今回はサークルオブライフが阪神ジュベナイルフィリーズを制したことで、3世代連続でG1馬を輩出することとなり、完全にポストディープの座を巡る争いの先頭に立った感のあるエピファネイアの産駒データを解剖していく。尚、用いたデータは全てJRA、平地でのものになる。

1・3世代トータルの成績について

・エピファネイア以外の種牡馬についても2017年産~2019年産の3世代に限定して、2017年産の世代がデビューしてから昨年末までの成績を抽出し、比較していく。まずは3世代トータルの成績を着別度数順に以下に示す。尚、ダートに関してはトータル、芝でTOP5に入っている種牡馬のデータのみを抽出している。

種牡馬1着2着出走回数勝率連対率複勝率
ディープインパクト364254216716.8%28.5%38.4%
キズナ26023526169.9%18.9%27.5%
ロードカナロア237198222410.7%19.6%26.9%
ルーラーシップ19518623298.4%16.4%25.7%
エピファネイア19219315349.2%18.4%26.8%

・芝とダートを合わせたトータルの数字を見ると、勝率10%超えはディープインパクトとロードカナロアの2頭のみで、連対率20%、複勝率30%を超えているのはディープインパクトのみとなる。尚、出走回数の関係でランクは6位に留まったハーツクライと8位のキングカメハメハ、ダートで圧倒的な成績を残した7位のヘニーヒューズの3頭はディープインパクト同様、勝率10%超、連対率20%超、複勝率30%超の数字を残しており、一流種牡馬としての威厳を示している。

種牡馬芝1着芝2着芝出走回数芝勝率芝連対率芝複勝率
ディープインパクト327234187817.4%29.9%40.0%
ロードカナロア166154106611.2%21.5%28.3%
エピファネイア165168160110.3%20.8%30.3%
キズナ15914516029.9%19.0%27.8%
ハーツクライ132134122210.8%21.8%32.0%

芝のデータを見ると、エピファネイアは芝で勝率10%超え、連対率20%超え、複勝率30%超えと安定して上位着順に入着する産駒を送り出していることが分かる。芝の着別度数上位10頭の種牡馬の内、これをクリア出来ているのは、ディープインパクト、エピファネイア、ハーツクライ、キングカメハメハ、モーリス、ドゥラメンテの6頭。クリア出来ていない4頭は以下の通りとなる。これら4頭の種牡馬と比べると、エピファネイアは総じて優れた成績を芝で産駒がおさめてきた、と言える。

 ロードカナロア(複勝率30%未満)
 キズナ(勝率10%未満、連対率20%未満)
 ルーラーシップ(勝率10%未満、連対率20%未満、複勝率30%未満)
 ダイワメジャー(勝率10%未満、連対率20%未満、複勝率30%未満)

種牡馬ダ1着ダ2着ダ出走回数ダ勝率ダ連対率ダ複勝率
(参考)ヘニーヒューズ155145123312.6%24.3%32.9%
キズナ10190101410.0%18.8%26.9%
ルーラーシップ76609268.2%14.7%24.3%
ロードカナロア71447379.6%15.6%24.2%
ディープインパクト372028912.8%19.7%28.0%
ハーツクライ36393919.2%19.2%26.9%
エピファネイア27254955.5%10.5%15.6%

・ダートのデータを見ると、エピファネイアは凡庸な数字しか残せておらず、ほぼ芝に特化した種牡馬といって良さそうである。キズナは勝率では僅差ではあるが芝よりもダートのほうが上で、ダートでの賞金上位5頭中、4頭は芝でデビューしてダートに転向して勝ち星を積み重ねてきた馬である。

2・芝での勝馬率、平均勝利距離、平均連対距離について

・芝での勝馬率(出走頭数÷勝馬頭数)、平均勝利距離、平均連対距離は以下の通り。尚、モーリスとドゥラメンテは2世代のみの数字となっている。

種牡馬出走頭数勝馬頭数勝馬率平均勝利距離平均連対距離
ディープインパクト33517351.6%1837.6m1848.7m
ロードカナロア3619927.4%1493.4m1512.2m
エピファネイア33610631.5%1821.2m1792.5m
キズナ3178326.2%1747.2m1740.1m
ハーツクライ2517831.1%1876.5m1860.5m
ルーラーシップ3176921.8%1856.8m1875.1m
キングカメハメハ1715331.0%1811.4m1831.6m
ダイワメジャー2155827.0%1469.8m1464.4m
モーリス2216027.1%1713.3m1692.3m
ドゥラメンテ2496325.3%1776.4m1759.6m

