今回は昨年の地方1stシーズンサイアーランキング首位となったベストウォーリアに焦点をまず当て、昨年の地方2歳戦で収得賞金トップのホッコータルマエ、2位のエスポワールシチーを取り上げて比較していく。
地方2歳全体3位のベストウォーリア
・以下に昨年の地方2歳戦でのベストウォーリア産駒の戦績を示す。
出走回数299回-54頭出走-25頭勝ち上がり(46.3%)
AEI:1.09、収得賞金11842.4万円
1stシーズンサイアーランキング1位、地方2歳全体3位
・昨年の地方2歳ランキングでホッコータルマエ、エスポワールシチーに次ぐ3位となったが、出走回数299回はホッコータルマエ(170回)、エスポワールシチー(198回)と比べると、圧倒的に多く、この多さが3位の源泉。以下の数字をみると各項目で上位2頭と比較すると劣っているのが現状。尚、1頭当り収得賞金は総収得賞金を出走頭数で割ったもので、100円単位は切り捨てて表示している。
1位:ホッコータルマエ(2019年の種付料:80万円)
出走回数170回-39頭出走-21頭勝ち上がり(53.8%)、AEI:2.08
1頭当り収得賞金:401.3万円、1走当り収得賞金:92.0万円
(※中央1走当り賞金:82万円)
2位:エスポワールシチー(2019年の種付料:70万円)
出走回数198回-50頭出走-29頭勝ち上がり(58.0%)、AEI:1.33
1頭当り収得賞金:255.7万円、1走当り収得賞金:64.5万円
(※中央1走当り賞金:170万円)
3位:ベストウォーリア(2019年の種付料:30万円)
出走回数299回-54頭出走-25頭勝ち上がり(46.3%)、AEI:1.14
1頭当り収得賞金:219.3万円、1走当り収得賞金:39.6万円
(※中央1走当り賞金:29万円)
ホッコータルマエとエスポワールシチー
・昨年の2歳馬は2020年産まれになる為、2019年の種付料(受胎条件)を先のリストに併記しているが、3頭の種付け料の比率をホッコータルマエを1としてエスポワールシチー、ベストウォーリアの順に示すと、1:0.875:0.375となる。この比率をもとに上記の1走当り収得賞金(地方)と中央1走当り賞金を合算したものの比率を算出し、比較してみると、以下のようになる。
ホッコータルマエ:92+82=174万円→これを「1」とする
エスポワールシチー:64.5+170=234.5万円→「1.35」
ベストウォーリア:39.6+29=68.6万円→「0.4」
ホッコータルマエ:種付料「1」、昨年2歳戦賞金「1」
エスポワールシチー:種付料「0.875」、昨年2歳戦賞金「1.35」
ベストウォーリア:種付料「0.375」、昨年2歳戦賞金「0.4」
・この比率から単純に言えることは、エスポワールシチーの昨年の2歳戦(中央+地方)での戦績はホッコータルマエとの比較でいうと、かなり優秀で、2歳戦に限っていえば産駒誕生時の種付料以上のパフォーマンスを示していたことが分かる。ベストウォーリアもホッコータルマエとの比較でいえば同様に健闘していたと言え、少なくともその可能性の一端は確実に示した、と言ってよさそうである。
・もちろん、これは繁殖牝馬の質は全く考慮されていないことになるが、繁殖牝馬の質は種付料に概ね比例する、という前提を立てた上でのシンプルな論考と捉えて頂ければ幸いである。
・参考までに同様の切り口で現4歳馬(2019年産まれ)について、ホッコータルマエとエスポワールシチーの比較をしていく。2018年の両種牡馬の種付料(受胎条件)はホッコータルマエが80万円、エスポワールシチーが70万円。ホッコータルマエを「1」とすると、エスポワールシチーは「0.875」。
・次に1走当り賞金をみていく。中央は1/9現在、地方は1/12現在のデータになるが、ホッコータルマエは中央で116万円、地方で57.8万円、合計で173.8万円の賞金を獲得。エスポワールシチーは中央で143.2万円、地方で64.6万円、合計207.8万円の賞金を獲得している。
ホッコータルマエ:116(中央)+57.8(地方)=173.8万円→これを「1」とする
エスポワールシチー:143.2(中央)+64.6(地方)=207.8万円→「1.2」
ホッコータルマエ:種付料「1」、2019年産世代賞金「1」
エスポワールシチー:種付料「0.875」、2019年産世代賞金「1.2」
・2020年産まれの世代に続き、1つ上の2019年産まれの世代でもホッコータルマエに対し、エスポワールシチーが優位な数字を出している状況。エスポワールシチーは名古屋グランプリとユニコーンSを制したペイシャエスの活躍が非常に大きいが、今年の種付料はホッコータルマエが300万円でエスポワールシチーが180万円。ホッコータルマエの種付料を「1」とすると、エスポワールシチーは「0.6」となり、直近2世代よりも差が開いている状況。エスポワールシチーは昨年の地方リーディングサイアーだが、種付料にはまだ割安感がある印象。
・両種牡馬とも繁殖の質が現3歳、4歳馬と比べると今後確実にアップすると思われる中、どんな産駒をこれから輩出するか注目が集まるが、種付料を元にした比較で言えばエスポワールシチーはコストパフォーマンスに優れた産駒を出す可能性が高いと思われるが、どうなるだろうか。