ケンタッキーダービー・ミニ展望

現地時間5/4(日本時間5/5朝)に米チャーチルダウンズ競馬場にて行われる今年のケンタッキーダービー。本命馬・Omaha Beachの直前での戦線離脱があり、風雲急を告げる展開となっている。グリーンチャンネルで衛星生中継(無料)されるビッグイベントのミニ展望をお届けする。

※グリーンチャンネルでの無料生中継は5/5(日)の朝7:00~8:30。
※馬名の左の数字はゲート番号。
※併記したオッズは英ブックメーカー・WilliamHILLの最新の単オッズ。

Kentucky Derby(G1・10f)

16・Game Winner:5.00倍

父・Candy Ride、母・Indyan Giving、母父・A. P. Indy
調教師:Bob Baffert、騎手:Joel Rosario

・6戦4勝、2着2回。2歳時は4戦4勝でBCジュヴェナイル(G1・8.5f)を勝ち、エクリプス賞最優秀2歳牡馬となったが、今年は前々走3/16のレベルS(G2・8.5f)では勝ったOmaha Beachとハナ差の2着、前走4/7のサンタアニタダービー(G1・9f)では勝ったRoadsterと半馬身差の2着、と連敗中。Omaha Beachの直前での離脱で戴冠の絶好のチャンスが巡ってきた形。

・父のCandy Rideは現20歳(1999年産まれ)。代表産駒のGun Runnerは2016年のケンタッキーダービーではNyquistの3着。今年はGame Winner、Vekomaの産駒2頭を送り込み、初のケンタッキーダービー制覇を狙う。

・母のIndyan Givingは未出走。祖母のFleet Indianは米G1-ベルデイムS、米G1-パーソナルエンスンSなど重賞5勝、2006年のエクリプス賞最優秀古牝馬。Fleet Indianは4頭の仔を残しただけで2011年に亡くなっているが、Game WinnerはFleet Indianの2番仔・Indyan Givingから輩出されている。

5・Improbable:5.50倍

父・City Zip、母・Rare Event、母父・A. P. Indy
調教師:Bob Baffert、騎手:Irad Ortiz, Jr.

・5戦3勝、2着2回。2歳時は3戦3勝でロスアラミトスキャッシュコールフューチュリティ(G1・8.5f)を5馬身差で制し、早くから同厩のGame Winnerと共にダービー馬候補と目されてきた馬。今年は前々走3/16のレベルS(G2・8.5f)では勝ったLong Range Toddyとクビ差の2着、前走4/14のアーカンソーダービー(G1・9f)では勝ったOmaha Beachと1馬身差の2着、と連敗中。

・父のCity Zipは2017年7月に19歳で既に亡くなっている。自身、Ghostzapper(2004年のエクリプス賞年度代表馬)の半兄にあたり、Collected(パシフィッククラシックSなど)、Dayatthespa(BCフィリー&メアターフなど)、Catch A Glimpse(BCジュヴェナイルフィリーズターフなど)などを輩出。

・母のRare Eventは14戦4勝。重賞に3度出走し、10着、9着、11着。祖母の半兄に米G1-キングズビショップSなど重賞4勝のハードスパン

17・Roadster:6.00倍

父・Quality Road、母・Ghost Dancing、母父・Silver Ghost
調教師:Bob Baffert、騎手:Florent Geroux

・4戦3勝。デビュー2戦目のデルマーフューチュリティ(G1・7f)では勝ったGame Winnerに2馬身差の3着と敗れていたが、前走4/7のサンタアニタダービー(G1・9f)で同厩のGame Winnerを半馬身差で抑えて1着。

・父のQuality Roadは現13歳(2006年産まれ)。2012年産まれのファーストクロップから現3歳まで、5世代を輩出し、本馬を含めて10頭のG1馬を既に輩出中。本馬と共に前日のケンタッキーオークスでも産駒のBellafinaが最有力候補となっており、オークスとダービーをQuality Road産駒が制覇しかねない状況。

・母のGhost Dancingは9戦5勝。重賞出走歴はないがBlack Typeレース(Oakley Stakes)を1つ勝っている馬。半兄のAscendは米G1-マンハッタンSの勝ち馬。曽祖母のDance Teacherは米G1-レディースHなど重賞2勝。

8・Tacitus:9.00倍

父・Tapit、母・Close Hatches、母父・First Defence
調教師:William I. Mott、騎手:Jose L. Ortiz

・4戦3勝。2歳時は4→1着。休み明けだった前々走3/9のタンパベイダービー(G2・8.5f)→前走4/6のウッドメモリアルS(G2・9f)と重賞連勝中。父が大種牡馬、母がチャンピオン牝馬という良血馬で、ジュドモントファームの自家生産馬。鞍上のJose L. Ortizは前走、Improbableの手綱も取っていたが、今回はこちらを選んでいる。

・父のTapitは現18歳(2001年産まれ)。2006年産まれのファーストクロップから現3歳まで、11世代を輩出し、25頭のG1馬を輩出中。2014~2016年の北米リーディングサイアーだが、近年はやや勢いを欠いており、一時は30万ドルを誇った種付料も今年からは22万5000ドルに減額となっている。

母のClose Hatchesは米G1-パーソナルエンスンS、オグデンフィップスS、アップルブラッサムH、コティリオンS、マザーグースSなど重賞7勝の活躍馬で、2014年のエクリプス賞最優秀古牝馬。TacitusはClose Hatchesの初仔になる。

