2020英ダービー戦線リポート【1】現時点での上位人気7頭について

来年の英ダービーは現地時間2020年6月7日に行われるが、今後定期的に英ダービーのアンティポストの動向をお届けしていく。WilliamHILLでは現在、未デビュー馬も含めた大量39頭にオッズがついているが、全馬について複数回に分けて簡単に触れていく。第1回となる本稿では上位人気7頭について取り上げる。

 ※RPRは英レーシングポスト社による独自レーティング。最も高い自己ベストのRPRをピックアップして表記している。現時点での勢力図を俯瞰する物差しとしてご参照頂きたい。

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Pinatubo

父・Shamardal、母・Lava Flow、母父・Dalakhani
調教師:Charlie Appleby、馬主:Godolphin
RPR:128、現時点での英ダービー単オッズ:6.0倍(1番人気)

・6戦6勝、英G1-デューハーストS、愛G1-ナショナルS、英G2-ヴィンテージSの重賞3勝。英2000ギニーまでは問題なく無敗のまま通過しそうな突き抜けた資質を見せつけたセンセーショナルな2歳シーズンだったが、問題は一気の距離延長となる英ダービー。その距離延長に対する懸念や、そもそもマイル路線を歩むなど英ダービーには出走しない可能性がオッズに織り込まれており、昨年の同時期にToo Darn Hotが3倍台のオッズだった事を振り返ると、いかにもこのオッズは高い印象。

・父のShamardalは2002年産まれのGiant’s Causeway産駒。現在、ダーレーのギルダンガンスタッド(アイルランド)にて繋養されているが、2016年以降、モハメド殿下とその兄弟のハムダン殿下やマクトゥーム一家のメンバー及びその親族が所有する繁殖牝馬にしか種付けを行っておらず、種付料はPrivate。今年は産駒のBlue Point、Castle Lady、Earthlight、本馬がG1に勝利し、ますます存在感を高めている

・母のLava Flowは6戦2勝。現役時はA Fabre師に管理され、LR-セーヌ賞(2200m)に勝利。祖母のMount ElbrusはLR-プティエトワール賞の勝ち馬。

・以下の表は昨年も掲載したもので、カルティエ賞最優秀2歳牡馬が2歳時に記録したRPRの最高値をまとめたもの。Pinatuboの128は、1991年のArazi(134)、1994年のCeltic Swing(133)に次ぐ高い数字であることが分かる。それだけ2歳戦でのパフォーマンスは数十年単位で見ても稀なもので、衝撃的だったということになる。

 1991年:Arazi(134)
 1992年:Zafonic(124)
 1993年:First Trump(118)
 1994年:Celtic Swing(133)
 1995年:Alhaarth(124)
 1996年:Bahamian Bounty(116)
 1997年:Xaar(127)
 1998年:Aljabr(124)
 1999年:Fasliyev(123)
 2000年:Tobougg(122)
 2001年:Johannesburg(125)
 2002年:Hold That Tiger(114)
 2003年:One Cool Cat(119)
 2004年:Shamardal(124)
 2005年:George Washington(121)
 2006年:Teofilo(125)
 2007年:New Approach(125)
 2008年:Mastercraftsman(120)
 2009年:St Nicholas Abbey(123)
 2010年:Frankel(126)
 2011年:Dabirsim(120)
 2012年:Dawn Approach(123)
 2013年:Kingston Hill(119)
 2014年:Gleneagles(116)
 2015年:Air Force Blue(125)
 2016年:Churchill(121)
 2017年:U S Navy Flag(122)
 2018年:Too Darn Hot(126)
 2019年:Pinatubo(128)

Kameko

父・Kitten’s Joy、母・Sweeter Still、母父・ロックオブジブラルタル
調教師:Andrew Balding、馬主:Qatar Racing Limited
RPR:116、現時点での英ダービー単オッズ:13.0倍(2番人気)

・4戦2勝、ニューカッスルのAWコースでの開催となった11/1の英G1-フューチュリティトロフィー(1m)の勝ち馬。2着に3馬身1/4差をつける完勝だったが、クラシックとは全く異なる舞台での勝利で、評価が難しいところ。Roaring Lionが亡くなった後にすぐ同じKitten’s Joy産駒のG1馬がQatar Racingに誕生し、陣営の期待は大きいだろう。

・父のKitten’s Joyは2001年米国産のEl Prado産駒。現役時は14戦9勝、2着4回。ターフクラシック招待S(芝12f)、セクレタリアトS(芝10f)の2つのG1を含む重賞7勝、2004年のエクリプス賞最優秀芝牡馬。主な産駒にRoaring Lion(エクリプスS、インターナショナルS、アイリッシュチャンピオンS、クイーンエリザベス2世S)、Hawkbill(エクリプスS、ドバイシーマクラシック)、Stephanie’s Kitten(BCフィリー&メアターフなどG1を5勝)。2013年以降、5年連続で北米芝リーディングサイアーの座に就いており、今年の種付料は7万5000ドル。

・母のSweeter Stillは14戦3勝、米G3-セニョリータS(ダ1m)の勝ち馬。伯母のBelle Artisteは愛G3-デリンズタウンスタッド1000ギニートライアルの勝ち馬。叔父のKingsbarnsは2012年の英2歳G1-レーシングポストトロフィーの勝ち馬。

Mogul

父・Galileo、母・Shastye、母父・デインヒル
調教師:A P O’Brien、馬主:Michael Tabor & Derrick Smith & Mrs John Magnier
RPR:110、現時点での英ダービー単オッズ:13.0倍(2番人気)

