英ヨーク競馬場にて行われていたイボアフェスティバル3日目の重賞レース3鞍(ナンソープS、ジムクラックS、ロンズデールC)と同日に愛カラ競馬場にて行われた2歳重賞2鞍のレース結果と直線動画をお届けする。合わせてRoaring Lionが亡くなったニュースが入っており、最後に触れる。
Coolmore Nunthorpe Stakes(G1・5f・2歳以上)
・1922年創設。ナンソープはヨークの地名。2歳馬も出走出来るレースで近年では1992年にLyric Fantasy(デビュー5連勝で勝利)が、2007年にKingsgate Native(デビュー3戦目、未勝利馬の身で勝利)が2歳馬として勝利している。
1着:Battaash
せん5、父・Dark Angel、母・Anna Law、母父・Lawman
調教師:Charles Hills、騎手:Jim Crowley
・好位で運んだBattaashが持ったままで残り1f手前で既に先頭に立つと、あとは後続をラクに完封し圧勝。勝ち時計の55.90は1990年のナンソープSでDayjurがマークした56.16を上回るトラックレコード。1番人気のTen Sovereignsはいいところなく6着。
・今回の勝利で通算19戦10勝、G1は2勝目、重賞は8勝目。前々走ロイヤルアスコットのG1-キングズスタンドS(5f)では勝ったBlue Pointと1馬身1/4差の2着、前走グッドウッドのG2-キングジョージS(5f)で1着とし、ここへ臨んでいた。ナンソープSは一昨年、昨年ともに4着で、3度目の挑戦で初制覇。今後も5f路線を歩む存在だろうが、9/15に愛カラ競馬場で行われるG1-フライングファイブS(5f)にエントリー済み。その後は一昨年に制している、仏G1-アベイドロンシャン賞(5f)へ、ということになろうか。
1着:[2019/08/23]ナンソープS(英G1・5f・ヨーク)
1着:[2019/08/02]キングジョージS(英G2・5f・グッドウッド)
1着:[2019/05/25]テンプルS(英G2・5f・ヘイドック)
1着:[2018/08/03]キングジョージS(英G2・5f・グッドウッド)
1着:[2018/05/26]テンプルS(英G2・5f・ヘイドック)
1着:[2017/10/01]アベイドロンシャン賞(仏G1・5f・シャンティイ)
1着:[2017/08/04]キングジョージS(英G2・5f・グッドウッド)
1着:[2017/07/08]スプリントS(英G3・5f10yds・サンダウン)
・父のDark Angelは2005年愛国産のAcclamation産駒。現役時は2歳時にのみ稼働し9戦4勝、英G1-ミドルパークS(6f)、英G2-ミルリーフS(6f8yds)に勝利。本馬の他にHarry Angel(スプリントC、ジュライC)、Lethal Force(ジュライC、ダイヤモンドジュビリーS)、Mecca’s Angel(ナンソープS2勝)などのスプリンターを輩出中。
2着:Soldier’s Call(3馬身3/4差)
牡3、父・Showcasing、母・Dijarvo、母父・Iceman
調教師:Archie Watson、騎手:Daniel Tudhope
・6/18のロイヤルアスコットの英G1-キングズスタンドS(5f)ではBlue Point、Battaashに次ぐ3着、昨年10/7の仏G1-アベイドロンシャン賞(5f)でも4着だったBattaashに先着する3着だった実績馬。今回は前走カラでの愛G2-サファイアS(5f)で1番人気だったが4着に敗れていたことで人気を大きく落としていた。
3着:So Perfect(勝ち馬との着差:4馬身3/4差)
牝3、父・Scat Daddy、母・Hopeoverexperience、母父・Songandaprayer
調教師:A P O’Brien、騎手:Wayne Lordan
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/107/york/2019-08-23/732957
Al Basti Equiworld Dubai Gimcrack Stakes(G2・6f・2歳牡馬、せん馬)
・1846年創設。Gimcrackは18世紀に活躍した馬で36戦27勝(異説あり)。過去の主な勝ち馬にBlue Point(2016年)、Muhaarar(2014年)、ロックオブジブラルタル(2001年)、Royal Applause(1995年)など。
