現3歳の1stクロップが目下ダートで34勝をあげてダート部門でこの世代トップを独走中のドレフォン。シニスターミニスター(26勝)、ヘニーヒューズ(25勝)を凌駕している実績の価値を本稿では過去の名種牡馬が残した数字と比較しながら掘り下げていく。

※数字は全てJRA、ダートでのもの。

1・ドレフォンとヘニーヒューズの卓越した実績について

・1stクロップの3歳2月末までの実績を1着数順にまとめたものを以下に示す。比較対象として2000年以降、中央ダートの年度別ダートサイアーランキングで5位以内に入ったことがある種牡馬を取り上げて、これらの種牡馬の1stクロップの成績と比べている。

種牡馬誕生年1着2着出走回数勝率連対率
ドレフォン2019341319417.5%24.2%
ヘニーヒューズ2015322421215.1%26.4%
フレンチデピュティ2002161810914.7%31.2%
クロフネ20031678219.5%28.0%
ダイワメジャー200914512910.9%14.7%
キングカメハメハ2006132111711.1%29.1%
アフリート19961297116.9%29.6%
ワイルドラッシュ2005121011910.1%18.5%
シンボリクリスエス20051198413.1%23.8%
キンシャサノキセキ201211106816.2%30.9%

・ご覧頂くと一目瞭然でドレフォンとヘニーヒューズの2頭が抜けた実績を残していることが分かる。尚、ヘニーヒューズは日本供用時点で既に名牝・Beholder、アジアエクスプレス、モーニンの3頭のG1馬を出していたが、本稿では日本供用初年度の産駒を便宜上1stクロップと表記している点にご留意頂きたい。

・既にG1馬を複数出している実績を誇っていたヘニーヒューズを上回る数字を残しているドレフォンの価値はかなり高く、近20年弱の間では最もダートにて1stクロップが走っている種牡馬、ということになる。

・次にヘニーヒューズの2ndクロップ以降の数字と、ドレフォンの1stクロップの数字とを合わせて1着数順に一覧でまとめたものを示す。尚、こちらもデータは3歳2月末までのものとなる。

種牡馬誕生年1着2着出走回数勝率連対率
ドレフォン2019341319417.5%24.2%
ヘニーヒューズ2016342622415.2%26.8%
ヘニーヒューズ2018332118218.1%29.7%
ヘニーヒューズ2015322421215.1%26.4%
ヘニーヒューズ2017282720014.0%27.5%
ヘニーヒューズ2019252521311.7%23.5%

・この表を見ると、ヘニーヒューズはコンスタントに高い数字を残してきたことが分かるが、2019年産まれの現3歳は勝率、連対率共に明らかに数字が落ちていることも分かる。これはドレフォンに少なからず食われている事が影響している印象で、ドレフォンが強固な壁・ヘニーヒューズ産駒の牙城を打ち破りつつあり、新たなダートチャンピオンサイアーへの道を着実に歩み出しているように見える。

2・ゴールドアリュールなどの過去の名種牡馬との数字比較について

・次に先程用いた「2000年以降、中央ダートの年度別ダートサイアーランキングで5位以内に入ったことがある馬」の中から、G1、交流G1にて勝ち馬を3頭以上出した種牡馬のみを抽出し、1stクロップ以降の全クロップのデータを集計し、ドレフォンの数字と比較していく。ちなみに該当する種牡馬はフレンチデピュティ、キングカメハメハ、アフリート、フォーティナイナー、ゴールドアリュール、ブライアンズタイム、サウスヴィグラス、シニスターミニスターの8頭となる。以下がクロップ別のベスト10になる。

種牡馬誕生年1着2着出走回数勝率連対率
ドレフォン2019341319417.5%24.2%
ゴールドアリュール2011271921512.6%21.4%
シニスターミニスター2019261916915.4%26.6%
ゴールドアリュール2016231818512.4%22.2%
キングカメハメハ2012211411019.1%31.8%
ゴールドアリュール2013211816912.4%23.1%
サウスヴィグラス2016211015513.5%20.0%
アフリート199820109920.2%30.3%
ゴールドアリュール2014201014114.2%21.3%
アフリート20001939719.6%22.7%

