今回も前回同様、ノーザンファーム生産馬と非ノーザンファーム生産馬という切り口から新種牡馬産駒のパフォーマンスを測定していく。昨年の2歳戦で勝利数1位のエピファネイア、2位のドゥラメンテや、一昨年の新種牡馬としてドレフォン、キタサンブラックをピックアップし、数字を比較していく。
昨年のエピファネイア、ドゥラメンテの2歳戦戦績
・昨年のJRA2歳戦の勝利数トップ2はエピファネイアとドゥラメンテ。エピファネイアは35勝、ドゥラメンテは24勝を上げている。ポストディープインパクトの時代を牽引するこの2頭の昨年の2歳戦での戦績をまず、まとめていく。
エピファネイア
【35-22-25-154/236】勝率14.8%、連対率24.2%、複勝率34.7%
NF【13-5-2-19/39】勝率33.3%、連対率46.2%、複勝率51.3%
非NF【22-17-23-135/197】勝率11.2%、連対率19.8%、複勝率31.5%
・2勝馬が6頭いるが、3頭がノーザンファーム生産馬で、3頭が非ノーザンファーム生産馬。6頭中、5頭はサンデーサイレンス4×3のクロスを持ち、4頭は母父がサンデーサイレンス直仔。
・「ノーザンファーム産のエピファネイア産駒」は勝率が3割超え、連対率が4割超え、複勝率が5割超え。この数字は後程示す「ノーザンファーム産のドゥラメンテ産駒」の数字を上回っている。参考までに「ノーザンファーム産のディープインパクト産駒」の直近の数字を以下に示す。この数字を見ると往時のディープインパクト産駒級の数字では無いことが分かるが、勝率3割超えは晩年のディープインパクトを凌ぐ立派な数字であることも分かる。
2021年【12-13-3-18/46】勝率26.1%、連対率54.3%、複勝率60.9%
2020年【15-12-8-27/62】勝率24.2%、連対率43.5%、複勝率56.5%
2019年【27-10-8-25/70】勝率38.6%、連対率52.9%、複勝率64.3%
2018年【29-15-9/23/76】勝率38.2%、連対率57.9%、複勝率69.7%
2017年【28-13-7-19/67】勝率41.8%、連対率61.2%、複勝率71.6%
・前回の当コラムで触れた非ノーザンファーム生産馬の新種牡馬産駒の数字と比較すると、エピファネイアの残した勝率11.2%、複勝率31.5%は優秀。連対率に目を向けると、前回も触れた通り、デクラレーションオブウォー産駒の連対率20.4%の優秀さが非常に目立ち、エピファネイア産駒をも凌いでいる事が分かる。
※非ノーザンファーム生産馬の勝率、連対率、複勝率
エピファネイア産駒:22勝、勝率11.2%、連対率19.8%、複勝率31.5%
デクラレーションオブウォー産駒:11勝、勝率10.2%、連対率20.4%、複勝率25.9%
リアルスティール産駒:12勝、勝率10.1%、連対率16.0%、複勝率23.5%
サトノダイヤモンド産駒:7勝、勝率7.4%、連対率17.0%、複勝率27.7%
サトノクラウン産駒:10勝、勝率8%、連対率12%、複勝率17.6%
ドゥラメンテ
【24-19-16-75/134】勝率17.9%、連対率32.1%、複勝率44.0%
NF【9-8-7-18/42】勝率21.4%、連対率40.5%、複勝率57.1%
非NF【15-11-9-57/92】勝率16.3%、連対率28.3%、複勝率38.0%
・2勝馬は4頭。2頭のG1馬(ドゥラエレーデ、リバティアイランド)はいずれもノーザンファーム生産馬。4頭中、ドゥラエレーデとドゥーラの2頭はサンデーサイレンス3×4のクロスを持つ。
・注目は「非ノーザンファーム産のドゥラメンテ産駒」の残した数字。勝率16.3%、連対率28.3%、複勝率38.0%は「非ノーザンファーム産のエピファネイア産駒」を全ての項目で上回っている。これは端的に種牡馬としての能力の高さが数字に表れているものと思われ、返す返すも9歳の若さで一昨年8月に亡くなったことが惜しまれる。先程示したリストにドゥラメンテのデータを追加し、改めて以下に示す。
※非ノーザンファーム生産馬の勝率、連対率、複勝率
ドゥラメンテ産駒:15勝、勝率16.3%、連対率28.3%、複勝率38.0%
エピファネイア産駒:22勝、勝率11.2%、連対率19.8%、複勝率31.5%
デクラレーションオブウォー産駒:11勝、勝率10.2%、連対率20.4%、複勝率25.9%
