注目種牡馬コラム【7】社台グループ2023年1月の繁殖牝馬名簿を読み込む~ノーザンファーム編

今回は社台グループの2023年1月の繁殖牝馬名簿をもとに、数年先の種牡馬動向を見通していく。この名簿は昨年の種付実績が載っているもので、産駒は今年産まれ、2年後の2025年にデビュー、ということになる。本稿ではノーザンファームの名簿を取り上げる。

※種付頭数は預託馬への種付けも含まれたものになる。
※前年の2022年1月の社台グループ繁殖牝馬名簿に触れた過去記事は以下の通り。

エピファネイア

父・シンボリクリスエス、母・シーザリオ、母父・スペシャルウィーク
2010年産:13歳、体高:162.0cm

2022年トータル種付頭数:163
2022年ノーザンファーム種付頭数:48
2022年種付料:1800万円

・2022年は種付料が前年の1000万円から自己最高の1800万円に上昇し、トータルの種付頭数は前年の218頭から163頭へさすがに減少したが、ノーザンファームでの種付頭数は46→48頭とほぼ横ばい。グランアレグリア、クロノジェネシス、ラヴズオンリーユー、リスグラシューなどの錚々たる牝馬に種付けされており、4×4になるクロノジェネシス以外の3頭の産駒は全てサンデーサイレンス3×4のクロスを持つ。再来年デビューの産駒は種付料から過去最高の繁殖の質が揃ったクロップになるが、どれほどの産駒が誕生するのか、今から楽しみである。

※エピファネイアの近年の種付料、種付頭数とノーザンファームでの種付頭数、代表産駒

 2018年種付け(250万円、現4歳):220頭-26頭(サークルオブライフ)
 2019年種付け(250万円、現3歳):224頭-38頭(チャンスザローゼス)
 2020年種付け(500万円、現2歳):240頭-33
 2021年種付け(1000万円、現1歳):218頭-46
 2022年種付け(1800万円、今年産まれ):163頭-48

※グランアレグリアは1月24日に初仔となる牡馬を出産。

※クロノジェネシスは2月15日に初仔となる牡馬を出産。

ドレフォン

父・Gio Ponti、母・Eltimaas、母父・Ghostzapper
2013年産:10歳、体高:165.0cm

2022年トータル種付頭数:198
2022年ノーザンファーム種付頭数:40
2022年種付料:700万円

・2022年は種付料が前年までの300万円から一気に自己最高の700万円へ引き上げられているが、その中でトータルの種付頭数は172頭から198頭へ増加。ノーザンファームでの種付頭数も前年の20頭から一気に倍の40頭へ増加。1stクロップからジオグリフが出て、2021年のフレッシュマンサイアーランキングで堂々の首位に立った事がこれらの大きな要因だが、ドレフォンは先週までに中央でトータル121勝中、ダートで96勝(79.3%)を上げている種牡馬で芝での勝率は僅か6.5%、連対率は12.8%しかない。ショウナンパンドラ、ブエナビスタ、ハープスター、ジェンティルドンナ、マルシュロレーヌ、アロマティコ、マリアライト、ヴィブロスらと配合されており、質量共に揃った再来年デビューの世代はドレフォン産駒のある種、集大成的な世代となるが、求められるのはジオグリフに続く芝での結果、勲章に尽きる印象だがどうなるか。

※これまでの中央でのドレフォン産駒の成績

全成績【121-81-92-112-100-626/1132】
 勝率10.7%、連対率17.8%、複勝率26.0%

芝【25-24-26-38-36-235/364】
 勝率6.5%、連対率12.8%、複勝率19.5%、勝ち馬率13.1%、1頭当賞金465万円

ダ【96-57-66-74-64-391/748】
 勝率12.8%、連対率20.5%、複勝率29.3%、勝ち馬率35.6%、1頭当賞金636万円

※ドレフォンの近年の種付料、種付頭数とノーザンファームでの種付頭数、代表産駒

 2018年種付け(300万円、現4歳):207頭-45頭(ジオグリフ)
 2019年種付け(300万円、現3歳):204頭-36頭(コンティノアール)
 2020年種付け(300万円、現2歳):186頭-32
 2021年種付け(300万円、現1歳):172頭-20
 2022年種付け(700万円、今年産まれ):198頭-40

サートゥルナーリア

父・ロードカナロア、母・シーザリオ、母父・スペシャルウィーク
2016年産:7歳、体高:162.0cm

2022年トータル種付頭数:195
2022年ノーザンファーム種付頭数:39
2022年種付料:700万円

・2022年は種付料が前年(供用初年度)の600万円から700万円にアップ。トータルの種付頭数は205頭から195頭、ノーザンファームでの種付頭数は43頭から39頭へ微減。今年産まれの産駒は2ndクロップになるが、母父がサンデーサイレンス直仔の場合、産駒はサンデーサイレンス3×4のクロスを持つことになるが、該当する馬は39頭中、アドマイヤリード、ラキシスなど21頭。昨年産まれの1stクロップはいよいよ来年デビューとなるが、結果次第では同じサンデー3×4のクロスを狙ってエピファネイアから良質な肌が流れてきそうな感があり、来年の1stクロップのデビューは今後の覇権争いを大きく左右する局面となりそうである。

