現地時間11/5(土)に米キーンランド競馬場にて行われた、今年のブリーダーズカップ2日目。本稿ではこの内、ダートで行われたクラシック、ディスタフ、スプリント、ダートマイル、フィリー&メアスプリントの5つのG1レースについて結果と動画をお届けする。
※芝で行われた4つのG1レースについては以下をご覧下さい。
Longines Breeders’ Cup Classic(G1・ダ10f・3歳以上)
・クラシックは、Life Is Goodがハナを切り、Flightlineが番手追走。3番手以下を離して2頭がレースを引っ張る展開となり、4角でFlightlineが先頭に並びかけると、直線は例によって独走。2着のOlympiadに8馬身1/4差をつけて1着。逃げたLife Is Goodは勝ち馬から12馬身半差の5着。
1着:Flightline
牡4、父・Tapit、母・Feathered、母父・Indian Charlie
調教師:John W Sadler、騎手:Flavien Prat
・今回の勝利で通算6戦6勝、G1・4勝目。昨年4/24のデビュー戦(d6f・2着に13馬身1/4差)で116(※後に111へ修正)、昨年9/5の2戦目(d6f・2着に12馬身3/4差)で130(※後に127へ修正)と当初よりG1レベルを優に超えるEQUIBASEスピード指数を叩き出し、3戦目となる昨年12/26のG1-マリブS(d7f・2着に11馬身半差)で127(後に126へ修正)の指数を出して完勝したことで、いよいよ本物の逸材現る、との評価を確定させて2021年を3戦3勝で終える。ちなみにマリブSで出した指数126は、過去の勝ち馬であるCharlatan(115)、Omaha Beach(112)、McKinzie(115)、City of Light(117)、マインドユアビスケッツ(122)を優に上回る数字。
・今年は6/11のG1-メトロポリタンH(d8f)から始動し、初のマイル戦となったが2着のG1馬・Happy Saverに6馬身差をつけて完勝(指数114)。次走9/4のG1-パシフィッククラシックS(d10f)では初の10f戦へ挑戦するが、ここも2着のCountry Grammer(今年のドバイワールドCの勝ち馬)に19馬身1/4差をつける歴史的パフォーマンスで完勝(指数128)。今回は単勝オッズ1.44倍での出走となっていた。現地実況がゴール前でSecretariatというワードを出していたが、歴史的名馬としての評価を確実なものとする勝利。2019年ファシィグティプトン8月1歳馬セールにて100万米ドルにて取引された高額馬。
・レース後、John W Sadler師は「今日は素晴らしい勝利だった。彼は私たちが思っていたように美しく走りました。これは史上最高の馬の一つであり、彼はそれを示したと思います」とコメント。オーナー関係者のKosta Hronis氏は「これは非常に特別な動物です。彼は業界に何か特別なものをもたらしました。私たちはヒーロー、チャンピオン、無敗の馬を必要としています。それがFlightlineです」「パートナーシップは今後数日以内に集まり、去就について話し合い、どのように前進するかを確認します」とコメント。Irad Ortiz Jr(Life Is Goodに騎乗)は「彼はあらゆる段階でそこにいました。私はそのようなものを見たことがありません。それは驚くべきことです。彼は信じられないほどの馬です」とコメントし、John R Velazquez(Happy Saverに騎乗)は「すごい瞬間だ。それは歴史書のためのレースです。人々はこのレースについて長い間話し合うことになるでしょう」とコメントしている。
・父のTapitは2001年米国産のPulpit産駒。現役時は6戦3勝、G1-ウッドメモリアルS、G3-ローレルフューチュリティの勝ち馬。2014~2016年に北米リーディングサイアーの座に就いた大種牡馬。現4歳世代は種付料が過去最高の30万米ドルにまで上がった時の世代で、後継種牡馬候補の本馬、Essential Quality(ベルモントS、トラヴァーズS、BCジュヴェナイル)を輩出。ブリーダーズカップはスターダムバウンド(ジュヴェナイルフィリーズ)、タピッツフライ(ジュヴェナイルフィリーズターフ・グランアレグリアの母)、Tapizar(ダートマイル)、Hansen(ジュヴェナイル)、Untapable(ディスタフ)、Essential Quality(ジュヴェナイル)、本馬(クラシック)で7勝目。
・母のFeatheredは2012年米国産、12戦3勝、G3-エッジウッドSの勝ち馬で、アメリカンオークス2着、スターレットS2着、フリゼットS3着とG1での入着が3回。曽祖母のFinder’s FeeはG1-エイコーンS、G1-メイトロンS、G2-ギャラントブルームH、G3-シカーダSの勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/301/keeneland/2022-11-05/825407
Longines Breeders’ Cup Distaff(G1・ダ9f・3歳以上牝馬)
・ディスタフは、後方追走のMalathaatが昨年とは違い直線で外に持ち出されると、先に抜け出していた2頭を最後の最後にまとめて差し切って1着。ハナ差の2着にBlue Stripe、さらにハナ差の3着にClairiere。1番人気の3歳馬、Nestは4着。
1着:Malathaat
牝4、父・Curlin、母・Dreaming Of Julia、母父・A.P. Indy
調教師:Todd Pletcher、騎手:John R Velazquez
・今回の勝利で通算14戦10勝、G1・6勝目、重賞8勝目。昨年のこのレースは勝ったマルシュロレーヌから半馬身差の3着。今年は1着(G3)→2着(G1)→2着(G2)と走り、8/27のG1-パーソナルエンスンS(d9f)で1着→10/9のG1-スピンスターS(d9f)で1着と、G1を連勝しここへ出走していた馬。
・Curlin産駒は本馬(ディスタフ)、Cody’s Wish(ダートマイル)、Elite Power(スプリント)の本日ブリーダーズカップ3勝。これまでにGood Magic(ジュヴェナイル)、Vino Rosso(クラシック)がブリーダーズカップを制しており、本日の結果を合わせ通算5勝。
