これまでに5頭がデビューし、1頭が勝ち上がっているサトノダイヤモンド産駒。ここまでの産駒成績は至って地味なものになっているが、今回はサトノダイヤモンド産駒のここまでの走りをまとめていく。尚、今週デビュー予定のサトノダイヤモンド産駒はいない。
先週までの産駒成績と入厩状況について
・まず中央での産駒成績に触れ、次に入厩状況について触れていく。尚、ここで言う入厩状況はJBIS、netkeibaを参照している。
産駒成績について
・これまでに5頭が全て芝マイル以上のレースにてデビューし、1頭が未勝利戦にも出走し全6レースに出走。6回のレースで最低着順が6着、人気を下回る着順だったケースは1番人気で2着だった1回のみ。複勝率の高さが示すように中身は薄くないが、いかんせん出走頭数が少なく、アピール度は低め。
【1-2-1-2/6】勝率16.7%、連対率50.0%、複勝率66.7%
・本コラムの【2】ここまで中央未勝利のリアルスティール産駒、で触れた通り、この時点で1勝という数字とデビュー頭数の少なさは近3年の有力新種牡馬の中では目立って少ないが、サトノダイヤモンド自身の現役時(2歳11月デビュー、芝1800m未満のレースは未出走)を振り返ると、芝1200などの短距離のレースが多いこの時期の新馬戦向きではない、ということは言えそうである。
・現在の中央でのCPIは1.45、AEI(世代別)は1.73。これらの数字は配合相手がこれまでに輩出した産駒よりも多い賞金をサトノダイヤモンド産駒が獲得していることを示しており、数は少ないがクオリティの高さをしっかりと表していると言える。ちなみに地方でのCPIは0.41、AEI(世代別)は0.89。
入厩状況について
・JBIS、netkeibaに記載されているデータを元にすると、サトノダイヤモンド産駒で目立つのは馬名登録が済んでいない馬、入厩先が決まっていない(確定していない)馬の頭数の多さ。ノーザンファーム産のサトノダイヤモンド産駒は25頭が血統登録されているが、netkeibaを参照するとこの内、入厩している馬、入厩先が確定している馬は17頭(全体の68%。ここからデビューした馬はダイヤモンドハンズ1頭のみ)、入厩先が確定していない馬が8頭。この内、5頭は馬名登録が済んでおらず、デビューはしばらく先となりそうな情勢。仕上がりが遅いのか、仕上がりを焦っていないのか、定かではないが、仕上がりが早い産駒が少ないということは言えるだろう。
市場取引馬について
・これまでに市場取引馬で新馬戦、未勝利戦で3着以内に入着した馬は91頭いるが、取引価格の平均(※2度取引されている馬は直近の取引価格をもとに算出)を求めると3067万円となる。現在、2歳リーディング(勝利数順)で1位タイにつけている2頭の種牡馬(ビッグアーサー、エピファネイア)の産駒で3着以内に入着したトータルの頭数、市場取引馬の頭数と平均取引価格を以下にまとめて、サトノダイヤモンド産駒と比較している。
ビッグアーサー
勝利頭数:4(勝率16.1%)、入着頭数:7(複勝率41.9%)
市場取引馬入着頭数:2(全体の28.5%)、平均取引価格:1347万円
・函館2歳Sを制したブトンドールはノーザンファーム産。2020年のセレクトセール(当歳)で2200万円で取引された馬。ビッグアーサー産駒は2,3歳では30頭が市場取引馬になるが、ブトンドールは2番目に高い価格で取引された馬。ちなみに価格トップはグットディール(牡3・ノーザンファーム産)で5076万円。8戦2勝の現役馬。
・もう1頭の市場取引馬で入着した馬はベッラフロー(2021年の北海道オータムセールにて495万円で取引された馬)。新馬戦3着→未勝利戦3着。
エピファネイア
勝利頭数:5(勝率10.9%)、入着頭数:15(複勝率34.8%)
市場取引馬入着頭数:8(全体の53.3%)、平均取引価格:5314万円
・勝ち上がった5頭中、4頭は市場取引馬。この中ではロッソランバンテ(市場取引価格770万円)が最も安い価格で取引された馬になる。また、8頭の市場取引馬の入着馬の中で最も安い取引価格なのは、シゲルノヴァ(330万円)。この辺りの価格帯から入着馬が出ているのは流石と言える。
サトノダイヤモンド
勝利頭数:1(勝率16.7%)、入着頭数:4(66.7%)
市場取引馬入着頭数:2(全体の50.0%)、平均取引価格:1567万円
・入着馬4頭中2頭は市場取引馬。モンドプリューム(昨年の北海道セレクションセールで880万円で取引され、今年のJRAブリーズアップセールで2860万円で取引された馬)、フジブルーダイヤ(昨年の北海道オータムセールにて275万円で取引された馬)の2頭は、取引価格からみて入着馬平均3067万円以下の馬だが、共に入着しているのは立派。
・ちなみにサトノダイヤモンド産駒の高額取引馬TOP5は以下の通り。これらの高額取引馬が今後、続々とデビューし、続々と勝ち上がってくるとサトノダイヤモンド産駒への期待度はますます上がってくることになるが、どうなるか。
カズボニファシオ 牡
1億6500万円(2021年セレクトセール)
母・ティッカーコード、ノーザンファーム産
・祖母のティッカーテープは米G1・2勝。
サトノグランツ 牡
1億1550万円(2021年セレクトセール)
母・チェリーコレクト、ノーザンファーム産
・母は伊オークス、伊1000ギニーの勝ち馬。近親にチャリティーライン(伊G1馬)、ファイナルスコア(伊G1馬)、シーオブクラス(英・愛G1馬)。
トラミナー 牝
1億1000万円(2020年セレクトセール)
母・サマーハ、ノーザンファーム産
・半兄にシャケトラ、半姉にラスール。
エリドゥバビロンの2020 牡
8800万円(2020年セレクトセール)
母・エリドゥバビロン、ノーザンファーム産
・半兄に重賞入着2回のアドマイヤアルバ。
マテンロウカノン 牝
8580万円(2020年セレクトセール)
母・ウォークロニクル、ノーザンファーム産
・叔母にクロノジェネシス、ノームコア。
・カズボニファシオ、サトノグランツは入厩先が決まっているが、共に現在は不在厩。トラミナーは栗東の藤原英厩舎へ入厩となる模様だが、JBIS、netkeiba共に調教師欄は空欄。エリドゥバビロンの2020はその名の通り、馬名登録が済んでおらず、JBIS、netkeiba共に調教師欄は空欄。マテンロウカノンは現在、札幌にて時計を出し始めており、この5頭の中では最もデビューが早くなりそうな馬。叔母にクロノジェネシス、ノームコアがいる血統馬でサンデーサイレンスの3×4のクロスを持つ。