新種牡馬産駒データ考【21】マインドユアビスケッツ産駒の中央19勝の中身について

目下19勝をあげ、フレッシュマンサイアーランキング首位を快走中のマインドユアビスケッツ。本稿では改めてこれまでのマインドユアビスケッツ産駒の走りをまとめ、中身を掘り下げていく。

現時点の中央戦績

・まず、現時点の着別度数、勝率、連対率、複勝率を以下にまとめる。

19-20-6-104/149】勝率12.8%連対率26.2%複勝率30.2%

 芝【6-7-2-41/56】勝率10.7%、連対率23.2%、複勝率26.8%
 ダ【13-13-4-63/93】勝率14.0%連対率28.0%複勝率32.3%

・トータル19勝という数字はエピファネイア(34勝)、ドゥラメンテ(23勝)、ハーツクライ(21勝)、ジャスタウェイ(21勝)に次ぐもので、キズナ、ルーラーシップと同数。尚、勝率、連対率、複勝率は勝ち鞍が同じキズナ、ルーラーシップを上回っている

ダートであげた13勝という数字はトップのヘニーヒューズ(18勝)に次ぐ数字。出走回数(93回)が近いコパノリッキー(8勝:89回)、ドレフォン(7勝:98回)、ホッコータルマエ(6勝:96回)を上回る勝ち鞍をあげている点は価値が高いと言える。

・一方、芝では6勝止まり。出走回数が芝では56回、ダートでは93回と圧倒的にダートで使われてきたことが反映されている印象だが、勝率、連対率、複勝率は全てダート>芝。マインドユアビスケッツ産駒のここまでの代表産駒・デルマソトガケ(全日本2歳優駿)やマルカラピッド(エーデルワイス賞)を見るまでも無く、芝がダメということは無いが、主戦場はダート、ということになろう。ただ、芝での勝率が10%を超えているのは見逃せない事実

マインドユアビスケッツ産駒の母父、クロス状況について

・母父という切り口でマインドユアビスケッツ産駒の戦績をまとめる。複数の勝ち鞍を上げている母父はダイワメジャー(4勝)、ネオユニヴァース(3勝)の2頭のみ。尚、全日本2歳優駿を勝ったデルマソトガケの母父はネオユニヴァース、エーデルワイス賞を制したマルカラピッドの母父はダイワメジャーになる。

・マインドユアビスケッツは自身、Deputy Ministerの3×4のクロスを持つ馬で、産駒は4×5のクロスを漏れなく持つことになるが、数多いるサンデーサイレンスの血を持つ繁殖牝馬の配合相手として5代血統表内でHaloのクロスを作らず、Hail to Reasonのクロスしか発生させない点が特徴となる。Haloはマインドユアビスケッツの父・Posseの母父になるRahyを産んだ、チャンピオンホースにして名繁殖牝馬・Glorious Songの父になり、産駒の血統表では「6」の位置に入る為、5代血統表内では母方でクロスが発生していない限り、Haloクロスは発生しない。

・マインドユアビスケッツ産駒の交流重賞勝ち馬2頭、重賞入着馬1頭、オープン入着馬1頭のクロス状況を以下に示す。尚、この4頭の母父は全てサンデーサイレンス直系の馬である。父方で発生するDeputy Minister4×5のクロスは記載していない。クロス状況は5×5が大半で濃いクロスはどの産駒も持っていない。

 デルマソトガケ(母父・ネオユニヴァース)6戦3勝、Jpn1-全日本2歳優駿1着
 Hail to Reason:S5×M5

 マルカラピッド(母父・ダイワメジャー)5戦2勝、Jpn3-エーデルワイス賞1着
 Mr. Prospector:M4×S5、Hail to Reason:S5×M5

 ショーモン(母父・ディープインパクト)3戦1勝、G2-デイリー杯2歳S3着
 Hail to Reason:S5×M5

 ミラーオブマインド(母父・アグネスタキオン)2戦1勝、OP-カトレアS2着
 Hail to Reason:S5×M5

社台ファーム生産馬について

社台ファームの生産馬がこれまでに最多の44回出走しており、全体の29.53%を占めている。社台ファーム生産馬限定でマインドユアビスケッツ産駒のこれまでの数字をまとめると、以下のようになる。2歳戦トータルの数字と比較すると、マインドユアビスケッツ産駒の残した各数値の驚異的な高さがお分かり頂けるだろう。

