2018ブリーダーズカップ展望【6】クラシック、ディスタフ

これまで5回に渡り、展望記事をお届けしてきたが【6】では現地時間11/3(土)の17:44発走予定のクラシックと、16:16発走予定のディスタフを取り上げ、有力馬をご紹介する。今年のクラシックはAmerican Pharoah→Arrogate→Gun Runnerと続いた、確たる軸がはっきりしていた近3年と比べると、上位拮抗の様相で非常に楽しみなメンバー構成となっている。

クラシック(ダート10f)・12R・現地時間11/3(土)17:44発走

英ブックメーカーWilliamHILLの単上位人気
Accelerate:4.00倍
Mckinzie:6.00倍
Catholic Boy:8.00倍
West Coast:8.00倍
Mendelssohn:10.00倍
Roaring Lion:11.00倍
Thunder Snow:11.00倍
Mind Your Biscuits:13.00倍
Yoshida:13.00倍

Accelerate(アクセラレイト)

父・Lookin At Lucky、母・Issues、母父・Awesome Again
牡5、J.サドラー調教師、J.ロサリオ騎手

・2014年のキーンランドセプテンバーセールにて38万ドルで落札された馬。

・今年6戦5勝。今年は2/3のG2-サンパスカルS(ダ9f)で1着→3/10のG1-サンタアニタH(ダ10f)で1着→4/14のG2-オークローンH(ダ9f)で2着。その後、5/26のG1-ゴールドカップアットサンタアニタ(ダ10f)→8/18のG1-パシフィッククラシックS(ダ10f)→9/29のG1-オーサムアゲインS(ダ9f)と目下G1レース3連勝中

・父は2007年米国産のSmart Strike(その父・Mr. Prospector)産駒でG1-プリークネスSなど重賞8勝、2009年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬。今年の種付料は1万7500ドル。同馬がこれまでの産駒の中の最多賞金獲得馬。他の主な活躍馬にMoney Multiplier(米重賞2勝)、Lookin At Lee(昨年のケンタッキーダービー2着馬)などがいる。

・母父はDeputy Minister(その父・Vice Regent)産駒でG1-BCクラシックなど重賞6勝、2001年にカナダ競馬殿堂入りしている。BMSとして輩出した主な産駒にKeen Ice(Deputy Ministerの3×3のクロスを持つ。G1-トラヴァーズSなど重賞2勝)、ローマンレジェンドミラクルレジェンドルージュバックなどがいる。

Mckinzie(マッキンジー)

父・ストリートセンス、母・Runway Model、母父・Petionville
牡3、B.バファート調教師、M.スミス騎手

・2016年のキーンランドセプテンバーセールにて17万ドルで落札された馬。

・5戦4勝。昨年10/28のデビュー戦(ダ7f)で1着→12/9の2歳G1-ロスアラミトスキャッシュコールフューチュリティ(ダ8.5f)で1着。今年は1/6のG3-シャムS(ダ8f)で1着→3/10のG2-サンフェリペS(ダ8f)で2着→半年ぶりの前走9/22のG1-ペンシルヴェニアダービー(ダ9f)で1着。古馬との対戦は初となるが未知の魅力が高く評価されている。

・父は2004年米国産のStreet Cry(その父・Machiavellian)産駒で、G1-ケンタッキーダービー、2歳G1-BCジュヴェナイル、G1-トラヴァーズSなど重賞5勝、2006年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬。今年の種付料は3.5万ドル。主な産駒にスウィートリーズン(G1-エイコーンS、G1-スピナウェイS、G1-ラストS)、Wedding Toast(G1-ベルデイムS、G1-オグデンフィップSなど重賞4勝)。

・母父はSeeking the Gold(その父・Mr. Prospector)産駒で、米重賞3勝。BMSとして輩出したこれまでの最多賞金獲得馬が同馬になる。

Catholic Boy(カトリックボーイ)

父・More Than Ready、母・Song of Bernadette、母父・Bernardini
牡3、J.トーマス調教師、J.カステリャーノ騎手

・9戦6勝。2歳時は4戦3勝(G2-レムセンS、G3-ウイズアンティシペーションS)。今年は2着→4着と連敗した後は、6/2のG3-ペニーリッジS(ダ9f)で1着→7/7のG1-ベルモントダービー(ダ10f)で1着→8/25のG1-トラヴァーズS(ダ10f)で1着と3連勝中

