今回はネロを取り上げる。初年度産駒は39頭(血統登録頭数)だが、目下、中央で3頭、地方で8頭(12/7時点)が勝ち上がり。サンデーサイレンスのクロスの有無に着目しつつ、ここまでのネロ産駒の走りをまとめていく。
ネロの経歴、血統
・ネロは2011年本桐牧場産のヨハネスブルグ産駒。通算47戦8勝、G3-京阪杯(京都芝1200m)を連覇し、他に重賞・交流重賞での2着が4回。2歳8月に新馬勝ち、2歳12月のオープン勝ちと2歳戦から活躍したが、3勝目をあげたのは4歳5月。初重賞勝ちは5歳11月。G1ではスプリンターズSでの6着、交流G1ではJBCスプリントでの4着が最高成績。芝、ダート兼用で7歳まで走り、3億2304.5万円の総賞金を獲得。引退後、アロースタッドにてスタッドイン。初年度の種付料は受胎条件で20万円。54頭に種付けされ、36頭の産駒が血統登録される。
・父・ヨハネスブルグの日本供用初年度の産駒。ヨハネスブルグは1999年米国産のヘネシー産駒。現役時は10戦7勝、BCジュヴェナイル(d8.5f)、ミドルパークS(t6f)、モルニー賞(t1200m)、フェニックスS(t6f)の4つの2歳G1を含む2歳重賞6勝。2001年のカルティエ賞、エクリプス賞最優秀2歳牡馬(同時受賞はアラジ以来2頭目)。種牡馬入り後、初年度産駒からScat Daddyを出し、Scat Daddyが父としてNo Nay Never、Justifyら数多の活躍馬を輩出し、父系として繁栄中なのはご存知の通り。
・母のニシノタカラヅカは2003年西山牧場産のサンデーサイレンス産駒。現役時は5戦1勝(札幌芝1200m)、ファンタジーS3着。祖母のデュプリシトは1989年に西山牧場が約2億円を投じてアメリカから輸入した4頭の繁殖牝馬の内の一頭で、父はDanzig、現役時は未出走。初仔のニシノフラワーが桜花賞、スプリンターズS、阪神3歳牝馬Sの3つのG1を制し、大きな成果をあげたが、2番仔以降も堅実に走っており、2番仔以降の中央勝ち鞍をまとめると【4-3-0-4-1-2-2-2-4-0-0-2-1-0-1-1】。ニシノタカラヅカは14番仔になる。
中央産駒成績について
【3-6-0-31/40】勝率7.5%、連対率22.5%、複勝率22.5%
芝【1-4-0-11/16】勝率6.9%、連対率31.3%、複勝率31.3%
ダ【2-2-0-20/24】勝率8.3%、連対率16.7%、複勝率16.7%
・ネロの現役時同様、芝、ダート兼用で走っているが、連対率と複勝率をみると目下は芝寄りで数字が上がっている。平均勝利距離は1300m、1頭当賞金は239万円。
・現在、ネロと同じく産駒が3勝をあげている日本供用中の種牡馬にリオンディーズ、レッドファルクス、ダンカーク、エスポワールシチー、ミッキーロケット、ブラックタイド、ディーマジェスティがいる。種付料20万円でこれらと肩を並べる勝ち鞍を上げているのはまずまずの結果と言えるだろう。
サンデーサイレンスのクロスについて
・ネロの母父はサンデーサイレンス。産駒の父方の血統表の「3」の位置にサンデーサイレンスが入る。サンデーサイレンスのクロス状況に着目し、現在、デビュー済みの15頭の産駒を3分類して以下にまとめる。このデータを見ると一目瞭然でサンデーサイレンスのクロスを持つ馬の優位性が見て取れよう。
サンデー3×4:6頭
【2-6-0-10/18】勝率11.1%、連対率44.4%、複勝率44.4%
サンデー3×3:3頭
【1-0-0-6/7】勝率14.2%、連対率14.2%、複勝率14.2%
サンデークロス無:6頭
【0-0-0-15/15】勝率・連対率・複勝率0%
サンデー3×4のクロスを持つネロ産駒
・デビュー後、3戦連続で2着となり、11/26の東京・未勝利戦(芝1400m)で勝ち上がったニシノピウモッソはサンデー3×4のクロスと、デュプリシトの3×4の牝馬クロスを併せ持つ馬。ネロの母・ニシノタカラヅカ(ファンタジーS3着)はデュプリシトの直仔(14番仔)で、ニシノピウモッソの曽祖母・ニシノボナリー(中央2勝)もデュプリシトの直仔(8番仔)。
・デビュー後、4→4→5→5→2→2着となった後に12/3の中山・未勝利戦(ダ1200m)で勝ち上がったセイウンダマシイはサンデー3×4のクロスを持つ馬。母父はパイロ、母母父はバブルガムフェロー。4代母がスカーレットリボン(報知杯4歳牝馬特別)。スカーレットリボンの全妹・スカーレットブーケ(重賞4勝)は母としてダイワメジャー、ダイワスカーレットを輩出し、同じファミリーに属する。
・ニシノレヴナントはデビュー後、3→11着となった後に11/26の東京・未勝利戦(芝1800m)で10番人気で2着。この馬もサンデー3×4のクロスと、デュプリシトの3×4の牝馬クロスを併せ持つ馬で、ニシノピウモッソ、セイウンダマシイ同様、使い込まれてからの勝ち上がりを狙う一頭。母父はコンデュイット、母母父はアグネスタキオン。曽祖母はニシノフラワー。
・入着している馬は上記3頭になるが、ニシノタメチカは12/3の中山・新馬戦(芝1200m)でデビューし5着。ニシノピウモッソ、セイウンダマシイのように好走を続けていずれ勝ち上がるパターンになるか、注目したい存在。ニシノメラーキ(10着→14着)、キーウィル(14着)は厳しい状況か。
サンデー3×3のクロスを持つネロ産駒
・3頭がデビューし1頭が勝ち上がっており、10/8の東京・新馬戦(ダ1300)でイニッツィオが勝ち上がり(ネロ産駒の中央初勝利)。母父がブラックタイド、母母父はコロナドズクエスト。ペップセ(17着→16着→13着)は既に中央抹消となっており、ディアドコス(12着→6着)が使い込まれて着を上げてくるかどうか。
サンデークロスを持たないネロ産駒
・6頭がデビューし入着ゼロ。ここまでは苦戦が続いており、サンデーサイレンスのクロスを持つ馬と比較すると、クロスの有無が成績に直結している印象。
地方で勝ち上がったネロ産駒の注目馬について
タイムオブハート(4戦2勝)
・サンデー3×4のクロスを持つ馬で地方所属では目下総賞金トップ。母父はツルマルボーイ。2021年の北海道サマーセールにて209万円で取引された馬。2018年のNARグランプリ4歳以上最優秀牝馬、ディアマルコ(父・スパイキュール)の半妹。11/11の川崎・かもめ賞(ダ900)で2勝目をあげている。
ナックサンライズ(3戦2勝)
・サンデークロスは無し。母父はジャングルポケット。2021年の北海道サマーセールにて550万円で取引された馬。大井でデビュー2連勝をおさめて臨んだ前走9/22の重賞・ゴールドジュニア(大井ダ1200)では2番人気に推されるも5着。