新種牡馬産駒データ考【1】複勝率55.6%のデクラレーションオブウォー産駒

これまでに2歳戦は新馬戦が45鞍(芝39、ダ6)、未勝利戦が13鞍(芝12、ダ1)の計58鞍が行われてきた中、10頭の新種牡馬が勝ち馬を送り出し、上々の好スタートを切っている。本稿ではここまでの新種牡馬産駒の成績をデータから継続的に振り返っていく。初回となる今回はデクラレーションオブウォーを取り上げる。

これまでの産駒のJRA2歳戦成績

23-0-4/9 勝率22.2%連対率55.6%複勝率55.6%

・これまでに8頭が出走し2頭が勝ち上がり、2頭が入着。既にOlmedo(1stクロップ・プールデッセデプーラン)、Vow And Declare(1stクロップ・メルボルンC)、Gufo(3rdクロップ・ソードダンサーS等)など4世代で7頭のG1馬を出している優秀な実績に相応しい申し分のないスタートを切ったと言える。日本供用後の1stクロップになる現2歳はトータルでは5thクロップになる。

出走した8頭中、7頭は母父がサンデーサイレンス系で、勝ち馬・入着馬の母父は全てサンデーサイレンス系。これまでの全9走中、人気を下回る成績だったのは2回のみで、人気以上は確実に走る点、今のところはまだあまり人気になりにくい点が単回収値182円複回収値127円という数字にはっきり表れている。

これまでの勝ち馬、入着馬一覧

ロードディフィート(母・カディーシャ、母父・ダイワメジャー)
・新馬戦(東京芝1400)2着→未勝利戦(東京芝1400)1着
・母は中央2勝、地方2勝。本馬は2番仔。初仔は中央1勝の現役馬。

タマモブラックタイ(母・タマモイヤリング、母父・ブラックタイド)
・新馬戦(小倉芝1200)1着
・母は中央2勝。本馬は2番仔。

サトノヴィレ(母・ダイワジェラート、母父・フジキセキ)
・新馬戦(東京芝1600)2着
・母は中央1勝。本馬は9番仔。中央6勝、G3-愛知杯の勝ち馬・エテルナミノルを含む、6頭の産駒が中央でトータル15勝をあげている仔出しのいい母の産駒

クインズエルサ(母・キャンディバローズ、母父・ディープインパクト)
・新馬戦(牝・小倉芝1200)2着
母は中央2勝、G3-ファンタジーSの勝ち馬。本馬は初仔。

4頭の母は全て現役時に中央で勝っている馬で、重賞勝ち馬の下になるサトノヴィレ以外の3頭は初仔か2番仔で若い母から産まれた産駒。

2歳戦への適性について

・デクラレーションオブウォーは現役時、2歳12月から3歳9月まで長期休養があり、4歳時にクイーンアンS(t8f)、インターナショナルS(t10f88y)を制した馬。2歳時はAWのレースを2戦2勝しており(初戦は3馬身差、2戦目は8馬身差での勝利)、順調に使われていれば3歳時にもそれなりの成績を残したと思われ、一定の早熟性は示していたと言える。

・そうした素養は産駒にも受け継がれており、これまでの産駒の中から2頭の2歳G1馬(Decorated Invader=加G1-サマーS、Fire At Will=米G1-BCジュヴェナイルターフ)、カナダ最優秀2歳牡馬(Mr. Hustle)を出しており、産駒実績から、2歳戦でそれなりの数字を残すであろうことは想定の範囲内。現2歳馬は88頭が血統登録されており、今後も多くの産駒デビューが見込まれるが勝ち上がり頭数は多くなりそうな印象。

ダートへの適性について

既に地方でも7/13現在で2頭が勝ち上がっているが、デクラレーションオブウォーはBCクラシックで勝ち馬からハナ、アタマ差の3着になった馬でダート適性の高さも示していた馬。中央での過去9走は全て芝のレースだが、今後ダートを使われる馬が出てきた場合も芝同様、それなりの数字を残す可能性がある点には留意しておきたい。

※デクラレーションオブウォーが3着になった2013年のBCクラシック(サンタアニタ競馬場)。インターナショナルSを制し、臨んだ一戦で3番人気での出走。勝ったのは前年の2着馬・Mucho Macho Man。

今週のデクラレーションオブウォー産駒の出走予定馬

・今週は以下の2頭が土曜小倉6Rにてデビュー予定。タガノヴィクターは上がコンスタントに中央で勝ち上がっており、そこそこの人気になりそうな馬。先週、今週とCWで一杯に追われているが、競馬ブックの調教評価は「まだ少し重め」というもの。カシノニケは九州産の馬。

7/16(土)小倉6R・新馬(芝1200m)

カシノニケ 牝

母・カシノインカローズ、母父・キングヘイロー

・母は中央3勝(小倉芝1200、阪神ダ1200×2)。本馬は3番仔。初仔は中央1勝、地方1勝。2番仔は地方1勝。伯父のラッシュストリートは交流重賞・佐賀記念の勝ち馬。

タガノヴィクター 牡

母・アレキパ、母父・スペシャルウィーク

・母は地方1勝(金沢ダ1500)。本馬は6番仔。2番仔と3番仔が中央1勝、4番仔が中央2勝の現役馬。祖母のPaitaは仏2歳G1-クリテリウムドサンクルー、仏G3-アレフランス賞の勝ち馬で、仏オークス3着馬。