12/19(水)に川崎競馬場にて行われる全日本2歳優駿(Jpn1)。今回は前回の【1】JRA所属馬編に続き、地方所属馬のプロフィールをご紹介する。出走投票は12/16(日)になるが、既に補欠馬繰り上がり期限は地方所属馬に関しても過ぎており、南関東勢5頭、北海道勢4頭の計9頭が出走見込みである。
ミューチャリー
父・パイロ、母・ゴッドビラブドミー、母父・ブライアンズタイム
牡2、矢野義幸(船橋)、騎手未定
生産牧場:芳住鉄兵
・3戦3勝。地方所属馬の中では主軸と目される馬で鎌倉記念のレース内容、時計から南関東ファンの間では早くから注目を集めてきた馬。鎌倉記念で1.3秒差の2着だったリンゾウチャネルが、兵庫ジュニアグランプリでデルマルーヴルと1秒差の5着だった点から、机上の計算ではJRA勢とも十分互角に戦えるとみられるが果たしてどうか。
※本馬については以下の過去記事(地方2歳注目馬リポート【3】ミューチャリー(鎌倉記念勝ち馬))をご参照下さい。
イグナシオドーロ
父・ヴィットリオドーロ、母・ベラトリックス、母父・スマートボーイ
牡2、角川秀樹(北海道)、阿部龍騎手
生産牧場:グランド牧場
・6戦2勝(実質3勝)。前走の交流重賞・北海道2歳優駿(Jpn3)では戦績上ではハナ差でウィンターフェルの2着に敗れたことになっているが、着順判定誤審があり、実際は本馬が勝っていたのは広く報道された通り。ウィンターフェルとは3走前にはクビ差、2走前には7馬身差で敗れていたが、前走では「勝利」。
・父は2009年米国産のMedaglia d’Oro(その父・El Prado)産駒。交流重賞8勝の母・プリエミネンスがアメリカで繁殖生活を送っていた際に現地で出産した持ち込み馬で、2010年のセレクトセールにて4200万円でダーレー・ジャパンに購買された馬。戦績は中央12戦4勝。今年の種付料は20万円。現2歳(血統登録頭数は8頭)がファーストクロップで、8頭全てが出走し(地方7頭、中央1頭)、5頭が勝ち上がり(全て地方)。
・母父はアサティス(その父・Topsider)産駒で平安S2勝、アンタレスS2勝、マーチS1勝の計ダート重賞5勝。父として本馬の母・ベラトリックスなど地方重賞勝ち馬を7頭輩出。BMSとして輩出した主な産駒に昨年のエーデルワイス賞(Jpn3)を勝ったストロングハート。
・母は地方で43戦8勝、笠松の地方重賞・クイーンC(ダ1600)の勝ち馬。本馬は3番仔。曽祖母のクイングランド(中央1戦0勝)は、母父のスマートボーイの曽祖母でもあり、クイングランドのM3×M5の牝馬クロスが発生している点が特徴的な血統構成となっている。クイングランドを牝祖とする他の活躍馬にタマモリッチ(サラブレッドチャレンジC)、コテキタイ(浦和桜花賞)、スマートジョーカー(川崎マイラーズ)。
※前走の北海道2歳優駿(Jpn3)のレース動画
ウィンターフェル
父・ダノンバラード、母・トピカ、母父・プリサイスエンド
牡2、林和弘(北海道)、森泰斗騎手
生産牧場:三石軽種馬共同育成センター
・7戦4勝(実質3勝)。前走の交流重賞・北海道2歳優駿(Jpn3)では実際は2着だったが1着扱い。前々走のサンライズカップ(門別ダ1800)ではマイコートのハナ差2着。3着のイグナシオドーロにはこのレースでは7馬身差をつけており、力関係は混沌としている印象。
・本馬については以下の過去記事をご参照下さい。
エムオータイショウ
父・スウェプトオーヴァーボード、母・エムオーミラクル、母父・タヤスツヨシ
牡2、角川秀樹(北海道)、桑村真明騎手
生産牧場:門別牧場
・5戦4勝。サッポロクラシックC(門別ダ1200)→イノセントC(門別ダ1200)と門別の重賞を連勝中。まだ1200mのレースしか使われておらず、今回の1600mは初距離となる。
