英1000ギニー、英オークス戦線リポート【1】現時点での勢力図について

今年の英1000ギニーは現地時間5/5、英オークスは現地時間5/31に行われるが、今後定期的に英牝馬クラシック戦線のアンティポスト(長期前売り単オッズ)の動向をお届けしていく。各馬の記録したRPR(レーシングポストレーティング)の最高値を併記したので、現時点での勢力図を俯瞰する物差しとしてご参照頂きたい。

※以下のオッズは英ブックメーカー・WilliamHILLのもの。
※RPRは英レーシングポスト社による独自レーティング。最も高い自己ベストのRPRをピックアップして表記している。

Newspaperofrecord:11.00倍(1000ギニー1番人気)

父・Lope De Vega、母・Sunday Times、母父・Holy Roman Emperor
調教師:Chad C. Brown
RPR:116

・3戦3勝の米国馬。8/19のサラトガでのデビュー戦(芝1m1/2f)で1着→9/30のベルモントパークでの米G2-ミスグリオS(芝1m1/2f)で1着→11/2のチャーチルダウンズでの米G1-BCジュヴェナイルフィリーズターフ(芝1m)で1着。3戦とも2着馬に6馬身以上の差をつけて圧勝しており、今春はアメリカから欧州クラシック戦線へ参戦予定の注目の存在。

・父のLope De Vegaは2007年愛国産のShamardal(その父・Giant’s Causeway)産駒で、2010年の仏ダービー、仏2000ギニーの勝ち馬。これまでの最多賞金獲得産駒は豪G1を2勝、重賞5勝のVega Magic種付料は2011年の1.5万ユーロから上昇を続け、今年は8万ユーロ

・RPRの自己ベスト116はBCジュヴェナイルフィリーズターフで記録したもの。過去に同レースを制した10頭が同レースでマークしたRPRを以下に示す。歴史の浅いレースではあるが、過去の全優勝馬を大きく上回るRPRをマークしていることが分かる。

※参考:BCジュヴェナイルフィリーズターフの勝ち馬が同レースで記録したRPR一覧

2008年:Maram(110)
2009年:Tapitsfly(112)
2010年:More Than Real(112)
2011年:Stephanie’s Kitten(111)
2012年:Flotilla(110)
2013年:Chriselliam(114)
2014年:Lady Eli(113)
2015年:Catch a Glimpse(112)
2016年:New Money Honey(110)
2017年:Rushing Fall(110)
2018年:Newspaperofrecord(116)

Skitter Scatter:11.00倍(1000ギニー1番人気)

父・Scat Daddy、母・Dane Street、母父・Street Cry
調教師:P J Prendergast
RPR:112

・7戦4勝。3/28のデビュー戦(5f)で3着→4/11の2戦目(5f)で1着(短頭差)→5/20の3戦目(Listed・6f)で3着→7/1の愛G3-グランジコンスタッドS(6f)でSo Perfectの2着(Scat Daddy産駒で1,2着独占)→7/26の愛G3-シルバーフラッシュS(7f)で1着(1馬身1/2身差)→8/26の愛G2-デビュータントS(7f)で1着(2馬身1/4身差)→9/16の愛G1-モイグレアスタッドS(7f)で1着(2馬身差)。

・2015年12月に急死したScat Daddyのラストクロップになり、2016年のLady Aureliaに続き、Scat Daddy産駒2頭目のカルティエ賞最優秀2歳牝馬に昨年選出されている。昨年はJustifyが米3冠達成の歴史的偉業を果たし、一昨年はロイヤルアスコット開催でCaravaggio(コモンウェルスC)とLady Aurelia(キングズスタンドS)が揃ってG1を勝つなど、センセーショナルな活躍を継続的に示してきたScat Daddy産駒だが、ラストクロップとなる本馬も同様のインパクトを示せるかどうか注目である。

Just Wonderful:11.00倍(1000ギニー1番人気)、17.00倍(オークス1番人気)

父・Dansili、母・Wading、母父・Montjeu
調教師:A P O’Brien
RPR:110

・7戦3勝。5/26のデビュー戦(6f)で1着(クビ差)。その後、14着→3着と連敗し、9/1の愛G3-フレイムオブタラアイリッシュEBFS(1m)で1着(1馬身1/2身差)→9/16の愛G1-モイグレアスタッドS(7f)で7着→9/28の英G2-ロックフェルS(7f)で1着(1馬身3/4身差)→11/2の米G1-BCジュヴェナイルフィリーズターフ(1m)でNewspaperofrecordの4着(勝ち馬と7馬身3/4身差)。