1着:Threat
牡2、父・Footstepsinthesand、母・Flare Of Firelight、母父・Birdstone
調教師:Richard Hannon、騎手:Oisin Murphy
・中団待機のThreatが勝負どころで馬群を割って鋭伸。あっさり先頭に立つと後続をきっちり抑えて1着。
・今回の勝利で通算4戦2勝、2着2回。5/5のニューマーケットでのデビュー戦(5f)を勝った後は重賞で2着が2回続いていたが、今回初の重賞制覇。
1着:[2019/08/23]ジムクラックS(英G2・6f・ヨーク)
・Footstepsinthesand産駒は昨日、Mums Tippleが2着に11馬身差をつけるセンセーショナルな勝ち方で一気にクラシック候補に名乗りを上げており、現地中継でも何度も本馬とMums Tippleとの比較についてコメントが出ていたが、ITVレーシングの解説者は「Mums Tippleが上」と言及している。
・祖母のShivaは愛G1-タタソールズゴールドカップなど重賞3勝。曽祖母のランジェリーを牝祖とする主な活躍馬にMain Sequence(BCターフ、ジョーハーシュターフクラシック招待S、ソードダンサー招待S、ユナイテッドネイションズS)、Cloth of Stars(ガネー賞)、Light Shift(英オークス)、Ulysses(インターナショナルS、エクリプスS)のG1馬がいる。
2着:Lord Of The Lodge
牡2、父・Dandy Man、母・Archetypal、母父・Cape Cross
調教師:K R Burke、騎手:Ben Curtis
3着:Repartee
牡2、父・Invincible Spirit、母・Pleasantry、母父・ヨハネスブルグ
調教師:Kevin Ryan、騎手:Andrea Atzeni
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/107/york/2019-08-23/734037
Weatherbys Hamilton Lonsdale Cup Stakes(G2・2m56yds・3歳以上)
・British Champions SeriesのLong Distance部門の4戦目(ヨークシャーカップ→ゴールドカップ→グッドウッドカップ→本レース)。以前はロンズデールSとして行われていたが、2004年に現在の名称となりG2へ昇格。
1着:Stradivarius
牡5、父・Sea The Stars、母・Private Life、母父・Bering
調教師:John Gosden、騎手:Frankie Dettori
・Dee Ex Beeがハナを切り、Stradivariusは3番手を追走。道中、何度もDee Ex Beeの鞍上・Silvestre De Sousaが後ろのStradivariusとの距離を確認しながら運んでいたが、そのままの隊形で直線へ。残り1fの辺りでStradivariusが大外に持ち出されると、手応えの差は歴然。あっさりとStradivariusが先頭に立ち、差し切り勝ち。
・今回の勝利で通算18戦13勝、重賞11勝目。レース後、オーナーのB E Nielsen氏は感極まりインタビュー中に言葉が出なくなってしまう事態に。これだけ勝ちまくる中でもオーナーを感動のあまり絶句させてしまう圧倒的な存在で、Frankie Dettoriは「He’s a good horse, I’m just a passenger!」と語り賞賛している。
1着:[2019/08/23]ロンズデールカップ(英G2・2m56yds・ヨーク)
1着:[2019/07/23]グッドウッドカップ(英G1・2m・グッドウッド)
1着:[2019/06/20]ゴールドカップ(英G1・2m3f210yds・アスコット)
1着:[2019/05/17]ヨークシャーカップ(英G2・1m5f188yds・ヨーク)
1着:[2018/10/20]ブリティッシュチャンピオンズロングディスタンスカップ(英G2・1m7f209yds・アスコット)
1着:[2018/08/24]ロンズデールカップ(英G2・2m56yds・ヨーク)
1着:[2018/08/01]グッドウッドカップ(英G1・2m・グッドウッド)
1着:[2018/06/21]ゴールドカップ(英G1・2m3f210yds・アスコット)