・父は1997年米国産のエンドスウィープ(その父・フォーティナイナー)産駒でG1-メトロポリタンH(ダ8f)、G1-エインシェントタイトルH(ダ6f)など米重賞4勝(内、芝で1勝)。産駒はレッドファルクス(スプリンターズS2勝など)、リッジマン(ステイヤーズS)、エーシンブラン(兵庫チャンピオンシップ)と芝、ダート問わず、距離も問わずに活躍しているが、2017年11月に死亡。
・母父はサンデーサイレンス産駒で1995年の日本ダービー馬。父として輩出した主な産駒はマンオブパーサー(ダービーGP)、ナスダックパワー(ユニコーンS)、トップサバトン(北海道2歳優駿)、ディーエスサンダー(マーキュリーC)と全てダート重賞の勝ち馬。BMSとして輩出した主な産駒にG1-スプリンターズSの勝ち馬・スノードラゴン(父・アドマイヤコジーン)。
・母は中央32戦2勝(福島芝1200、中京芝1200)。本馬は4番仔。伯父のエムオーウイナーはシルクロードS(G3)の勝ち馬。祖母の半姉に1996年の高松宮杯(G1)、同年のスプリンターズS(G1)の両スプリントG1を制し、最優秀スプリンターに選出されたフラワーパーク。
※前走のイノセントC(門別ダ1200)のレース動画
カネトシテッキン
父・スマートボーイ、母・プリモファッション、母父・アグネスタキオン
牡2、佐々木仁(川崎)、騎手未定
生産牧場:中橋清
市場取引:2017年北海道サマーセールにて324万円で落札
・8戦1勝。3走前の鎌倉記念(川崎ダ1500)ではミューチャリーと3.3秒差の6着、前々走の平和賞(船橋ダ1600)ではヒカリオーソと3.0秒差の11着。直近の戦績から大勢逆転は厳しいとみるのが妥当か。
・父は1995年静内産のアサティス(その父・Topsider)産駒で平安S2勝、アンタレスS2勝、マーチS1勝の計ダート重賞5勝。2016年4月に亡くなるまでに141頭(血統登録頭数)の産駒を残し、7頭の地方重賞勝ち馬(モナクキララ、トウホクビジン、プリモエナジー、ナンテカ、ドラゴンウィスカー、ベラトリックス、スターローズ)を輩出。
・母父はサンデーサイレンス産駒で4戦4勝、皐月賞など重賞3勝。父としてディープスカイ、ダイワスカーレットなどを輩出。BMSとして輩出した主な産駒にノンコノユメ(フェブラリーS、ジャパンダートダービーなど重賞5勝)。
・母は6戦0勝。本馬は5番仔。
ハルディネロ
父・ダンカーク、母・リヴァリーガーデン、母父・サンデーサイレンス
牡2、荒山勝徳(大井)、騎手未定
生産牧場:追分ファーム
・3戦2勝。前走の平和賞(船橋ダ1600)ではヒカリオーソと1.5秒差の4着。
・父は2006年米国産のUnbridled’s Song(その父・Unbridled)産駒。母のSecret StatusがG1-マザーグースS、G1-ケンタッキーオークスの勝ち馬で、1歳時のキーンランドセプテンバーセールにて370万ドルで落札された馬。現役時に重賞勝ちはないが、G1-ベルモントS、G1-フロリダダービーでともに2着。今年の種付料は120万円。現2歳が日本供用後の初年度産駒になるが、2011年産まれのアメリカ産の初年度産駒の中から2歳G1馬・Havanaを輩出。
・サンデーサイレンスがBMSとして輩出した主なダート重賞勝ち馬は、サクセスブロッケン、ヴァーミリアン、ベルシャザール、アウォーディーなど。
・母は12戦0勝。本馬は9番仔。2番仔の半兄・ジャルディーノ(父・ワイルドラッシュ)は大井の地方重賞・金盃(ダ2600)の勝ち馬。従兄のマサノブルース、マキオボーラーはともに障害重賞の勝ち馬。祖母ポーラリヴァールは米G3-セニョリータS(芝8f)の勝ち馬。
ヒカリオーソ
父・フリオーソ、母・ヒカリヴィグラス、母父・サウスヴィグラス
牡2、岩本洋(川崎)、騎手未定
生産牧場:ヒカル牧場
