今回は芝1200mに絞って近年の種牡馬データを掘り下げていく。芝1200mといえばサクラバクシンオーの名前は避けては通れないが、本稿では2000年以降のデータをもとにサクラバクシンオーから芝1200mのチャンピオンの座を引き継いでいる種牡馬・ロードカナロアについて主に触れていく。

※データは全てJRA、芝1200mでのもの。

1・2000年以降の芝1200m限定リーディングの推移

・2000年から2021年まで、年別に芝1200m限定リーディングの結果をまとめている。この22年間を大きく分けると4つの期間になり、3年以上首位に立った事があるチャンピオンサイアーはサンデーサイレンス→サクラバクシンオー→ロードカナロアとなる。

2000年~2004年

・この5年間はサンデーサイレンスサクラバクシンオーのワンツーが続いた期間。この期間内でサンデーサイレンス産駒はビリーヴが高松宮記念とスプリンターズSを、デュランダルがスプリンターズSを制覇し、サクラバクシンオー産駒はショウナンカンプが高松宮記念を制している。

1位1着数2位1着数
2000サンデーサイレンス25サクラバクシンオー21
2001サンデーサイレンス26サクラバクシンオー16
2002サンデーサイレンス32サクラバクシンオー23
2003サンデーサイレンス44サクラバクシンオー34
2004サンデーサイレンス31サクラバクシンオー27

・この5年間の高松宮記念(以下では春と併記)、スプリンターズS(以下では秋と併記)の勝ち馬、父は以下の通り。2004年にウォーニングが春秋のスプリントG1を異なる産駒で制覇。

2000年春・キングヘイロー(父・ダンシングブレーヴ)
2000年秋・ダイタクヤマト(父・ダイタクヘリオス)
2001年春・トロットスター(父・ダミスター)
2001年秋・トロットスター(父・ダミスター)
2002年春・ショウナンカンプ(父・サクラバクシンオー)
2002年秋・ビリーヴ(父・サンデーサイレンス)
2003年春・ビリーヴ(父・サンデーサイレンス)
2003年秋・デュランダル(父・サンデーサイレンス)
2004年春・サニングデール(父・ウォーニング)
2004年秋・カルストンライトオ(父・ウォーニング)

2005年~2011年

・この7年間はサクラバクシンオーの1強状態が続いた期間。この期間内でサクラバクシンオー産駒はG1勝ちこそないが、シーイズトウショウ、ダッシャーゴーゴーがそれぞれ芝1200mの重賞を3勝。尚、キタサンブラックの母・シュガーハート(未出走)が産まれたのもこの期間。

1位1着数2位1着数
2005サクラバクシンオー50タイキシャトル23
2006サクラバクシンオー44タイキシャトル23
2007サクラバクシンオー41マイネルラヴ10
2008サクラバクシンオー44タイキシャトル17
2009サクラバクシンオー41フジキセキ15
2010サクラバクシンオー53キングカメハメハ18
2011サクラバクシンオー42キングカメハメハ16

・この7年間の高松宮記念(以下では春と併記)、スプリンターズS(以下では秋と併記)の勝ち馬、父は以下の通り。サンデーサイレンス、フジキセキ(Fuji Kiseki)、クロフネが複数のスプリントG1勝ち馬を輩出。

2005年春・アドマイヤマックス(父・サンデーサイレンス)
2005年秋・サイレントウィットネス(父・El Moxie)
2006年春・オレハマッテルゼ(父・サンデーサイレンス)
2006年秋・テイクオーバーターゲット(父・Celtic Swing)
2007年春・スズカフェニックス(父・サンデーサイレンス)
2007年秋・アストンマーチャン(父・アドマイヤコジーン)
2008年春・ファイングレイン(父・フジキセキ)
2008年秋・スリープレスナイト(父・クロフネ)
2009年春・ローレルゲレイロ(父・キングヘイロー)
2009年秋・ローレルゲレイロ(父・キングヘイロー)
2010年春・キンシャサノキセキ(父・Fuji Kiseki)
2010年秋・ウルトラファンタジー(父・Encosta De Lago)
2011年春・キンシャサノキセキ(父・Fuji Kiseki)
2011年秋・カレンチャン(父・クロフネ)

2012年~2017年

・サクラバクシンオーの勝ち鞍が落ち始め、キングカメハメハやダイワメジャーの台頭を許した期間。この期間内でサクラバクシンオーはビッグアーサー(高松宮記念)を輩出。キングカメハメハはロードカナロア(スプリンターズS2勝、高松宮記念)を輩出。ダイワメジャーはコパノリチャード(高松宮記念)を輩出。

