現地時間3/25(土)にUAEのメイダン競馬場にて行われた、ドバイワールドカップデーの各レースについて、結果と動画をまとめてお届けする。
Dubai World Cup sponsored by Emirates Airline(G1・ダ2000m・3歳以上)
・ドバイワールドカップは、最後方追走の14番・ウシュバテソーロが3角過ぎから外を通って上昇。直線入口で先団を射程圏内に捕らえると、大外から一気に伸び、先に抜けていたAlgiersを交わし1着。2着にAlgiers、3着にEmblem Road。テーオーケインズは4着、クラウンプライドは5着、パンサラッサは10着、ジオグリフは11着、カフェファラオは12着、ヴェラアズールは13着、ジュンライトボルトは15着。
1着:ウシュバテソーロ
牡6、父・オルフェーヴル、母・ミルフィアタッチ、母父・キングカメハメハ
調教師:高木登(美浦)、騎手:川田将雅
・今回の勝利で通算29戦9勝、G1・2勝目(※川崎記念は国際的にはリステッド扱いになる)。昨年10/23のL-ブラジルC→11/27のカノープスS→12/29のG1-東京大賞典→2/1のJpn1-川崎記念に続き、これで5連勝。2011年のヴィクトワールピサ以来となるドバイワールドカップ日本調教馬2勝目。千代田牧場産。2017年のセレクトセール(当歳)にて2700万円で取引された馬。
・父のオルフェーヴルは2008年社台コーポレーション白老ファーム産のステイゴールド産駒。現役時は21戦12勝、有馬記念×2、宝塚記念、日本ダービー、菊花賞、皐月賞の6つのG1を含む重賞11勝。他に凱旋門賞2着2回、ジャパンC2着。1stクロップからラッキーライラック(大阪杯、エリザベス女王杯×2、阪神JF)、エポカドーロ(皐月賞)を出し、2ndクロップからマルシュロレーヌ(BCディスタフ)、3rdクロップから本馬を輩出。オーソリティ、シルヴァーソニック、本馬と中東での産駒の活躍が続き、2つ目の海外ダートG1を産駒が制覇。
・母のミルフィアタッチは2006年千代田牧場産、25戦3勝(阪神ダ1800、福島ダ1700×2)。ウシュバテソーロは6番仔。伯父のボールドブライアンはG3-東京新聞杯の勝ち馬。祖母のシジェームサンはG2-サンゴルゴーニオH、G2-ダリアH、G3-アシーニアHの勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/1231/meydan/2023-03-25/836215
Longines Dubai Sheema Classic(G1・芝2410m・3歳以上)
・ドバイシーマクラシックは、7番・イクイノックスが無理なくハナに立ちレースを主導。直線に入ると後続を一気に突き放し、最後は鞍上が後ろを振り返るシーンもあり、持ったままでの余裕の勝利。3馬身半差の2着にWestover。シャフリヤールは5着、ウインマリリンは6着。
1着:イクイノックス
牡4、父・キタサンブラック、母・シャトーブランシュ、母父・キングヘイロー
調教師:木村哲也(美浦)、騎手:クリストフ・ルメール
・今回の勝利で通算7戦5勝、G1・3勝目、重賞4勝目。昨年、有馬記念、天皇賞(秋)を制し、ダービーと皐月賞で2着。JRA年度代表馬、最優秀3歳牡馬に選出されたチャンピオンホース。有馬記念以来の一戦となった今回、ラストは持ったままでコースレコードでの完勝。結果を受けて、ウィリアムヒル、ラドブロークスは共に今年の凱旋門賞でイクイノックスを単勝9倍の1番人気に設定。仮に凱旋門賞を目標にした場合、本番までにどこを使っていくのか、キングジョージ?宝塚記念?インターナショナルS?など、ローテーションが今後の注目点となりそうだがどうなるか。
・Racing TVはイクイノックスを「The Japanese star」と形容し、レーシングポストはこの一戦を「彼のライバルは次々と委縮し始めた」「魅惑的な勝利をおさめた」と形容。
・父のキタサンブラックは2012年ヤナガワ牧場産のブラックタイド産駒。現役時は20戦12勝、ジャパンC、有馬記念、天皇賞(春)×2、天皇賞(秋)、大阪杯、菊花賞の7つのG1を含む重賞10勝。2016年、2017年のJRA年度代表馬、最優秀4歳以上牡馬。本馬以外にガイアフォース(1stクロップ・セントライト記念)、ラヴェル(2ndクロップ・アルテミスS)、ソールオリエンス(2ndクロップ・京成杯)が重賞勝ち。初年度は500万円だった種付料は一時、300万円にまで下がったが1stクロップの活躍を受けて、今年は1000万円。