ドレフォンの数字は名種牡馬・ゴールドアリュールらと比べても大幅に優っていることが分かる。ただ、ゴールドアリュールは以下のデータを見ると分かるが、エスポワールシチーのように2勝目を3歳8月にあげた晩成寄りの馬や、クリソベリルのように3歳2月末時点では1戦1勝だった馬が後に大成したケースがあり、本領発揮はもう少し後の時期から、という産駒の資質の一面は見て取れるだけに、この数字だけをもってゴールドアリュール超えについて論じるのは早計だろう。その可能性は感じられるのは確か、という言い方が最も適切だろうか。

・ちなみにゴールドアリュール産駒のG1馬、交流G1馬の中で、3歳2月末時点で1勝以下だった馬は以下の4頭。ゴールドアリュールはこれまでに10頭のG1馬、交流G1馬を輩出しているので、4割の馬はまだこの時期は1勝以下だった馬ということになる。このように3歳春以降にグングン成績をあげていくドレフォン産駒がどれくらいいるだろうか。

 エスポワールシチー
 3歳3月にデビュー(3着)→3歳7月に初勝利→3歳8月に2勝目(500万下)

 クリソベリル
 2歳9月にデビュー勝ち→3歳3月に2勝目(500万下)

 クリソライト
 2歳7月にデビュー(2着)→2歳9月に初勝利→3歳4月に2勝目(500万下)

 グレイスフルリープ
 2歳9月にデビュー(2着)→2歳9月に初勝利→3歳4月に2勝目(500万下)

・他ではシニスターミニスターの現3歳世代の躍進が非常に目立っており、現4歳世代はこの時期11勝、現5歳世代は8勝だったのが現3歳世代は26勝もあげている。現3歳世代は種付けの前年、2017年に産駒のインカンテーション(マーチS、白山大賞典、武蔵野S)、キングズガード(プロキオンS)、マイネルバサラ(浦和記念)、ハヤブサマカオー(兵庫ジュニアグランプリ)がダート重賞を勝ちまくった影響を受けている世代で、早速、この世代から全日本2歳優駿を制したドライスタウトが出て、自身の優秀性を証明している。今後はテーオーケインズの活躍に触発された種付けも増えるはずで、ドレフォン、ヘニーヒューズのライバルとして大きな存在感を見せていきそうである。以下にシニスターミニスターの直近5クロップの成績(3歳2月末まで)をまとめている。

誕生年1着2着出走回数勝率連対率
2019261916915.4%26.6%
20181181308.5%14.6%
2017841057.6%11.4%
2016311754.0%18.7%
2015121111310.6%20.4%

・勝率にフォーカスして比較すると、1998年産のアフリート(20.2%)、2000年産のアフリート(19.6%)、2012年産のキングカメハメハ(19.1%)がトップ3。アフリートは特に1着数と2着数の差が大きく、産駒がきっちり勝ち切る決定力の高さが際立っている、

・次に先程示した10世代の中身をみていく。2勝(以上)馬をどれだけ出しているかに着目していくと、当然ながら数字面でドレフォンが圧倒する結果となっている。

ドレフォン(2019年産):2勝(以上)馬・6
コンシリエーレ(G3-サウジダービー3着)、ペプチドヤマト、セイルオンセイラー、タイセイドレフォン、テーオードレフォン、デシエルト
※この他に2歳未勝利勝ち後にJpn3-エーデルワイス賞に出走し2着となり、その後、大井へ移籍したヒストリックノヴァがいる。