・4戦2勝。9/14のレパーズタウンでの愛G2-チャンピオンジュヴェナイルS(1m)の勝ち馬。前走の英G1-フューチュリティトロフィーでは勝ったKamekoから3馬身3/4差の4着に敗れているが、AWでの競馬でこれはノーカウント扱いに出来そう。クラシックにおける無類の強さと信頼度を示し続けてきた偉大な父の名前と優秀な厩舎の名前がこのオッズの裏付けとなる。

・母のShastyeは現役時はJohn Gosden師に管理され、9戦2勝、4歳6月時に1m4fのListedレースで2着。全兄のJapanはインターナショナルS、パリ大賞典の2つのG1を含む重賞4勝の現役馬。全姉のSecret Gestureは英G2-ミドルトンSの勝ち馬。全兄のSir Isaac Newtonは愛G3-インターナショナルSの勝ち馬。牝系はフランスでの活躍馬が多く、Sagamix(凱旋門賞)、Sagacity(クリテリウムドサンクルー)、Sageburg(イスパーン賞)、Sagawara(サンタラリ賞)と同じ牝系。

Military March

父・New Approach、母・Punctilious、母父・デインヒル
調教師:Saeed bin Suroor、馬主:Godolphin
RPR:113、現時点での英ダービー単オッズ:21.0倍(4番人気)

・2戦2勝。10/12のニューマーケットでの英G3-オータムS(1m)の勝ち馬。ゴドルフィンはPinatuboが距離の壁に泣いたり、ダービー以外の路線に進むことになったとしても、昨年の英ダービー馬・Masarと同じくNew Approachを父に持つこの俊英が控えている構図。

・父のNew Approachは2005年愛国産のGalileo産駒。現役時はJ S Bolger師に管理され、11戦8勝、英チャンピオンS、愛チャンピオンS、英ダービー、デューハーストS、ナショナルSの5つのG1を含む重賞6勝。主な産駒にMasar(英ダービー)、Dawn Approach(英2000ギニー、セントジェームズパレスSなど)、Talent(英オークス)など。今年の種付料は3万ポンド。

母のPunctiliousは15戦6勝、G1-ヨークシャーオークス、G2-リブルスデイルS、G3-ムシドラSの勝ち馬

Cape Palace

父・Golden Horn、母・Mia Diletta、母父・Selkirk
調教師:John Gosden、馬主:Sheikh Hamdan bin Mohammed Al Maktoum
RPR:91、現時点での英ダービー単オッズ:26.0倍(5番人気)

・2戦1勝。8/30のニューカッスルでの未勝利戦(AW7f)を勝ち、2戦目の9/20のニューベリーでの条件戦(1m)で3着。Golden Horn産駒はこの世代がファーストクロップ。既にWest End Girlが英G3-スウィートソラレSに勝利し、Festive Starがイタリアのリステッド勝ち。

・父のGolden Hornは2012年英国産のCape Cross産駒。現役時はJohn Gosden師に管理され、9戦7勝、英ダービー、凱旋門賞、エクリプスS、アイリッシュチャンピオンSの4つのG1を含む重賞5勝。今年の種付料は5万ポンド、来年の種付料は4万ポンド。

・半兄のPoeta Dilettoはイタリアの重賞を3勝。

Innisfree

父・Galileo、母・Palace、母父・Fastnet Rock
調教師:A P O’Brien、馬主:D Smith & Mrs J Magnier & M Tabor & Mrs A M O’Brien
RPR:109、現時点での英ダービー単オッズ:26.0倍(5番人気)

・4戦2勝。9/29のカラでの愛G2-ベレスフォードS(1m)の勝ち馬で、前走の英G1-フューチュリティトロフィーでは勝ったKamekoから3馬身1/4差の2着。ベレスフォードSはJapan、Saxon Warrior、Capriと近3年の勝ち馬が全て後にG1を制覇している出世レース。今年のベレスフォードSは馬場状態が「Heavy」だっただけに、馬場渋化の際は一躍浮上しそうな存在。

・曽祖母のSonic LadyはサセックスS、ムーランドロンシャン賞、アイリッシュ1000ギニーの3つのG1を含む重賞7勝。Sonic Ladyの直仔・ソニンクを経てロジユニヴァース、ジューヌエコール、ランフォルセ、ディアドラ、ノーザンリバーなどが出ている日本での活躍馬多数の牝系出身。

Lope Y Fernandez

父・Lope De Vega、母・Black Dahlia、母父・Dansili
調教師:A P O’Brien、馬主:Derrick Smith & Mrs John Magnier & Michael Tabor
RPR:108、現時点での英ダービー単オッズ:26.0倍(5番人気)

・5戦2勝。6/7のカラでのメイドン(7f)で1着→6/22のロイヤルアスコットのチェシャムS(LR・7f)で勝ったPinatuboから3馬身1/4差の2着→7/30のグロリアスグッドウッドのG2-ヴィンテージS(7f)で勝ったPinatuboから10馬身差の3着→8/30のカラでのG3-ラウンドタワーS(6f)で1着→9/28のニューマーケットでのG1-ミドルパークS(6f)で勝ったEarthlightから3馬身半差の6着。ゴドルフィンの無敗の2騎(Pinatubo、Earthlight)が高い壁となった2歳シーズン。

・父のLope De Vegaは2007年愛国産のShamardal産駒。現役時はA Fabre師に管理され、9戦4勝、仏ダービー、仏2000ギニーの仏2冠に勝利。いずれのレースも単勝10倍台の人気で制しており、仏2000ギニーではSiyouni、仏ダービーではケープブランコが1番人気だったがこれらを降して優勝。今年はイスパーン賞をZabeel PrincePhoenix of Spainがアイリッシュ2000ギニーを勝利するなど産駒がG1で活躍。今年の種付料は8万ユーロと過去最高額。

・半兄のDark Visionは英2歳G2-ヴィンテージSの勝ち馬。