・父は1997年米国産のサザンヘイロー(その父・Halo)産駒でG1-キングスビショップS(ダ7f)など重賞4勝。今年の種付料は7.5万ドル。主な産駒にMore Joyous(豪G1を8勝し重賞18勝。母父はサンデーサイレンス)、Roy H(G1-BCスプリント、G1-スプリントチャンピオンシップ2勝など重賞5勝)などがいる。

・母父はA. P. Indy(その父・Seattle Slew)産駒でG1-プリークネスS、G1-トラヴァーズS、G1-ジョッキークラブゴールドカップなど重賞5勝、2006年のエクリプス賞最優秀3歳牡馬。BMSとして輩出した最多賞金獲得馬が同馬になる。

West Coast(ウェストコースト)

父・Flatter、母・Caressing、母父・Honour and Glory
牡4、B.バファート調教師、J.ベラスケス騎手

・2015年のキーンランドセプテンバーセールにて42.5万ドルで落札された馬。

・12戦6勝、2着5回、3着1回。昨年、4連勝でG1-トラヴァーズS(ダ10f)を制すると、次走のG1-ペンシルヴァニアダービー(ダ9f)も7 1/4身差で快勝。その後、Arrogate、Gun Runnerに続く3番人気に支持されたG1-BCクラシック(ダ10f)に出走し、3着と健闘エクリプス賞最優秀3歳牡馬に選出される。今年はG1-ペガサスワールドC(ダ9f)でGun Runnerの2着→G1-ドバイワールドC(ダ2000)でThunder Snowの2着→G1-オーサムアゲインS(ダ9f)でAccelerateの2着。

・父は1999年米国産のA.P.Indy(その父・Seattle Slew)産駒で米6戦4勝(重賞勝ちはなし)。今年の種付料は4万ドル。本馬が代表産駒で獲得賞金の面では2位の馬(米重賞1勝)の10倍以上の賞金を獲得している。

・母父はRelaunch(その父・In Reality)産駒でG1-メトロポリタンHなど重賞4勝。BMSとして輩出した最多賞金獲得馬が同馬になる。ちなみに2位はG3-エルムS、Jpn3-佐賀記念、コリアカップ2勝の現役馬・ロンドンタウン(父・カネヒキリ)。

Mendelssohn(メンデルスゾーン)

父・Scat Daddy、母・Leslie’s Lady、母父・Tricky Creek
牡3、A.オブライエン調教師、R.ムーア騎手

・2016年のキーンランドセプテンバーセールにて300万ドルでクールモアに落札された馬。

・11戦4勝。昨年2歳G1-BCジュヴェナイルターフ(芝8f)を制覇。今年は3/31のG2-UAEダービー(ダ1900)を圧勝し、5/5のG1-ケンタッキーダービー(ダ10f)に挑むも、スタート直後に挟まれる不利もあり、全く自分のレースが出来ずに20着と完敗。その後、7/7のG3-ドワイヤーS(ダ8f)で3着→8/25のG1-トラヴァーズS(ダ10f)でCatholic Boy(カトリックボーイ)の2着→9/29のジョッキークラブゴールドC(ダ10f)で3着。

・父は2004年米国産のヨハネスブルグ(その父・ヘネシー)産駒でG1-フロリダダービー、2歳G1-シャンペンSなど重賞4勝。2015年12月14日に急死したため、産駒の希少性が増したことも本馬の落札額が300万ドルという桁外れの価格になった要因の一つだろう。代表産駒は今年の米3冠馬・JustifyDacita(G1-ダイアナSなど重賞9勝)など。

・母父はClever Trick(その父・Icecapade)産駒で米29戦18勝(重賞勝ちはなし)。BMSとして輩出した主な産駒にケイムホーム(G1-サンタアニタダービー、G1-パシフィッククラシックなど重賞8勝)、Mizdirection(G1-BCターフスプリント2勝など重賞6勝)。

・半姉のBeholder(父・ヘニーヒューズ)は2歳時から6歳時にかけてG1を11勝、エクリプス賞を4度受賞した歴史的名牝。ブリーダーズカップはディスタフ2勝(2013年、2016年)、ジュヴェナイルフィリーズ1勝(2012年)の計3勝。2016年のディスタフで当時無敗のSongbirdをハナ差競り負かしたレースは北米競馬史に残る名勝負として有名。

Roaring Lion(ロアリングライオン)

父・Kitten’s Joy、母・Vionnet、母父・ストリートセンス
牡3、J.ゴスデン調教師、O.マーフィー騎手

・2016年のキーンランドセプテンバーセールにて16万ドルで落札された馬。

・12戦8勝(重賞6勝)。エクリプスS→インターナショナルS→愛チャンピオンS→クイーンエリザベス2世Sと芝のG1を4連勝中。AWでの出走歴はあるがダートのレースは初となる。前走時に馬場渋化が危惧されていたように、力のいる馬場は不得手とみられるが果たしてどうか。