・5戦2勝。前々走の鎌倉記念(川崎ダ1500)ではミューチャリーと2.3秒差の4着。前走の平和賞(船橋ダ1600)では14頭立ての6番人気だったが、見事に逃げ切り勝ち。地方重賞勝ち馬となったが、鎌倉記念でのミューチャリーとの2.3秒の着差は大きいものと見られるが果たしてどうか。
・父は2004年新冠産のブライアンズタイム(その父・Roberto)産駒。帝王賞2勝、川崎記念、かしわ記念、ジャパンダートダービー、全日本2歳優駿など交流重賞を9勝。2014年産まれの現4歳がファーストクロップで、これまでの3世代で既に地方重賞勝ち馬を9頭輩出中。地方においてはAEIが1.43→1.44→1.34(現時点)と堅調な数字を残している。
・母父はエンドスウィープ産駒でJBCスプリント(G1)などダート重賞8勝。父としての実績はご承知の通りだが、BMSとしての実績はこれから、といった段階。ただ、今年の5月にウォーターループが、11月に本馬が地方重賞を制覇し、これまでに2頭が地方重賞勝ち馬となっている。さらにラブミーチャン(全日本2歳優駿などダート重賞5勝)やハニーパイ(エーデルワイス賞)の2歳の産駒が地方重賞で入着を果たしており、サウスヴィグラス牝駒の活躍馬が母となり送り出す産駒が今後、活躍してきそうな雰囲気。
・母は30戦3勝(全て大井)。本馬は3番仔。祖母の半姉にライデンリーダー(報知杯4歳牝馬特別)。祖母の半兄・オグリリーダーは地方重賞・岐阜金賞の勝ち馬。祖母の半兄・ヒカリリトルは地方重賞・NTV盃(現在の日本テレビ盃)の勝ち馬。
マイコート
父・ロジユニヴァース、母・エリザベスサクラ、母父・アラムシャー
牡2、佐藤賢二(船橋)、騎手未定
生産牧場:鳥谷勝彦
・9戦3勝。ウィンターフェル、イグナシオドーロとは再三、顔を合わせているが、10/10の地方重賞・サンライズC(門別ダ1800)で7番人気ながらウィンターフェルをハナ差抑え、イグナシオドーロに0.4秒差をつけて勝利したのが目立つ戦績。前走の北海道2歳優駿(Jpn3)では2.6秒差の12着と大敗しており、その後、船橋へ転入。
・父は2006年早来産のネオユニヴァース産駒。2009年の日本ダービー(G1)など重賞4勝。現3歳(血統登録頭数は30頭)がファーストクロップで、セカンドクロップの現2歳(血統登録頭数は17頭)から、初の地方重賞勝ち馬として本馬が出ている。
・母父はKey of Luck(その父・Chief’s Crown)産駒でG1-キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、G1-愛ダービーなど重賞4勝。これまでに父として63頭の産駒が血統登録されているに過ぎず、BMSとしての実績は全く目立つものではなかったが、本馬が初の地方重賞勝ち馬となっている。
・母は中央3戦0勝。本馬は4番仔。母の叔父にフォーティナイナー(トラヴァーズS、ハスケル招待HなどG1を4勝、重賞7勝)。
マイティウォーリア
父・ロジユニヴァース、母・ミーナー、母父・エンドスウィープ
牡2、林和弘(北海道)、本田正重騎手
生産牧場:クリアファーム
市場取引:2017年北海道サマーセールにて324万円にて落札
・4戦1勝。7/31のブリーダーズゴールドC(門別ダ1700)でイグナシオドーロと2.1秒差の9着、11/7の平和賞(船橋ダ1600)でヒカリオーソと0.2秒差の3着。
・父についてはマイコートの欄をご参照下さい。
・母父はフォーティナイナー(その父・Mr. Prospector)産駒で米重賞1勝。母のBroom DanceはアラバマS(G1)など米重賞5勝。父としてアドマイヤムーン、スイープトウショウ、ラインクラフト、サウスヴィグラス、スウェプトオーヴァーボードなどを輩出。BMSとして輩出した主な産駒にトーセンスターダム(豪G1を2勝、中央重賞2勝)。
・母は豪14戦2勝。本馬は7番仔。