2020英オークス戦線リポート【1】現時点での上位人気10頭について

今年の英オークスは現地時間6月6日に行われるが、今後定期的に英オークスのアンティポストの動向をお届けしていく。Galileo、Frankelなどお馴染みの名前と並んでアイルランド産のディープインパクト産駒が1頭ランクインしており、動向が注目される。

※オッズは英ブックメーカーWilliamHILLの現時点のもの。

※RPRは英レーシングポスト社による独自レーティング。最も高い自己ベストのRPRをピックアップして表記している。現時点での勢力図を俯瞰する物差しとしてご参照頂きたい。

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Quadrilateral

父・Frankel、母・Nimble Thimble、母父・Mizzen Mast
調教師:Roger Charlton、馬主:K Abdullah
RPR:115、現時点での英オークス単オッズ:11.0倍

・3戦3勝。8/16のニューベリーでのメイドン(7f)で1着→9/20のニューベリーでの2戦目(7f)で1着→10/11のニューマーケットでの英G1-フィリーズマイル(1m)で1着

・父のFrankelは2008年英国産のGalileo産駒。現役時は14戦14勝、G1を10勝、重賞12勝。現4歳の3世代目からはAnapurnaが英オークス、Logicianが英セントレジャーを制し、産駒が英クラシックを2勝。4世代目となる現3歳では目下、この馬が牡牝合わせて最有力馬となっている。今年の種付料は2018年以降と同額になる17万5000ポンド。

・母のNimble Thimbleは本馬と同じジャドモントファームの生産馬で3戦1勝。曽祖母のKeraliを牝祖とする活躍馬に、Leroidesanimaux、Dansili、Banks Hill、Romantica、Heat Haze、Intercontinental、Cacique、Champs Elysees、Promising Lead、So Factualらがいる。

・母父のMizzen Mastは1998年米国産のCozzene産駒でこちらもジャドモントファームの生産馬。米G1-マリブS(ダ7f)、米G2-ストラブS(ダ9f)、仏G3-ギシュ賞(芝1800)の勝ち馬。父として輩出した主な産駒にMizdirection(BCターフスプリント2勝)がおり、BMSとして輩出した産駒の内、最多賞金獲得馬は本馬になる。

Love

父・Galileo、母・Pikaboo、母父・Pivotal
調教師:A P O’Brien、馬主: Michael Tabor & Derrick Smith & Mrs John Magnier
RPR:112、現時点での英オークス単オッズ:15.0倍

・7戦3勝。7/11のレパーズタウンでのデビュー3戦目(7f)で勝ち上がり→7/25のレパーズタウンでの愛G3-シルバーフラッシュS(7f)で1着→8/23のカラでの愛G2-デビュータントS(7f)で5着→9/15のカラでの愛G1-モイグレアスタッドS(7f)で1着→10/11のニューマーケットでの英G1-フィリーズマイル(1m)で3着。

・父のGalileoは1998年愛国産のSadler’s Wells産駒。現役時は8戦6勝、英ダービー、愛ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSの3つのG1を含む重賞4勝。2001年のカルティエ賞最優秀3歳牡馬。本稿では英クラシックに絞って産駒のこれまでの戦績を以下にまとめる。2008年産以降、9世代連続で「全ての世代で必ず」牡馬か牝馬が英クラシックを制してきた実績は改めて圧倒的である。

 2003年産:Sixties Icon(英セントレジャー)
 2005年産:New Approach(英ダービー)
 2008年産:Frankel(英2000ギニー)
 2009年産:Was(英オークス)
 2010年産:Ruler of the World(英ダービー)
 2011年産:Australia(英ダービー)
 2012年産:Gleneagles(英2000ギニー)
 2013年産:Minding(英オークス、英1000ギニー)
 2014年産:Churchill(英2000ギニー)、Capri(英セントレジャー)、Winter(英1000ギニー)
 2015年産:Kew Gardens(英セントレジャー)、Forever Together(英オークス)
 2016年産:Anthony Van Dyck(英ダービー)、Hermosa(英1000ギニー)

