今回は地方での新種牡馬産駒の動向についてまとめていく。既に12頭が勝ち上がっているモーニンを筆頭に多くの新種牡馬産駒が地方で勝ち上がっているが、本稿ではランキング上位6頭について触れていく。
1位・モーニン
26頭出走→12頭勝利(46.2%)
収得賞金:4458.1万円、AEI:1.60
・12頭の勝ち上がり頭数は地方2歳トータルでもトップの数字。収得賞金順では栄冠賞を勝ったストリームを輩出したダノンレジェンドが1位でモーニンはこれに次ぐ2位。以下、3位がベストウォーリア、4位がホッコータルマエ、5位がマジェスティックウォリアーとなっている。
・参考までに地方2歳トータルの収得賞金上位5頭の種牡馬の勝ち上がり率を以下にまとめる。勝ち上がり率の次の()内に出走頭数と勝利頭数を、現2歳と関連する2020年の種付料(フリーリターン特約付きのもの)と共に併記している。
ダノンレジェンド:43.5%(23-10)、50万円
モーニン:46.2%(26-12)、50万円
ベストウォーリア:24.2%(33-8)、30万円
ホッコータルマエ:60.0%(15-9)、120万円
マジェスティックウォリアー:36.8%(19-7)、180万円
・モーニンの勝ち上がり率はホッコータルマエには及ばないが、ダノンレジェンドを上回っている。ホッコータルマエは種付料がモーニンの倍以上となっており、繁殖の質も自ずと高いとみれば、高い勝ち上がり率は頷けるもので、モーニン産駒はこれと比べてここまではかなり健闘していると言って良さそうである。
2位・ホークビル
6頭出走→2頭勝利(33.3%)
収得賞金1061.4万円、AEI:1.65
・ホークビルは現役時にエクリプスS、ドバイシーマクラシックに勝った馬で、父がRoaring Lion、Kameko、Stephanie’s Kitten、ジャンダルムなど多くの芝G1馬を輩出した、大種牡馬・Kitten’s Joy。ダートよりは芝で本領発揮、というのが産駒のイメージになろうが、どうなるか。ちなみに中央では2頭がいずれも芝でデビューしており、カヴァラが5着(勝ち馬から3.9秒差)、キタノアイザックが16着(勝ち馬から3.2秒差)→11着(勝ち馬から3.1秒差)。内容的にはここまでは厳しい戦績となっている。
3位・ニューイヤーズデイ
4頭出走→1頭勝利(25.0%)
収得賞金:960.0万円、AEI:2.24
・大井で産駒のスピニングガールがデビュー2連勝中。7/14の2戦目、ニューホープ特別(大井ダ1200)は2着に1.2秒差をつけての快勝で今後が楽しみな存在。母のセラミックガールはノーザンファーム産のダイワメジャー産駒で、盛岡の地方重賞・ジュニアグランプリ(芝1600)の勝ち馬。2番仔のタイソウ(父・モーリス)は中央3勝の現役馬で、スピニングガールは5番仔。
・中央では7頭がデビューし、勝ち上がりはまだ出ていないが2着2回、3着2回。連対率22.2%、複勝率44.4%とまずまずの滑り出し。
4位・エピカリス
9頭出走→2頭勝利(22.2%)
収得賞金:883.5万円、AEI:0.92
・2020年の種付料が30万円で、繁殖の質は相応のものと思われるが、まずは2頭が勝ち上がり。2020年に供用されたゴールドアリュールを父に持つ種牡馬は以下の4頭になるが、種付料はエピカリスが最も安く、2歳世代ではエスポワールシチーを上回る血統登録頭数がいる状況。
コパノリッキー:2020年種付料115万円→血統登録頭数106頭
エスポワールシチー:2020年種付料100万円→血統登録頭数55頭
スマートファルコン:2020年種付料50万円→血統登録頭数36頭
エピカリス:2020年種付料30万円→血統登録頭数60頭
・ゴールドアリュールの後継種牡馬はこの後、ゴールドドリーム(来年産駒デビュー)、クリソベリル(2025年産駒デビュー)の産駒がデビューを控えており、競争はかなり厳しい。エピカリスがこうしたライバル種牡馬と伍していくためには初年度産駒の大きな成功が必須となるが、自身の現役時のように2歳戦で強烈なインパクトを残せるような産駒が出てくるかどうか。尚、中央では3頭がデビューしており、リベルテが芝1800mの未勝利戦で3着になったのが最高成績。先週土曜の福島ダ1150mの新馬戦でデビューした2頭はリスヴェリオが8着、サルバシオンが9着。
5位・アニマルキングダム
9頭出走→3頭勝利(33.3%)
収得賞金:656.1万円、AEI:0.68
・アニマルキングダムは希少なBlushing Groom系の新種牡馬になるが、既に米・豪で複数のG1馬を輩出した実績を誇り、2020年の種付料は120万円(前納・不受胎・不出生時返金)、初年度産駒(血統登録頭数)は75頭。中央では2頭がデビュー済みで5着(勝ち馬から1.1秒差)、8着(勝ち馬から2.8秒差)。
・これまでに輩出したG1馬はいずれも芝での勝利。産駒も概ね芝向きと見るのが妥当だろうか。アニマルキングダムは現役時、ケンタッキーダービー(d10f)、ドバイワールドカップ(AW10f)に勝利した馬だが、芝でも実績があり、BCマイル(t8f)2着、ガルフストリームパークターフH(t9f)2着のG1・2鞍で連対。
Angel of Truth(オーストラリアンダービー)
Oleksandra(ジャイプール招待S)
Duopoly(アメリカンオークス)
Regal Glory(メイトリアークS×2、ジェニーワイリーS、ジャストアゲームS)
6位・ロジャーバローズ
3頭出走→1頭勝利(33.3%)
収得賞金:599.5万円、AEI:1.87
・2020年の種付料は120万円でこの年はシルバーステート、アルアインと同額。シルバーステートは初年度産駒の活躍で今年の種付料は600万円に跳ね上がっており、ディープ後継争いの観点では既に1つ上のステージに上がっているが、ロジャーバローズは当面のライバル、アルアインとの比較で産駒成績を残せるか、が焦点になる。
シルバーステート:2020年種付料120万円→血統登録頭数104頭
ロジャーバローズ:2020年種付料120万円→血統登録頭数61頭
アルアイン:2020年種付料120万円→血統登録頭数66頭
・ちなみに現時点で上記3頭の中央での産駒成績は以下の通りとなっている。血統登録頭数が最も多いシルバーステート産駒が最も多くデビューしており、連対率と複勝率では他2頭を凌駕。
シルバーステート【1-3-1-10/15】勝率6.7%、連対率26.7%、複勝率33.3%
ロジャーバローズ【1-0-1-6/8】勝率12.5%、連対率12.5%、複勝率25.0%
アルアイン【1-0-0-7/8】勝率12.5%、連対率12.5%、複勝率12.5%
・ただ、繰り返すがこの3頭の2020年の種付料は同額。繁殖の質も類似しているものとみれば、この世代の産駒成績も類似する可能性はあるが、この状況で飛びぬけた産駒成績を残すことが出来れば明らかに他と比べて優秀、という評価が出来ることになるのは事実。ロジャーバローズ、アルアインにとって比較対象が既に実績があるシルバーステートになる点は厳しい面があるが、生き残りを賭けた熾烈な争いという観点からは大変興味深く、産駒成績からは目が離せない。