2022 凱旋門賞等・レース結果

現地時間10/2(日)に仏パリロンシャン競馬場にて行われた、G1-凱旋門賞(t2400m)、G1-アベイドロンシャン賞(t1000m)、G1-オペラ賞(t2000m)、G1-フォレ賞(t1400m)等、6つのG1の結果と動画をお届けする。最後に最終レースで久々のフランスでの勝利をあげたクリストフ・ルメール騎手についても軽く触れる。

Qatar Prix de l’Arc de Triomphe(G1・芝2400m・3歳上・せん馬不可)

・凱旋門賞は、好位のインで運んだAlpinistaが絶好の手応えで残り300の地点で先頭に立ち、そのまま力強く押し切って1着。2着に中団から差し伸びたVadeni。3着に後方追走から直線で外を良く伸びたTorquator Tasso。

1着:Alpinista

牝5、父・Frankel、母・Alwilda、母父・Hernando
調教師:Sir Mark Prescott Bt、騎手:Luke Morris

・今回の勝利で通算15戦10勝、G1・6勝目、重賞7勝目。昨年8/30のリステッド(t1m3f218yds)勝ちから、これでG1・6連勝、重賞7連勝、トータルで8連勝達成。昨年8/8のG1-ベルリン大賞で後の凱旋門賞馬・Torquator Tassoを降してから始まったG1連勝はその後、オイロパ賞→バイエルン大賞→サンクルー大賞→ヨークシャーオークス→凱旋門賞と続くこととなっている。

・オーナーのMiss K Rausing女史は、2020年のフォーブスの世界の億万長者リストで150番目に裕福な個人としてリストされた人物で、スウェーデン産まれの70歳の女性(結婚したことがなく子供もいない)。無菌包装技術を発明し、液体食品包装会社Tetra Pakを創設した人物を祖父に持つ。牛乳やオレンジジュースなどの飲料をガラス瓶ではなくパックで保管出来るようになった恩恵は我々も等しく享受しているもので、持株会社TetraLavalの3分の1を所有しているのが彼女の富の源泉。英国在住でニューマーケットにLanwades Studを所有している。

※帽子を被っている女性がオーナーのMiss K Rausing女史。

https://twitter.com/AtTheRaces/status/1576584238656208897

・Frankelは既に25頭のG1馬を輩出しているが、父・Galileoの産駒が初めて凱旋門賞を勝ったのは10thクロップのFound。これに対し、AlpinistaはFrankelの4thクロップになる。

母のAlwildaは2010年英国産、24戦4勝、L-Silbernes Band(t3800m)の勝ち馬。Alpinistaは初仔。祖母のAlbanovaはオイロパ賞、ドイツ賞、ラインラントポカール(現バイエルン大賞)の3つのG1に勝利した活躍馬。Albanovaの全姉・AlboradaはG1-英チャンピオンS連覇を含む重賞5勝。

・日本調教馬はタイトルホルダー11着(勝ち馬から13馬身差)、ステイフーリッシュ14着(18馬身1/4差)、ディープボンド18着(36馬身1/4差)、ドウデュース19着(42馬身1/4差)。タイトルホルダーはバリードイルのBroomeにつつかれる苦しい展開となり、直線で一杯になったレース。他の3頭は例年通りではあるが馬場への適性に苦しみ、見せ場なく敗れている。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2022-10-02/812831

Prix de l’Abbaye de Longchamp Longines(G1・芝1000m・2歳以上)

・アベイドロンシャン賞は、積極的に前々でレースを進めたThe Platinum Queenが短首差、抜け出して1着。2着にWhite Lavender。

1着:The Platinum Queen

2、父・Cotai Glory、母・Thrilled、母父・Kodiac
調教師:Richard Fahey、騎手:Hollie Doyle

・今回の勝利で通算7戦4勝、G1初制覇。前々走8/19のG1-ナンソープS(t5f)で古馬相手に軽量を利し2着と健闘。前走9/11は2歳戦に戻り、G2-フライングチルダースS(t5f3yds)に出走するも2着と敗れ、ナンソープS同様、Hollie Doyleを鞍上に迎え、ここへ出走していた馬。父も母父もデインヒル直系で、デインヒルの3×3のクロスを持つ。