・母のシャトーブランシュは2010年ノーザンファーム産、25戦4勝、G3-マーメイドS(阪神芝2000m)の勝ち馬で、他にローズS(G2)2着。シルクレーシングにて1口2万円×500口で募集された馬。イクイノックスは3番仔。2番仔のヴァイスメテオール(父・キングカメハメハ)はG3-ラジオNIKKEI賞の勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/1231/meydan/2023-03-25/836214
Dubai Turf sponsored by DP World(G1・芝1800m・3歳以上)
・ドバイターフは、中団追走の7番・Lord Northが直線抜け出して1着。3/4身差の2着に後方から追い込んだダノンベルーガ。セリフォスは伸びを欠き5着。ヴァンドギャルドは最下位14着。
1着:Lord North
せん7、父・Dubawi、母・Najoum、母父・Giant’s Causeway
調教師:John & Thady Gosden、騎手:Frankie Dettori
・今回の勝利で通算20戦10勝、G1・4勝目、重賞6勝目、ドバイターフ3連覇達成。昨年はドバイターフ1着後はタタソールズゴールドC4着→プリンスオブウェールズS5着→エクリプスS4着。その後は休養に入り、前年同様、叩き台にAWのG3-ウインターダービー(10f)をチョイスし、これに勝利しここへ出走していた馬。
・父のDubawiは2002年愛国産のDubai Millennium産駒。現役時は8戦5勝、ジャックルマロワ賞、アイリッシュ2000ギニー、ナショナルSの3つのG1を含む重賞4勝。昨年は例年にも増して本馬を含む産駒が活躍し、以下の7頭がG1勝ち。
Coroebus(英2000ギニー、セントジェームズパレスS)
Modern Games(プールデッセデプーラン、ウッドバインマイル、BCマイル)
Eldar Eldarov(英セントレジャー)
Lord North(ドバイターフ)
Naval Crown(プラチナジュビリーS)
In Italian(ダイアナS、ファーストレディS)
Rebel’s Romance(ベルリン大賞、オイロパ賞、BCターフ)
・母のNajoumは2008年米国産、4戦2勝。伯父のBandiniはG1-ブルーグラスS、G3-スキップアウェイHの勝ち馬。叔母のDiscourseはG3-スイートソレラSの勝ち馬。従姉のOut for a SpinはG1-アッシュランドSの勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
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Dubai Golden Shaheen sponsored by Nakheel(G1・ダ1200m・3歳以上)
・ドバイゴールデンシャヒーンは、最内枠発走から中団につけ、直線でインに潜り込んだ10番・Sibeliusがぐいぐいと伸び、先に抜け出しかけていた2番・Gunite、外から強襲してきた13番・Switzerlandとの競り合いを制し1着。ハナ差の2着にSwitzerland、3着にGunite。リメイクは5着、レッドルゼルは6着、レモンポップは10着、ジャスティンは12着。
1着:Sibelius
せん5、父・Not This Time、母・Fiery Pulpit、母父・Pulpit
調教師:Jeremiah O’Dwyer、騎手:Ryan Moore
・今回の勝利で通算19戦7勝、G1初制覇、重賞2勝目。前々走12/31のG3-ミスタープロスペクターS(d7f)で初重賞制覇を果たし、続く前走2/11のL-ペリカンS(d6f)にも勝利し、ここへ出走していた馬。G1出走は今回が初。
・父のNot This Timeは2014年米国産のGiant’s Causeway産駒。BCダートマイルなどG1・3勝、種牡馬として活躍中のLiam’s Map(父・Unbridled’s Song)の半弟。現役時は2歳時のみ稼働し4戦2勝、G3-イロコイSの勝ち馬で、1番人気だったG1-BCジュヴェナイルはClassic Empireの2着。Sibelius(1stクロップ)は4頭目の産駒G1馬で、他にEpicenter(2ndクロップ・トラヴァーズS)、Just One Time(1stクロップ・マディソンS)、Princess Noor(1stクロップ・デルマーデビュータントS)がG1勝ち。