7・Maximum Security:10.00倍

父・New Year’s Day、母・Lil Indy、母父・Anasheed
調教師:Jason Servis、騎手:Luis Saez

・4戦4勝。初の重賞出走となった前走3/30のフロリダダービー(G1・9f)を2着馬に3馬身半の差をつけて快勝。

・父のNew Year’s Dayは現8歳(2011年産まれ)。2013年のBCジュヴェナイルを制したが、同年12月に引退。これまでに目立つ産駒は出ていなかったが、セカンドクロップからG1馬を輩出することとなっている。

・母のLil Indyは19戦2勝。伯父のFlat Outは米G1-シガーマイルH、ジョッキークラブゴールドカップ(2勝)など重賞6勝。

13・Code of Honor:13.00倍

父・Noble Mission、母・Reunited、母父・Dixie Union
調教師:Claude McGaughey III、騎手:John R. Velazquez

・5戦2勝。前々走3/2のファウンテンオブユースS(G2・8.5f)で1着→前走3/30のフロリダダービー(G1・9f)では勝ったMaximum Securityから6馬身3/4差の3着。

・父のNoble Missionは現10歳(2009年産まれ)。Frankelの1つ下の全弟で、2014年のカルティエ賞最優秀古馬。引退後は兄との競合を避けるためにアメリカにて種牡馬入り。現3歳がファーストクロップで本馬がこれまでの唯一の重賞勝ち馬。

母のReunitedは米G3-サラブレッドクラブオブアメリカSの勝ち馬。従姉にライブコンサート(京都金杯)。

6・Vekoma:13.00倍

父・Candy Ride、母・Mona De Momma、母父・Speightstown
調教師:George Weaver、騎手:Javier Castellano

・4戦3勝。前々走3/2のファウンテンオブユースS(G2・8.5f)では勝ったCode of Honorから2馬身3/4差の3着→前走4/6のブルーグラスS(G2・9f)では2着馬に3馬身半差をつけて勝利。

母のMona De Mommaは米G1-ヒューマナディスタフSなど重賞2勝。4代母のLiangaは英G1-ジュライカップ、仏G1-アベイドロンシャン賞、ジャックルマロワ賞、ロベールパパン賞など重賞6勝。この馬を牝祖とするG1馬に2007年のケンタッキーダービー馬・ストリートセンス、Paradise Woods(サンタアニタオークスなど)、Danehill Dancer(ナショナルSなど)がいる。

3・By My Standards:17.00倍

父・Goldencents、母・A Jealous Woman、母父・Muqtarib
調教師:W Bret Calhoun、騎手:Gabriel Saez

・5戦2勝。前走3/23のルイジアナダービー(G2・1m1f)で勝利。これまでに記録したエクイベーススピード指数の最高値は前走の96だが、近20年でこの数字でケンタッキーダービーを制した馬は皆無(これまでの最低値は2009年のMine That Birdの97)。

・父のGoldencentsは現9歳(2010年産まれ)。BCダートマイル(2勝)、サンタアニタダービーなど重賞6勝。現3歳がファーストクロップ。

・母のA Jealous Womanは25戦8勝。重賞に4度出走し、2着(G2・ゴルディコバS・芝1m)、7着、5着、8着。

1・War Of Will:17.00倍

父・War Front、母・Visions Of Clarity、母父・Sadler’s Wells
調教師:Mark Casse、騎手:Tyler Gaffalione

・8戦3勝。1/19のルコントS(G3・8.5f)→2/16のリズンスターS(G2・8.5f)と重賞連勝だったが、前走3/23のルイジアナダービー(G2・1m1f)では勝ったBy My Standardsから12馬身差の9着と大敗。

・父のWar Frontは現17歳(2002年産まれ)。2008年産まれのファーストクロップから現3歳まで、9世代を輩出し、20頭のG1馬を既に輩出中。芝に偏っていた産駒実績がOmaha Beach(出走取消)とこの馬の出現で大きく変わる局面を迎えている。

・母はフランスで走り8戦2勝。半兄のPathforkは愛2歳G1-ナショナルSなど重賞2勝。伯父のスピニングワールドはBCマイル、ムーランドロンシャン賞、ジャックルマロワ賞(2勝)、アイリッシュ2000ギニーなど重賞7勝。

出走取消となったOmaha Beachについて

最有力馬と目されていたWar Front産駒・Omaha Beachだが、Richard E Mandella師の現地メディアでのコメントによると、「5/1(水)朝の調教後に咳を2,3度している症状がみられ」「診断してみたところ、喉頭蓋の異常(entrapped epiglottis)が判明した」とのこと。「3週間は調教出来ない」とも語っており、これでケンタッキーダービーはおろか、2冠目のプリークネスS(5/18)への出走も事実上、不可能となっている。3冠目のベルモントS(6/8)にはギリギリ間に合う計算になるが、どうなるか。

参考記事

今年1/17以降、折に触れアップしてきたケンタッキーダービー戦線リポートの一覧は以下の通り。紆余曲折を経て、いよいよ本番を迎える前にこれまでの流れに興味がおありの向きはご一読願いたい。

http://umahei.com/post-7417
http://umahei.com/post-7398
http://umahei.com/post-7330
http://umahei.com/post-7310
http://umahei.com/post-7273
http://umahei.com/post-7222
http://umahei.com/post-7149
http://umahei.com/post-7126
http://umahei.com/post-7092
http://umahei.com/post-7035
http://umahei.com/post-6924
http://umahei.com/post-6860
http://umahei.com/post-6746
http://umahei.com/post-6543