1着:[2018/05/18]ヨークシャーカップ(英G2・1m5f188yds・ヨーク)
1着:[2017/08/01]グッドウッドカップ(英G1・2m・グッドウッド)
1着:[2017/06/23]クイーンズヴェース(英G2・1m5f211yds・アスコット)
・これで「WHステイヤーズミリオン」のボーナス獲得の条件を満たし、2年連続で100万ポンド(約1億2962万円)のボーナスを獲得。尚、ロンズデールCが1980年に創設されて以来、ゴールドC、グッドウッドC、ロンズデールCの3つを全て制した馬は本馬だけである。
※「WHステイヤーズミリオン」はステイヤーを生産、所有、管理することへの新たなインセンティブとして2018年にBHA(英国競馬統括機構)の肝いりで創設。5月に行われる4競走(サガロS、オーモンドS、ヨークシャーC、ヘンリー2世S)のうちの1つと、ロイヤルアスコットでのゴールドC、グロリアスグッドウッド開催でのグッドウッドC、イボアフェスティバルでのロンズデールCの4つを勝つ事が100万ポンドのボーナス獲得の条件。
・父のSea The Starsは2006年愛国産のCape Cross産駒。現役時はJohn M Oxx師に管理され、9戦8勝、凱旋門賞、アイリッシュチャンピオンS、インターナショナルS、エクリプスS、英ダービー、英2000ギニーの6つのG1を含む重賞7勝。
・母のPrivate Lifeはウィルデンシュタイン家の持ち馬で、8戦2勝(1m、1m3f)。半兄のPersian Stormは独重賞2勝。曽祖母のPawneeseはキングジョージ6世&クイーンエリザベスS、英オークス、ディアヌ賞(仏オークス)など重賞5勝。
2着:Dee Ex Bee(1馬身1/4差)
牡4、父・Farhh、母・Dubai Sunrise、母父・Seeking The Gold
調教師:Mark Johnston、騎手:Silvestre De Sousa
3着:Il Paradiso(ハナ差)
牡3、父・Galileo、母・Famous、母父・Danehill Dancer
調教師:A P O’Brien、騎手:Wayne Lordan
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/107/york/2019-08-23/735949
Debutante Stakes(G2・7f・2歳牝馬・愛カラ競馬場)
・過去にA P O’Brien師が12勝。近年の主な勝ち馬にMagical(2017年)、Rhododendron(2016年)、Tapestry(2013年)、Maybe(2011年)、Lillie Langtry(2009年)、Again(2008年)など。
1着:Alpine Star
牝2、父・Sea The Moon、母・Alpha Lupi、母父・Rahy
調教師:Mrs John Harrington、騎手:Shane Foley
・ゴール前は激しい競り合いになったが、内のAlpine Starが外のPetite Mustiqueを短頭差抑えて1着。人気を集めていたLoveは直線失速し5着。
・今回の勝利で通算3戦2勝。6/11のデビュー戦(7f)では勝ったLoveから1馬身3/4差の3着だったが、8/2の2戦目(7f)では2着に3馬身1/4差で快勝し、ここへ臨んでいた。Alpha Centauriの半妹という良血馬で今後が楽しみなニアルコスファミリーの自家生産馬。
1着:[2019/08/23]デビュータントS(愛G2・7f・カラ)
・父のSea The Moonは2011年ドイツ産のSea The Stars産駒。現役時は5戦4勝、G1-ドイチェスダービー(11馬身差で圧勝)、G2-ウニオン・レネン、G3-春季3歳賞の重賞3勝。現2歳はセカンドクロップで、ファーストクロップからは3頭の重賞勝ち馬が出ている。
・曽祖母がMiesqueになる名門牝系の出身。半姉のAlpha Centauriは昨年、ジャックルマロワ賞、ファルマスS、コロネーションS、アイリッシュ1000ギニーの4つのG1を制覇。祖母のEast of the Moonはジャックルマロワ賞、ディアヌ賞(仏オークス)、プールデッセデプーリッシュ(仏1000ギニー)の勝ち馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/178/curragh/2019-08-23/736301
