今回は目下、勝ち上がり馬は出ていないが複勝率50%とハイアベレージな数字を残しているニューイヤーズデイを取り上げる。
戦績と日本供用前の産駒成績
・ニューイヤーズデイは2011年米国産のStreet Cry産駒。現役時は3戦2勝、G1-BCジュヴェナイルの勝ち馬。8/17のデビュー戦(AW5.5f)で3着と敗れるも、8/31の2戦目(AW8f)に勝利。その後、11/2のG1-BCジュヴェナイル(d8.5f)に出走すると、直線ラチ沿いを強襲して差し切り勝ち。終いの脚は強烈なインパクトを残したが、同年12月に左後肢の種子骨が欠けてしまう怪我を負い、12/26に引退を発表。種牡馬入りとなる。
・代表産駒は2ndクロップのMaximum Security。フロリダダービー、ハスケル招待S、シガーマイルH、パシフィッククラシックSの4つのG1を含む重賞6勝をあげた馬だが、管理調教師が禁止薬物を投与していたことを認めており、1着入線だったサウジカップでの勝利も剥奪(失格)となっている。サウジカップ時のMaximum Securityの筋骨隆々な馬体を覚えておられる方もいるだろうが、「組織修復を促して馬のスタミナや持久力を本来の能力以上に高めるために、繊維芽細胞や肝細胞などの増殖因子が含まれている」とされる禁止薬物投与の影響は少なからずあったとみるのが妥当だろう。
・アメリカでは5シーズン供用され、1シーズンあたりの平均種付頭数は65頭。Maximum Security(2ndクロップ)以外の活躍馬にFighting Mad(2ndクロップ。G1-クレメントL.ハーシュS、G2-サンタマリアS、G3-トリーパインズS)、Bourbon Resolution(1stクロップ。G3-ベンアリS)がいる。
・Maximum Securityが活躍する前の2018年にはブラジルに輸出されるが、2019年5月に「日本の牧場」に売却する契約が交わされた旨の報道が出る。ちなみにこの時期はMaximum Securityがフロリダダービーを勝ち、ケンタッキーダービーで1着入線(17着に降着)した頃で、機を見るに敏な「日本の牧場」がどこなのか注目されたが、後にこの「日本の牧場」が社台スタリオンステーションであることが判明。2020年より社台スタリオンステーションにて供用開始となり翌年産まれの現2歳馬が日本供用後の1stクロップになる。
血統
・父はStreet Cry(その父・Machiavellian)。G1-ドバイワールドカップ、G1-スティーヴンフォスターH、G2-マクトゥームチャレンジラウンド3の勝ち馬。主な産駒にストリートセンス(ケンタッキーダービー、トラヴァーズS、BCジュヴェナイル)、Zenyatta(BCクラシックなどG1を13勝)、Winx(G1を25勝)などがいる大種牡馬。ニューイヤーズデイはStreet Cryの8thクロップで、Winxと同じ世代になる。
・母のJustwhistledixieは2006年米国産のDixie Union産駒。現役時は12戦5勝、G2-ボニーミスS、G2-ダヴォナデールSの勝ち馬で、他にエイコーンS(G1)2着、トップフライトH(G2)2着。繁殖牝馬として優秀な成績を残しており、ニューイヤーズデイの他に産駒のMohaymen(ファウンテンオブユースS、ホーリーブルS、レムゼンS、ナシュアS)、Kingly(ラホイヤH)、Enforceable(ルコントS)が重賞勝ち。
・母父のDixie Unionは1997年米国産のDixieland Band産駒。G1-マリブS、G1-ハスケル招待Hを含む重賞5勝。父としてUnion Rags(ベルモントS等)、Overanalyze(アーカンソーダービー)などを輩出。母父としてはCode Of Honor(トラヴァーズS、ジョッキークラブゴールドC)、Mor Spirit(メトロポリタンH、ロスアラミトスフューチュリティ)などを輩出。
これまでの中央2歳戦戦績
【0-2-2-4/8】
勝率0.0%、連対率25.0%、複勝率50.0%
・以下の6頭がデビューし、4頭が3着以内に入り、勝ち上がりはまだ無いが早くも父譲りの早熟性を産駒がしっかりと見せている状況。まだ2戦しかしていないがダートに限ると3着、2着と全て入着している点は見逃せない戦績だろう。
ノイヤーヘルト:新馬戦(ダ1400)2着
社台ファーム産、母父・Mineshaft
プエルタセクレタ:新馬戦(芝1200)2着
ノーザンファーム産、母父・ワイルドラッシュ
トラペジスト:新馬戦(ダ1200)3着
社台コーポレーション白老ファーム産、母父・Dynaformer
エートラックス:新馬戦(芝1600)4着→未勝利戦(芝1600)3着
社台コーポレーション白老ファーム産、母父・シンボリクリスエス
アンジュグルーヴ:新馬戦(芝1600)5着
ノーザンファーム産、母父・ルーラーシップ
ノリピー:新馬戦(芝1400)6着→未勝利戦(芝1600)6着
チャンピオンズファーム産、母父・ネオユニヴァース
種付頭数、血統登録頭数など
・供用初年度(2020年)は158頭に種付けされ、血統登録頭数は102頭。
・供用2年目(2021年)は117頭に種付けされ、血統登録頭数は73頭。
・供用3年目(2022年)の種付頭数は121頭。
※7/2現在の中央CPI:1.71、中央AEI:1.18
・種付料は初年度が300万円で2年目以降は250万円で推移中。Maximum Securityの禁止薬物問題が発覚したのが2020年だった為、2021年に種付料が減額されたにも関わらず種付頭数が減っているのはこの影響があった印象。
・同じStreet Cryを父に持つストリートセンスが2013年に1年だけ日本で供用されているが、ストリートセンスの母父はDixieland Bandで、ニューイヤーズデイとかなり近い血統構成。ストリートセンスは1世代だけの日本供用時の産駒93頭(血統登録頭数)からファッショニスタ、フィールドセンス、サヴィの3頭が交流重賞勝ち。参考データとして日本供用時のストリートセンス産駒の中央での戦績を以下に示す。
芝
【10-12-13-15-13-142/205】
勝率4.9%、連対率10.7%、複勝率17.1%
ダート
【48/35/35/31/28/296/473】
勝率10.1%、連対率17.5%、複勝率24.9%
・このデータを見ると圧倒的に産駒実績はダート>芝。ニューイヤーズデイ産駒も芝とダートの比率でいえばこれに近い数字になるのではと思われるがどうなるか。