新種牡馬産駒データ考【32】キタサンミカヅキ、北島三郎氏の「大好きな息子」

今回は既に門別で始まっている2歳戦で先日、今年の新種牡馬一番乗りで勝ち馬を出したキタサンミカヅキを取り上げる。キングヘイローの後継種牡馬という重責を担う存在だが、8歳で全盛期を迎えた異色の存在。血統や現役時の戦績をまとめていく。

キタサンミカヅキの戦績

・キタサンミカヅキは2010年門別産のキングヘイロー産駒。3歳3月に中央でデビューし、6歳4月までに6勝。その後、南関東に移籍し、7歳10月にJpn2-東京盃(大井ダ1200)を制覇。8歳時に全盛期を迎え、この年に9戦して全て3着以内。東京スプリント(Jpn3)2着、さきたま杯(Jpn2)2着と交流重賞で奮闘し、10月には東京盃連覇を達成。次走JBCスプリント(Jpn1)でも3着に入り、12月のカペラS(G3)も3着。この年(2018年)、NARグランプリ年度代表馬、4歳以上最優秀牡馬、最優秀短距離馬に選出される

・以下の動画は8歳時に連覇を達成した東京盃のもの。レーススタートは6:12前後になるので、適宜、シークバーを動かしてご視聴頂きたいが、マテラスカイの逃げを好位で追走し、直線内からしぶとく伸び、先に抜け出していたネロをゴール前寸前で捕らえての見事な勝利。

・9歳時も現役を続け、4月のJpn3-東京スプリント(大井ダ1200)で重賞3勝目。8月のアフター5スター賞(大井ダ1200)を勝ち、このレースを最後に引退、種牡馬入り。長きに渡った現役生活で獲得した賞金は中央1億7199万円+地方1億9325万円。「キタサン」の冠を持つ馬ではキタサンブラックに次ぐ2番目の獲得賞金となる。

・以下の動画は9歳4月に勝利した東京スプリントのもの。この勝利が最後の重賞勝ちとなったが、番手追走からラスト抜け出す競馬で貫禄を示している。

・以下の動画は2020年の優駿スタリオンステーションでの種牡馬展示会でのもの。オーナーの北島三郎氏が「大好きな息子」「可愛くてしょうがありません」「こんなかわいい奴ですから皆様またこれからもよろしく可愛がって頂きたいと思います」と語ったように、氏の思い入れはひとしおな愛馬がキタサンミカヅキである。

キタサンミカヅキの血統

・父はキングヘイロー。キングヘイローの直仔ではローレルゲレイロが2011年より種牡馬入りしており、産駒のアイオライト(L-大沼S、L-ベテルギウスS)が活躍中。キタサンミカヅキはローレルゲレイロ以来のキングヘイローの後継種牡馬になる。

・母のキタサンジュエリーは2001年門別産のサクラバクシンオー産駒。現役時は地方5戦1勝(船橋ダ1200)。牝系は一族にキタサンサジン(東京スプリント)、キタサンチャンネル(NZT)、キタサンヒボタン(ファンタジーS)がいる「キタサン」牝系。

・キタサンミカヅキの5代血統表は以下の通り。産駒の「父母父」にサクラバクシンオーが入るのは今をときめくキタサンブラックと同じになるが、意外な爆発力を秘めていれば面白いがどうなるだろうか。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001122883/pedigree/

キタサンミカヅキの種付頭数、血統登録頭数など

・供用初年度(2020年・種付料20万円)は23頭に種付けされ、血統登録頭数は12頭。
・供用2年目(2021年・種付料20万円)は10頭に種付けされ、血統登録頭数は8頭。
・供用3年目(2022年・種付料30万円)の種付頭数は8頭。

・種付頭数は右肩下がりで早々に結果を出すことが求められる状況だが、現時点の地方CPIは1.03で繁殖の質は標準的。産駒の活躍の舞台は地方になろうが、早めに芽を出し存在感を出す産駒が出てくれば、父が8歳で全盛期を迎えたように成長力には期待出来そうで、長く稼ぐ優良産駒の出現に期待がかかる。

産駒初勝利をあげたキタサンヒコボシ

・キタサンミカヅキの産駒初勝利はキタサンヒコボシ(牡2)。門別の五十嵐冬樹厩舎の所属。5/3の門別ダ1000のJRA認定フレッシュチャレンジ競走にて2着馬に6馬身差をつけて逃げ切り勝ち。このレースは2020年供用開始種牡馬産駒の限定競走で、モーニン、ロジャーバローズ、アルアイン、カリフォルニアクローム、サトノアレス、ユアーズトゥルーリ、シュヴァルグラン産駒を倒しての1着。

・キタサンヒコボシは木田牧場の生産馬。母のキタサンナデシコ(父・ヘニーヒューズ)も同じ木田牧場の生産馬で未出走。祖母のキタサンラブソング(父・ダンスインザダーク)は白老ファームの生産馬で中央3勝(札幌ダ1700、中京ダ1700、阪神ダ1400)。曽祖母のオリンピアデュカキス(イタリア1000ギニー馬)が輸入基礎牝馬で、オリンピアデュカキスの孫に阪急杯、CBC賞2勝のマジンプロスパーがいる。