→香港ゴールドC(芝2000m)→チャンピオンズマイル(芝1600m)→今回と無敵の快進撃が続き、香港マイル路線を平定中。この馬の前にこの路線を平定していたBeauty Generationが衰えだしたのが7歳で、3連覇がかかった7歳12月の香港マイルで3着と敗れているが、7歳で3連覇がかかるという全く同じ状況となる来年の香港マイルまで、この馬の天下が続いているかどうか、気が早いが注目される。

・父のMedaglia d’Oroは1999年米国産のEl Prado産駒。現役時は17戦8勝、ドンH(d9f)、ホイットニーH(d9f)、トラヴァーズS(d10f)の3つのG1を含む重賞7勝。主な産駒にRachel Alexandra(プリークネスS、ハスケル招待S、ウッドワードSなどG1・5勝)、Songbird(BCジュヴェナイルフィリーズ、CCAオークスなどG1・9勝)、タリスマニック(BCターフ)など。シャトル種牡馬として豪州でも供用されており、本馬の他にVancouver(ゴールデンスリッパー)、Crown Prosecutor(NZダービー)などのG1馬を輩出している。

母のGaudeamusは2004年米国産、現役時は11戦3勝、愛2歳G2-デビュータントS(t7f)の勝ち馬。曽祖母のKonafaを牝祖とする主な活躍馬にヘクタープロテクター(ジャックルマロワ賞、プールデッセデプーランなど)、シャンハイ(プールデッセデプーラン)、Bosra Sham(英チャンピオンS、英1000ギニーなど)、California Memory(香港カップ2勝、香港ゴールドC、香港チャンピオンズ&チャターC)などがいる牝系の出身。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/416/sha-tin/2021-12-12/800184

Longines Hong Kong Sprint(G1・芝1200m・3歳以上)

・4角手前で3番手を追走していたAmazing Starが前のめりになり転倒。現地で1番人気に推されていたLucky Patchやピクシーナイトら後続の3頭がこれに巻き込まれ、次々と競走中止となる事態が発生。レースはこのアクシデントに巻き込まれなかった馬のみでの争いとなり、Sky Fieldが1着。レシステンシアが2着。

(※尚、香港ジョッキークラブ公式Youtubeではこのレースの動画のみアップされていない。)

1着:Sky Field

せん5、父・Deep Field、母・Laravissante、母父・O’Reilly
調教師:C Fownes、騎手:Blake Shinn

・今回の勝利で通算18戦6勝、G1初制覇、重賞2勝目。今年4/25のG1-チェアマンズスプリントプライズの3着馬。その後、6/20のG3-プレミアカップ(芝1400m)で初重賞制覇達成。今季は3戦して2着(G3・芝1000m)→10着(G2・芝1200m)→3着(G2・芝1200m)。戦績的に単勝20倍超だったのも頷ける馬。

・父のDeep Fieldは2010年豪州産のNorthern Meteor(その父・Encosta de Lago)産駒。現役時は8戦5勝、G2-Tab.com.auステークス(1200m)の勝ち馬。Sky Fieldは2頭目の産駒G1馬。他の主な産駒にPortland Sky(豪G1-オークレイプレートの勝ち馬)。

・母のLaravissanteは2011年ニュージーランド産、現役時は7戦1勝(芝1100m)。母のきょうだい(せん馬)にThe Duke(香港マイル)。従兄のKeen Arrayは豪G2-ギルガイSの勝ち馬。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/416/sha-tin/2021-12-12/800185

Longines Hong Kong Vase(G1・芝2400m・3歳以上)

・人気のグローリーヴェイズは後方待機を選択。直線で大外に持ち出されると先に抜け出したPyledriver目がけて末脚一閃。残り50mで捕らえ切ったグローリーヴェイズがPyledriverに1馬身差をつけて快勝。

1着:グローリーヴェイズ

牡6、父・ディープインパクト、母・メジロツボネ、母父・スウェプトオーヴァーボード
調教師:尾関知人(美浦)、騎手:Joao Moreira

・今回の勝利で通算17戦6勝、G1・2勝目、重賞4勝目。一昨年の覇者で昨年はジャパンCに出走し香港国際競走には出ていなかったが、今年4月のクイーンエリザベス2世Cでラヴズオンリーユーの2着。確かな香港実績を有する馬に一昨年と同じく鞍上にJoao Moreiraを迎えたとなれば、抜けた1番人気に推されたのも当然な印象。2016年のセレクトセール(1歳)にて5616万円で取引された馬。レイクヴィラファーム産。

・本馬と同じ2015年産のディープインパクト産駒の主な活躍馬にワグネリアン(日本ダービー)、フィエールマン(菊花賞、天皇賞(春)2勝)、ケイアイノーテック(NHKマイルC)、ダノンプレミアム(朝日杯FS)、Saxon Warrior(英2000ギニー、レーシングポストロフィー)、Study of Man(ジョッケクルブ賞(仏ダービー))らがいる。

・母のメジロツボネは2008年メジロ牧場産、26戦4勝、STV杯(1000万下・函館芝1200m)、女池特別(500万下・新潟芝1400m)の勝ち馬。往年のメジロ牧場の隆盛を支えた輸入基礎牝馬アマゾンウォリアーが4代母で、牝馬3冠馬・メジロラモーヌを筆頭にフィールドルージュ(川崎記念等)、メジロアルダン(高松宮杯)、メジロイーグル(京都新聞杯)、メジロランバダ(日経新春杯等)らと同じファミリーに属する。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/416/sha-tin/2021-12-12/800186