Galileo Irish EBF Futurity Stakes(G2・7f・2歳・愛カラ競馬場)
・昨年の勝ち馬は今年の英ダービー馬・Anthony Van Dyck。過去にここを勝って翌年のクラシックを制した馬にChurchill(2016年)、Gleneagles(2014年)、Cape Blanco(2009年)、New Approach(2007年)など。
1着:Armory
牡2、父・Galileo、母・After、母父・Danehill Dancer
調教師:A P O’Brien、騎手:Ryan Moore
・前に馬を置く競馬をしたArmoryが勝負どころで好位から力強く割って伸びてきて1着。
・今回の勝利で通算4戦3勝、重賞2勝目。6/13のデビュー戦(7f)で3着→6/27の2戦目(7f)で1着とし、前走タイロスSを2着に5馬身差をつけて圧勝し、ここへ臨んでいた。タイロスS→フューチュリティSを連勝するのは今年の英ダービー馬・Anthony Van Dyckが歩んだローテーション。
1着:[2019/08/23]フューチュリティS(愛G2・7f・カラ)
1着:[2019/07/25]タイロスS(愛G3・7f・レパーズタウン)
・父のGalileoは1998年愛国産のSadler’s Wells産駒。現役時は8戦6勝、英ダービー、愛ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSの3つのG1を含む重賞4勝。
・母のAfterは現役時はA P O’Brien師に管理され、18戦1勝、愛G3-アングルシーS(6.5f)2着、愛G3-バリーオーガンS(6f)2着、仏G1-プールデッセデプーリッシュ(1m)4着、愛G1-アイリッシュ1000ギニー(1m)5着など、重賞未勝利ながら重賞で活躍を続けた馬。
※レーシングポストのFULL result
https://www.racingpost.com/results/178/curragh/2019-08-23/736305
イボアフェスティバル・最終日(8/24)ミニ展望
・以下、最終日(8/24)のミニ展望をお届けする。尚、レースの模様は以下のDubai Racing Channelにて無料中継される(登録不要、クリックするだけで視聴可能)。
http://www.dmi.ae/dubairacing/live.asp
シティオブヨークS(G2・7f・3歳以上・日本時間8/24・23:00発走予定)
・G1を既に6勝している実績馬、Siyouni産駒・Laurens(牝4)が1番人気だが、7fのレースを使われるのは2歳8月以来になり、今回は牝馬限定ではなく牡馬、せん馬も出走するレース。戦績的に強敵は見当たらない印象だが果たしてどうか。
※レーシングポストの出馬表
https://www.racingpost.com/racecards/107/york/2019-08-24/735953
ストレンソールS(G3・1m177yds・3歳以上・日本時間8/24・21:50発走予定)
・AWでのG3-ウインターダービーの勝ち馬で、Tapit産駒のWissahickonがJohn Gosden、Frankie Dettoriの名前もあり1番人気。対するはLeroidesanimaux産駒・Zaaki。こちらはSir Michael Stoute師の管理馬で鞍上はRyan Moore。
※レーシングポストの出馬表
https://www.racingpost.com/racecards/107/york/2019-08-24/735955
Roaring Lionが急死
・ニュージーランドで疝痛の手術を受け、経過観察中だった、昨年の欧州年度代表馬・Roaring Lionが急死したという衝撃的なニュースが入っている。昨年のエクリプスS→インターナショナルS→アイリッシュチャンピオンS→クイーンエリザベス2世Sの4つのG1を連勝した圧巻の活躍ぶりは印象深いもの。Kitten’s Joyの後継種牡馬としての期待も当然大きかっただけに早過ぎる死で、関係者のショックも計り知れないものだろう。
・ジャパンスタッドブックインターナショナルの関連記事を以下に示す。
ロアリングライオン、疝痛のため南半球での種付けを断念
https://www.jairs.jp/contents/newsprot/2019/29/4.html
ロアリングライオン、2019年からトゥウィーンヒルズスタッドで供用