2022 ブリーダーズカップ初日・レース結果

現地時間11/4(金)に米キーンランド競馬場にて行われた、今年のブリーダーズカップ初日のレース結果と動画をまとめてお届けする。初日は例年同様、2歳戦のG1レースが組まれており、今年からジュヴェナイルターフスプリントがG1に昇格し、計5つのG1レースが行われている。

Breeders’ Cup Juvenile Turf(G1・芝8f・2歳牡馬、せん馬)

・ジュヴェナイルターフは、最内枠発走のVictoria Roadが中団イン追走から直線で狭いところを抜け出し、差し切り勝ち。道中はVictoria Roadの後ろにいた1番人気のSilver Knottは直線最内から良く伸び、いったんは先頭に立つシーンもあったが2着。

1着:Victoria Road

牡2、父・Saxon Warrior、母・Tickled Pink、母父・Invincible Spirit
調教師:A P O’Brien、騎手:Ryan Moore

・今回の勝利で通算8戦4勝、G1初制覇、重賞2勝目。5月のデビュー後、4着→2着→4着→4着。勝ち上がりは5戦目(t7f)で、次走8/20のドーヴィルでのL-エルバジェ賞(t1600m)に勝利。続く9/17のシャンティイでのG3-コンデ賞(t1800m)も制し、ここへ出走していた馬。A P O’Brien師は初勝利の時点でそのパフォーマンスからブリーダーズカップが念頭にあったとコメントし、「彼はとてもエキサイティングな馬です」とコメント。2021年タタソールズ10月1歳馬セール(Book1)にて、米ドル換算で16万4535米ドルにて取引された馬。

・父のSaxon Warriorは2015年日本産のディープインパクト産駒。クールモアがMaybe(2011年のカルティエ賞最優秀2歳牝馬)をディープインパクトとの交配のために日本に送り、ノーザンファームで誕生した馬。現役時は9戦4勝、G1-英2000ギニー、2歳G1-レーシングポストトロフィー、G2-ベレスフォードSの勝ち馬。他に愛チャンピオンS2着、エクリプスS2着、愛ダービー3着、英ダービー4着、インターナショナルS4着。現2歳が1stクロップで早速、G1馬を輩出。他にLumiere Rock(スタフォーズタウンスタッドS)、Moon Ray(ミエスク賞)が重賞勝ち。Gan TeorainnがG1-マルセルブサック賞で2着するなど、重賞入着馬が他に3頭いる。

母のTickled Pinkは2009年アイルランド産、12戦3勝、G3-アバーナントS(t6f)、G3-スプリントS(t5f)の勝ち馬。Tickled Pinkの半姉・Halfway to HeavenはサンチャリオットS、ナッソーS、アイリッシュ1000ギニーのG1・3勝馬で、直仔のMagical(本馬の従姉)は、愛チャンピオンS2勝、英チャンピオンSなどG1・7勝、同じく直仔のRhododendronはロッキンジS、オペラ賞などG1・3勝。先日、Rhododendronの直仔・Auguste Rodin(父・ディープインパクト)がG1-フューチュリティトロフィーを制し、来春のクラシック候補に名乗りをあげたばかり。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/301/keeneland/2022-11-04/825396

FanDuel Breeders’ Cup Juvenile presented by T’bred Aftercare Alliance(G1・ダ8.5f・2歳牡馬、せん馬)

・ジュヴェナイルは、1番人気のArrogate産駒・Cave Rockがハナに立ち、2番人気のForteは5,6番手を追走する展開。Cave Rockが直線で押し切りを図ろうとするところへ、外からForteが一気に突き抜けて差し切り勝ち。1馬身半差の2着にCave Rock。

1着:Forte

牡2、父・Violence、母・Queen Caroline、母父・Blame
調教師:Todd Pletcher、騎手:Irad Ortiz Jr

・今回の勝利で通算5戦4勝、G1・3勝目。9/5のG1-ホープフルS(t7f)→10/8のG1-ブリーダーズフューチュリティ(t8.5f)に続き、これでG1を3連勝。2020年キーンランド11月Mixedセールにて8万米ドルにて取引され、翌2021年キーンランド9月1歳馬セールにて11万米ドルにて取引された馬。