・父は2001年米国産のEl Prado(その父・Sadler’s Wells)産駒でG1-セクレタリアトSなど重賞7勝、2004年のエクリプス賞最優秀芝牡馬。これまでの代表産駒はHawkbill(G1-ドバイシーマクラシックなど重賞6勝)、Stephanie’s Kitten(G1-BCフィリー&メアターフなど重賞9勝)など。今年の種付料は6万ドル

・母父はStreet Cry(その父・Machiavellian)産駒でG1-ケンタッキーダービー、2歳G1-BCジュヴェナイル、G1-トラヴァーズSなど重賞5勝、2006年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬。BMSとして輩出した代表産駒が本馬になる。

Thunder Snow(サンダースノー)

父・Helmet、母・Eastern Joy、母父・Dubai Destination
牡4、S.ビンスルール調教師、C.スミヨン騎手

・20戦7勝(重賞6勝)。今年のG1-ドバイワールドC(ダ2000)の勝ち馬。近2走は、8/22のG1-インターナショナルS(芝10f56y)で8着→9/29のG1-ジョッキークラブゴールドC(ダ10f)で2着。

・父は2008年オーストラリア産のExceed And Excel(その父・デインヒル)産駒でG1-コーフィールドギニーなど豪重賞4勝。今年の種付料は1.2万ドル。代表産駒は本馬の他にAnda Muchacho(伊重賞4勝)。

・母父はKingmambo(その父・Mr. Prospector)産駒でG1-クイーンアンSなど重賞2勝。BMSとして輩出した主な産駒にPostponed(G1-キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、G1-ドバイシーマクラシックなど重賞7勝)、Golden Horn(G1-凱旋門賞、G1-アイリッシュチャンピオンS、G1-英ダービーなど重賞5勝)。

Mind Your Biscuits(マインドユアビスケッツ)

父・Posse、母・Jazzmane、母父・Toccet
牡5、C.サマーズ調教師、T.Gaffalione騎手

・2014年のキーンランドジャニュアリーセールにて4.7万ドルで落札。

・23戦7勝(重賞5勝)。G1-ドバイゴールデンシャヒーン(ダ1200)を昨年、今年と連覇。重賞5勝の距離は6~7fで10fのレースを使われるのは今回が初。近2走は、6/9のG1-メトロポリタンH(ダ8f)で2着→8/4のG1-ホイットニーS(ダ9f)で2着。

来春より社台スタリオンステーションで種牡馬入りする予定。父は2000年米国産のSilver Deputy(その父・Deputy Minister)産駒で重賞3勝。本馬が代表産駒になる。2016年の種付料は5000ドル。母父はAwesome Again(その父・Deputy Minister)産駒で米2歳重賞のみを4勝。

Yoshida(ヨシダ)

父・ハーツクライ、母・ヒルダズパッション、母父・Canadian Frontier
牡4、W.モット調教師、J.オルティーズ騎手

・2015年のセレクトセールにて765,160ドルにて落札されたノーザンファームの生産馬

・11戦5勝(重賞3勝)。昨年10/7のG3-ヒルプリンスS(芝9f)、今年5/5のG1-ターフクラシックS(芝9f)と芝重賞を2勝していたが、初めてダートでのレースを使われた、前走9/1のG1-ウッドワードS(ダ9f)を中団から差す競馬で見事に勝利。

・母父はGone West(その父・Mr. Prospector)産駒で米重賞1勝(ダ6f)。BMSとして輩出した代表産駒が本馬になる。

 

※クラシック過去10年の勝ち馬一覧

2008年・Raven’s Pass
2009年・Zenyatta
2010年・Blame
2011年・Drosselmeyer
2012年・Fort Larned
2013年・Mucho Macho Man
2014年・Bayern
2015年・American Pharoah
2016年・Arrogate
2017年・Gun Runner

ディスタフ(ダート9f)・10R・現地時間11/3(土)16:16発走

英ブックメーカーWilliamHILLの単上位人気
Monomoy Girl:2.87倍
Abel Tasman:4.50倍
Midnight Bisou:5.00倍
Vale Dori:9.00倍
Wow Cat:11.00倍

Monomoy Girl(モノモイガール)

