新種牡馬産駒データ考【2】ここまで中央未勝利のリアルスティール産駒

血統登録頭数110頭のリアルスティール産駒がここまで中央で12頭がデビューするも未勝利。やや立ち遅れ気味のスタートとなったことは否めない印象だが、現在の位置はどうなのか。近3年の新種牡馬データを元に「立ち遅れ具合」を探っていく。

今回は函館2歳Sが行われた週で区切って近3年のデータをまとめ、2歳戦終了時のデータと比較している。函館2歳Sが行われた週までに行われる中央2歳戦は近3年のデータを元にすると、中央2歳戦トータルの11.4~12.6%を占めており、芝は15.6~17.0%、ダートは4.0~4.8%のレースが既に終わっていることになる。この時点で未勝利のリアルスティール産駒の巻き返しはあるのだろうか。以下に近3年の2歳戦終了時の新種牡馬上位3頭の各種データをまとめて示す。

2019年

1・キズナ

函館2歳S終了時
5-4-4-21/34】勝率14.7%、連対率26.5%。複勝率38.2%
※この時点で25頭がデビュー(血統登録頭数の13.73%)

2歳戦終了時
【33-30-28-232/323】勝率10.2%、連対率19.5%、複勝率28.2%
※この時点で123頭がデビュー(血統登録頭数の67.58%)

2・エピファネイア

函館2歳S終了時
4-6-5-21/36】勝率11.1%。連対率27.8%、複勝率41.7%
※この時点で26頭がデビュー(血統登録頭数の16.56%)

2歳戦終了時
【31-28-18-166/243】勝率12.8%、連対率24.3%、複勝率31.7%
※この時点で98頭がデビュー(血統登録頭数の62.42%)

3・リアルインパクト

函館2歳S終了時
5-5-4-10/24】勝率20.8%、連対率41.7%、複勝率58.3%
※この時点で17頭がデビュー(血統登録頭数の18.27%)

2歳戦終了時
【11-16-11-106/144】勝率7.6%、連対率18.8%。複勝率26.4%
※この時点で59頭がデビュー(血統登録頭数の63.44%)

2020年

1・ドゥラメンテ

函館2歳S終了時
3-3-2-18/26】勝率11.5%。連対率23.1%、複勝率30.8%
※この時点で20頭がデビュー(血統登録頭数の10.58%)

2歳戦終了時
【37-20-15-162/234】勝率15.8%、連対率24.4%。複勝率30.8%
※この時点で102頭がデビュー(血統登録頭数の53.96%)

2・モーリス

函館2歳S終了時
1-6-4-17/28】勝率3.6%、連対率25.0%。複勝率39.3%
※この時点で23頭がデビュー(血統登録頭数の13.06%)

2歳戦終了時
【31-38-21-170/260】勝率11.9%、連対率26.5%。複勝率34.6%
※この時点で109頭がデビュー(血統登録頭数の61.93%)

3・リオンディーズ

函館2歳S終了時
4-0-2-16/22】勝率18.2%。連対率18.2%、複勝率27.3%
※この時点で17頭がデビュー(血統登録頭数の12.78%)

2歳戦終了時
【14-20-22-153/209】勝率6.7%、連対率16.3%。複勝率26.8%
※この時点で81頭がデビュー(血統登録頭数の60.90%)

2021年

1・ドレフォン

函館2歳S終了時
4-2-1-18/25】勝率16.0%。連対率24.0%。複勝率28.0%
※この時点で20頭がデビュー(血統登録頭数の15.74%)

2歳戦終了時
【30-17-22-169/238】勝率15.8%、連対率24.4%。複勝率30.8%
※この時点で90頭がデビュー(血統登録頭数の70.86%)

2・シルバーステート

函館2歳S終了時
4-4-2-16/26】勝率15.4%。連対率30.8%、複勝率38.5%
※この時点で14頭がデビュー(血統登録頭数の12.06%)