・父のViolenceは2010年米国産のMedaglia d’Oro産駒。現役時は4戦3勝、2歳G1-キャッシュコールフューチュリティ(d8.5f)、2歳G2-ナシュアS(d8f)の勝ち馬で、G2-ファウンテンオブユースS2着。代表産駒はDr. Schivel(ビングクロスビーS、デルマーフューチュリティ)。来年の種付料が既に発表されており、今年の2万5000米ドルから自身最高の4万米ドルに上昇。

母のQueen Carolineは2013年米国産、20戦6勝、L-インディアナグランドSの勝ち馬で他にBlack Typeのレースを3勝。4代母のJeanoは米重賞2勝。このJeanoを牝祖とする活躍馬にコントレイル、Essential Qualityがいる。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/301/keeneland/2022-11-04/825398

Breeders’ Cup Juvenile Fillies Turf(G1・芝8f・2歳牝馬)

・ジュヴェナイルフィリーズターフは、後方追走の1番人気・Meditateが直線外に持ち出されると、見事な瞬発力を披露し、早々に先頭に突き抜け、2着に2馬身半差をつけて完勝。アメリカ調教馬・Pleasant Passageが2着。

1着:Meditate

牝2、父・No Nay Never、母・Pembina、母父・Dalakhani
調教師:A P O’Brien、騎手:Ryan Moore

・今回の勝利で通算7戦5勝、G1初制覇、重賞4勝目。4/10のデビュー戦(t5f)→5/15のG3-フィリーズスプリントS(t6f)→6/17のロイヤルアスコットのG3-アルバニーS(t6f)→8/20のG2-デビュータントS(t7f)とデビュー4連勝を果たすも、近2走は9/11のG1-モイグレアスタッドS(t7f)で2着→9/24のG1-チェヴァリーパークS(t6f)で2着と、G1で一息足りない結果が続いていたが、初のマイルでの一戦となった今回、惜敗続きに終止符を打つこととなっている。A P O’Brien師はレース後、「彼女は一流の牝馬だといつも思っていました」とコメント。2021年アルカナ8月1歳馬セールにて米ドル換算で42万4619米ドルにて取引された馬。

・父のNo Nay Neverは2011年米国産のScat Daddy産駒。現役時は6戦4勝、2着2回。仏2歳G1-モルニー賞(t1200)、英2歳G2-ノーフォークS(t5f)、米G3-ウッドフォードS(t5.5f)の勝ち馬。現2歳まで5世代が稼働中で、本馬は7頭目の産駒G1馬になる。現2歳はTen Sovereigns(1stクロップ)がミドルパークSを制した翌年に種付けされた時の世代で、種付料が前年の4倍の10万ユーロに一気に引き上げられた時の世代。早速、Blackbeard(ミドルパークS、モルニー賞)とLittle Big Bear(フェニックスS)、本馬(BCジュヴェナイルフィリーズターフ)の3頭のG1馬を出し、持ち味の早熟性を如何なく発揮しセンセーショナルな結果を出している状況。次なる興味は3歳になってこれらの馬がどんなパフォーマンスを示すか、時期や距離においてどこまで優位性を保てるか、になる。

・母のPembinaは2009年アイルランド産、5戦1勝。従兄のMost ImprovedはG1-セントジェームズパレスSの勝ち馬。従兄のEctotはG1-ジョーハーシュターフクラシックS、2歳G1-クリテリウムアンテルナシオナルを含む重賞5勝。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/301/keeneland/2022-11-04/825397

NetJets Breeders’ Cup Juvenile Fillies(G1・ダ8.5f・2歳牝馬)

・ジュヴェナイルフィリーズは、後ろから3頭目を追走していたWonder Wheelが4角にかけて最内を通りスルスルと上昇。直線で進路を確保されると、一気に先頭に立ち、2着のLeave No Traceに3馬身差をつけて圧勝。1番人気のChop Chopは最下位の13着。

1着:Wonder Wheel

牝2、父・Into Mischief、母・Wonder Gal、母父・Tiz Wonderful
調教師:Mark Casse、騎手:Tyler Gaffalione