父・Tapizar、母・Drumette、母父・ヘニーヒューズ
牝3、B.コックス調教師、F.ジェルー騎手

・2016年のキーンランドセプテンバーセールにて10万ドルで落札された馬。

・10戦8勝。2歳時は4戦3勝。今年は2/17のG1-レイチェルアレキサンドラS(ダ8.5f)→4/7のG1-アッシュランドS(ダ8.5f)→5/4のG1-ケンタッキーオークス(ダ9f)→6/9のG1-エイコーンS(ダ1m)→7/22のG1-CCAオークス(ダ9f)と破竹の勢いで5連勝。2カ月ぶりの前走9/23のG1-コティリオンS(ダ8.5f)ではMidnight Bisouの2着と敗れているが、これは1着入線で2着に降着となったもの。戦績的にはここでは大本命馬となる。

・父は2008年米国産のTapit(その父・Pulpit)産駒でG1-BCダートマイルなど重賞3勝。昨年の種付料は1.5万ドル。これまでの産駒の中で同馬が最多賞金獲得馬になる。

・母父はヘネシー(その父・Storm Cat)産駒でG1-キングズビショップS、G1-ヴォスバーグSなど重賞4勝。BMSとして輩出したこれまでの最多賞金獲得馬が同馬になる。

Abel Tasman(アベルタスマン)

父・Quality Road、母・Vargas Girl、母父・Deputy Minister
牝4、B.バファート調教師、M.スミス騎手

・2歳時に2歳G1-スターレットS(ダ8.5f)、3歳時にG1-ケンタッキーオークス(ダ9f)、G1-エイコーンS(ダ8f)、G1-CCAオークス(ダ9f)を制覇し、エクリプス賞最優秀3歳牝馬に輝く。今年は半年ぶりのレースで4着と敗れた後は、6/9のG1-オグデンフィップスS(ダ8.5f)で1着→8/25のG1-パーソナルエンスンS(ダ9f)で1着→9/30のG1-ゼニヤッタS(ダ8.5f)で5着。前走で勝ち馬に10馬身以上離された5着に大敗している点がどうかだが、立て直しなるか。

・父は2006年米国産のElusive Quality(その父・Gone West)産駒で、G1-ドンH、G1-フロリダダービー、G1-メトロポリタンH、G1-ウッドワードSなど重賞7勝。今年の種付料は7万ドル。これまでの産駒の中で同馬が最多賞金獲得馬になる。他の主な産駒にCaledonia Road(2歳G1-BCジュヴェナイルフィリーズ)、ダートマイルに出走予定のCity Of Light(G1-トリプルベンドS、G1-マリブSなど重賞3勝)、ジュヴェナイルフィリーズに出走予定のBellafina(2歳G1-シャンデリアSなど重賞3勝)など。

・母父はVice Regent(その父・Northern Dancer)産駒。2歳G1-ヤングアメリカS、2歳G1-ローレルフュチュリティなど重賞4勝で、1981年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬。BMSとして輩出した代表産駒はCurlin(2007,2008年のエクリプス賞年度代表馬。2007年最優秀3歳牡馬。2008年最優秀古牡馬)。

Midnight Bisou(ミッドナイトビソウ)

父・Midnight Lute、母・Diva Delite、母父・Repent
牝3、S.アスムッセン調教師、J.ベラスケス騎手

・2017年のOBSスプリングセールにて8万ドルで落札された馬。

・10戦5勝、2着3回、3着2回。前走のG1-コティリオンS(ダ1 1/16m)でMonomoy Girl(モノモイガール)の2着入線から、1着へ繰り上がり。戦績が示すように4着以下になったことがない安定感が売り。サンタアニタオークス(G1)など勝ち鞍の5勝は全て重賞。Monomoy Girl(モノモイガール)にはケンタッキーオークスで3着、CCAオークスで2着と共に敗れている。

・父は2003年米国産のReal Quiet(その父・Quiet American)産駒で、G1-BCスプリント(2勝)、G1-フォアゴーSなど重賞4勝。これまでの産駒の中で同馬が最多賞金獲得馬になる。今年の種付料は1.5万ドル

・母父はLouis Quatorze(その父・Sovereign Dancer)産駒で米重賞4勝。BMSとして輩出したこれまでの最多賞金獲得馬が同馬になる。

 

※ディスタフ過去10年の勝ち馬一覧

2008年・Zenyatta
2009年・Life Is Sweet
2010年・Unrivaled Belle
2011年・Royal Delta
2012年・Royal Delta
2013年・Beholder
2014年・Untapable
2015年・Stopchargingmaria
2016年・Beholder
2017年・Forever Unbridled