今回はファインニードルを取り上げる。全盛期に見せた勝負強さは印象深いものがある名スプリンターだが、自身同様のスプリント路線で活躍する勝負強い大器晩成の大物を送り出せるか、注目される。ここまでの産駒の走りをまとめていく。

ファインニードルの経歴、レース動画

・2013年ダーレー・ジャパン・ファーム産のアドマイヤムーン産駒。現役時は28戦10勝、G1-高松宮記念G1-スプリンターズS、G2-セントウルS(2勝)、G3-シルクロードSの勝ち馬。2018年の春秋スプリントG1連覇を達成し、同年のJRA賞最優秀短距離馬に選出される。獲得賞金は4億7827万6000円。JRA-VANの名馬メモリアルでは同馬を「世界のゴドルフィンが日本に打ち込んだ楔」と形容しているが、同馬の高松宮記念勝ちは国内生産のゴドルフィン所有馬として初のG1勝ちであった。

・尚、同一年に春秋スプリントG1を制覇を達成した馬は、以下の5頭。

 フラワーパーク(1996年・4歳時に達成)
 トロットスター(2001年・5歳時に達成)
 ローレルゲレイロ(2009年・5歳時に達成)
 ロードカナロア(2013年・5歳時に達成)
 ファインニードル(2018年・5歳時に達成)

・尚、年をまたいで秋→春のスプリントG1を制した馬に、ビリーヴ(2002,2003年)、カレンチャン(2011,2012年)、ロードカナロア(2012,2013年)がいる。

・以下の動画は2018年の高松宮記念。ファインニードルは5歳となり、年明け初戦のG3-シルクロードSを制し、ここへ2番人気で出走。道中6番手追走から直線外から末脚を伸ばし、先に抜け出していたレッツゴードンキをハナ差、差し切って1着。

・以下の動画は2018年のスプリンターズS。高松宮記念を制した後、香港のチェアマンズスプリントプライズで4着に敗れ、休養入り。休み明け初戦のG2-セントウルSを前年に続き連覇し、ここへ1番人気で出走。中団追走から直線外から豪快に伸び、ラブカンプーをクビ差捕らえて1着。

ファインニードルの父、母

・ファインニードルの父・アドマイヤムーンは、2003年ノーザンファーム産のエンドスウィープ産駒。現役時は17戦10勝、ジャパンC、宝塚記念、ドバイデューティーフリーの3つのG1を含む重賞8勝、2007年のJRA賞年度代表馬、最優秀4歳以上牡馬。ファインニードルは5thクロップで、同じ5thクロップからはセインコウセイ(高松宮記念、函館スプリントS)も出ており、この2頭のG1馬の他にハクサンムーン(1stクロップ・セントウルS、アイビスサマーダッシュ、京阪杯)、レオアクティブ(1stクロップ・京王杯2歳S、京成杯オータムH)、ムーンクエイク(5thクロップ・京王杯スプリングC)などを輩出中。

・ファインニードルの母・ニードルクラフトは、2002年アイルランド産のMark Of Esteem産駒。現役時は8戦3勝、仏G3-クロエ賞(t1800m)、伊G3-セルジオ・クマニ賞(t1600m)の勝ち馬。ニードルクラフトの半きょうだい(せん馬)・Fractionalは仏G2-ドラール賞、仏G3-メシドール賞、仏G3-クインシー賞、仏G3-ラ・クープドメゾンラフィットの勝ち馬。ファインニードルのいとこ(せん馬)・Gallatinは豪G2-タロックSの勝ち馬。

中央産駒成績、各種指標について

戦績【5-5-5-36/51】
勝率9.8%連対率19.6%複勝率29.4%
23頭がデビューし、4頭が勝ち上がり(17.39%)
1頭当賞金294万円
平均勝利距離:1280.0m、平均連対距離:1380.0m

勝率9.8%モーリス(8.1%)、ジャスタウェイ(8.8%)、リアルスティール(9.3%)、ハービンジャー(9.2%)を凌ぐ数字で、サトノダイヤモンドと同じ数字でまずまずのもの。新種牡馬ではマインドユアビスケッツ(14.1%)、サトノクラウン(12.7%)、デクラレーションオブウォー(12.5%)、シャンハイボビー(10.9%)らが10%を超えており、10%というラインは早めにクリアーしておきたいところ。