※サートゥルナーリアの近年の種付料、種付頭数とノーザンファームでの種付頭数

 2021年種付け(600万円、現1歳):205頭-43
 2022年種付け(700万円、今年産まれ):195頭-39

キタサンブラック

父・ブラックタイド、母・シュガーハート、母父・サクラバクシンオー
2012年産:11歳、体高:172.0cm

2022年トータル種付頭数:178
2022年ノーザンファーム種付頭数:33
2022年種付料:500万円

・種付料はイクイノックス世代(初年度)は500万円だったが、以後、400万→400万→300万と右肩下がりになっていたものの、初年度産駒の活躍を踏まえ、2022年は500万円にアップ。トータルの種付頭数は130→110→92→102頭となっていたが、昨年は自己最高の177頭へ増加。ノーザンファームでの種付頭数も2020年は15頭、2021年は18頭にまで落ち込んでいたが、2022年は33頭と大幅に増加。この世代には自ずと大きな期待がかかることになる。33頭中、21頭は母父が横文字になる産駒で、他にイクイノックスの全きょうだいもいる布陣。イクイノックスの活躍がダイレクトに反映されるのは今年種付けの世代になるが、今年は種付料が1000万円に倍増となり、先日の社台スタリオンステーションでの種牡馬展示会で「大トリ」を務めたように目下の期待度は最高潮に達している印象。

※キタサンブラックの近年の種付料、種付頭数とノーザンファームでの種付頭数、代表産駒

 2018年種付け(500万円、現4歳):130頭-27頭(イクイノックス)
 2019年種付け(400万円、現3歳):110頭-25頭(ソールオリエンス)
 2020年種付け(400万円、現2歳):92頭-15
 2021年種付け(300万円、現1歳):102頭-18
 2022年種付け(500万円、今年産まれ):177頭-33

レイデオロ

父・キングカメハメハ、母・ラドラーダ、母父・シンボリクリスエス
2014年産:9歳、体高:163.0cm

2022年トータル種付頭数:174
2022年ノーザンファーム種付頭数:32
2022年種付料:700万円

・1stクロップがいよいよ今年デビュー。2022年は種付料が700万円と自己最高になった年で、トータルの種付頭数は前年より4頭増加となるも、ノーザンファームでの種付頭数は44頭→38頭→32頭と減少中。ウインドインハーヘアの4×3の牝馬クロスが発生する父・ディープインパクトの肌との交配は9頭→6頭→7頭と推移中。この7頭の内、注目馬は2018年のJRA賞最優秀2歳牝馬、ダノンファンタジー(父・ディープインパクト)との間の産駒になろうか。他にはレーヴディソール、メジャーエンブレムの両JRA賞最優秀2歳牝馬とも交配されている。これらチャンピオンホースの産駒からはまだ大物は出ていないが、レイデオロがそうした状況を覆せるか。

※レイデオロの近年の種付料、種付頭数とノーザンファームでの種付頭数

 2020年種付け(600万円、現2歳):196頭-44
 2021年種付け(600万円、現1歳):170頭-38
 2022年種付け(700万円、今年産まれ):174頭-32

※今年産駒デビューの新種牡馬のリストは以下の過去記事をご参照頂きたい。血統登録頭数順でレイデオロはトップの128頭。以下、モーニン(117頭)、ブリックスアンドモルタル(107頭)、ニューイヤーズデイ(102頭)、カリフォルニアクローム(96頭)、サンダースノー(89頭)と続く。上記の種付頭数を見る限り、ノーザンファーム産の初年度産駒の数も多く、レイデオロは今年の2歳戦線の本命的存在。

※2021年産(今年デビュー)、ノーザンファーム産のレイデオロ産駒の内、産駒の母父がディープインパクトになる馬は以下の9頭。ウインドインハーヘアの4×3の牝馬クロスが発生するこれらの産駒の走りには特に注目が集まる。

 母・ルールブリタニア(母はミッキークイーンの全妹。初仔のエピファニーは現4勝)
 母・リンフォルツァンド(母はタッチングスピーチ、サトノルークスの全妹。産駒は初仔)
 母・シンハライト(母はオークス馬。産駒は4番仔)
 母・フローレスマジック(母はラキシス、サトノアラジンの全妹。産駒は初仔)
 母・ショウナンパンドラ(母はジャパンC、秋華賞の勝ち馬。産駒は4番仔)
 母・ラキシス(母はエリザベス女王杯の勝ち馬。産駒は5番仔)
 母・マリアライト(母は宝塚記念、エリザベス女王杯の勝ち馬。産駒は3番仔)
 母・イルーシヴグレイス(祖母は仏1000ギニー馬。産駒は初仔)
 母・ヴィルシーナ(母はヴィクトリアマイル2勝。産駒は5番仔)