ゴールドアリュール(2016年産):2勝(以上)馬・4
ガルヴィハーラ(Jpn1-全日本2歳優駿3着)、キンゲン、リープリングスター、ゴールドラグーン

アフリート(2000年産):2勝(以上)馬・4
ビッグウルフ(3勝)、サミーミラクル、サカラート、ベルグフリート

キングカメハメハ(2012年産):2勝(以上)馬・3
プレシャスルージュ、ペプチドウォヘッド、ブチコ

アフリート(1998年産):2勝(以上)馬・3
イシヤクマッハ、コウエイマーベラス、ナリタオンザターフ

シニスターミニスター(2019年産):2勝(以上)馬・2
ドライスタウト(Jpn1-全日本2歳優駿)、フルム

サウスヴィグラス(2016年産):2勝(以上)馬・2
ヒデノヴィーナス、アールロッソ

ゴールドアリュール(2014年産):2勝(以上)馬・2
エピカリス(4勝Jpn3-北海道2歳優駿)、サンライズノヴァ

ゴールドアリュール(2013年産):2勝(以上)馬・2
ゴールドドリーム(3勝)、アルーアキャロル

ゴールドアリュール(2011年産):2勝(以上)馬・1
レッドアルヴィス

・顔触れを見ると後のG1馬、交流G1馬がちらほら見えるが、先行指標としてこの時期に2勝馬が6頭もいるドレフォンの布陣はかなり充実しているものといえ、交流重賞も含めた今後のダート戦線でその真価が問われていくことになろう。

3・勝ち上がり率について

・次にこれまでみてきたクロップ別の数字を出走頭数、勝利頭数、勝ち上がり率から見直していく。

種牡馬誕生年出走頭数勝利頭数勝ち上がり率
ドレフォン2019852832.94%
ヘニーヒューズ2016753141.33%
ヘニーヒューズ2018602948.33%
ヘニーヒューズ2015802531.25%
ヘニーヒューズ2017752229.33%
ヘニーヒューズ2019712433.80%
種牡馬誕生年出走頭数勝利頭数勝ち上がり率
ドレフォン2019852832.94%
ゴールドアリュール2011792632.91%
シニスターミニスター2019572442.11%
ゴールドアリュール2016811923.46%
キングカメハメハ2012601830.00%
ゴールドアリュール2013711825.35%
サウスヴィグラス2016501938.00%
アフリート1998401742.50%
ゴールドアリュール2014601728.33%
アフリート2000371437.84%

・2つの表を見ると、ドレフォンの勝ち上がり率は優秀ではあるがそこまで突出したものではないことが分かる。ただ、出走頭数が80を超えているクロップの中ではトップの数字である。

・3歳2月末時点で勝ち上がり率が40%を超えていたヘニーヒューズ(2016年産、2018年産)、シニスターミニスター(2019年産)、アフリート(1998年産)の4世代の数字は驚異的なもので、当たり年と言えるが、以下のようにやはり、当該世代からは多くのダートでの活躍馬が出ている。後々振り返ってドレフォンの1stクロップの中からこのような重賞、交流重賞勝ち馬が何頭出てくるのか、興味は尽きない。

ヘニーヒューズ(2016年産)
 ワイドファラオ(Jpn1-かしわ記念、G3-ユニコーンS)

ヘニーヒューズ(2018年産)
 アランバローズ(Jpn1-全日本2歳優駿)※地方所属馬
 ウェルドーン(Jpn2-関東オークス)

シニスターミニスター(2019年産)
 ドライスタウト(Jpn1-全日本2歳優駿)

アフリート(1998年産)
 ケイアイミリオン(G2-浦和記念)
 イシヤクマッハ(G3-グランシャリオC)

・最後にドレフォン、ヘニーヒューズ、シニスターミニスターの現2歳、現1歳の血統登録頭数をまとめる。頭数的にドレフォンがかなり多くなっており、現2歳や現1歳も引き続きダートにおいてはドレフォンの天下が続きそうな状況となっている。

種牡馬誕生年血統登録頭数
ドレフォン2020年(現2歳)127
ドレフォン2021年(現1歳)126
ヘニーヒューズ2020年(現2歳)103
ヘニーヒューズ2021年(現1歳)86
シニスターミニスター2020年(現2歳)76
シニスターミニスター2021年(現1歳)80

※過去記事