・母のFiery Pulpitは2004年米国産、未出走。伯母のClamorosaはG3-リヴァーシティーズBCステークスの勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/1231/meydan/2023-03-25/836212
UAE Derby(G2・ダ1900m・3歳)
・UAEダービーは、ハナを切ったデルマソトガケが終始、手応え衰えず逃げ圧勝。5馬身半差の2着に番手追走のドゥラエレーデが入り、3着に3番手にいたコンティノワール。4着にペリエール、ゴライコウは12着。
1着:デルマソトガケ
牡3、父・マインドユアビスケッツ、母・アムールポエジー、母父・ネオユニヴァース
調教師:音無秀孝(栗東)、騎手:クリストフ・ルメール
・今回の勝利で通算8戦4勝、重賞初制覇(※Jpn1-全日本2歳優駿はローカルG1=国際的にはリステッド扱いになる)。デビューから2戦は芝を使われ6着→4着。3戦目からダートに転じ3着→1着。11/6のもちの木賞(阪神ダ1800m)を制して臨んだ、12/14のJpn1-全日本2歳優駿(川崎ダ1600m)で1着。その後、一息入れて前走2/25のG3-サウジダービー(ダ1600m)を3着とし、ここへ出走していた馬。
・今回の勝利でケンタッキーダービー出走に向けて100ポイントを獲得。昨年のクラウンプライドの事例から、アメリカへの輸送費等はチャーチルダウンズ側が負担する運びとなりそうで、これで晴れてケンタッキーダービーへ挑戦、となりそうである。社台ファーム産。2021年のセレクトセール(1歳)にて1980万円で取引された馬。
・父のマインドユアビスケッツは2013年米国産のPosse産駒。現役時は25戦8勝、G1-マリブS(d7f)、G1-ドバイゴールデンシャヒーン(d1200m)×2、G2-アムステルダムS(d6.5f)、G2-ベルモントスプリントCSS(d7f)、G3-ルーカスクラシック(d9f)の勝ち馬。他にBCスプリント2着、シガーマイルH2着、メトロポリタンH2着、ホイットニーS2着など。本馬以外にマルカラピッドがJpn3-エーデルワイス賞を制し、ショーモンがG2-デイリー杯2歳S3着など、初年度産駒が活躍し、昨年の総合&JRAファーストシーズンサイアーチャンピオンとなっている。先週ホウオウビスケッツがG2-スプリングSで2着に入り、今後は産駒の芝での重賞勝ちも早期に待たれるがどうなるか。
・母のアムールポエジーは2010年社台ファーム産、17戦3勝、Jpn2-関東オークスの勝ち馬。伯父のミリオンディスクはG3-カペラS、Jpn3-北海道スプリントCの勝ち馬。伯父のリクエストソングはきさらぎ賞(G3)2着、小倉記念(G3)3着。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/1231/meydan/2023-03-25/836211
Al Quoz Sprint sponsored by AZIZI Developments(G1・芝1200m・3歳以上)
・アルクォーツスプリントは、内からシャドウェルの勝負服のDanyahがゴール前で抜け出して1着。アタマ差の2着にオーストラリア調教馬・The Astrologist。3着にゴドルフィンの1番人気、Al Suhail。
1着:Danyah
せん6、父・Invincible Spirit、母・Cuis Ghaire、母父・Galileo
調教師:M Al Mheiri、騎手:Dane O’Neill
・今回の勝利で通算17戦6勝、重賞初制覇。昨年11月にUAEへ移籍した馬で、移籍初戦のL-ドバイクリークマイル(d1600m)で2着とし、1戦挟んで前々走2/10のL-ビジネスベイチャレンジ(t1400m)に勝利。前走は8着と敗れており、ここは人気薄だったが、混戦を制しG1タイトルを獲得。
