2018年度の新種牡馬である、ジャスタウェイ、ベルシャザール、グランプリボス、トーセンジョーダンらについて、何度かに分けて分析を試みる。今回が第1回。本邦新種牡馬ではあっても、既に海外に産駒を残しているケープブランコ、ダンカークについては、海外での産駒成績を交えて別稿にて触れていきたい。
まずは2018年に産駒がデビューする新種牡馬に関わる参考データについて時系列で整理しておきたい。
- 2015年(供用開始)
- 初年度種付料の発表
- 初年度種付頭数の発表
- 2016年(産駒は当歳)
- 2年目種付料の発表
- 当歳セール
- 2年目種付頭数の発表
- 2017年(産駒は1歳)
- 3年目種付料の発表
- 1歳セール
- クラブ募集
- 3年目種付頭数の発表
- 2018年(産駒は2歳)
- 4年目種付料の発表(※)
- 門別で新馬戦がスタート
- トレーニングセール
- JRAの新馬戦開始
- 4年目種付頭数の発表
現時点のタイミングは(※)にあたり、少しずつ初年度産駒の調教ペースが上がり始めたところ。ここで、新種牡馬の期待値として最も重要で端的な指標は何か、ということを考えるなら、まずは、産地での評判、セール結果や、需給などをダイレクトに反映するであろう、種付料をあたるのが妥当であろう。種付頭数も重要なデータだが、種付料の設定次第で変動することと、この現時点でのタイミングでは3年分しか把握できない、という欠点がある。
これらを踏まえて、過去5年分の中堅クラス以上の新種牡馬の種付料が供用後4年間でどう推移したか、をまとめたのが次表。なお、初年度から2年目の種付料の変動は産駒のデキと言うよりは、受胎率の高低が影響するケースが多いとみられるためここでは除外して考え、供用3年目、4年目の種付料の変動をベースにまとめている。
(種付料が上昇)
- ヴァーミリアン
- ルーラーシップ
- スマートファルコン
- トーセンホマレボシ
(種付料が横ばい)
- スクリーンヒーロー
- カネヒキリ
- カジノドライヴ
- ヴィクトワールピサ
- ベーカバド
- アイルハヴアナザー
- ロードカナロア
- オルフェーヴル*
- エイシンフラッシュ*
- ローズキングダム*
- モンテロッソ*
- エスポワールシチー
- ストロングリターン
(種付料が低下)
- ディープスカイ
- コンデュイット
- パイロ
- ハービンジャー
- キンシャサノキセキ
- ワークフォース
- ダノンシャンティ
- ディープブリランテ
- ノヴェリスト
ここで*マークを付したのは、種付料自体は横ばいを維持したものの、4年目の種付頭数が減少(3年目に対し20%以上の減少)した種牡馬たちである。ややネガティブな種付料横ばい、と捉えればいいだろうか。
このリストから受ける印象には個人差はあるだろうが、概ね以下のようなところか。
- 種付料上昇の意義自体は疑問である(少なくとも、成功が濃厚とまで判断できる信憑性はなさそう)
- 種付料が横ばいで、種付頭数も大きな増減なく4年目をこなす種牡馬はそれなりに期待できそう
- 種付料が横ばいでも、種付頭数が4年目に減るケースは割り引いた方がよさそう
- (当然だが)産駒のデビュー前に種付料が低下するのは黄信号。ただし、パイロ、ハービンジャー、キンシャサノキセキのように、前評判をくつがえして結果を出した例外も存在している。
最後に、2018年度新種牡馬たちの種付料推移である。横ばいを維持した種牡馬が多いが、4年目の牝馬の集まり具合が気になるところ。今年最も注目される新種牡馬ジャスタウェイは、データー的には疑問が呈されるところだが、果たしてどうか。
(種付料が上昇)
- 該当なし
(種付料が横ばい)
- ベルシャザール
- グランプリボス
- トーセンジョーダン
- トゥザグローリー
- パドトロワ
(種付料が低下)
- ジャスタウェイ