リアルスティール産駒:12勝、勝率10.1%、連対率16.0%、複勝率23.5%
サトノダイヤモンド産駒:7勝、勝率7.4%、連対率17.0%、複勝率27.7%
サトノクラウン産駒:10勝、勝率8%、連対率12%、複勝率17.6%
・ここで気になるのは「非ノーザンファーム産のディープインパクト産駒」が過去にどんな数字を残していたのか、になる。先に示した「ノーザンファーム産のディープインパクト産駒」同様、2017年から2021年の数字を以下に示す。これらの数字を見ると、ドゥラメンテ、エピファネイアもさすがに見劣ることになる。
2021年【22-9-14-32/77】勝率28.6%、連対率40.3%、複勝率58.4%
2020年【19-13-14-62/108】勝率17.6%、連対率29.6%、複勝率42.6%
2019年【25-16-15-57/113】勝率22.1%、連対率36.3%、複勝率49.6%
2018年【26-20-20-67/133】勝率19.5%、連対率34.6%、複勝率49.6%
2017年【29-20-26-72/147】勝率19.7%、連対率33.3%、複勝率51.0%
一昨年のドレフォン、キタサンブラックの2歳戦戦績
・一昨年の新種牡馬としてドレフォン、キタサンブラックを取り上げる。ドレフォンは30勝、キタサンブラックは13勝を初年度産駒が2歳戦であげているが、この数字の中身を抽出し、2022年の新種牡馬が残した数字と比較していく。
ドレフォン(2021年)
【30-17-22-169/238】勝率12.6%、連対率19.7%、複勝率29.0%
NF【18-10-10-52/90】勝率20.0%、連対率31.1%、複勝率42.2%
非NF【12-7-12-117/148】勝率8.1%、連対率12.8%、複勝率20.9%
・「非ノーザンファーム産のドレフォン産駒」の数字に着目すると、勝率、連対率、複勝率はデクラレーションオブウォー、リアルスティール以下の数字しか残せていなかったことが分かる。12勝という勝利数は圧倒的に多い出走回数に起因する印象で、勝率8.1%はサトノダイヤモンドは上回っているが、サトノクラウンとほぼ同じ。
キタサンブラック(2021年)
【13-8-9-66/96】勝率13.5%、連対率21.9%、複勝率31.3%
NF【6-3-4-15/28】勝率21.4%、連対率32.1%、複勝率46.4%
非NF【7-5-5-51/68】勝率10.3%、連対率17.6%、複勝率25.0%
・「非ノーザンファーム産のキタサンブラック産駒」の数字に着目すると、先程示した「非ノーザンファーム産のドレフォン産駒」の数字を全て上回っていることが分かる。「ノーザンファーム産」の括りで見てもキタサンブラックはドレフォンを全ての項目で凌いでおり、出走回数の少なさを勘案しても2歳戦の時点でこちらのほうが優秀なのではないか、と推定出来る数字を残していたことが分かる。
・勝率10.3%はデクラレーションオブウォーとほぼ同じで、連対率と複勝率はデクラレーションオブウォーのほうが高い数字。「非ノーザンファーム産」という括りではキタサンブラックを凌ぐパフォーマンスを昨年のデクラレーションオブウォー産駒は示していた、ということになる。
・最後に何度も示してきた非ノーザンファーム生産馬の勝率、連対率、複勝率のリストにドレフォン、キタサンブラックの数字を付記した上で改めて示す。年が明けて数字の変動はどうなるか。今後もこうした数字の推移を定点観測していくつもりである。
※非ノーザンファーム生産馬の勝率、連対率、複勝率
ドゥラメンテ産駒:15勝、勝率16.3%、連対率28.3%、複勝率38.0%
エピファネイア産駒:22勝、勝率11.2%、連対率19.8%、複勝率31.5%
デクラレーションオブウォー産駒:11勝、勝率10.2%、連対率20.4%、複勝率25.9%
リアルスティール産駒:12勝、勝率10.1%、連対率16.0%、複勝率23.5%
サトノダイヤモンド産駒:7勝、勝率7.4%、連対率17.0%、複勝率27.7%
サトノクラウン産駒:10勝、勝率8%、連対率12%、複勝率17.6%
※ドレフォン産駒:12勝、勝率8.1%、連対率12.8%、複勝率20.9%
※キタサンブラック産駒:7勝、勝率10.3%、連対率17.6%、複勝率25.0%
※印は2021年の戦績