8月に入り一気に3頭が勝ち上がり、トータル4勝をあげているサトノクラウン産駒。新種牡馬ではマインドユアビスケッツと並び目下トップタイの数字となっており、好調。今回は今後が注目されるサトノクラウン産駒のここまでの走りをまとめていく。

サトノクラウンの血統、経歴、レース動画

・2012年ノーザンファーム産のMarju産駒。現役時は20戦7勝、G1-宝塚記念、G1-香港ヴァーズ、G2-京都記念×2、G2-弥生賞、G3-東京スポーツ杯2歳Sの勝ち馬。他に天皇賞(秋)2着、ダービー3着。4歳12月の香港でHighland Reelらを降し初G1制覇を果たし、5歳6月の宝塚記念でキタサンブラックらを降しG1・2勝目。5歳10月の不良馬場で行われた天皇賞(秋)で勝ったキタサンブラックのクビ差2着。以後、6歳11月のジャパンCまで走ったが全て着外に終わり引退。以下の動画は2016年の香港ヴァーズ。鞍上はJoão Moreira。スタート後、じわっと最内に潜り込み後方で脚を溜めるレースとなり、積極的にレースを主導した人気のHighland Reelをゴール寸前で捉えて差し切り勝ち。

・父のMarjuは1988年愛国産のラストタイクーン産駒。現役時は7戦3勝、G1-セントジェームズパレスS、G3-クレイヴンSの勝ち馬で他に英ダービーでGenerousの2着。Marjuの母・Flame of Taraは当時G2のプリティポリーSとコロネーションSの勝ち馬で、Marjuの他にSalsabil(英1000ギニー→英オークス→愛ダービーなどG1を5勝)など13頭の仔を産み、12頭が勝ち上がり、5頭のステークス勝ち馬を輩出した優秀な繁殖牝馬。以下の動画はMarjuが勝った1991年のセントジェームズパレスS。4角では最後方にいたMarjuが直線大外一気を決めて勝利したレース。

・Marjuは1stクロップからSil Sila(仏オークス)、My Emma(ヴェルメイユ賞、ヨークシャーオークス)を出し、その後もSoviet Song(G1・5勝)、Viva Pataca(クイーンエリザベス2世C)、Indigenous(香港ヴァーズ)らを輩出。2011年に種牡馬引退、2016年10月に老衰のため28歳で死亡。サトノクラウンはラストクロップになる

サトノクラウンの母・ジョコンダⅡは2003年愛国産のRossini産駒。現役時は8戦2勝、L-Silken Glider Stakes(t8f)の勝ち馬。他にG3-キラヴーランS(t7f)3着。サトノクラウンは4番仔だが、サトノクラウンの全姉で2番仔のライトニングパールは英2歳牝馬G1-チェヴァリーパークS、愛2歳G3-ラウンドタワーSの勝ち馬。

・サトノクラウンの母父・Rossiniは1997年米国産のMiswaki産駒。半兄に2004年の北米リーディングサイヤー・Elusive Qualityがいる。現役時は7戦3勝、2歳G2-ロベールパパン賞(t1100m)、2歳G3-アングルシーS(t6.5f)の勝ち馬で、2歳G2-シャンペンS(t7f)2着、G3-グリーンランズS(t6f)3着。父としても母父としてもサトノクラウンとそのきょうだい以外に目立った活躍馬は輩出していない。

先週までの産駒成績について

4-3-1-18/26】勝率15.4%連対率26.9%複勝率30.8%

 芝【4-3-1-18/26】勝率15.4%、連対率26.9%、複勝率30.8%
 →20頭が出走し4頭が勝ち上がり、他に4頭が入着。

 ダ【0-0-0-0/0】
 →ダートに出走した馬はゼロ。

・サトノクラウンは2019年に207頭に種付けされ、翌年に産まれた123頭(血統登録頭数)が1stクロップ。8/17時点で地方では16頭が出走し4頭が勝ち上がり。種付頭数は207頭(2019年)→135頭(2020年)→93頭(2021年)と右肩下がりになっており、1stクロップが良好な戦績を残すことが早期に求められている状況。

・現在、サトノクラウン産駒は26回出走しているが、これと出走回数が近い主な種牡馬をピックアップし、勝率などの各指標を比較したものを以下に示す。

種牡馬1着数出走回数勝率連対率複勝率
キズナ52718.5%29.6%33.3%
サトノクラウン42615.4%26.9%30.8%
ルーラーシップ42814.3%17.9%28.6%
ハーツクライ32910.3%37.9%55.2%
キンシャサノキセキ32910.3%31.0%44.8%
ジャスタウェイ32910.3%17.2%24.1%
ドレフォン32910.3%10.3%17.2%
リアルスティール2267.7%19.2%30.8%

・このリストを見るとサトノクラウン産駒は現時点でかなり健闘している印象で、ルーラーシップ、ジャスタウェイ、ドレフォンには全ての指標で優っており、リアルスティールとは複勝率は同じだが、勝率と連対率では優っている

・サトノクラウン産駒の4頭の勝ち上がり馬の勝ち上がり時の距離は、東京芝1400・新潟芝1600・札幌芝1500・小倉芝1200。タイプ的に芝1200で能力全開というタイプでは明らかにないであろうイメージ通りの戦績を残しており、今後、距離の長い新馬戦、未勝利戦が増えてくるにつれて成績も上がってきそうな印象。そこで芝1400m以上に限定した、現時点の中央2歳リーディング(着別度数順)を集計して以下に示す。尚、平均勝利距離は芝1400m以上のデータのみを抽出した分の平均となる。