・父のInvincible Spiritは1997年愛国産のGreen Desert産駒。現役時は17戦7勝、英G1-スプリントC(t6f)の勝ち馬で他に重賞2勝、リステッド2勝。母のRafhaはディアヌ賞(仏オークス)の勝ち馬で、半弟にKodiac(種牡馬として活躍中)。Danyahは22頭目の産駒G1馬になる。後継種牡馬としてKingman、I Am Invincibleが活躍しており、Danzig→Green Desertから連なるサイアーラインが順調に伸びている状況。
・母のCuis Ghaireは2006年愛国産、8戦3勝、2歳G3-アルバニーS(t6f)、2歳G3-フィリーズスプリントS(t6f)の勝ち馬で、2009年の英1000ギニー(G1)2着馬。叔母のScintillulaはG3-メルドSの勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/1231/meydan/2023-03-25/836210
Dubai Gold Cup sponsored by Al Tayer Motors(G2・芝3200m・3歳以上)
・ドバイゴールドカップは、直線で先に抜け出していたゴドルフィンのSiskanyを中団イン追走から直線勝負のBroomeが交わし去り1着。クビ差の2着に1番人気のSiskany。3着にSubjectivist。
1着:Broome
牡7、父・Australia、母・Sweepstake、母父・Acclamation
調教師:A P O’Brien、騎手:Ryan Moore
・今回の勝利で通算32戦9勝、重賞7勝目。昨年はロイヤルアスコットのG2-ハードウィックSを制し、以後、G1を6戦しキングジョージ4着、アイリッシュチャンピオンS7着、凱旋門賞8着、BCターフ6着、香港ヴァーズ8着など世界の主要G1を転戦。相変わらずの健脚ぶりを見せていたが、今年は2/18のカタールでのローカルG1から始動し5着。今回は久しぶりの2マイルでの一戦だったが見事に勝利。
・父のAustraliaは2011年英国産のGalileo産駒で、名牝・Ouija Board(G1・7勝)の4番仔。現役時は8戦5勝、英・愛ダービー、インターナショナルSの3つのG1を含む重賞4勝。昨年は産駒のOcean Roadが米G1-ゲイムリーS勝ち。
・母のSweepstakeは2005年愛国産、5戦2勝、L-ナショナルS(t5f)の勝ち馬で他に米G3-アパラチアンS2着、英G3-プリンセスマーガレットS3着。全弟のPoint Lonsdaleは愛2歳G2-フューチュリティS、愛2歳G3-タイロスSの勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/1231/meydan/2023-03-25/836209
Godolphin Mile(G2・ダ1600m・3歳以上)
・ゴドルフィンマイルは、内からハナを取り切った8番・Isolateがそのまま逃げ切り勝ち。直後を追走したバスラットレオン、ウインカーネリアンはラスト沈み、それぞれ4着、6着。2着にLaw Of Peace、3着にAtletico El Culano。ラウダシオンは11着。
1着:Isolate
牡5、父・Mark Valeski、母・Tranquil Song、母父・Unbridled’s Song
調教師:Doug Watson、騎手:Tyler Gaffalione
・今回の勝利で通算15戦7勝、重賞初制覇。L-テイルオブザキャットS1着、ナシュアS(G3)3着の戦績を残し、今年1月に米国からUAEへ移籍。移籍後、2/3のG3-アルシンダガスプリント(d1200m)2着→3/4のG3-マハーブアルシマール(d1200m)2着とし、ここへ出走していた馬。
・父のMark Valeskiは2009年米国産のProud Citizen産駒。現役時は10戦4勝、G2-ピーターパンS、G3-マインシャフトHの勝ち馬。Mr. Prospectorの3×4のクロスを持つ。本馬以外の主な産駒にNetwork Effect(メトロポリタンH2着、カーターH2着)。2020年に繋養先がケンタッキー州からアーカンソー州に移転しており、今年の種付料は1500米ドル。
・母のTranquil Songは2007年米国産(フロリダ州)、4戦1勝。いとこ(せん馬)のLast JudgmentはG3-チャレンジャーS、G3-ピムリコスペシャルマッチシリーズSの勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/1231/meydan/2023-03-25/836208