・母のPikabooは5戦未勝利だが、産駒が軒並み活躍しており、半姉のLucky Kristale(ロウザーS、ダッチェスオブケンブリッジS)、全姉のFlattering(ムンスターオークス)、Peach Tree(スタネーラS)はいずれも重賞勝ち馬。

Born With Pride

父・Born To Sea、母・Jumooh、母父・Monsun
調教師:William Haggas、馬主:Sunderland Holding Inc
RPR:101、現時点での英オークス単オッズ:17.0倍

・1戦1勝。11/2のニューマーケットでのリステッド(1m)で1着。デビュー戦からいきなりリステッドレースを使われて、最低人気だったがあっさり勝利。デビュー戦でリステッドレースを使われて勝利するのは父のBorn To Seaと全く同じ。

・父のBorn To Seaは2009年愛国産のInvincible Spirit産駒で、母は凱旋門賞馬・Urban Sea(の最後の産駒)で、Galileo、Sea the Starsの半弟になる。現役時は8戦1勝(デビュー戦がリステッドのブレニムSでこれをいきなり勝ったのが唯一の勝ち鞍)、G1-アイリッシュダービー2着、G2-ロイヤルウィップS2着、G3-キラヴーランS2着。これまでに目立つ活躍馬は輩出しておらず、今年の種付料は4000ユーロ。

・母のJumoohは5戦未勝利。きょうだい(せん馬)のShraaohは豪G1-AJCシドニーカップの勝ち馬。半兄のRaheen Houseは英G3-バーレーントロフィーの勝ち馬。従兄のIl FornaioはアルゼンチンG1-サンイシドロ大賞の勝ち馬。

Cayenne Pepper

父・Australia、母・Muwakaba、母父・Elusive Quality
調教師:Mrs John Harrington、馬主:Jon S Kelly
RPR:109、現時点での英オークス単オッズ:21.0倍

・4戦3勝。6/6のレパーズタウンでのメイドン(7f)で1着→7/4のティペラリーでの2戦目(7.5f)で1着→8/30のカラでの愛G3-フレイムオブタラアイリッシュEBFステークス(1m)で1着→10/11のニューマーケットでのG1-フィリーズマイル(1m)で4着(勝ったQuadrilateralから3馬身差)。

・父のAustraliaは2011年英国産のGalileo産駒で、名牝・Ouija Board(G1を7勝。2004年、2006年のカルティエ賞年度代表馬)の4番仔。現役時はA P O’Brien師に管理され、英愛ダービー、インターナショナルSの3つのG1を含む重賞4勝。現3歳はセカンドクロップになり、これまでの2世代で本馬を含めて6頭の重賞勝ち馬と3頭のリステッド勝ち馬を輩出。種付料は2015年に5万ユーロでスタートしたが、今年は2万7500ユーロ。

・母のMuwakabaは4戦1勝。祖母のSaleelaは凱旋門賞馬・Urban Seaの半妹で、Saleelaの半弟にキングズベスト(英2000ギニー)がいる牝系の出身。

Domino Darling

父・Golden Horn、母・Disco Volante、母父・Sadler’s Wells
調教師:William Haggas、馬主:A E Oppenheimer
RPR:85、現時点での英オークス単オッズ:21.0倍

・1戦1勝。10/25のドンカスターでのメイドン(1m)で1着。

・父のGolden Hornは2012年英国産のCape Cross産駒。現役時は9戦7勝、2015年に英ダービー、エクリプスS、アイリッシュチャンピオンS、凱旋門賞の4つのG1を制覇し、同年のカルティエ賞年度代表馬、最優秀3歳牡馬に選出された馬。現3歳がファーストクロップになるが、これまでに重賞勝ち馬1頭(West End Girl)、リステッド勝ち馬1頭(Festive Star)しか輩出出来ておらず、3歳になってから本領発揮となる可能性はあるが、先行きは明るくない印象。種付料は2016年に6万ポンドからスタートしていたが、ファーストクロップの不振ぶりを受けて今年は4万ポンドに減少。

