今回は今年の新種牡馬の中からエピカリスを取り上げる。3歳ダート3冠競走の創設でダートサイアーの注目度は今まで以上にアップすることになるが、エピカリス産駒はどうなるか。本稿では門別での能力検査の情報も含め、概要をまとめていく。
エピカリスの戦績
・エピカリスは2014年浦河の鎌田正嗣氏の生産馬で父はゴールドアリュール。2014年のセレクトセールで2808万円で取引された馬。キャロットファームで1口9万円×400口で募集される。2歳8月のデビュー戦(新潟ダ1800)1着→10月のプラタナス賞(東京ダ1600)1着→11月のJpn3-北海道2歳優駿(門別ダ1800)1着→3歳2月のヒヤシンスS(東京ダ1600)1着とデビュー4連勝。
・北海道2歳優駿は翌年にJpn1-ジャパンダートダービー、東京ダービーを制することになるヒガシウィルウィンに2.4秒差をつけての大圧勝。
・ヒヤシンスSの後はG2-UAEダービー(メイダンd1900)へ出走。このレースは後にドバイワールドCを連覇するサンダースノーにアタマ差及ばず2着。サンダースノーはこの時点で既に前年のG1-クリテリウムアンテルナシオナルを制していたG1馬。
・以後、ベルモントSへ出走するために現地入りし調整を進めていたが、レース当日に右前肢の跛行のため無念の出走取消。その後、中央で3戦、南関東で4戦するも勝ち星をあげられず、5歳10月のレースを最後に引退、種牡馬入り。
エピカリスの血統
・父はゴールドアリュール。エピカリスはゴールドアリュールの10thクロップで、種付時点で既にエスポワールシチー、スマートファルコンを輩出し、2013年のダートでのサイアーランキングはキングカメハメハに次ぐ2位と、押しも押されぬダートサイアーの雄として君臨していた頃の産駒。尚、エピカリスと同期のゴールドアリュール産駒にサンライズノヴァ(南部杯)がいる。
・母のスターペスミツコは2002年浦河の鎌田正嗣氏の生産馬で父はカーネギー。現役時は中央17戦1勝(小倉芝1200m)。Northern Dancerの3×4のクロスを持つ。エピカリスは7番仔。スターペスミツコの初仔・メイショウナルト(父・ハーツクライ)は小倉記念、七夕賞の勝ち馬で、他に重賞入着4回。近親に今年の高松宮記念を制したファストフォースがいる。
・母父のカーネギーは凱旋門賞、サンクルー大賞の2つのG1を含む5つのG1を勝ったSadler’s Wells産駒。父として日本ではホオキパウェーブ(オールカマー)、カーネギーダイアン(青葉賞)を輩出。母父として日本ではモーリスを筆頭にアドマイヤコマンド、メイショウナルト、アドマイヤホクトなどの重賞勝ち馬を出している。
・エピカリスの5代血統表は以下の通り。
https://www.jbis.or.jp/horse/0001186327/pedigree/
エピカリスの種付頭数、血統登録頭数など
・供用初年度(2020年・種付料30万円)は88頭に種付けされ、血統登録頭数は60頭。
・供用2年目(2021年・種付料30万円)は50頭に種付けされ、血統登録頭数は30頭。
・供用3年目(2022年・種付料30万円)の種付頭数は35頭。
・廉価な種付料もあり初年度から多くの牝馬を集めている。さすがに年々、種付頭数は減少傾向にあるが、同じゴールドアリュールを父に持つライバル種牡馬、ゴールドドリームが2021年に同じレックススタッドにスタッドインした影響も大きい印象。ちなみにゴールドドリームは2021年は212頭、2022年は181頭もの種付頭数を確保し、産駒は来年デビュー。ゴールドドリームと比べると種付料は6分の1程度になるが、エピカリスにとっては早めに活躍馬を出したいところ。
・現役時に2歳から3歳春にかけて見せたパフォーマンスは印象的なもので、創設された3歳ダート3冠競走を念頭に置くと、羽田盃が4月下旬、東京ダービーが6月上旬の施行となり、早めに賞金を稼いでおく早熟性はぜひ持っておきたい資質の一つ。父同様に2歳戦からフルに能力を発揮するような産駒の登場が期待されるがどうなるか。
エピカリス産駒の市場取引馬について
・昨年の北海道サマーセールにて1815万円で取引された、母・ニシノミーチャン(その父・キングカメハメハ)の牡馬が最高価格馬。アフリートファームの生産馬で門別の地方重賞・フローラルカップを勝ったブルーカルセドニーの半弟になる。
・昨年の北海道セプテンバーセールにて1705万円で取引された、母・スターローズ(その父・スマートボーイ)の牡馬と、同額で取引された、母・ダンシングクイーン(その父・Giant’s Causeway)の牡馬が2番目に高い産駒。前者はグランド牧場の生産馬で母のスターローズは南関東の重賞・ユングフラウ賞の勝ち馬。4代母はケンタッキーダービー馬・ウイニングカラーズ。後者は若林順一氏の生産馬で、昨年の中山牝馬Sの勝ち馬・クリノプレミアムの半弟になる。
5/16の門別の能力検査より
・この日、4鞍行われた能力検査の中で、エピカリス産駒・サントノーレ(牡2)が2R(800m)でタイム48.7秒で1着入線。先手を奪い、逃げ切ったものだが、同日に同じ800mで行われた能力検査3Rの内、48.7秒のタイムは最も速いもの(残り2鞍は52.0秒と55.1秒)。ちなみに前回の本稿で取り上げた新種牡馬・キタサンミカヅキ産駒で、5/3に新種牡馬産駒一番乗りで勝利をおさめたキタサンヒコボシは3/23の同じ800mの能力検査で51.4秒で1着。これと比較すると、サントノーレのタイムはかなり速いもので、注目馬といって良さそうである。
・サントノーレは新冠の松浦牧場の生産馬。母のリンガスウーノはサウスヴィグラス産駒で中央20戦4勝(中山ダ1200、新潟ダ1200、福島ダ1150、東京ダ1400)。祖母のリンガスローレルはサクラローレル産駒で50戦6勝、交流重賞のクラスターCで3着。