・父のDansiliは1996年英国産のデインヒル(その父・Danzig)産駒で仏重賞3勝。昨年4月に生殖能力低下のため種牡馬は引退している。産駒が記録したRPRを高い順に、記録したレース名と共に列記すると、ハービンジャー(135・キングジョージ)、Rail Link(128・凱旋門賞)、The Fugue(125・プリンスオブウェールズS)、Flintshire(124・凱旋門賞2着)となる。

曽祖母がUrban Sea。祖母の半兄にGalileo、祖母の半弟にSea The Starsがいる名門牝系出身。母は英G2-ロックフェルSの勝ち馬で母娘制覇を達成したことになる。叔母のBraceletは愛G1-アイリッシュオークスなど重賞3勝。叔母のAthenaは昨年の米G1-ベルモントオークス招待Sの勝ち馬。

Fairyland:13.00倍(1000ギニー4番人気)

父・Kodiac、母・Queenofthefairies、母父・Pivotal
調教師:A P O’Brien
RPR:112

・5戦4勝。5/7のデビュー戦(6f)で1着(1馬身3/4身差)→5/26の2戦目(Listed・6f)で1着(2馬身1/4身差)→6/22の英G3-アルバニーS(6f)で3着→8/23の英G2-ロウザーS(6f)で1着(ハナ差)→9/29の英G1-チェヴァリーパークS(6f)で1着(クビ差)。

・Kodiac産駒は英2000ギニーのアンティポストでもJashが17.00倍の8番人気に押されており、牡牝ともに有力馬を送り込んでいる現況。

・半姉のNow or Laterは愛G3、豪G2の勝ち馬。叔父のDream Aheadは2011年のカルティエ賞最優秀スプリンターで、G1-スプリントC、ジュライC、フォレ賞、モルニ賞、ミドルパークSの勝ち馬。祖母Land of Dreams、曽祖母Sahara Starはともに英重賞勝ち馬

Iridessa:15.00倍(1000ギニー5番人気)、17.00倍(オークス1番人気)

父・Ruler Of The World、母・Senta’s Dream、母父・Danehill
調教師:Joseph Patrick O’Brien
RPR:114

・4戦2勝。7/17のデビュー戦(1m)で1着(4馬身差)→8/26の愛G2-デビュータントS(7f)で5着→9/15のListedレース(7f)で3着→10/12の英G1-フィリーズマイル(1m)で1着(1馬身1/2身差)。

・父のRuler Of The Worldは2010年愛国産のGalileo(その父・Sadler’s Wells)産駒で、G1-英ダービーなど重賞3勝。現3歳がファーストクロップでTDNによる昨年の欧州ファーストクロップサイアーランキング10位。種付料は2015年の1.5万ユーロから、下がり続けており、今年は8000ユーロ。初年度産駒からG1馬が出たことで巻き返しなるかどうか。

So Perfect:17.00倍(1000ギニー6番人気)

父・Scat Daddy、母・Hopeoverexperience、母父・Songandaprayer
調教師:A P O’Brien
RPR:110

・7戦2勝。4/22のデビュー戦(5f)で1着(短頭差)→5/20の2戦目(Listed・6f)で4着→6/20の英G2-クイーンメアリーS(5f)で4着→7/1の愛G3-グランジコンスタッドS(6f)で1着(半馬身差)→8/12の牡牝混合の愛G1-フェニックスS(6f)で2着→9/29の英G1-チェヴァリーパークS(6f)で同厩Fairylandの3着→11/2の米G1-BCジュヴェナイルターフスプリント(5.5f)で3着。

・Skitter Scatterに続き2頭目のScat Daddy牝駒がランクイン。

East:17.00倍(1000ギニー6番人気)

父・Frankel、母・Vital Statistics、母父・Indian Ridge
調教師:Kevin Ryan
RPR:110

・3戦2勝。9/24のデビュー戦(6f)で1着(半馬身差)→10/5の仏G3-トーマブリョン賞(7f)で1着(2馬身1/2身差)→11/2の米G1-BCジュヴェナイルフィリーズターフ(1m)でNewspaperofrecordの2着(6馬身3/4身差)。