 1位:エピファネイア【5-6-5-30/46】平均勝利距離1640.0m
 2位:モーリス【5-1-5-19/30】平均勝利距離1760.0m
 3位:ダノンバラード【4-0-6-16/26】平均勝利距離1650.0m
 4位:ドゥラメンテ【3-4-2-8/17】平均勝利距離1800.0m
 5位:ハービンジャー【3-3-1-13/20】平均勝利距離1733.3m
 6位:サトノクラウン【3-2-1-12/18】平均勝利距離1500.0m
 7位:キズナ【3-2-0-13/18】平均勝利距離1800.0m
 8位:ルーラーシップ【3-1-3-16/23】平均勝利距離1733.3m
 9位:シルバーステート【3-0-5-15/23】平均勝利距離1800.0m
 10位:ハーツクライ【2-7-5-13/27】平均勝利距離1800.0m

・錚々たる種牡馬が並んでいる中、6位に食い込んでいるサトノクラウンの現時点での戦績は優秀と言え、上位10頭に新種牡馬で唯一ランクインしている事実は強調していいだろう。ちなみに新種牡馬でこのランキングで11位以下の種牡馬に12位・マインドユアビスケッツ(2勝)、14位・デクラレーションオブウォー(2勝)、18位・リアルスティール(1勝)、19位・サトノダイヤモンド(1勝)がいる。

・平均勝利距離は先々のクラシックを見込むと、長いほうが可能性を感じさせることになるが、平均勝利距離が1800mとなっている種牡馬はドゥラメンテ、キズナ、シルバーステート、ハーツクライの4頭。サトノクラウンの1500mという平均勝利距離は上位10頭の中では最も短く、現在、マイルを超える距離で勝った馬がいない事が反映されている。サトノクラウンの現役時の戦績を踏まえると、より長い距離でも産駒は今後走ってきそうだが、上位種牡馬の産駒に対してしっかりと伍していけるか、注目となる。

市場取引馬について

・サトノクラウン産駒で市場取引された馬の内、取引価格上位3頭は以下の通り。いずれもノーザンファームの生産馬でセレクトセールにて取引された馬。3頭とも母父がサンデーサイレンスで、母がやや高齢の時に産まれた産駒となる。

クラシカルビジュー 牝
母・ギーニョ、母父・サンデーサイレンス、(栗)清水久詞

・2021年のセレクトセールにて5060万円で取引された馬。母は26戦2勝、トゥザヴィクトリー、ビーポジティブ、サイレントディールの全妹。本馬は9番仔。母の産駒成績は初仔から順に【3勝-地方3勝-3勝1勝1勝+地方4勝-2勝(現役)-1勝2勝(現役)】で、コンスタントに中央で産駒が勝ち上がっている。現在は不在厩。

タイセイクラージュ 牡
母・シェリール、母父・サンデーサイレンス、(栗)矢作芳人

・2020年のセレクトセール(当歳)にて4950万円で取引された馬。母は24戦4勝。本馬は12番仔。母の産駒成績は初仔から順に【2勝7勝1勝4勝3勝-0勝-3勝5勝2勝1勝(現役)-0勝】で、ムスカテール(7勝・目黒記念の勝ち馬)、グロンディオーズ(5勝・ダイヤモンドSの勝ち馬)の半弟。現在は不在厩。

ウヴァロヴァイト 牝
母・エイグレット、母父・サンデーサイレンス、(美)萩原清

・2021年のセレクトセールにて4290万円で取引された馬。7/24の札幌芝1800mの新馬戦でデビューし、勝ち馬からアタマ差の2着。母は16戦3勝。本馬は12番仔。母の産駒成績は初仔から順に【0勝-9勝1勝1勝5勝+地方1勝-2勝1勝4勝(現役)-2勝2勝1勝(現役)】で、ミトラ(9勝・金鯱賞、福島記念の勝ち馬)の半妹。現在は不在厩だが、新馬戦で4着だった馬が次走の未勝利戦で勝ち上がり、3着馬と5着馬が次走の未勝利戦2着、6着馬が次走の未勝利戦3着。この馬の勝ち上がりは早そうである。

・ちなみに新種牡馬産駒の市場取引馬の取引価格上位3頭の平均取引価格を比較すると、サトノダイヤモンドが1億2210万円、リアルスティールが1億1440万円。この両馬と比べるとサトノクラウンの平均取引価格4766万円は割安。

今週のサトノクラウン産駒の出走予定馬

8/21(日)新潟5R・2歳新馬(芝1800m)

フジリョウエイ 牡
母・フジキラメキ、母父・ゼンノロブロイ

・岡田牧場の生産馬。母は14戦1勝(東京ダ1600)。本馬は7番仔。母の産駒成績は初仔から順に【地方4勝-地方9勝-0勝-地方3勝-地方2勝-0勝】で、産駒は中央では未勝利。牝系は6代母がシラオキで、1907年に小岩井農場が輸入したフロリースカップが輸入基礎牝馬。シラオキを牝祖とする主な活躍馬にコダマ、ウオッカ、スペシャルウィーク、シスタートウショウ、マチカネフクキタルなどがいる。