新種牡馬産駒データ考【17】リアルスティール産駒の躍進の背景とは?

先週のデイリー杯2歳Sはリアルスティール産駒・オールパルフェが勝利。リアルスティール産駒は初勝利が7/24と出遅れ気味のスタートとなったが、以後、勝ち鞍を積み重ねて目下12勝。本稿ではここまでのリアルスティール産駒の走りをまとめていく。

現在の産駒成績について

全体【12-14-9-74/109】
勝率11.0%、連対率23.9%、複勝率32.1%
49頭出走、11頭勝ち上がり、勝ち上がり率22.44%
平均勝利距離1666.7m、平均連対距離1746.2m、1頭当賞金328万円

・平均勝利距離の1666.7mはリアルスティール産駒の特性を示すもので、ここまで2歳戦の成績が当初は伸び悩んでいたのはこれが要因だったと言えるだろう。以下に時系列順にリアルスティール産駒の全勝ち鞍を列記する。芝1200mでは1勝のみ、芝1400mでも1勝のみな点が目立つ。いわゆる夏のローカル開催では3勝しか出来ていないが、秋の中央開催以降、一気に勝ち鞍を伸ばしてきた点が非常に目立つ内容。

 ニシノトキメキ:7/24・小倉・未勝利(芝1200)
 フェイト:8/6・新潟・新馬(芝1800)
 フライヤートゥルー:8/27・新潟・新馬(芝1800)
 アレクサ:9/18・中山・未勝利(ダ1800)
 コウセイマリア:9/24・中山・新馬(芝1600)
 オールパルフェ:10/2・中山・未勝利(芝1600)
 シルバーティムール:10/15・東京・未勝利(芝2000)
 シェーンプリマー:10/16・東京・新馬(芝1400)
 ゼットスティール:10/30・阪神・未勝利(ダ1800)
 トーホウガレオン:11/5・阪神・未勝利(芝1800)
 エンファサイズ:11/12・阪神・新馬(芝1600)
 オールパルフェ:11/12・阪神・G2-デイリー杯2歳S(芝1600)

・ちなみに、リアルスティール産駒の1400m以下(芝・ダート)のこれまでの戦績は【2-0-3-24/29】、勝率6.9%、連対率6.9%、複勝率17.2%。この戦績では2歳戦が始まった当初において、成績が伸びてこないのは当然で、マイル以上の新馬戦、未勝利戦が増えるにつれて成績が伸びてきている現況こそ、リアルスティール産駒の真価を示していると言えよう。

・秋競馬開幕以降に一気に勝ち鞍を伸ばしてきた点は父譲りな面があり、今週の東スポ杯2歳Sで上位人気が予想されるフェイトが先週のオールパルフェに続き、あっさり重賞勝ちするようなことになると、ディープ後継争いという観点でも実に大きな戦果となるが、果たしてどうなるか。

昨年との比較について

・以下は昨年の同時期の2歳戦で昨年の新種牡馬産駒が残した戦績と、今年の新種牡馬産駒が残した戦績を比較したもので、抽出したのは10勝以上を上げている種牡馬になる。

2021年

 ドレフォン20-13-13-110/156】
 勝率12.8%、連対率21.2%、複勝率29.5%

 シルバーステート13-8-9-80/110】
 勝率11.8%、連対率19.1%、複勝率27.3%

 キタサンブラック12-6-6-42/66】
 勝率18.2%、連対率27.3%、複勝率36.4%

2022年

 マインドユアビスケッツ15-12-5-81/113】
 勝率13.3%、連対率23.9%、複勝率28.3%

 リアルスティール12-14-9-74/109】
 勝率11.0%、連対率23.9%、複勝率32.1%

 サトノクラウン11-7-5-72/95】
 勝率11.6%、連対率18.9%、複勝率24.2%

 デクラレーションオブウォー10-7-6-56/79】
 勝率12.7%、連対率21.5%、複勝率29.1%

リアルスティールの12勝は昨年の同時期のキタサンブラックと同じ勝利数だが、勝率、連対率、複勝率はキタサンブラックよりも劣っている。尚、初年度の種付料はリアルスティールは200万円(受胎確認後)、キタサンブラックは500万円(受胎確認後)。