※社台ファーム産のマインドユアビスケッツ産駒
11-8-4-21/44】勝率25.0%連対率43.2%複勝率52.3%

※社台ファーム生産馬の2歳戦トータル
76-63-59/304/502】勝率15.1%連対率27.7%複勝率39.4%

・ちなみに社台ファーム生産馬は昨年の同時期の2歳戦では【48-45-45-327-465】の戦績で、勝率10.3%、連対率20.0%、複勝率29.7%。今年の数字と見比べて頂くと、勝利数が+28と大幅に躍進しており、勝率、連対率、複勝率も大きく上昇している

社台ファーム生産馬の2歳戦について

・昨年と今年の種牡馬別の勝ち鞍数を比較していく。以下に3勝以上をあげた種牡馬を列記していくが、今年のマインドユアビスケッツ産駒のあげた11勝という数字は昨年のディープインパクトの数字を上回っており、中身はともかく勝ち鞍数的には穴埋め以上の貢献をしていることが分かる

2021年
ディープインパクト9勝、イスラボニータ4勝、キズナ3勝、ハーツクライ3勝、エピファネイア3勝

2022年
マインドユアビスケッツ11勝、イスラボニータ7勝、ハービンジャー7勝、キズナ6勝、エピファネイア5勝、ハーツクライ4勝、キタサンブラック3勝、ロードカナロア3勝、ドゥラメンテ3勝、ジャスタウェイ3勝

・気になる方もおられると思うので、ノーザンファームの今年、昨年の数字も以下に示す。今年は勝利数では昨年より14勝減っているが、出走回数が昨年より79回少ない為で勝率は昨年と全く同じ、連対率、複勝率も大きな差は無い

昨年【138-111-93-447/789】勝率17.5%連対率31.6%複勝率43.3%
ドレフォン18勝、ドゥラメンテ13勝、ハービンジャー12勝、ディープインパクト10勝、ハーツクライ10勝、モーリス8勝、ロードカナロア7勝、ダイワメジャー6勝、キタサンブラック6勝

今年【124-105-79-402/710】勝率17.5%連対率32.3%複勝率43.4%
エピファネイア12勝、ジャスタウェイ10勝、ドゥラメンテ8勝、ルーラーシップ8勝、モーリス8勝、ハーツクライ7勝、ロードカナロア6勝、キタサンブラック6勝、ハービンジャー6勝

・新種牡馬という観点では昨年のドレフォン産駒の18勝は非常に優秀な数字だが、今年は新種牡馬の産駒にあまり頼っていない数字となっており、6勝以上あげた新種牡馬はゼロ。リアルスティールサトノクラウン、サトノダイヤモンドがいずれも3勝、マインドユアビスケッツは2勝止まりとなっている。

昨年のドレフォン、2017年のヘニーヒューズとの比較

・近年、1stクロップがダートで活躍した種牡馬として昨年のドレフォン、2017年のヘニーヒューズを取り上げ、今年のマインドユアビスケッツ産駒の残してきた戦績と比較していく。

トータル(芝+ダート)での比較

2017年のヘニーヒューズ
【22-23-21-126/192】勝率11.5%、連対率23.4%、複勝率34.4%

昨年のドレフォン
【27-16-20-161/224】勝率12.1%、連対率19.2%、複勝率28.1%。

今年のマインドユアビスケッツ
【19-20-6-104/149】勝率12.8%連対率26.2%、複勝率30.2%

・トータルではマインドユアビスケッツは勝率、連対率でトップ。複勝率ではヘニーヒューズの次に位置している。

ダートでの比較

2017年のヘニーヒューズ
ダ【18-15-15-66/114】勝率15.8%、連対率28.9%複勝率42.1%

昨年のドレフォン
ダ【17-9-7-62/95】勝率17.9%、連対率27.4%、複勝率34.7%

今年のマインドユアビスケッツ
ダ【13-13-4-63/93】勝率14.0%、連対率28.0%。複勝率32.3%

・ダートに絞るとマインドユアビスケッツは勝率、複勝率では最下位。連対率では2位。今年のマインドユアビスケッツ産駒のダートでの活躍は概ね、ヘニーヒューズ、ドレフォンには劣っていたと判断出来ようか。もちろん、かなり高い次元での順位付けにはなるのだが。

芝での比較

2017年のヘニーヒューズ
芝【4-8-6-60/78】勝率5.1%、連対率15.4%、複勝率23.1%

昨年のドレフォン
芝【10-7-13-99/129】勝率7.8%、連対率13.2%、複勝率23.3%

今年のマインドユアビスケッツ
芝【6-7-2-41/56】勝率10.7%連対率23.2%複勝率26.8%

・芝で比較するとマインドユアビスケッツは勝率、連対率、複勝率全てにおいてトップ。ここで数字が取れていることが先に示したトータルでの数字の押し上げに寄与していることが分かる。