セントレジャーフェスティバル・2日目レース結果+フランスでディープインパクト産駒が勝利

現地時間9/11(水)から9/14(土)までの4日間に渡り、英ドンカスター競馬場にて行われているセントレジャーフェスティバル。本稿では2日目(9/12)に行われた2つの重賞レースについて触れる。合わせて仏パリロンシャン競馬場にて行われたListedレースでディープインパクト産駒が勝利を収めており、これについても触れる。

William Hill May Hill Stakes(G2・1m・2歳牝馬)

・1976年創設。May Hillは1972年産まれの牝馬で1975年にヨークシャーオークス、パークヒルSなどに勝利。過去の主な勝ち馬にLaurens(2017年)、Certify(2012年)、Rainbow View(2008年)、Reams of Verse(1996年)など。

1着:Powerful Breeze

牝2、父・Iffraaj、母・Power Of Light、母父・Echo Of Light
調教師:Hugo Palmer、騎手:James Doyle

・中団やや後方につけていたPowerful Breezeが直線、内から早めに先頭に立つと、そのまま押し切って勝利。1番人気のCloak Of Spiritsは好位から伸びずに6着。

・今回の勝利で通算2戦2勝。8/23のニューマーケットでのデビュー戦(7f)を勝ち、ここへ臨んでいた。

 1着:[2019/09/12]メイヒルS(英G2・1m・ドンカスター)

・父のIffraajは2001年英国産のZafonic産駒。現役時はSaeed bin Suroor師に管理され、13戦7勝、G1勝ちは無いがG2-パークS(7f)2勝、G2-レノックスS(7f)の重賞3勝。主な産駒にRibchester(ジャックルマロワ賞、ムーランドロンシャン賞、ロッキンジS、クイーンアンS)、Rizeena(コロネーションS、モイグレアスタッドS)、Chriselliam(フィリーズマイル、BCジュヴェナイルターフ)など。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/15/doncaster/2019-09-12/737846

DFS Park Hill Stakes(G2・1m6f115y・3歳以上牝馬)

・1839年創設。Park Hillは英セントレジャーの創設者・Anthony St. Legerが以前所有していた不動産の名称。1983年の勝ち馬・High Hawkは同年の第3回ジャパンカップに出走、1番人気に推されたが13着。繁殖入り後、BCターフなどG1を3勝したIn the Wings(Singspielの父)などを輩出している。

1着:Enbihaar

牝4、父・Redoute’s Choice、母・Chanterelle、母父・Trempolino
調教師:John Gosden、騎手:Jim Crowley

・道中はほぼ最後方を追走していた1番人気のEnbihaarが直線だけでまとめて差し切って1着。2着のDelphinia(今年の英オークス5着馬)はよく食い下がっていたが最後はEnbihaarの底力に屈した形。

・今回の勝利で通算8戦5勝、重賞3勝目。これで牝馬長距離路線の重賞を3連勝。前走は2着に5馬身差をつける快勝で、今回も着差こそ僅かだったが余力を感じさせる内容。レース後、鞍上のJim Crowleyは「彼女はG1にステップアップするに値する」と語っており、エントリー済の10/19にアスコットで行われるG1-ブリティッシュチャンピオンズフィリー&メアズS(1m4f)に進んだ場合、楽しみな存在になりそうである。

 1着:[2019/09/12]パークヒルS(英G2・1m6f115yds・ドンカスター)
 1着:[2019/08/03]リリーラングトリーS(英G2・1m6f・グッドウッド)
 1着:[2019/07/06]ランカシャーオークス(英G2・1m3f175yds・ヘイドック)

・父のRedoute’s Choiceは1996年豪州産のデインヒル産駒(今年3月に死没)。現役時はコーフィールドギニー(1600m)、マニカトS(1200m)、CFオーアS(1400m)、ブルーダイヤモンドS(1200m)の4つのG1に勝利。種牡馬入り後に豪リーディングサイアーに3度輝いた名種牡馬。いずれも豪G1を5勝した、Miss FinlandLankan RupeeThe Autumn Sunスニッツェル(豪リーディングサイアー)などを輩出。

・母のChanterelleは未出走。母の全姉Cox Orangeは米仏で重賞5勝の活躍馬。母の半姉Amonitaは仏2歳G1-マルセルブサック賞、米G3-スワニーリバーHの勝ち馬。

※レーシングポストのFULL result

https://www.racingpost.com/results/15/doncaster/2019-09-12/737845

Prix des Tourelles – Fonds Europeen de l’Elevage(LR・2400m・3歳以上牝馬)

1着:Muette

牝3、父・ディープインパクト、母・Blarney Stone、母父・Peintre Celebre
調教師:A Fabre、騎手:Maxime Guyon

・3,4番手の外を追走していたMuetteが直線抜け出し、迫る後続馬をきっちり抑えて1着。

・今回の勝利で通算3戦2勝。今年4/22にパリロンシャンでデビュー(2100m)し5着。その後、116日ぶりに出走した前走8/16のクレールフォンテーヌでの2戦目(2900m)で勝利し、ここへ臨んでいた。馬主はファッションブランド・シャネルのオーナー、ヴェルテメール兄弟。

・ヴェルテメール兄弟はサンデーサイレンスと交配させるために繁殖牝馬を2頭、日本に送ったり(BCマイル3着のSilent Nameなどが誕生)、ディープインパクトと交配させるために送り込んだ繁殖牝馬から仏G3-シェーヌ賞(1600m)の勝ち馬・Akihiroを誕生させるなどの成果を収めてきたオーナーブリーダー。Muetteの今後の活躍はもとより、繁殖入り後に欧州で残るディープインパクトの血脈がどう根付き、発展していくのか、早くも注目が集まる。

・母のBlarney Stoneは現役時はウィルデンシュタイン家(ウィルデンシュタインステーブル)の持ち馬で、5戦1勝(1600m)。Allez France、All Along、Peintre Celebre、Sagaceの4頭の凱旋門賞馬を所有してきたウィルデンシュタイン家は、2016年に事業縮小のために当歳馬、1歳馬、現役馬、繁殖牝馬計110頭をセールに出しているが、Blarney Stoneはこの流れを先取りしていたものなのかは不明だが、処分セールの2年前の2014年のアルカナ12月ブリーディングストックセールにて、ヴェルテメール兄弟へ89万633ドルにて売却された馬。その後、Blarney Stoneはディープインパクトとの交配のために日本入りし、受胎後、英国へ戻り2016年2月19日に産まれたのがMuetteである。

・祖母のバステットはGiant’s Causeway産駒で現役時は13戦2勝、LR-ペピニエール賞(2100m)の勝ち馬で、仏G3-アレフランス賞(2000m)で2着、仏G3-フロール賞(2100m)で3着。バステットは当時、供用初年度のディープインパクトとの交配のために日本入りしていた馬で、まず初仔・バロッチ(リステッド勝ち馬)を日本で産み、英国に戻ってから産んだ2番仔が2012年のG1-プールデッセデプーリッシュ(仏1000ギニー)を勝ち、ディアヌ賞(仏オークス)でも2着に入ったBeauty Parlourである。