・リアルスティール産駒の出走回数109は、昨年の同時期のシルバーステート(110)とほぼ同じで、この時点で重賞勝ち馬を1頭輩出しているのは全く同じ。シルバーステートと比較すると、リアルスティール産駒は勝率は劣るが連対率、複勝率は優っている。尚、シルバーステートの初年度の種付料は80万円(受胎条件)。

勝ち馬の指数状況について

・競馬ブックスピード指数を用いて、リアルスティール産駒の12勝の中身の濃さを探っていく。比較対象として、リアルスティール産駒と同じ12勝を上げている、ロードカナロア、シルバーステートの2頭と、勝利数が近いダイワメジャー(13勝)、モーリス(11勝)、同じ新種牡馬のサトノクラウン(11勝)、デクラレーションオブウォー(10勝)を取り上げる。【】内の数字が競馬ブックスピード指数で、四捨五入したものを併記し、70未満の場合は×と表記している。

リアルスティール産駒

【75、75、75、×、×、75、75、75、73、73、76、92】
指数75以上→12勝中8勝(66.6%)

・2勝馬、オールパルフェは未勝利勝ちが75、デイリー杯2歳S勝ちが92。12勝中8勝(66.6%)が指数75以上で、これは次に示すロードカナロア産駒を大きく上回っている状況。

ロードカナロア産駒

【80、74、74、74、73、72、74、91、75、73、73、86】
指数75以上→12勝中4勝(33.3%)

・2勝馬、ウンブライルは新馬勝ちが80、もみじS勝ちが91。12勝中4勝(33.3%)が指数75以上で、この点ではリアルスティール産駒と比べると劣っている。ちなみに指数86は11/12の阪神・ダ1400の未勝利戦を勝ったエンペラーワケアが記録したものでこの数字は破格。芝の新馬戦で5着と敗れた後の2戦目で、逃げ切り勝ち。この馬の2戦目は大注目となる。

シルバーステート産駒

【73、75、75、74、75、73、75、73、72、73、73、77】
指数75以上→12勝中5勝(41.6%)

・12勝中5勝(41.6%)が指数75以上。指数70未満での勝利はゼロだが、総じて指数の出方はリアルスティールには劣っている印象。ちなみに指数77は10/22の新潟の未勝利(芝1000)でマークしたもの。

ダイワメジャー産駒

【76、73、×、79、76、75、72、75、76、75、73、72、74】
指数75以上→13勝中7勝(53.8%)

・13勝中7勝(53.8%)が指数75以上。ちなみに指数79はトールキンが8/13の小倉の未勝利(芝1200)で逃げ切り勝ちした時にマークしたもの。トールキンは次走のカンナSでは1番人気に推されるも4着。

モーリス産駒

【77、×、74、73、75、73、73、73、75、73、×】
指数75以上→11勝中3勝(27.2%)

・11勝中3勝(27.2%)が指数75以上。指数的には粒が揃っているとは言いずらい現況だが、晩成寄りの資質が既に明らかになっている点は踏まえる必要があろう。指数トップの77は6/4の東京の新馬(芝1600)でノッキングポイントがマークしたものだが、次走G3-サウジアラビアロイヤルCは1番人気で4着。

サトノクラウン産駒

【73、74、73、76、73、×、79、73、73、73、75】
指数75以上→11勝中3勝(27.2%)

・11勝中3勝(27.2%)が指数75以上で、モーリス産駒と同じ。指数トップの79は10/8の東京の新馬(芝1800)でタイセイクラージュが記録したものだが、次走萩Sでは1番人気で4着。

デクラレーションオブウォー産駒

【74、75、73、75、82、74、81、75、×、91】
指数75以上→10勝中6勝(60.0%)

・2勝馬、トップナイフは未勝利勝ちが82、萩S勝ちが91。未勝利勝ちの時点でかなりの指数を出していたが、萩Sでは7頭立ての6番人気、単勝オッズ18.0倍の人気薄だった馬。指数81はブレイゼストが10/23の東京の未勝利(ダ1600)で逃げ切り勝ちでマークしたもの。10勝中6勝(60.0%)が指数75以上で、中身は非常に濃く、2頭が未勝利勝ちの際に80超の指数を出している点は大変高く評価出来るもの