キズナ

父・ディープインパクト、母・キャットクイル、母父・Storm Cat
2010年産:13歳、体高:167.5cm

2022年トータル種付頭数:170
2022年ノーザンファーム種付頭数:31
2022年種付料:1200万円

・キズナは初年度産駒の活躍を踏まえ、2020年に種付料が350万円から600万円へ急増し、種付頭数も164頭から242頭(ノーザンファーム36頭)へ大幅増となった世代がまず1つのピークとなっており、この世代が今年デビュー。今年の2歳戦はキズナの真価が問われることになるが、翌2021年は種付料1000万円・種付頭数192頭(ノーザンファーム39頭)、2022年は種付料1200万円・種付頭数169頭(ノーザンファーム31頭)。31頭中、母父が横文字になる産駒は17頭。この中にはイリデッサ(BCフィリー&メアターフなどG1・4勝)、サロミナ(独オークス馬。サリオス、サラキアの母)、ジンジャーパンチ(エクリプス賞最優秀古牝馬。ポタジェ、ルージュバックの母)らが含まれている。コントレイルがスタッドインした状況で、良質な肌を継続して確保するためにも、今年デビューの世代の活躍は大変重要で、ここで期待に見合う成果が得られれば、キズナの立場も安泰なものになるが、果たしてどうなるか。

※キズナの近年の種付料、種付頭数とノーザンファームでの種付頭数

 2018年種付け(350万円、現4歳):152頭-14頭(アスクワイルドモア)
 2019年種付け(350万円、現3歳):164頭-11頭(レミージュ、イティネラートル)
 2020年種付け(600万円、現2歳):242頭-36
 2021年種付け(1000万円、現1歳):192頭-39
 2022年種付け(1200万円、今年産まれ):169頭-31

モーリス

父・スクリーンヒーロー、母・メジロフランシス、母父・カーネギー
2011年産:12歳、体高:169.0cm

2022年トータル種付頭数:133
2022年ノーザンファーム種付頭数:31
2022年種付料:700万円

・2022年の種付料は前年の800万円から少しダウンして700万円。トータルの種付頭数は前年の146頭から133頭へ減少し、ノーザンファームでの種付頭数も前年の36頭から31頭へ減少。前年のピクシーナイトのスプリンターズS勝ちや、豪州でのHitotsuのヴィクトリアダービー勝ちが反映されたものとしては、やや寂しい数字。ただ今年は種付料が800万円と持ち直しており、これはジェラルディーナ、Hitotsu、Mazu、ジャックドールらの昨年の活躍が反映されたものだろう。以下に前記のキズナ同様、近年の種付料、種付頭数とノーザンファームでの種付頭数をまとめているが、キズナ同様、モーリス産駒も今年デビューの世代はノーザンファーム産の産駒が一気に増えており、自ずと真価が問われることになる。ここから春のクラシックでも活躍出来るような早熟性、距離適性を持つ産駒が出てくるようなことになれば、モーリスのポジションも大きく上昇するが、どうなるだろうか。

※モーリスの近年の種付料、種付頭数とノーザンファームでの種付頭数

 2018年種付け(400万円、現4歳):245頭-44頭(ラーグルフ)
 2019年種付け(400万円、現3歳):212頭-39頭(テラステラ等)
 2020年種付け(400万円、現2歳):163頭-52
 2021年種付け(800万円、現1歳):146頭-36
 2022年種付け(700万円、今年産まれ):133頭-31

コントレイル

父・ディープインパクト、母・ロードクロサイト、母父・Unbridled’s Song
2017年産:6歳、体高:162.0cm

2022年トータル種付頭数:193
2022年ノーザンファーム種付頭数:28
2022年種付料:1200万円

・注目のコントレイルの初年度産駒については次回、ラインナップも含め詳しく触れていく予定。ノーザンファームでは種付料が同額のキズナよりも3頭少ない28頭に種付けされている。尚、社台ファームでは16頭に種付けされている。

その他の主な種牡馬の種付頭数

ロードカナロア:28
クリソベリル:26
サトノダイヤモンド:25
リアルスティール:22
ルヴァンスレーヴ:21
アドマイヤマーズ:19
シルバーステート:19
リオンディーズ:19
ナダル:18
ブリックスアンドモルタル:16
インディチャンプ:14
シスキン:14
ハービンジャー:14
ニューイヤーズデイ:12
フィエールマン:11
ポエティックフレア:11
ルーラーシップ:11
スワーヴリチャード:10
ミッキーアイル:10