・母のDisco Volanteは6戦1勝、英仏で各1度、リステッドレースで2着。半兄のNamibianは英G3-ゴードンS、英G3-クイーンズヴァーズの勝ち馬。祖母のDivine Danseは仏重賞4勝の活躍馬。

Albigna

父・Zoffany、母・Freedonia、母父・Selkirk
調教師:Mrs John Harrington、馬主:Niarchos Family
RPR:112、現時点での英オークス単オッズ:26.0倍

・5戦3勝。5/24のカラでのメイドン(6f)で1着→6/28のカラでの愛G2-エアリースタッドS(6f)で1着→9/15のカラでの愛G1-モイグレアスタッドS(7f)で6着→10/6のパリロンシャンでの仏G1-マルセルブサック賞(1600m)で1着→11/1のサンタアニタでの米G1-BCジュヴェナイルフィリーズターフ(1m)で4着。

・父のZoffanyは2008年愛国産のDansili産駒。現役時は13戦5勝、愛2歳G1-フェニックスS、愛2歳G3-タイロスSの勝ち馬。G1-セントジェームズパレスSではFrankelと3/4身差の2着、G1-ジャンプラ賞でも2着。これまでに本馬とVentura Storm(イタリアジョッキークラブ大賞)の2頭のG1馬を輩出。2016年には4万5000ユーロだった種付料は漸減中で、今年は2万2500ユーロ。

母のFreedoniaは10戦3勝。仏G2-ポモーヌ賞の勝ち馬で、米G1-ジョーハーシュターフクラシック招待Sで2着、仏G1-ヴェルメイユ賞で4着。2006年のジャパンカップにも出走しておりディープインパクトの7着。祖母の半弟Domedriverは米G1-BCマイルなど米仏で重賞3勝。

Alpine Star

父・Sea The Moon、母・Alpha Lupi、母父・Rahy
調教師:Mrs John Harrington、馬主:Niarchos Family
RPR:107、現時点での英オークス単オッズ:26.0倍

・3戦2勝。7/11のレパーズタウンでのメイドン(7f)では勝ったLoveから1馬身3/4差の3着→8/2のガルウェイでの2戦目(7f)で1着→8/23のカラでの愛G2-デビュータントS(7f)で1着

・父のSea The Moonは2011年ドイツ産のSea The Stars産駒。現役時は5戦4勝、G1-ドイツダービー(11馬身差での勝利)など重賞3勝。現3歳はセカンドクロップで2世代でこれまでに本馬を含めて5頭の重賞勝ち馬を輩出。2020年の種付料は1万5000ポンド。

・母のAlpha Lupiは未出走。半姉のAlpha Centauriもニアルコスファミリーの持ち馬で、2018年にアイリッシュ1000ギニー→コロネーションS→ファルマスS→ジャックルマロワ賞のG1レース4連勝を達成。同年のカルティエ賞最優秀3歳牝馬に選出されている。祖母のEast of the Moon(仏オークス、仏1000ギニー、ジャックルマロワ賞)、祖母の半兄のKingmambo(仏2000ギニー、ムーランドロンシャン賞、セントジェームズパレスS)はいずれもG1馬で、曽祖母の名牝・Miesque(BCマイル2勝、ジャックルマロワ賞2勝、英仏1000ギニーなどG1を10勝)から連なる名門牝系の出身。

Fancy Blue

父・ディープインパクト、母・Chenchikova、母父・Sadler’s Wells
調教師:A P O’Brien、馬主:Michael Tabor & Derrick Smith & Mrs John Magnier
RPR:100、現時点での英オークス単オッズ:26.0倍