・父のCotai Gloryは2012年英国産のExceed and Excel産駒。現役時は30戦4勝、G3-ドバイ国際空港ワールドトロフィー、G3-モールコームSの勝ち馬。他にキングズスタンドS2着、ナンソープS3着。The Platinum Queenは初の産駒G1馬になる。他に2頭の重賞勝ち馬、2頭のリステッド勝ち馬を輩出中。

・母のThrilledは2013年愛国産、4戦未勝利。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2022-10-02/822983

Prix de l’Opera Longines(G1・芝2000m・3歳上牝馬)

・オペラ賞は、人気のNashwaがレースを主導する展開。直線に入っても脚色衰えず、勝勢を築いたが、中団やや後ろに構えていたPlace Du Carrouselが外から矢のような伸びを見せ、一気に差し切って1着。Nashwaは惜しい2着。

1着:Place Du Carrousel

牝3、父・Lope De Vega、母・Traffic Jam、母父・Duke Of Marmalade
調教師:A Fabre、騎手:Mickael Barzalona

・今回の勝利で通算6戦3勝、G1初制覇、重賞2勝目。4/29のG3-クレオパトル賞(t2100m)を制し、5/29のG1-サンタラリ賞(t2000m)で2着。その後、6/19のG1-ディアヌ賞(仏オークス/芝2100m)に出走し、10着と敗れていた馬。今回はそれ以来、105日ぶりのレースで単勝42倍の人気薄となっていた馬。

・父のLope De Vegaは2007年愛国産のShamardal産駒。現役時は9戦4勝。プールデッセデプーラン(仏2000ギニー)、ジョッケクルブ賞(仏ダービー)の仏2冠馬。Place Du Carrouselは17頭目の産駒G1馬になる。今年はHypotheticalがG1-アルマクトゥームチャレンジラウンド3、DreamloperがG1-ムーランドロンシャン賞、Sweet LadyがG1-ヴェルメイユ賞を制している。

母のTraffic Jamは2013年愛国産、9戦3勝、G2-コンセイユ・ド・パリ賞の勝ち馬。4代母Hiwaayatiを牝祖とする主な活躍馬にLillie Langtry(メイトロンS、コロネーションS)とその直仔、Minding(英オークス、英1000ギニー、クイーンエリザベス2世SなどG1・7勝)、Empress Josephine(愛1000ギニー)、Tuesday(英オークス)がいる。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2022-10-02/822982

Qatar Prix de la Foret Presente par Education Above All(G1・芝1400m・3歳以上)

・フォレ賞は、エントシャイデンがレースを引っ張り、直線良く粘り込むも、外からシャープな差し脚を駆使したKinrossが差し切り勝ち。2着にMehmas産駒・Malavath。エントシャイデンは昨年に続き2年連続で3着。

1着:Kinross

せん5、父・Kingman、母・Ceilidh House、母父・Selkirk
調教師:Ralph Beckett、騎手:Frankie Dettori

・今回の勝利で通算20戦7勝、G1初制覇、重賞5勝目。昨年の4着馬で、前々走8/20のG2-シティオブヨークS(t7f)→9/11のG2-パークS(t7f6yds)を連勝し、ここへ出走していた馬。

・父のKingmanは2011年英国産のInvincible Spirit産駒。現役時は8戦7勝、愛2000ギニー→セントジェームズパレスS→サセックスS→ジャックルマロワ賞とG1を4連勝し、2014年のカルティエ賞年度代表馬、最優秀3歳牡馬に選出された馬。これまでにPalace PierPersian KingシュネルマイスターDomestic Spendingの4頭のG1馬を輩出中で、Kinrossは5頭目の産駒G1馬となる。種付料は初年度は5万5000ポンドだったが、現在3年連続で15万ポンド。今の欧州を代表する種牡馬の一頭。