・母のDreaming Of Juliaは2010年米国産、8戦4勝、2歳G1-フリゼットS、G2-ガルフストリームオークスの勝ち馬で、BCジュヴェナイルフィリーズ3着、ケンタッキーオークス4着、マザーグースS2着とG1戦線で活躍した馬。祖母のDream Rushは16戦8勝、G1-テストS、G1-プライオレスSを含む重賞4勝。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/301/keeneland/2022-11-05/825408
Qatar Racing Breeders’ Cup Sprint(G1・ダ6f・3歳以上)
・スプリントは、1番人気のJackie’s Warriorが激しい先行争いに巻き込まれる中、中団でじっくり運んだElite Powerが直線外から一気に差し伸びて1着。1馬身1/4差の2着に直線最内を伸びたC Z Rocket。Jackie’s Warriorは3着。
1着:Elite Power
牡4、父・Curlin、母・Broadway’s Alibi、母父・Vindication
調教師:William Mott、騎手:Irad Ortiz Jr
・今回の勝利で通算8戦5勝、G1初制覇、重賞2勝目。デビュー4戦目に勝ち上がり、3連勝。初の重賞出走となった前走10/8のG2-ヴォスバーグS(d7f)で2着に5馬身3/4差をつけて勝利し、ここへ出走していた馬。2019年キーンランド9月1歳馬セールにて90万米ドルで取引された馬。
・Curlin産駒は本馬(スプリント)、Cody’s Wish(ダートマイル)、Malathaat(ディスタフ)の本日ブリーダーズカップ3勝。これまでにGood Magic(ジュヴェナイル)、Vino Rosso(クラシック)がブリーダーズカップを制しており、本日の結果を合わせ通算5勝。
・母のBroadway’s Alibiは2009年米国産、6戦4勝、G2-フォワードギャルS、G3-カムリーSの勝ち馬で、G1-ケンタッキーオークス2着。母の叔父・Dialed InはG1-フロリダダービー、G3-ホーリーブルSの勝ち馬。4代母のElizaはサンタアニタオークス、BCジュヴェナイルフィリーズのG1・2勝馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/301/keeneland/2022-11-05/825405
Big Ass Fans Breeders’ Cup Dirt Mile(G1・ダ8f・3歳以上)
・ダートマイルは、人気のCody’s Wishが後ろから2頭目を追走する展開。3角手前から外を通って上昇開始し、4角で3番手の外に取り付くと、最後はCyberknifeとの競り合いとなるが、頭差競り落としてCody’s Wishが1着。2着にCyberknife。
1着:Cody’s Wish
牡4、父・Curlin、母・Dance Card、母父・Tapit
調教師:William Mott、騎手:Junior Alvarado
・今回の勝利で通算11戦7勝、G1・2勝目、重賞3勝目。今年5/7のG3-ウエストチェスターS(d8f)で重賞初制覇を果たし、次走7/4のL-阪神S(d8f)も勝利し、初のG1出走となった前走8/27のG1-フォアゴーS(d7f)でも後方待機からの差し切り勝ちでG1制覇。今回はG1連勝を狙い1番人気での出走となっていたゴドルフィンの自家生産馬。
・Curlin産駒は本馬(ダートマイル)、Elite Power(スプリント)、Malathaat(ディスタフ)の本日ブリーダーズカップ3勝。これまでにGood Magic(ジュヴェナイル)、Vino Rosso(クラシック)がブリーダーズカップを制しており、本日の結果を合わせ通算5勝。
・母のDance Cardは2009年米国産、7戦4勝、G1-ガゼルS(d9f)の勝ち馬。勝利後、300日近い休養を挟んで、G1-BCフィリー&メアスプリント(d7f)3着、G2-ギャラントブルームH(d6.5f)3着の結果を残す。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/301/keeneland/2022-11-05/825403
Breeders’ Cup Filly & Mare Sprint(G1・ダ7f・3歳以上牝馬)
・フィリー&メアスプリントは、先行争いの4頭を見る5番手追走のGoodnight Oliveが直線入口で3番手に取り付き、直線で早めに抜け出し1着。日本調教馬・チェーンオブラブは10着。
1着:Goodnight Olive
牝4、父・Ghostzapper、母・Salty Strike、母父・Smart Strike
調教師:Chad C Brown、騎手:Irad Ortiz Jr
・今回の勝利で通算7戦6勝、G1・2勝目。昨年3月のデビュー戦で2着に敗れて以降、これで6連勝。前走8/28のG1-バレリーナH(d7f)が初の重賞出走だったが勝利し、ここに1番人気で出走していた馬。2019年ファシィグティプトン10月1歳セールにて、17万米ドルで取引された馬で、Deputy Ministerの3×4のクロスを持つ。
・父のGhostzapperは2000年米国産のAwesome Again産駒。現役時は11戦9勝、BCクラシック(d10f・レコード勝ち)、ウッドワードS(d9f)、メトロポリタンH(d8f)、ヴォスバーグS(d6.5f)の4つのG1を含む重賞6勝。2004年のエクリプス賞年度代表馬、最優秀古牡馬。主な産駒に昨年のドバイワールドCの勝ち馬・Mystic Guide、Judy the Beauty(BCフィリー&メアスプリント)など。
・母のSalty Strikeは2008年米国産、20戦9勝、G3-ガーデニアS、G3-ドッグウッドSの勝ち馬。母の従兄・エイシンロンバードはG3-武蔵野Sの勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/301/keeneland/2022-11-05/825401