1位1着数2位1着数
2012キングカメハメハ27サクラバクシンオー26
2013サクラバクシンオー19キングカメハメハ17
2014サクラバクシンオー25アドマイヤムーン18
2015サクラバクシンオー25ダイワメジャー20
2016ダイワメジャー21アドマイヤムーン14
2017ダイワメジャー23アドマイヤムーン21

・この6年間の高松宮記念(以下では春と併記)、スプリンターズS(以下では秋と併記)の勝ち馬、父は以下の通り。

2012年春・カレンチャン(父・クロフネ)
2012年秋・ロードカナロア(父・キングカメハメハ)
2013年春・ロードカナロア(父・キングカメハメハ)
2013年秋・ロードカナロア(父・キングカメハメハ)
2014年春・コパノリチャード(父・ダイワメジャー)
2014年秋・スノードラゴン(父・アドマイヤコジーン)
2015年春・エアロヴェロシティ(父・Pins)
2015年秋・ストレイトガール(父・フジキセキ)
2016年春・ビッグアーサー(父・サクラバクシンオー)
2016年秋・レッドファルクス(父・スウェプトオーヴァーボード)
2017年春・セイウンコウセイ(父・アドマイヤムーン)
2017年秋・レッドファルクス(父・スウェプトオーヴァーボード)

2018年~

・この4年間はロードカナロアが王位の座に就き、年々勝ち星を増やし、長期安定政権を作ろうとしている期間。この期間内でロードカナロアはダノンスマッシュ(高松宮記念を含む重賞6勝)を輩出。今後はロードカナロアの牙城をどの種牡馬が打ち破っていくのか、ロードカナロアの天下はいつまで続くのか、が興味の的となる。

1位1着数2位1着数
2018ロードカナロア25ダイワメジャー21
2019ロードカナロア28キンシャサノキセキ19
2020ロードカナロア40ダイワメジャー20
2021ロードカナロア46ダイワメジャー21

・この4年間の高松宮記念(以下では春と併記)、スプリンターズS(以下では秋と併記)の勝ち馬、父は以下の通り。スプリントG1をこれまで制していなかったディープインパクト産駒が2020年に初めてグランアレグリアがスプリンターズSを制覇。

2018年春・ファインニードル(父・アドマイヤムーン)
2018年秋・ファインニードル(父・アドマイヤムーン)
2019年春・ミスターメロディ(父・Scat Daddy)
2019年秋・タワーオブロンドン(父・Raven’s Pass)
2020年春・モズスーパーフレア(父・Speightstown)
2020年秋・グランアレグリア(父・ディープインパクト)
2021年春・ダノンスマッシュ(父・ロードカナロア)
2021年秋・ピクシーナイト(父・モーリス)

2・芝1200m限定リーディング4連覇中のロードカナロア

・ロードカナロアの1stクロップがデビューした2017年以降の全産駒の年別の平均勝利距離と1頭当賞金を以下に示す。注目ポイントは平均勝利距離が昨年はデビュー以来、最も短くなっている事と、1頭当賞金が昨年は大幅に減っている点。

2017 平均勝利距離:1467.6m 1頭当賞金:496万円
2018 平均勝利距離:1458.6m 1頭当賞金:926万円
2019 平均勝利距離:1480.3m 1頭当賞金:957万円
2020 平均勝利距離:1543.4m 1頭当賞金:1003万円
2021 平均勝利距離:1447.0m 1頭当賞金:830万円

・平均勝利距離が短くなっているということは、産駒の短距離寄りの資質がより色濃くなってきているということだろう。昨年のロードカナロア産駒の重賞勝ち馬8頭とそのタイトルを見てみると、マイル以上の重賞を勝ったのは8頭中2頭のみで、他の6頭は1200mか1400mで重賞を勝っている。

 ケイデンスコール(京都金杯/1600m、マイラーズC/1600m)
 レイハリア(葵S/1200m、キーンランドC/1200m)
 ファストフォース(CBC賞/1200m)
 レッドルゼル(根岸S/d1400m)
 イベリス(京都牝馬S/1400m)
 パンサラッサ(福島記念/2000m)
 ダノンスマッシュ(高松宮記念/1200m)
 キングエルメス(京王杯2歳S/1400m)

・ロードカナロアの年別の産駒勝利数と全勝利数に占める芝1200mでの勝利の割合の推移を以下に示す。近3年は全勝利数に占める芝1200mでの勝利の割合が上昇中で、産駒の短距離寄りの資質がより色濃くなってきているという先程の推察通りの数字が出ている。