母のCeilidh Houseは2007年英国産、11戦2勝、L-Bet On totescoop6 At totesport.com EBF Gillies Fillies’ Stakes(t1m2f43yds)の勝ち馬。従兄のFirst Selectionは2歳G3-ソラリオSの勝ち馬で、2016年のG1-プールデッセデプーラン(仏2000ギニー)2着馬。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2022-10-02/822984

Qatar Prix Marcel Boussac – Criterium des Pouliches(G1・芝1600m・2歳牝馬)

・マルセルブサック賞は、道中好位イン追走のBlue Rose Cenが直線でインを突き、早めに抜け出して後続を離して快勝。5馬身差の2着にSaxon Warrior産駒・Gan Teorainn。

1着:Blue Rose Cen

牝2、父・Churchill、母・Queen Blossom、母父・Jeremy
調教師:Christopher Head、騎手:Aurelien Lemaitre

・今回の勝利で通算6戦4勝、G1初制覇、重賞2勝目。パリロンシャンでの前走9/8のG3-オマール賞(t1600m)の勝ち馬。

・父のChurchillは2014年愛国産のGalileo産駒。現役時は13戦7勝、英2000ギニー、愛2000ギニー、デューハーストS、ヴィンセントオブライエンナショナルSの4つのG1を含む重賞6勝。2016年のカルティエ賞最優秀2歳牡馬。現3歳が1stクロップで、ジョッケクルブ賞、エクリプスSを制し、本日の凱旋門賞で2着となったVadeniが出現。2ndクロップからもG1馬を出し、将来有望な種牡馬としての地位を確実なものにした印象。

母のQueen Blossomは2013年愛国産、11戦3勝、愛G3-パークエキスプレスS、米G3-サンタバーバラSの勝ち馬

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2022-10-02/822981

Qatar Prix Jean-Luc Lagardere(G1・芝1400m・2歳牡馬、牝馬)

・ジャンリュックラガルデール賞は、4番手追走のBelbekが直線で鋭く伸びて差し切り勝ち。2着にGamestop。1番人気のShartashは4着。

1着:Belbek

牡2、父・Showcasing、母・Bee Queen、母父・マクフィ
調教師:A Fabre、騎手:Mickael Barzalona

・今回の勝利で通算6戦3勝、G1初制覇、重賞2勝目。6/19のG3-ボワ賞(t1200m)の勝ち馬で、その後は4着(G2)、5着(G3)。今回は約2カ月ぶりのレースだった馬。

・父のShowcasingは2007年英国産のOasis Dream産駒。現役時は7戦2勝、2歳G2-ジムクラックS(t6f)の勝ち馬で、他にG1-ミドルパークS3着、G2-デュークオブヨークS2着。初年度の種付料は5000ポンドだったが、2ndクロップからコモンウェルスC、スプリントCを勝ったQuiet Reflectionを輩出し、5thクロップからAdvertise(フェニックスS、コモンウェルスC、モーリスドゲスト賞)、Mohaather(サセックスS)が出現。Belbekは4頭目の産駒G1馬になる

・母のBee Queenは2014年英国産、2戦未勝利。牝系はジャドモントファームの隆盛を支えた名繁殖牝馬・Hasili(5頭のG1馬と種牡馬として成功したDansiliの母)が4代母になり、Hasiliの直仔・Banks Hill(ジャックルマロワ賞、BCフィリー&メアターフ、コロネーションS)から分岐したファミリーに属する。叔父のSangariusはG3-ハンプトンコートSの勝ち馬。母の叔母・RomanticaはG1-ジャンロマネ賞、G2-ノネット賞、G3-アレフランス賞の勝ち馬。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2022-10-02/822980

クリストフ・ルメールが最終レースのハンデ戦で、単勝人気23.1倍の馬で1着。入線後、左手を高々と上げて喜びを表現。レース後、「この週末を楽しんだ。まるで重賞を勝ったかのようだ!」とコメント。フランスでの勝利は2016年のマカヒキで勝ったニエル賞以来、パリロンシャンでの勝利は2014年のアラビアンワールドカップ以来となっている。