このデータは非常に大きな意味を持つ数字で、エピファネイアの芝での勝馬率31.5%はディープインパクトの51.6%には劣るものの、ハーツクライ、キングカメハメハを含む他の全ての種牡馬を凌駕する数字で、この一点だけを見てもポストディープの座を巡る争いを制する資格を現時点で有していると判断出来よう。

・前記したように芝での勝率、連対率、複勝率が安定して高く、勝馬率もディープインパクト以外には負けない程に極めて高い上に、それでいて、こじんまりとまとまらずに、デアリングタクト、エフフォーリア、サークルオブライフと突き抜けたチャンピオンホースを3世代連続で輩出、という安定感と飛距離を兼備した稀有な存在が種牡馬・エピファネイアの実像といえる

尚、エピファネイア産駒の芝での賞金上位10頭中、イズジョーノキセキ以外の9頭(エフフォーリア、デアリングタクト、アリストテレス、オーソクレース、クラヴェル、サークルオブライフ、ノルカソルカ、ムジカ、シーズンズギフト)がサンデーサイレンス4×3のクロスを持っており、これが種牡馬・エピファネイアの最大の武器であることは明白。本稿の最後に2020年産(現2歳)のノーザンファーム産のエピファネイア産駒36頭を題材に具体例を例示しているのでご覧頂きたい。

3・芝1600m以上での各データについて

・次に芝1600m以上での1着数、勝率、勝馬率などをみていく。尚、モーリスとドゥラメンテは2世代のみの数字となっている。

種牡馬1着数勝率連対率複勝率勝馬率
ディープインパクト30218.0%30.7%40.7%49.2%
エピファネイア14311.6%22.7%32.9%30.8%
キズナ12310.4%19.8%28.0%23.2%
ハーツクライ11911.2%21.8%32.3%29.6%
ルーラーシップ1018.8%18.5%27.9%19.5%
キングカメハメハ9314.2%26.3%37.6%30.8%
ドゥラメンテ7511.6%22.7%31.8%24.0%
オルフェーヴル748.2%16.0%25.0%17.8%
ロードカナロア698.7%18.9%25.5%16.4%
モーリス6812.3%22.4%32.2%25.7%

勝馬率をみると、エピファネイアはディープインパクトの49.2%に次ぐキングカメハメハと同数の2位タイ。総じてこのカテゴリーではディープインパクト、キングカメハメハの2頭が抜けた数字を残しており、これに続く3番手グループとして、エピファネイア、ハーツクライ、ドゥラメンテ、モーリスの4頭がつけている形。

ディープインパクトのこのカテゴリーでの賞金上位10頭中、7頭(コントレイル、シャフリヤール等)は母父が横文字の外国産馬ハーツクライのこのカテゴリーでの賞金上位10頭中、9頭(サリオス、ドウデュース等)も母父が横文字の外国産馬。これらの活躍馬を産んだ母はエピファネイア目線で考えると、一世代挟んだ後に先々は祖母としての魅力が大きくなる存在と言えるが、サンデーサイレンス4×3のクロスを意図すると、間に挟む一世代はサンデー直仔との交配が望ましいが、時代の進展でコントレイル、キズナ、シルバーステート、キタサンブラックのようにサンデーの孫世代の種牡馬が中心になることで次第にそれも難しくなってくるのも事実だろう。

キングカメハメハのこのカテゴリーでの賞金上位2頭(ヒートオンビート、アンドヴァラナウト)はいずれも母父がディープインパクト賞金3位のホウオウアマゾン、賞金4位のルビーカサブランカはいずれもサンデーサイレンス直仔が母父(アグネスタキオン、ダンスインザダーク)これらはいずれもエピファネイアと配合された場合、サンデーサイレンス4×3のクロスが発生する事は言うまでもない。同様にルーラーシップ産駒の賞金上位10頭中、9頭の母父はディープインパクトなどのサンデーサイレンス直仔、ロードカナロア産駒の賞金上位10頭中、6頭の母父はディープインパクトなどのサンデーサイレンス直仔、となっている。当面はこれだけの活躍馬を輩出しているサンデーサイレンスの血を持つ良質な肌馬を利することが出来る絶好の位置にいるのが今のエピファネイア(とモーリス)と言える