・2戦2勝。9/18のネイスでのメイドン(7f)で1着→10/13のカラでのリステッド(1m)で1着。

・本馬はアイルランド産で、母のChenchikovaがディープインパクトの仔を受胎した状態でアイルランドへ戻り、出産された馬。A P O’Brien師は英2000ギニーを制したSaxon Warriorと同世代のディープインパクト産駒・Septemberも管理していたが、ロイヤルアスコットのLR-チェシャムSを勝ち、G1-フィリーズマイル2着、G1-BCジュヴェナイルフィリーズターフ3着など2歳時に可能性を感じさせる走りを見せるも故障に泣きクラシック出走はならず。残り少ないディープインパクト産駒の欧州クラシックレースへの挑戦が本馬で見られるかどうか注目となる。

・母のChenchikovaは6戦1勝。母の全兄のHigh Chaparralは英ダービー、愛ダービー、BCターフ(2勝)、アイリッシュチャンピオンS、レーシングポストトロフィーの6つのG1を含む重賞8勝。従兄のHunting Hornは英豪で重賞2勝、David Livingstonは英愛で重賞2勝。

Heiress

父・Kingman、母・Love Divine、母父・Diesis
調教師:John Gosden、馬主:Lordship Stud
RPR:84、現時点での英オークス単オッズ:26.0倍

・1戦1勝。11/2のニューマーケットでのノービス(7f)で1着(2着に3馬身半差)。

・父のKingmanは2011年英国産のInvincible Spirit産駒。現役時はJohn Gosden師に管理され、通算8戦7勝、2着1回。G1を4勝(アイリッシュ2000ギニー、セントジェームズパレスS、サセックスS、ジャックルマロワ賞)し、2014年のカルティエ賞年度代表馬、最優秀3歳牡馬に選出された馬。現4歳がファーストクロップでプールデッセデプーラン(仏2000ギニー)を制したPersian Kingなど5頭の重賞勝ち馬を輩出。現3歳のセカンドクロップからも1頭が重賞勝ち馬となり、絶好の種牡馬デビューを飾っている。産駒の活躍を受けて種付料は5万5000ドル(2015~2018年)→7万5000ドル(2019年)→15万ドル(2020年)と急上昇中。

母のLove Divineは6戦2勝。G1-英オークスの勝ち馬で、G1-ヨークシャーオークス2着、ヴェルメイユ賞4着、英チャンピオンS4着。半兄のSixties IconはG1-セントレジャーを含む重賞6勝。従兄のDan Excelはチャンピオンズマイル、シンガポール航空インターナショナルカップ(2勝)の3つのG1を含む重賞5勝。

Peaceful

父・Galileo、母・Missvinski、母父・ストラヴィンスキー
調教師:A P O’Brien、馬主:Michael Tabor & Derrick Smith & Mrs John Magnier
RPR:101、現時点での英オークス単オッズ:26.0倍

・3戦1勝。デビュー戦では9着と敗れたが、10/10のサーリスでの2戦目(1m)で1着。11/2のニューマーケットでのリステッド(1m)では勝ったBorn With Pride(はこのレースがデビュー戦)とクビ差の2着。

・母のMissvinskiは13戦4勝。ゼダーン賞(LR・6f)、ロンデュヌイ賞(LR・AW6.5f)の勝ち馬で、G1-アスタルテ賞(現在のロートシルト賞)2着、G3-グロット賞2着など、重賞戦線で活躍した馬。

・母父のストラヴィンスキーは1996年米国産のNureyev産駒。現役時は8戦3勝、英G1-ジュライC(6f)、英G1-ナンソープS(5f)の勝ち馬。父としてBenbaun(アベイドロンシャン賞)、Balmont(ミドルパークS)、コンゴウリキシオー(重賞4勝)らを輩出。BMSとしてRip Van Winkle(クイーンエリザベス2世S、インターナショナルS、サセックスS)、Lankan Rupee(VRCライトニングS、マニカトSなど豪G1を5勝)らを輩出。2006年から日本軽種馬協会静内種馬場にて供用されてきたが、2018年に引退している。