Frankel産駒は現3歳が3世代目。初年度産駒からCracksmanを輩出したが、続く大物の出現が待たれる現況。重賞を勝った産駒が記録したRPRを高い順に、記録したレース名と共に列記すると、Cracksman(131・英チャンピオンS)、モズアスコット(121・安田記念)、Without Parole(120・セントジェイムズパレスS)となる。種付料は2013年の12.5万ポンドからずっと同額だったが、昨年17.5万ポンドにアップし、今年も同額となっている

・4代母のPass the Peaceは英2歳G1-チェヴァリーパークSなど重賞3勝。この馬を牝祖とする主な活躍馬にAtlantic Jewel(コーフィールドCなど豪重賞7勝)、Embassy(チェヴァリーパークSなど重賞2勝)、King’s Apostle(モーリスドゲスト賞など重賞2勝)。

Goddess:21.00倍(1000ギニー8番人気)、26.00倍(オークス4番人気)

父・Camelot、母・Cherry Hinton、母父・Green Desert
調教師:A P O’Brien
RPR:98

・3戦1勝。6/29のデビュー戦(7f)で9着→7/12の2戦目(7f)で初勝利(10馬身差)→7/26の愛G3-シルバーフラッシュS(7f)で6頭立ての6着。

・父は2009年英国産のMontjeu(その父・Sadler’s Wells)産駒で、英愛ダービー、英2000ギニーなど重賞5勝。2012年のカルティエ賞最優秀3歳牡馬。現3歳が2世代目になり、これまでにLatrobe(愛ダービー)、Athena(ベルモント招待S)、Wonderment(クリテリウムドサンクルー)の3頭のG1馬を輩出。種付料は2014年の2.5万ユーロから漸増し、今年は4万ユーロとなっている。

母は凱旋門賞馬・Urban Seaの8番仔。G1-英オークス5着などの戦績を残すも重賞は未勝利に終わるが、優秀な産駒成績を誇り、Wading(英G2勝ち馬)、Bracelet(愛オークスなど重賞3勝)、Athena(米G1勝ち馬)を輩出。

Hermosa:21.00倍(1000ギニー8番人気)、21.00倍(オークス3番人気)

父・Galileo、母・Beauty Is Truth、母父・Pivotal
調教師:A P O’Brien
RPR:111

・7戦2勝。7/31のデビュー2戦目(7f)で初勝利(1馬身差)。その後、6着→3着と7fのレースで連敗し、9/30の愛G3-C.L.&M.F.ウェルドパークS(7f)で1着(2馬身1/2身差)→10/12の英G1-フィリーズマイル(1m)で2着→10/28の仏G1-クリテリウムアンテルナショナル(7f)で2着。

母は仏重賞2勝祖母も仏重賞勝ち馬。半姉のFire Lilyは愛重賞3勝、全兄のThe United Statesは豪G1馬、全姉のHydrangeaは英愛の牝馬限定G1を2勝。4代母Mill Princessを牝祖とするG1馬にラストタイクーン(BCマイルなど)、Valentine Waltz(仏1000ギニー)、Sense of Style(メイトロンSなど)、Tie Black(仏1000ギニー)、Immortal Verse(ジャックルマロワ賞など)。

Pretty Pollyanna:21.00倍(1000ギニー8番人気)

父・Oasis Dream、母・Unex Mona Lisa、母父・Shamardal
調教師:Michael Bell
RPR:115

・6戦3勝。6/14のデビュー戦(6f)で1着(半馬身差)→6/22の英G3-アルバニーS(6f)で5着→7/13の英G2-ダッチェスオブケンブリッジS(6f)で1着(7馬身差)→8/19の仏G1-モルニ賞(6f)で1着(3/4身差)→9/29の英G1-チェヴァリーパークS(6f)でFairylandの4着→10/12の英G1-フィリーズマイル(1m)でIridessaの3着。

・父のOasis Dreamは2000年英国産のGreen Desert(その父・Danzig)産駒で2003年にジュライC、ナンソープSを制し、同年のカルティエ賞最優秀スプリンターに輝く。今年の種付料は3万ポンド。重賞を勝った産駒が記録したRPRを高い順に、記録したレース名と共に列記すると、Muhaarar(127・ブリティッシュチャンピオンスプリントS)、Aqlaam(125・ムーランドロンシャン賞)、Midday(124・ナッソーS)となる。

祖母の半姉に女傑・User Friendly(英愛オークス、ヨークシャーオークス、英セントレジャー、サンクルー大賞の勝ち馬で、1992年カルティエ賞年度代表馬、最優秀3歳牝馬)。