・今回の勝利で通算5戦4勝、G1・2勝目。6/3のデビュー戦(d5.5f)で1着→7/4のL-デビュータントS(d6f)で1着→9/4のG1-スピナウェイS(d7f)で2着とし、今回と同舞台、同距離の一戦となる前走10/7のG1-アルシバイアディーズS(d8.5f)で重賞初制覇を果たし、ここへ出走していた馬。前走は逃げ切り勝ちで今回は一転して後方追走からの差し切り勝ち。BLOOD HORSEは今回の勝利を「熱狂的な勝利」と形容している。2021年キーンランド9月1歳馬セールにて27万5000米ドルにて取引された馬。

・父のInto Mischiefは2005年米国産のHarlan’s Holiday産駒。現役時は6戦3勝、2歳G1-キャッシュコールフューチュリティ(AW8.5f)の重賞1勝。半妹に名牝Beholder(G1・11勝、エクリプス賞を4度受賞)、半弟にMendelssohn(BCジュヴェナイルターフ)。3年連続で北米リーディングサイアーの座に君臨中でほぼ4年連続の座を確定しているチャンピオンサイアー。ブリーダーズカップはGoldencents(ダートマイル2勝)、Covfefe(フィリー&メアスプリント)、Gamine(フィリー&メアスプリント)、Authentic(クラシック)、Life Is Good(ダートマイル)に続き、6頭目の勝ち馬となり、産駒通算7勝目。

母のWonder Galは2012年米国産、18戦4勝、重賞勝ちは無いがマザーグースS2着、フリゼットS2着、BCジュヴェナイルフィリーズ3着、エイコーンS3着とG1での入着が4回。母の従兄・Force the PassはG1-ベルモントダービー、G3-ペンマイルSの勝ち馬。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/301/keeneland/2022-11-04/825400

Breeders’ Cup Juvenile Turf Sprint(G1・芝5.5f・2歳)

・ジュヴェナイルターフスプリントは、最後方追走のMischief Magicが直線で何とか進路を確保されると、矢のような末脚を発揮。先に抜け出していたDramatisedを一気に差し切り、1着。1番人気のアメリカ調教馬・Love Reignsは8着。アベイドロンシャン賞の勝ち馬・The Platinum Queenは11着。

1着:Mischief Magic

牡2、父・Exceed And Excel、母・Veil Of Silence、母父・Elusive Quality
調教師:Charlie Appleby、騎手:William Buick

・今回の勝利で通算6戦4勝、G1初制覇、重賞2勝目。前々走9/3のG3-サイレニアS(AW6f)で重賞初制覇を果たし、前走9/24のG1-ミドルパークS(t6f)では勝ったBlackbeardから4馬身差の4着となっていた馬。ゴドルフィンの自家生産馬。

・父のExceed And Excelは2000年豪州産のデインヒル産駒。現役時は12戦7勝、ニューマーケットH(t1200m)、ドバイレーシングクラブC(t1400m・現サールパートクラークS)の2つのG1を含む重賞6勝。2003-2004シーズンの豪最優秀スプリンター。種牡馬入り後、2012-2013シーズンには豪チャンピオンサイアーの座に就くなど大成功を収め、南半球だけでなく北半球でも活躍馬を輩出。本馬は17頭目の産駒G1馬となる。主な産駒にExcelebration(ムーランドロンシャン賞、ジャックルマロワ賞、クイーンエリザベス2世S)、マーゴットディド(ナンソープS・ノーザンファーム繋養中)、Bivouac(ゴールデンローズS、ニューマーケットH、VRCスプリントクラシック)、Mr Stunning(香港G1を3勝)など。産駒がブリーダーズカップを制するのはOutstrip(BCジュヴェナイルターフ)に次ぐ2回目。

・母のVeil Of Silenceは2006年アイルランド産、未出走で、2007年のG1-レーシングポストトロフィーの勝ち馬・Ibn Khaldunの半妹。祖母のGossamerはG1-アイリッシュ1000ギニー、2歳G1-フィリーズマイル、2歳G3-プレスティジSの勝ち馬。Gossamerの全兄・BaratheaはG1-BCマイル、G1-クイーンアンS、G1-アイリッシュ2000ギニーの勝ち馬。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/301/keeneland/2022-11-04/825399