2歳戦終了時
【17-12-13-120/162】勝率10.5%、連対率17.9%。複勝率25.9%
※この時点で62頭がデビュー(血統登録頭数の53.44%)

3・イスラボニータ

函館2歳S終了時
1-2-2-12/17】勝率5.9%。連対率17.6%。複勝率29.4%
※この時点で14頭がデビュー(血統登録頭数の12.28%)

2歳戦終了時
【16-16-14-97/143】勝率11.2%、連対率22.4%。複勝率32.2%
※この時点で59頭がデビュー(血統登録頭数の51.75%)

2022年

リアルスティール
0-2-3-11/16】勝率0.0%。連対率12.5%、複勝率31.3%
※この時点で12頭がデビュー(血統登録頭数の10.90%)

サトノダイヤモンド
1-1-1-2/5】勝率20.0%、連対率40.0%、複勝率60.0%
※この時点で5頭がデビュー(血統登録頭数の5.49%)

・近3年のデータを振り返ると、サトノダイヤモンドは圧倒的にこれまでのデビュー頭数が少ないことが分かるが、リアルスティールは血統登録頭数比では2020年のドゥラメンテとほぼ同じ割合の馬が既にデビューしており、ドゥラメンテと比較すると複勝率は上回っているが、勝利、連対率は劣っている状況。

・そろそろリアルスティール産駒中央初勝利の一報が待たれるところではあるが、函館2歳S終了週で産駒が未勝利だった新種牡馬が最終的に2歳戦のファーストシーズンサイアーランキングでTOP3に入った事例は近3年ではゼロ。この意味でリアルスティールの「立ち遅れ具合」は軽いものではない印象。もちろん往時の父・ディープインパクトのように秋以降にぐっと勝ち鞍を積み重ねていく可能性は低くないのかもしれないが、この時期でもそれなりの形は作ってきたのが近3年の有力新種牡馬なのも事実で、ここまでの実績を見る限り、仕上がり早のタイプではないのは明らかだろう。

・尚、リアルスティール産駒の高額市場取引馬のデビュー状況は、価格上位5頭の内、1頭が既にデビューし、トーホウガレオン(9460万円)が7/3の小倉芝1800mの新馬戦でデビューし2着。残り4頭中、2頭は在厩中で1億7600万円の最高価格馬・フェイト(藤田晋氏の持ち馬・矢作芳人厩舎)も在厩中。ノーザンファーム産のリアルスティール産駒は16頭中、4頭がデビューし2着1回、3着1回。

今週デビュー予定のリアルスティール産駒

7/24(日)福島5R・新馬(芝1800m)

コマチザクラ 牝
母・ソラコマチ、母父・サクラバクシンオー

・昨年の北海道セレクションセールにて715万円で取引された馬。母は中央6戦1勝(京都新馬芝1200)。本馬は6番仔。半兄のジェネティクスは中央5勝の現役オープン馬。

シルバーティムール 牡
母・ピエールドリュヌ、母父・キングカメハメハ

・母は重賞3勝の活躍馬・ショウリュウムーンの全妹で中央23戦2勝(小倉芝2000、阪神芝1600)。本馬は3番仔。MonevassiaとKingmamboの全兄妹クロス3×3、サンデーサイレンス3×4のクロスを持つ。従兄のショウリュウイクゾ(ショウリュウムーンの直仔)はG2-日経新春杯の勝ち馬。

7/24(日)小倉5R・新馬(芝1800m)

コスモアリス 牝
母・ミリオンセラー、母父・フジキセキ

・昨年の北海道サマーセールにて407万円で取引された馬。サンデーサイレンス3×3のクロスを持つ馬。母はミリオンディスク(カペラS、北海道スプリントC)の半妹、アムールポエジー(関東オークス)の半姉で、地方9戦2勝(船橋ダ1200、船橋ダ1500)。本馬は7番仔。