2017 全勝利数:37 芝1200mでの勝利数:7(全体比18.9%)
2018 全勝利数:110 芝1200mでの勝利数:25(全体比22.7%)
2019 全勝利数:160 芝1200mでの勝利数:28(全体比17.5%)
2020 全勝利数:170 芝1200mでの勝利数:40(全体比23.5%)
2021 全勝利数:166 芝1200mでの勝利数:46(全体比27.7%)

・参考までにサクラバクシンオーについても同じ推移を見てみる。データはサクラバクシンオーが7年連続で芝1200m限定リーディングを獲得した2005年~2011年のもの。この数字を見ると芝1200mに特化したサクラバクシンオー産駒の凄まじさ、得意領域での絶対的な強さが分かるが、ここまで芝1200mに特化していなくても同等の勝利数を残しているロードカナロアは、サクラバクシンオーの7連覇を超える資格を十分に有していると言えるのかもしれない。

2005 全勝利数:100 芝1200mでの勝利数:50(全体比50.0%)
2006 全勝利数:118 芝1200mでの勝利数:44(全体比37.3%)
2007 全勝利数:103 芝1200mでの勝利数:41(全体比39.8%)
2008 全勝利数:104 芝1200mでの勝利数:44(全体比42.3%)
2009 全勝利数:93 芝1200mでの勝利数:41(全体比44.1%)
2010 全勝利数:107 芝1200mでの勝利数:53(全体比49.5%)
2011 全勝利数:97 芝1200mでの勝利数:42(全体比43.3%)

・ちなみに今年の現時点での芝1200m限定リーディングは以下の通り。現時点で既にロードカナロアの独走状態となっており、対抗勢力が見当たらない状況。芝1200m限定リーディング5連覇に向けて快調なスタートを切っている。

1位・ロードカナロア11-5-2-56/74 勝率14.9%、連対率21.6%。複勝率24.3%
2位・ダイワメジャー:4-3-2-22/31 勝率12.9%、連対率22.6%、複勝率29.0%
3位・ディープインパクト:2-1-2-20/25 勝率8.0%、連対率12.0%、複勝率20.0%
4位・ショウナンカンプ:2-1-0-2/5 勝率40.0%、連対率60.0%、複勝率60.0%
5位・シルバーステート:2-0-1-6/9 勝率22.2%、連対率22.2%、複勝率33.3%

3・2000年以降の芝1200mの重賞、オープン特別の累計成績について

・ここまでは年別にデータを集計してきたが、ここからは2000年~2021年末までの累計で集計していく。まず芝1200mの重賞、オープン特別の種牡馬別の累計成績を以下に示す。

種牡馬1着2着出走回数勝率連対率
サクラバクシンオー54506738.0%15.5%
フジキセキ291725411.4%18.1%
ダイワメジャー252223010.9%20.4%
サンデーサイレンス22212468.9%17.5%
ロードカナロア181514212.7%23.2%
アドマイヤムーン15151718.8%17.5%
スウェプトオーヴァーボード15614310.5%14.7%
キングカメハメハ14141509.3%18.7%
クロフネ141313610.3%19.9%
ウォーニング14119614.6%26.0%

・このランキングを見ると、ロードカナロアの勝率(12.7%)、連対率(23.2%)がかなり高いことが目立つ。質の高いスプリンターを多く輩出してきたことが数字に表れており、年毎に1→4→3→3→7勝ずつ勝ち鞍を積み上げていることを勘案すると、このままのペースなら3年後、昨年と同じペースなら2年後にはフジキセキを抜いて単独2位の座に浮上していきそうである。中身の濃さという点でもサクラバクシンオーが長きに渡って独壇場として制圧してきた芝1200mの次代の王として相応しいのがロードカナロアの現在の立ち位置ということになる。

・次に芝1200mの重賞、オープン特別のBMS別の累計成績を以下に示す。

BMS1着2着出走回数勝率連対率
サンデーサイレンス38294628.2%14.5%
トニービン20917911.2%16.2%
ノーザンテースト17282915.8%15.5%
Storm Cat171113812.3%20.3%
Mr. Prospector1468915.7%22.5%
サクラバクシンオー13151468.9%19.2%
フジキセキ13111329.8%18.2%
ブライアンズタイム9172044.4%12.7%
タイキシャトル99919.9%19.8%
アグネスタキオン948810.2%14.8%

・こちらは大種牡馬の名前が順当に並んでいる印象だが、高勝率の2頭、4位のStorm Catと5位のMr. Prospectorが目立つところ。Storm Catはロードカナロア、メイショウボーラーを母父として輩出し、Mr. Prospectorはテンシノキセキ、ビハインドザマスクを母父として輩出している。サクラバクシンオーは母父として輩出したビアンフェ、ハクサンムーン、ブランボヌールの3頭が複数の芝1200m重賞を制覇。

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