・ちなみにモーリスのこのカテゴリーでの賞金上位10頭中、6頭がサンデー4×3、2頭がサンデー4×4のクロスを持っており、クロスを持たない馬は2頭(ジャックドール、ピクシーナイト)のみ。

4・芝での勝利の距離別内訳について

・前記した通り、エピファネイア産駒は芝で昨年末までの間に165勝をあげているが、この内訳を距離別にみていく。

距離1着2着出走回数勝率連対率複勝率
1200m12171926.3%15.1%21.4%
1600m464338511.9%23.1%32.7%
2000m384535410.7%23.4%33.9%
2400m664513.3%26.7%40.0%
1000m~1300m12171966.1%14.8%20.9%
1400m~1600m565655210.1%20.3%29.5%
1700m~2000m69816979.9%21.5%31.7%
2100m~2400m181111515.7%25.2%38.3%
2500m~1034124.4%31.7%39.0%

特に目立つのが2500m超での勝率、連対率、複勝率の高さ。他には1600mでの勝率が11.9%、2000mでの勝率が10.7%、2400mでの勝率が13.3%。これらの数字が如何ほどのものなのか、他の主な種牡馬の数字と比較してみたものが以下になる。

種牡馬1600m勝率2000m勝率2400m勝率2500m超勝率
エピファネイア11.9%10.7%13.3%24.4%
ディープインパクト18.8%16.0%14.5%15.1%
ロードカナロア7.6%12.7%0.0%22.2%
キズナ9.2%10.6%4.5%8.1%
ハーツクライ11.6%10.5%12.1%11.8%
ルーラーシップ7.3%9.1%10.6%12.5%
キングカメハメハ18.3%13.4%12.1%10.0%
ダイワメジャー10.5%7.7%0.0%0.0%
モーリス9.4%16.5%12.5%0.0%
ドゥラメンテ9.5%11.5%0.0%15.4%

・ポストディープの座を目指す上で2000m、2400mでの高勝率は欠かせない条件となろうが、2400mでのエピファネイア産駒の勝率はディープインパクト産駒に次ぐもの。2000mでの勝率はモーリスが素晴らしく、以下、ディープインパクト、キングカメハメハ、ロードカナロア、ドゥラメンテ、エピファネイアと続く。

2500m超でのエピファネイア産駒の勝率24.4%は抜けた数字でトップ。ロードカナロアが22.2%で2位だが出走回数はわずか9回、ノーザンファーム産のブレーナードが福島芝2600mの未勝利→函館芝2600mの500万下を連勝した2つの勝利のみ。エピファネイア産駒は41回出走して10勝。エフフォーリアの有馬記念以外にアリストテレスとオーソクレースが2年連続で菊花賞2着した実績を思い浮かべるとこの高勝率も頷けるもの。

5・4thクロップ(2020年産・現2歳)の主な馬について

・2020年産は154頭が血統登録済。この内、ノーザンファーム産は36頭。この36頭のサンデーサイレンスのクロス状況をまとめたものが以下になる。強い意思を感じる比率となっており、この中に第2、第3のエフフォーリアが含まれている可能性は低くないだろう。尚、クロスを持たない3頭の母は全てアメリカ産である。

 サンデーサイレンス4×332頭(全体の88.89%) 
 サンデーサイレンス4×41頭(全体の2.78%)
 サンデークロスなし:3頭(全体の8.33%)

・サンデーサイレンス4×3のクロスを持つ32頭の内訳は以下の通り。ディープインパクトを筆頭に優秀なサンデーサイレンス直仔の名前が母父にずらりと並んでいることが分かる。これ以外にもサンデーサイレンス直仔の牝駒は数多おり、これらを「サンデーサイレンス4×3」の実績がある強力な武器を使ってフルに活かせるエピファネイアの優位性はやはり現時点では非常に驚異的なものといえる。

 母がディープインパクト牝駒(※アリストテレスと同配合):9頭
 母がダイワメジャー牝駒:6頭
 母がアグネスタキオン牝駒:3頭
 母がゼンノロブロイ牝駒:3頭
 母がハーツクライ牝駒(※エフフォーリアと同配合):2頭
 母がステイゴールド牝駒:1頭
 祖母がサンデーサイレンス牝駒:8頭
  母がキングカメハメハ牝駒(※デアリングタクトと同配合):5頭
  母がエンパイアメーカー牝駒:1頭
  母がファルブラヴ牝駒:1頭
  母がスウェプトオーヴァーボード牝駒:1頭

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