連対率19.6%シルバーステート(18.8%)、ドレフォン(18.2%)、ジャスタウェイ(16.7%)、ダノンバラード(15.6%)を凌ぐ数字で悪くない数字と言える。ただ、同じ新種牡馬ではマインドユアビスケッツ(26.1%)、サトノクラウン(21.1%)、リアルスティール(20.9%)、デクラレーションオブウォー(21.9%)、シャンハイボビー(23.6%)、サトノダイヤモンド(25.5%)らが20%を超えており、当面は20%を超える数字を残したいところではある。

複勝率29.4%はドレフォン(27.3%)、ジャスタウェイ(25.5%)、ロードカナロア(28.2%)、サトノクラウン(26.8%)、ダノンバラード(28.9%)、デクラレーションオブウォー(28.1%)を凌ぐ数字。新種牡馬ではマインドユアビスケッツ(30.4%)、リアルスティール(30.2%)、シャンハイボビー(36.4%)、サトノダイヤモンド(39.2%)らが30%を超えており、30%という数字は超えておきたい数字になる。

・1頭当賞金の294万円という数字は新種牡馬の中ではなかなかの数字で、カンナSを勝ったウメムスビの存在が寄与している印象があるが、以下のように着々と賞金を積み上げている馬が多くいる点が特徴的である。

 ※主な新種牡馬の1頭当賞金

 ファインニードル:294万円
 マインドユアビスケッツ:281万円
 サトノクラウン:235万円
 リアルスティール:223万円
 デクラレーションオブウォー:274万円
 シャンハイボビー:291万円
 サトノダイヤモンド:269万円

 ※ファインニードル産駒の獲得賞金上位馬

 ウメムスビ2640万円(新馬2着、未勝利1着、フェニックス賞4着、カンナS1着)
 ダンシングニードル910万円(新馬3着、未勝利2着、未勝利1着)
 クルゼイロドスル800万円(新馬2着、未勝利1着)
 トレンディスター700万円(新馬1着)
 サティンボディス698万円(新馬2着、未勝利3着、未勝利2着、未勝利4着)

・ファインニードルは、5歳時に春秋スプリントG1を制した馬で、勝ち上がりはデビュー3戦目となる2歳11月。2勝目は3歳5月、3勝目は3歳10月、オープン入りしたのが4歳2月、初重賞勝ちが4歳9月という馬。戦績からは産駒が2歳戦から全開で活躍するイメージは無いが、2歳戦でコンスタントに入着を繰り返す馬が複数出ている点は評価に値する印象。

・また勝ち馬からそれほど離されずに4着、5着となっている馬が複数おり、勝ち上がり予備軍が複数いる点は注目に値する。

 ジェイケイファイン
 10/9・東京未勝利(ダ1400)5着(0.3秒差)

 ルーラルハピネス
 9/18・中山新馬(芝1200)4着(0.6秒差)

 ニードレストゥセイ
 6/25・阪神新馬(芝1400)4着(0.4秒差)
 7/24・小倉未勝利(芝1200)4着(0.3秒差)

・CPI、AEIについて以下にまとめる。地方での数値を見るとダート適性は高くないと見て取れようか。ちなみに中央でのダートでの戦績は11回出走し、3着1回(勝ち馬から1.6秒差)、4着1回(勝ち馬から1.9秒差)、5着1回(勝ち馬から0.3秒差)、着外8回。

中央CPI:1.27、中央AEI:1.33
地方CPI:1.22、地方AEI:0.56

・種付頭数、産駒数について以下にまとめる。昨年の種付頭数が前年の半分以下になっている点は気になるが、同じゴドルフィンのタワーオブロンドンが2021年からスタッドインし、134頭に種付けしており、この影響を受けた面は少なからずあるだろう。1stクロップの活躍が反映される2023年の種付頭数が今後注目されるが、父・アドマイヤムーンが2頭のG1馬、ファインニードルとセイウンコウセイを出したのは前述の通り、5thクロップ。2023年に種付けされる世代はファインニードルの5thクロップとなる。

2019年:105頭、血統登録頭数:65
2020年:110頭、血統登録頭数:72
2021年:054